化け狐がキヴォトスで先生になるようです 作:ヘルゴーレム白雉
人気のない街を、男が歩いていた。
この世の生き物としてはあまりに整いすぎている顔立ち。正面を見据える精悍な目つきから放たれるは、撃ち抜くような鋭い視線。すらりとした長身に落ち着いた色合いのコートを纏い悠々と足を進める彼の存在感は、そこらにいる一般人とは一線を画していた。通りの左右に並ぶ建物に掲げられた夥しい数のネオンサインや電飾も、今が真っ昼間だからというより、彼が持つ強大なオーラに圧倒されているが故に、その光を消しているように見える。
威風堂々、唯我独尊、豪華絢爛──それらの言葉を具現化してひとまとめにしたような、そんな男だった。
人々は彼をこう呼んだ──
「|スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ《比類なき不敗の絶対王者》だ」
インタビュアーやファンに間違えて呼ばれるたび、彼──浮世英寿は自信に満ちた表情のまま訂正するのだった。
この地域では珍しい名前を持つこの男には、もう一つ肩書きがあった。
連邦捜査部『シャーレ』──キヴォトスの行政組織である連邦生徒会が新設した機関の担当顧問。
通称、『先生』。
いくつもの学園が群雄割拠するキヴォトスの情勢を揺るがしかねない立場ゆえに、良い意味でも悪い意味でも、各学区の生徒たちから注目を集めつつある存在だ。加えてスターとしての知名度もあり、もはやこの広大な学園都市の中に顔と名を知らぬ者はいない。英寿はそう言っても過言ではないほどの有名人なのだった。彼の周りにはいつだって人が集まり、時には黄色い声が飛び交ったりする。
ましてや、ここはキヴォトスの名だたる学園の中でも最大規模を誇るアビドス高等学校の広大な自治区。そのど真ん中をこれほどの圧倒的知名度を誇る人物が一人で出歩こうものなら、一瞬にして押し寄せる人の波に飲み込まれてしまうのは火を見るより明らかである。
……はず、なのだが。
(こりゃ、想像以上だな)
半ば砂に埋もれかけているようにも見えるアビドスの校舎を前にして、英寿はそう思った。
人の波どころではない。かれこれ何時間街中を歩いたかもわからないのに、ここまでの道中で出会った人間は、今背中で寝息を立てている少女だけ。シャーレに届いた依頼の手紙の内容以上に、状況は深刻なようだ。
昇降口から階段、廊下まで砂まみれ。靴を脱いだ足裏に、ジャリジャリとした感触が直に伝わる。
教室はどこも電気が消えていて廃墟のような様相を見せていたが、奥の方に一部屋だけ光が灯っていた。比較的砂が少ないその教室の前に立つ。
ここか。
依頼主──アビドス廃校対策委員会。
戸を開ける。
「おかえり、シロコせんぱ……え、えええっ!?」
まず最初に彼を出迎え──たと同時に驚きの声を上げたのは、頭頂に猫耳を生やした黒髪の少女だった。
「あ、あなたは……スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズの……!?」
その後ろで目を見開いたのは赤い眼鏡を掛けた少女。
彼女が長くてややこしい二つ名を間違えずに覚えていたのが嬉しかったのか、そう呼ばれた男は少しだけ口角を上げながら、教室に足を踏み入れる。
「浮世英寿だ」
彼が自らの名を告げると、二人はいっそう感嘆の表情を浮かべた。
本物ね。本物だ。口に出さずとも顔がそう言っている。
「わあ、あの英寿様がシロコちゃんを背負ってやってくるなんて、びっくりしました!」
その傍にいる少女が、一番びっくりしていなさそうな声でにこやかに言う。
「起きろ、着いたぞ」
「……ん」
そういやこいつはここの生徒だったな、と。英寿は背中に乗っている──シロコと呼ばれた少女を揺り起こす。銀髪の獣耳少女はうっすら目を開けたが、彼の首に回した腕を離そうとはしなかった。
「シロコ先輩、足が……!」
