もし白上フブキが幼なじみだったら 作:魔王鎮守府のトレーナー
今日は大和くんが退院してくる日、嬉しいが私の知る彼は帰ってこない
「うにゃ〜」
「どうしたフブキ、猫になって」
「狐じゃい!いやさぁ…?大和くん帰って来るわけじゃん。どうしたらいいのかなって…」
「どうするも何も一緒に暮らすだけだろ気遣いすぎるとさすがに向こうも気遣ってより気まずくなるぞ」
「そうは言っても〜」
「とにかく気楽にいとけ余計に自分が疲れるだけだぞ」
「うーん…」
「あ、変に思い出させようとすんなよ。あいつの負担になるだけだからな。そうだな…大和は大和でもあの大和じゃない、別の人って思ってみるのはどうだ?」
大和くんは大和くんでも別の人物…考えてみるがすぐに出る私の答えはNOだ。
「無理だよ〜…」
「はぁ…どうしたもんか」ハァ-
ため息を履くクロちゃんを見ながら机に突っ伏す、わかってはいるわかっているが心が受け付けないのだ。だけどこれだけはおってあげなきゃならないと思った。
「ねぇ…クロちゃん」
「ん?どうした」
「大和くん帰ってきたらおかえりって言おっか」
「…そうだな」
ここが君の居場所なんだと伝えるために。
「なぁ、母さんほんとにここでいいから」
ここは病院からの最寄り駅、母は家まで送ってく気満々だがこれ以上迷惑はかけれない
「え〜でも病み上がりでしょ?心配じゃない」
「もう俺も大人なんだが…」
「親からしたら子はいつまでも子供よ〜?それにあなたまだ20代じゃないもっとそういうのは年食ってから言いなさい」
「うっす…とりあえずここまでありがとう、また今度そっち顔出すよ」
「お父さんも心配してたからいつでも待ってるわ、それとフブちゃんも…って記憶ないんだった。まぁ顔出しなさいよ」
「…?それじゃ行くわ」
「行ってらっしゃい」
そんなやり取りをしさっきまで乗っていた車を見送る…
「はぁ…」
一息、大きくため息をする、俺は迷っていた今後の白上フブキという幼なじみで同棲しているとても親しい…らしい人物との関係だ。病院で母さんと話していた時には気楽に思っていたが病院生活中でも自分の中でどれほど大きい存在だったのかわかるぐらいその痕跡は残っていた。少しあげてみるならばスマホの画面の壁紙、フォルダ内にある記憶のない沢山の彼女の写真、そしてずっと感じる心のナニカの喪失感。これだけ自分に大きいものということは彼女…フブキさんにとっても自分がそんな存在なら自分を忘れられるということはとても辛いことに違いない…
「どうしたもんかなぁ〜…ってあれは」
そんなことを考えながら歩いてるとミオがいた、ミオとの記憶もあるにはあるのだが出会った時のことを思い出せない、確かその場にあやめもいだろうか?
「ミオ、買い物帰りか?」
「わっ、大和くん!?どうして街に…ってそっか今日退院日だったね…大丈夫?1人で帰れる?うちも付き添うよ?」
「さすがに帰れるわ、母さんといいミオといい俺はもう子供じゃないってのに…まぁ…その…心配させたみたいだな俺はもう大丈夫だよ」
「ならいいんだけど…あ、今度またウチの家に遊びに来てね、美味しいもの作っておくから」
「そりゃ楽しみだな。じゃあそろそろ行くよ」
「うん…あ、待って!」
「ん?どうしたミオ」
「えっと、えっとねっ!」
引き止めたものの上手く思いを言語化できないで慌てふためいているミオをとりあえず宥める
「落ち着け落ち着け、出るまで待つから」
「う、うん…ありがとう急にごめん」
「いいよ別に、それでどうした?」
「あのね!たとえ大和君の記憶が戻らなくてもみんなの中で大和君は大和君だから!えっとだからそんなに気にしないでいいからね!」
「…!」
「えっと…伝わったかな?うち、焦って変なこと言ってないよね?」
「ああ、大丈夫だよ。ありがとなミオ」
「なら良かった…それじゃあまたね」
「また今度遊ぼうな」
ミオと別れてしばらく、電車を乗り継ぎ自宅の最寄り駅まで着いたはいいが…
「…」スタスタ
「…」スタスタ
「…」ピタックルッ
「…!」|ω・^)チラッ
「…」スタスタ
「…」スタスタ
いや付けられてるぅ!?!?なんで!?なんかしたかな!?しかもチラ見してるのバレてるのよ
「なぁ、百鬼さんや、なんで隠れてるんだい?」クルッ
「あ、あれ?もしかして余バレバレだった?」
