ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか 作:厨二病の末路
文章がいつも以上に変になってる気がしますが、少しずつリハビリしていきます。
それではよろしくお願いいたします。
翌朝、ザックは心地よい眠りから目覚める…なんてことは無かった。
相も変わらず同じような悪夢を繰り返し見続けた寝覚めは、最悪なものであった。
「はぁ...。なんとかならねえかな。くそ...」
思わず悪態を吐いてしまうの仕方の無い事だろう。しかし、寝覚めに対して部屋から覗いてみせる空は澄み渡る程の快晴で、絶好の炊き出し日和だ。
「アイツらに謝んないとな…。はぁ…」
人に謝る時ってなんでこう…、胃がキリキリするのだろう?やはり、どれだけ力を得ようとも根っこにあるヘタレ属性は、どう足掻いても変えられないのだろうか?
「やめだ。さっさと炊き出しに向かおう」
心が病んでしまっている時は 、何を考えても悪い方向へ思考が傾く。そうしてどんどんドツボにハマってしまう。ならば無理矢理にでも体を動かして、1度思考をクリアにした方が良い。
ザックは準備を整え足早に宿屋を出た。
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炊き出しが行われている場所に赴くとギルド主催という事もあってか、かなりの賑わいを見せていた。
道行く人々の表情は笑顔で満ちており、その姿を目にした瞬間に今朝の鬱屈とした気持ちが和らいだ。
今この瞬間だけは、人々の心の安らぎが続かんことを────
ぶしゃっ。
「────────は?」
この場に似つかわしくない音につい間の抜けた声が出る。
噴き出すような音と同時に、ボトッと地面にナニカが落ちた。
鼻をつんざく臭いはオラリオに来て
「いやぁああああああああああああああっ!?」
空気を切り裂くような女性の悲鳴が、広場に木霊する。と、同時に止まっていた時間が動き出す。
「うわあああああああああああ!!?」
「なんでぇ!?なんでこんな日にっ…!?」
「あぁ〜?こんな日だからこそだろうが。こんな気持ちのいい日なんだ。私達だけ仲間外れなんてひでぇじゃねぇか?」
民衆の声に返答するようにそう言い放ったのは、毒々しい薄紅色の髪にダメージのある肌着とレザーパンツといった姿をした
「ギルドの糞どもは本当に馬鹿だよなぁ?こんな楽しいイベント、私達が見逃す訳ねえじゃねぇか。やれ、てめえ等!」
女は両手を広げ邪悪な笑みを浮かべ声を高らかにしてそう言い放つと、
「────────────」
また同じ光景だ。輝夜と街に出掛けた時と全く同じだ。
しかし、今回は助けられる距離に居たはずだったのにも関わらず、人一人の命を散らせてしまった。
その事実がザックを容赦なく叩きのめした。身体の不調など、言い訳にならない。今のオラリオがどういう状況か、ここ数ヶ月で身に染みていたはずなのに。
呆然と立ち尽くすザックに、狂笑を浮かべながらヴァレッタが歩み寄る。
「ん〜?恐怖で足が竦んじまったか?とんだヘタレな冒険者も居たもんだなぁ」
「──────────」
「チッ、だんまりかよ。つまらねぇ野郎だな」
声を掛けても男の反応のない事に、呆れたような溜息を吐く。
「まぁいいや、お前もコイツらと同じ所に送ってやるよぉ!」
「──させないわよッ!」
長剣が振り下ろされそうになる刹那、細剣がその斬撃をいなした。
その背後からもう1つの剣閃がヴァレッタを捉える。が、ヴァレッタは懐に隠していた短刀を逆手に持ち、反転しながら背後の斬撃を受け止めた。
ヴァレッタが背後に意識を逸らした一瞬を突いて、その場に駆けつけたアリーゼが、呆然としているザックを抱えて距離を取った。
「──────────」
「しばらく、ここに居て」
ザックの状態を見て戦える状態ではないと判断したアリーゼは、戦闘の余波が届かない位置へザックを移動させ、ヴァレッタと応戦しているリューの元へと戻る。
「【
激昂するリューの剣閃を嘲笑うかのようにいなし、躱す。そして、おちょくるように言葉を投げかける。
「ヒャハハハッ!また救えなかったなぁ?【アストレア・ファミリア】!」
「黙れえええええええ!!」
更に剣撃に苛烈さを増していく。だが、同時に攻撃が単調になっていく。
その一瞬の隙を突かれたリューが木剣を弾かれ上体を逸らす。ヴァレッタは唇をつり上げた。
「頭に血が上った奴ほど、殺りやすいもんはねえなぁ!」
ヴァレッタの長剣がリューを捉えようとしたその時、燃え上がる赤い花弁が辺りに広がった。
「【
「ぎっっ!?」
咄嗟に振り上げていた長剣を脇に差し込んだが、
「痛ってーなっ、糞ガキ共がぁ!調子に乗ってんじゃ...」
「ヴァレッタ様!」
倒れているヴァレッタの元へ
「チッ...フィンのクソ野郎が。萎えたぜ。私は帰る。てめぇ等、アレの準備は出来てるな?」
「は、はいッ!!」