後輩の悲痛な声を耳にして、ようやく彼女はしっかりと目覚めた。
相手が靴下の赤い染みを指して言っているのだろうと推察した彼女は、
「あ……これ? 大丈夫、問題ないよ」
寝起きのややはっきりしない声で言った。
実際のところ、痛みはほぼ引いていた。おんぶされる前に比べれば実質ないといってもよかった。しかし、
「血がこんなに……! すぐに手当てしますから、こっちへ」
予想通りというべきか、後輩たちの心配はやはり止まらなかった。銀髪の少女は困ったように笑う。
眼鏡の少女は、ここまで先輩をおぶってきてくれた英寿に小さく礼を言いながら、彼女──シロコを連れて教室の奥の方へ行った。
「アビドスの対策委員会、だな」
英寿は、その場にいる四人の少女たちを見て尋ねた。
「はい。私たち、アビドスの廃校対策委員会です」
そう答えた手前の金髪。その傍にいる猫耳。向こうにいるのは銀髪狐耳、救急箱を開けて彼女の治療をしているのが眼鏡。常人離れした形の耳をした者や──それを通り越して明らかに人間のものではない耳を生やしている者もいるが、誰もそのことに触れる様子はない。むしろその姿がさも当然のように受け入れられているのは、初めからか、もしくは時間が経つうちに馴染んだのか。おそらく前者。
これも、この世界のぶっ飛んだ常識ってやつか。
閑話休題。
「自己紹介は要らなそうだな。今日は『先生』としてここに来た」
それを聞いた手前の二人は訝しげな顔をする。
「……先生?」
「英寿様が、ですか?」
どうも信じられないといった顔をする二人。奥にいた眼鏡の少女も同じ表情で振り返っている。彼女ら全員に通じるほどの知名度があるにもかかわらず──否、むしろ知名度があるが故に、このような事態になっているのだろう。キヴォトスでトップレベルのスターとして絶賛活躍中の彼が、あの『シャーレの先生』までも兼任しているなどとは到底信じ難かった。
すると彼は、
「論より証拠だ」
そう言って胸のポケットから名刺を取り出す。
渡されてから数日しか経っていないそれは新品同様の綺麗さで、日に当てられて輝いた。
「まさか……本当に……?」
「連邦捜査部『シャーレ』の先生!?」
それを見た三人は驚きの声を上げ、
「わあ、支援要請が受理されたのですね! 良かったですね、アヤネちゃん!」
うち二人は太陽のような笑顔を浮かべて喜んだ。
「はい! これで……弾薬や補給品の援助が受けられます!」
残りの一人、猫耳の少女はピカピカの名刺と『先生』の顔を交互に見ながら、
「あんた……一体なんなの……?」
唖然としながら呟いた。
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。初めまして、書記とオペレーターを担当しているアヤネです」
眼鏡の少女が自分を指して言った。
「こちらは同じく一年のセリカ」
それから呆気に取られている猫耳の少女、
「二年のノノミ先輩、シロコ先輩です」
金髪の大人びた少女、街で助けた銀髪狐耳の少女。
「さっき、街で最初に会ったのが、私」
あ、別にマウントを取っているわけじゃない……と付け加えながらも、その顔はどこか自慢げだった。
「あ、早くホシノ先輩にも知らせてあげないと……あれ? ホシノ先輩は?」
「委員長なら隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる」
セリカが戸を開けて教室を出ていく。
どうやらもう一人、委員長とやらがいるらしい。こんな時間でも隣の部屋でゴロ寝しているところから推察するに、職務態度はお世辞にも真面目とはいえないようだ。
肝心の手がかりは今のところ欠片も見当たらないが、なんとも愉快そうな集団である。
あの狸と猫──それから牛も──を思い出すな。英寿は微笑む。
そんな彼を現実に引き戻したのは、銃声だった。
「じゅ、銃声!?」