「うん、普通にあやめだ何してんだろって思ってたら尾行してきてびっくり」
「もぉ!最初からじゃん!早く言ってよ!き、急に恥ずかしくなってきちゃったじゃん…///」
「そう…それでなんでまた尾行を?」
「いや〜街で見かけて驚かせようと思ったらいつの間にかこんな所まで」
「わざわざ電車まで乗ってきたのかよ!」
「でも良かった、思ったよりもずっと元気そうだしさ。実は大和くんと関わりある子みんな心配してたんだよ?フブちゃんに会った時、いつ通りのはずなのに心の奥底で無気力っていう感じで話聞いた時びっくりして…余もすごく心配したんだからね?」
「それは、その…すまなかったな、心配かけて…」
きっと他にも心配をかけた人はいるのだろうと思うと本当に頭が上がらない。
「ほんとだよ〜、それじゃあこのお詫びはまた今度してよ?」ニカッ
「わかった、今度なんか奢るから…お手柔らかに頼む。」
「え〜どうしよっかな〜叙〇苑?」
「お手柔らかって言ってんだろ…もうそろそろ俺行くから」
「うん余もこのまと予定あるからまたね〜お詫び期待してるよっ!」
「いや予定あるのに尾行してたのかよ!はぁ…またな〜」
俺はいつの間にかたくさんの人を心配させたようだ
あやめとも別れしばらく、目の前には慣れ親しんだ我が家…鍵を取りだしドアを開け何故かそっと入る。自分の家はこんな匂いだっただろうか?覚えている記憶との違いに困惑しつつもその匂いがとても落ち着く。
「よし…」
そうつぶやきリビングへのドアを開けると…2人が出迎えてくれた、目の前にいる白い毛並みを持つ娘、白上フブキさん(以下白上さん)ともう1人ソファに座りながらこちらに顔を向けている黒い毛並みの娘はおそらく黒上フブキさん(以下黒上さん)であろう
「おかえり!大和くん!」
「帰ってきたか、おかえり大和」
開けた瞬間に2人から言われたおかえり。その言葉を言われた瞬間心の内から色んなものがこみあげてくる。
「あぁ…ただいま」ポロポロ
急に涙が溢れてきたのは、ただおかえりと言われたからではなく、白上さんが言ったからなのだろう…そうして俺はいつの間にか白上さんに抱ついていた。
「あっ…えっと、大和くん?大丈夫?」
「す、すみません…どうしたんだろ俺、なんか急に涙が…」
慌てて抱擁を解き離れる。急に抱きついてしまってきっと不快に思っているだろう。なぜ自分が感極まって抱きついてしまったのか分からないがきっとそれも失った記憶にあるのだろう…
「おい白上、顔赤いぞー」
「く、クロちゃんうるさいっ!赤くなづてないし///ちょっとお茶入れてくる///」
そう言って奥の方に言ってしまった彼女の背中を見てるとゆらゆらと揺れる獣人特有の耳や尻尾をじっと見てしまっていたのだがどうやら黒上にバレていたらしいスネを蹴られ慌てて彼女顔を見るとニヤついている
「記憶を無くしても耳やしっぽに夢中なのは変わらないんだな」
「えっと、すみません…」
「いや謝んなくていい、ただ変わってないことに安心しただけだ。」
「そんなに見てたんですね、自分…」
「そうだなぁ〜?まるで猫じゃらしを目で追う猫みたいだったな〜?」
「マジですか!?」
「マジマジ、ほんと「いい加減にしないと怒るよ、クロちゃん!大和君記憶なくて何でも信じちゃうでしょ!」ちっ…あーつまんね、せっかく騙したのに」
奥から戻ってきた白上さんが説教しながら戻り、お茶を人数分置く
「はい、大和君」
「あ、ありがとうございます。頂きます」
湯のみに口をつけ飲む、美味しい…どこの茶葉を使っているのだろうかと思ったがその味は何故か親しみがあった。
「美味しいです。飲んだことがないはずなのに前から飲んでいたような…」
「ほんと?良かった、まだ白狐が残ってたからいれてみたんだ〜」
互いに一息ついたところで白上さんが話を切り出した
「えっと、改めまして私は白上フブキと言います。白上のことは白上、フブキお好きに呼んでくざい」
「は、はい…では白上さん、よ、よろしくお願いします?」
「…っ!!改めてこれからよろしくね。大和君」
「次は私か?私は黒上フブキだ。まぁ好きに呼べ」
「はいよろしくお願いします」
これはただの挨拶、だがこれからへの新しい生活の一歩だ。
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