「よぉし。大仕掛けだ。やっちまえてめえ等!!!」
ヴァレッタが指を鳴らすと、そこら中から魔剣での無作為な爆撃が鳴り響く。途端に周囲は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
「〜~~~ッッ!【
「ヒャハハハッ!私を気にかけてる暇なんてあんのかぁ!?お前らの守るべき無辜の民が、そこら中で悲鳴を上げてるぜぇ!」
ヴァレッタは怒り猛る彼女等の横顔に溜飲を下げると、嘲笑の声とともに身を翻した。
「リオン!まずはコイツらをなんとかするわ!」
「...ッ!わかりました!」
「(とは、言ったものの...!)」
今、この場に居るのはアリーゼとリューのみ。破壊工作を続ける
「...俺が奴らを無力化する。2人は逃げ遅れてる人達の誘導を頼む」
アリーゼが逡巡していると、ザックがいつの間にか隣に立っていた。
正直この場を任せても良いのか判断に迷うほど、今のザックの表情は虚ろだった。だけど、アリーゼは今まで言ったことを違えなかった彼の言葉を信じる事にした。
「⋯分かった。任せるわ。行くわよリオン!」
「分かりました!」
そうして駆け出すアリーゼとリューを尻目に、魔剣を振るっている
「【
詠唱と共に姿を消し、1分と経たずその場を制圧した。
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「はっ...?ガッッ!?」
最後の一人が倒れ、反対の方向から
「お主も来ておったか。おかげで素早くこやつらを潰すことが出来た」
「礼はいい。それより...」
「ああ。【ディアンケヒト・ファミリア】には応援を頼んだ。じゃが...」
一刻も争う怪我をしている人も多数いる。助けを待っている間に命を落としてしまうかもしれない。
「手持ちのポーションではなんともならん怪我の奴もおる」
苦虫を噛み潰したような表情でガレスはそう言い放った。辺りでは人々の悲鳴が行き交っている。
瓦礫に足を潰された者。木片が身体を貫いてい者。『魔剣』によって体が火傷で爛れている者。今にも、命の灯火が消えかけている者たちがいる。【アストレア・ファミリア】の面々も奔放を続けている。
失われた命が戻ることはない。だけど、まだ生きているのならば────
「俺にしか出来ないこと⋯」
救助を待つ暇など無い。自分に降りかかるものなど、最早どうでもいい。これは被害を最小限に推し留められなかった『償い』なのだから。
幸い、重傷の人たちはひとつの場所へ纏められている。その人たちの方へ向かう。
「⋯ザック?」
重傷者の方へ向かうザックがアリーゼの視界に入った。その瞳は諦念と覚悟が入り混じっており、あんな表情を見たことがない。何故か胸騒ぎがする。
ザックは重傷者達に手をかざす。何をしようとしているか嫌でも理解してしまう。
「ザック!!それは─────」
「【
アリーゼの制止も虚しく、魔法陣が展開され、神の送還にも等しい光の柱が立ち込めた。瞬く間に光の柱は消え、重傷を負っていた人々は傷1つない状態で、何が起きたか分からず辺りを見渡している。
その様子を見ていた【ロキ・ファミリア】の面々は驚嘆の表情でザックを見つめており、ガレスに至っても目を見開いて言葉を失っていた。
「(1人で⋯あの⋯有り様だったのに⋯、この数⋯は、流石に⋯無謀⋯だったな⋯)」
今回、一斉に十余名ほどの回帰を行った。この場で気を失う訳にいかず、記憶の濁流に呑まれる寸前に、足の甲に刀を突き刺し痛みで堪えた。
こんな古典的な方法で気を失わずに済むとは思わなかったが、結果オーライだろう。しかし、今も耐えず彼らの感情は頭の中で怨嗟の声となって流れ続けている。
「(こりゃ⋯間違いなく⋯廃人まっしぐら⋯だな)」
今回の魔法の使用で理解した。きっとこの先、この魔法で救った命の分だけ俺の魂を蝕み続けるだろう。それが人の身でありながら、人の因果を捻じ曲げた業というものだろう。
「ザック!!!」
アリーゼがこっちに駆け寄って来ようとしていたが手を出して制止した。
「俺の⋯ことは⋯いいから、今も、助けを⋯必要としてる⋯人たちを⋯助けて⋯やってくれ」
「⋯っ!分かったわ。今日は必ず
アリーゼは不安な表情を押し殺して、目いっぱいの笑顔でザックにそう言った。アリーゼの笑顔を見て苦痛に歪むザックの顔も軽く緩む。
「あぁ⋯。優しく⋯運んでくれ⋯」
アリーゼはその場を離れ、【アストレア・ファミリア】の指揮に戻る。戻った事を確認して、ザックは壁にもたれかかり静かに意識を落とした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
どういう展開に話を持っていこうか、またそこにはどう自然に繋げていけばいいか、悩みました。
頭の中では色んなプランがありますが、文字に起こすのがとても難しいですね。
キャラの動きが単調になりがちなのも直していかなければ、と思います。