ノノミは驚きながらも素早く銃を手に取った。アヤネも言葉を発するより先に体を動かしている。なるほど、何度もチンピラを撃退しているだけあって戦闘慣れはしているらしい。すでに出撃準備は整ったようだ。
「わわっ、武装集団が学校に接近しています! カタカタヘルメット団のようです!」
彼女は珍妙な名前の軍団がこちらに接近しているとの報告をした。
一気に張り詰める空気に、英寿も真剣な表情になる。
「あいつら……!! 性懲りもなく!」
「ダメです、シロコ先輩は休んでいてください! まだ怪我が!」
今は先生だっていますから、と。立ち上がろうとするシロコをアヤネが必死で止めている。
その時教室の戸がガラッと開き、
「ホシノ先輩を連れてきたよ! 先輩、起きて!」
セリカが、自分より一回りも小さい少女を抱えてやって来た。
「むにゃー……まだ起きる時間じゃないよー」
桃色髪のその少女はひどく寝ぼけた様子で、目を開けることすらしていない。周囲の慌ただしさからするとあまりに異質だった。周りの言葉を信じるなら彼女が“委員長”なのだが……本当にその立場なのか疑いたくなる。
「先輩、ヘルメット団の襲撃です! こちらはシャーレの先生です!」
そう告げられると、『ホシノ先輩』はほんの少しだけ目を開けて英寿を見た。
「ありゃ〜そりゃ大変だねえ……あ? 先生。よろしくー。むにゃ……」
それだけ言って、彼女はセリカに連れられて行ってしまった。最後はあくびでよく聞き取れなかった。
一瞬だけ見えたが、彼女の左右の瞳孔の色が違うことに英寿は気づいていた。
「先輩、しっかりして! 出動だよ! 装備持って! 学校を守らないと!」
「ふぁあ〜……おちおち昼寝もできないじゃないか、ヘルメット団め〜」
ホシノはもはや文字通りセリカの操り人形状態で、ほとんど寝ながらテキパキと装備を
「さあ、出撃です!」
その後を追ってノノミが教室を出ていく。
「私がオペレーターを担当します。先生、サポートをお願いします! ……あと」
早くも機材を整えたアヤネは、なぜか少しだけ赤面しながら英寿の目を見る。
「後で、サイン、いただけますか……?」
初日から随分忙しないな。
彼はやはり真剣な眼差しで、しかし少しだけ笑って、
「ああ。任せとけ」
頷いた。
後ろで色々と不満そうな顔をするシロコも、視界に入れながら。
*
「いやぁ〜、まさか勝っちゃうなんてね」
「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよホシノ先輩……勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」
無傷で帰ってきたホシノにアヤネは呆れながら返す。
しかし正直なところ、英寿もこの結果に関しては予想を裏切られたと思っていた。
もちろん──貴重な戦力が一人欠けてはいたが──彼女たちの練度はそこらの不良とは格が違う上に、自分のサポートもあったので、勝利という結果は当然である。彼が意外だと思ったのは──
「先生の指揮が良かったね。私たちだけの時とは全然違った」
教室で休んでいたため、結果的に戦況を俯瞰する形になったシロコは、そう感想を告げた。
英寿はそれを肯定しなかった。彼もやれることは全てやったが、ほとんどは彼女たちのチームワークと奮戦が勝利の要因だろう。
「すごい量の資源と装備、それに戦闘の指揮まで。大人ってすごい」
しかし彼の考えに反し、もはや教室はすっかり先生を持て囃すムードである。
やはり彼女たちは、まだ“子供”なんだろう。微笑ましかった。
それはそうと。
「今まで寂しかったんだね、シロコちゃん。パパが帰ってきてくれたおかげで、ママはぐっすり眠れまちゅ」
彼が意外だと思ったのは──そう言って自分をおちょくってくる“委員長”だった。
セリカに引きずられながら戦場に立った瞬間、彼女は一変したのだ。
誰に言われるまでもなく先陣を切り、襲い来る銃弾を盾で受け止め、狩人のような冷徹さで敵を始末していく。つい直前までの眠気が嘘のような、獅子奮迅の活躍。
相手を捉えるその眼差しは、自分の前で見せていた『暢気でだらしない委員長』としてのものではなかった。
「いやいや、先輩はその辺でしょっちゅう寝てるでしょ!? 変な冗談はやめて! 先生困っちゃうじゃん!」
鋭いツッコミを入れるセリカ。
ふと、英寿はここに来た時のことを思い出しながら、
「でっかい娘ができちまったみたいだな」
シロコを見て言った。
ああもう、先生まで! 横から更なるツッコミが入るが無視する。視線を向けられた銀髪狐耳の少女は、まんざらでもなさそうな顔をしていた。
「本当に、ありがとうございます。もし先生がいなかったらと思うと……感謝してもしきれません。このご恩は忘れません」
アヤネが頭を下げた。
最後の一文を聞いて、英寿は表情を変えた。彼が一瞬だけ、どこか寂しげな眼差しをしたことに誰も気づかなかった。
彼はどこからともなくペンを取り出し、アヤネが持っていた報告書を借りて、崩した文字をさらさらと書いた。
「約束のサインだ」
「……! ありがとうございます!」
彼女はまた頭を深々と下げ、嬉しさを抑えきれない様子で仲間のもとへ戻っていった。
「いやー、なかなかいいタイミングで現れてくれたよ、先生。補給品も底をついてたし、今度ばかりは流石に覚悟したなあ」
「もうヘルメット団なんてへっちゃらですね。大人の力ってすごいです!」
到底覚悟しているようには思えないのんびりした口調で言うホシノ。ノノミがそれに続く。
「でも、あのくらいで攻撃をやめるような奴らじゃない」
「あー、確かに。しつこいもんね、あいつら」
一方で冷静な意見を出すシロコに、セリカが同調した。
「はあ、また頭が痛くなってきました……いつまでこんな消耗戦を続けたらいいんでしょうか。ヘルメット団以外にも問題がたくさんあるのに……」
現実に引き戻されたアヤネは頭を抱えている。
祝賀ムードはだんだんと薄れ、代わりに目も当てられないほど無惨な現状を見つめなければならない悲しさが流れを支配しつつあった。そんな中、
「まあまあ、それよりおじさんいいこと考えたんだー。今夜はみんなで柴関ラーメンに行かない? 先生の歓迎会も兼ねてさ」
ホシノ委員長の鶴の一声が、重くなりかけていた雰囲気を一気に和らげる。
「いいね、それ」
「うんうん! みんなで行きましょう!」
「えっ、ちょっ、先輩、待っ……!?」
困惑する一名を除き、みんなが笑顔になった。
誰かと食事をするのも久しぶりだ。このところ、あの二人ともそば屋に行けていなかった。いつもたぬきそばばかり注文するあいつと、貴重な一般庶民の食べ物を美味しそうに平らげるあの娘。いつも血の気が多いあいつとは……いつか一緒に牛鍋でもつつきたいもんだ。
「いいですよね、先生?」
どこか遠くを見るような眼差しで少女たちを見つめていた英寿に、アヤネが言う。
「ああ、行くか」
彼は迷うことなく頷いた。
歓喜の声が上がる。その傍らで彼女たちを必死に止めようとする一名。しばらくして、
「ああもう、わかったわよ! 私も行くから!」
彼女がそう言い──全会一致で祝賀会の開催が決定した。
「じゃ、早いけど今日は解散しよっかー。お店に集合ねー」
「はーい」
ホシノがそう言うと、皆は各々自分の装備を片付け、ぞろぞろと教室を出ていく。
もう日も傾いてきてるしね、とシロコが同調した。
「そういえばシロコ先輩、足は大丈夫なの?」
「うん。もうだいぶ良くなった。アヤネと先生のおかげ」
早いもので、窓の外の地平線にはわずかに橙色の光が滲んできている。
慌ただしい一日だった。秋でなくても午後の日はつるべ落とし、あっという間に夜になるだろう。
「先生、本当にありがとうございました」
改めて頭を下げたアヤネは教室から出ようとしたが、
「あれ、ホシノ先輩は帰らないんですか?」
まだ残っている人物に気づいて、そう聞いた。
「おじさんは少し先生と話してから行くよ。店の場所も教えなきゃだしねー」
今日は頑張ったし、時間までゆっくり休んできなよ。そう促すホシノ。
アヤネは少し不思議がったが、すぐに彼女の意見に納得した様子で、廊下へ出て行った。
二人きりになった。
少しして、教室の戸を閉めたのはホシノだった。
コトン、と部屋が密閉される音がしたのを確認するように間を置くと、彼女はおもむろに英寿の方へ歩み寄った。
人のいなくなった室内で、その足音だけが空気を震わせる。それが先ほどから一転してシリアスな雰囲気を作り出したように、英寿には感じられた。
「先生、柴関ラーメンは初めてだよね? 場所を教えてあげるよ」
その重苦しい空気を何とかして中和しようとして──というように彼は感じた──、ホシノは通常運転のゆったりとした口調で話しかけた。
返答はない。二人以外に誰もいない教室で、沈黙がその場を支配しようとしていた。その中でも彼女は気まずさを見せたりはせず、会った時から常に見せている気の抜けた表情を平然と保っている。
常に見せている──彼女はそのつもりだったのかもしれなかった。
「……その前に聞きたいことがある」
しばらくして、英寿は口を開いた。
「委員長様は人を動かすのが上手いんだな。どうして他の奴らを出ていかせたんだ?」
彼は、早くも悟っていたのだった。
対策委員会委員長、小鳥遊ホシノは相当な切れ者──この腑抜けた性格や言動は、全て作り物だと。
「んー? そんなこと言われても……おじさんそんなに凄い人じゃないから、何のことかわかんないなあ」
なおもそのままの口調ではぐらかす彼女。
しかしそれも想定内といった様子で、英寿は次のカードを切る。
「今日の戦闘でもそうだった。お前は指示されてもいないのに自ら先陣を切って、仲間の道を切り開いていた。指揮をしたのは俺たちだが──戦場の流れを作っていたのはお前だった」
言い終えた瞬間、瞬きをしたホシノの目はわずかに表情を変えた。そしてすぐに元に戻った。彼女はやはり相手の言っていることがさっぱりわからないといった様子で、黙秘権を行使した。
「それにお前、ずっと俺のこと見てただろ」
一瞬の変化を捉えた彼は、すかさず二の矢を放つ。
桜色の髪の少女は、やはり黙っている。左右の色が違う瞳で、彼を見つめたまま。
「案内してくれるって好意は嬉しいけどな──俺はこれでも連邦捜査部の所属だ、キヴォトスの地理だって大体把握してる。そもそも場所なんて、携帯があれば分かるだろ?」
さらに一押し。
英寿の問いかけに、ホシノは再び瞬きをするだけだった。抗うことも、認めることもない。まるで、はなから議論の土俵に立つことはなく──何かを待っているような。
「何か、俺だけに話したいことでもあるんじゃないのか」
無防備な彼女にとどめを刺す。
丁寧に逃げ道を塞ぎ、ようやく本題に入った。
ホシノは変わらずとろんとした表情のまま黙っている。両者視線をぶつけ合いながらの沈黙が続いた。撃ち抜くような眼差しを前に──彼女は数度瞬きをした。
これ以上ごまかしても無駄だ。お前の求めていた答えはこれだろう──英寿は真っ直ぐ、彼女のオッドアイを見つめる。
そして、
「……まいったなー。先生はほんと鋭いんだねえ。こりゃ敵わないや」
力の抜けた声で、ホシノはそれを認めた。
「鋭くもなるさ。お前と同じように、俺にも知りたいことがあるからな」
──命を懸けてでも。
英寿は彼女の瞳から視線を外すことなく、さらに押す。
ふぅん、と答えたホシノは、自らその射線から退避して行った。空っぽの教室をぶらぶらと数歩歩いたのち、振り返る。
「そうだよ、先生。一つ聞きたいことがあるんだ。この言葉を聞いたことはない?」
小鳥遊ホシノは、静かに言った。
「
メモリアルマグナムブースト絶対手に入れたいですね。最終回の変身音がエモすぎた。
英寿くんとホシノ、切れ者同士の会話は結構描いてて楽しいところがあります。