モブせか・カーラ if ルート   作:julas

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14(30)修羅場

「いやぁ、食った食った。満腹でやっと人心地着いたかな。ごちそうさん」

 

 言ってリオンは満足そうな笑みを浮かべる。

 そして今はカーラが煎れてくれた食後のお茶を楽しんでる。

 そうして完全に落ち着きリラックスしきったリオンにリビアとカーラが距離を詰めてくる。

 

「じゃぁ、そろそろお伺いしても良いですよね?」

 

 言ったのはリビアで表情は笑っているが目は笑っていない。

 その顔にリオンは思わず背筋に冷たいものを感じる。

 

 

(あ、このリビアの顔、怒ってる時のだ……って、ええぇぇっっ!? 俺、何かやらかした!?)

 

 思いながら視線をカーラに向けるとこちらも似たような表情。

 マジで何かやらかしたか、とリオンは必死で思いを巡らせるとカーラが口を開く。

 

「公国の王女様とはどういう御関係なんですか?」

 

 言われてリオンは気付く。

 アロガンツのコクピットにヘルトルーデ王女を横向きに膝の上に乗せてたことを。

 アロガンツのコクピットは他の鎧よりは広いが、それでも基本一人乗り設計で二人で乗れるようには出来ていない。

 それを無理に二人で乗ろうとすれば必然的に乗り方は限られてくる。

 戦ってる最中は必死だったので気にしてなかったが冷静に考えればあまりにも近しすぎた距離。

 

 

「ど、どういうも何も敵同士の関係だよ?」

 

 言いながら思わず目が泳ぐ。その目の動きが余計にリビアとカーラの不信感を強める。

 

「は、敗軍の将として責任取ってもらう為ににコッチに来てもらわなきゃいけなかった訳で……」

 

 リオンの弁明に尚もリビアとカーラは無言のまま見詰めてきてその圧はますます強くなってるようですらある。

 

 

「ル、ルクシオン! お前からも何か言ってくれ!」

 

 たまらずルクシオンにリオンは助けを求める。

 

『情けないマスターですね。私無しでは恋人たちへの弁明一つできないんですか?』

「そういうのはいいから! は、早く何とか……!」

 

 必死に懇願するリオンにルクシオンはやれやれと言わんばかりにその球体ボディをゆっくり左右に振る。

 

 

『心配なさらずともマスターはお二人に一途で心配無用ですよ。まぁ二人なのに一途と言う言い方も変ですが』

 

 ルクシオンの言葉に二人はその視線をルクシオンに向ける。

 先ほどまでよりは表情も和らいだ様に見えるが、だが未だ色々納得してないといった表情。

 

『なによりヘタレのマスターにそこまでの度胸などありません』

 

 その言葉にリオンは思わず「オイ!」と抗議の声を上げる。

 

『告白の時お二人から逃げたのはどなたでしたかな?』

 

 ルクシオンの言葉にリオンは視線を逸らす。

 

『そういう訳ですからお二人が心配するようなことなど何もありませんでしたよ』

 

 だが二人は未だどこか納得してない顔。

 二人とも頭ではとっくに理解してるのだろう。

 だがそれでも愛する婚約者が自分たち以外の女性と密着した姿など見せられては気持ちはそう簡単には受け入れられないのだろう。

 

 

『仕方ないですね。では、証拠をお聞かせしましょう』

「「「証拠?」」」

 

 ルクシオンの言葉に三人が同時に声を発する。

 

『マスターと敵国の王女ヘルトルーデとの会話の記録です』

「なんだと!? 待てルクシ――」

 

 その言葉にリオンは思わずルクシオンに手を伸ばすと。それを遮るようにカーラがその手を掴み、リビアはリオンの口に手を当てる。

 リオンが本気になればリビアとカーラの拘束など難なく振りほどけるが愛する婚約者に手を上げるなどリオンに出来る筈などない。

 加えて二人から感じられる圧にリオンは潜在的に抗う事が出来なかった。

 そうこうしてるうちにルクシオンからリオンとヘルトルーデの会話記録が再生される。

 

 

《誇り高き公国の騎士たちよ! この私ごと王国の外道を討ちなさい!》

《なっ!? お前自分が何言ってるのか分かってるのか!?》

《私とて公国にその身を捧げた身! 公国のためなら惜しむ命などあろうはずもないわ!》

 

 再生されたリオンとヘルトルーデの音声の後、ルクシオンが何時もの音声で補足する。

 

『このように当初捕縛された王女は自分ごとマスターを討たせようとしました』

 

 ヘルトルーデの凄絶な言葉にリビアとカーラは驚きで目を見張る。

 

『マスターが敵であろうと人の死を嫌うのはお二人ともよく御存じでしょう。そのため緊急避難措置として糸で拘束しコクピットに招き入れました』

 

 そして再び再生音声に切り替わる。

 

 

《ジタバタすんじゃねぇ! 下手に暴れられると邪魔臭ぇ。ルクシオン、もう数本糸出して俺の体に固定させろ》

《なんですって!? いやらしい! この変態!》

 

 流された再生音声に再びリビアとカーラの表情が消えかかり、逆にリオンの顔には焦りの色が浮かぶ。

 

「いや! ほら、戦闘中に暴れられると危ないから……!」

「リオンさん……」

 

 リオンの声を遮るように低い声で呟いたのはカーラ。

 

「今は黙っててください……」

 

 次いで発したリビアの声もこれまた普段より低いもの。

 二人の声にリオンは「はい……」と黙って口を噤むのであった。

 引き続きルクシオンにより音声再生が続けられる。

 

 

《煩え! お前の貧相な体になんか欲情するかよ! そういう言葉は俺の婚約者みてえにグラマスになってから言え!》

《貧相!? 失礼ね! 無駄な肉の無いスレンダーな体形と言いなさい!》

《スレンダーってのは細くしなやかながらも出るとこは出てるのを言うんだよ! 俺のもう一人の婚約者みてぇにな! お前みたいに何もついてねぇのはスレンダーとは言わねぇよ!》

《何もついてない!? 貴方本当に失礼ね!》

《それにな! 見てくれだけじゃねぇ! 二人とも気立てが良くて優しくて健気で可愛い最高の恋人で婚約者たちさ! お前みたいな可愛げのない女と違ってな!》

 

 

 そしてルクシオンは音声再生を終了させ何時もの声を発する。

 

『このようにマスターはお二人にご執心ですので。オリヴィアとカーラが心配なさらずとも大丈夫ですよ。おや? お三方ともどうされました?』

 

 ルクシオンが三人を見やれば三人とも顔を真っ赤にして俯き轟沈してたのだった。

 

 

 

 

 

 

 ルクシオンの"証拠音声"に部屋の中の三人が顔を赤くしたまま未だ立ち直って居ない中、リオンの部屋を訪れる生徒が居た。アンジェだった。

          

「私だ。入っても良いか?」

 

 アンジェがノックし声をかけるが返事はなく思わず首をかしげる。

 普段アンジェに付き人として付き添ってくれてるカーラは、自分が部屋に居る時部屋を訪ねる者があればすぐに扉に向かい対応してくれてた。

 今、カーラは戦い終わって身を休めているリオンに付き添っており、リオンの部屋を訪ねたのなら同様に直ぐドアに向かってきてくれるとばかり思ってたので。

 そんな思いを巡らせるとドアが開く。

 

「い、いらっしゃいませアンジェリカ様。対応が遅れてしまって申し訳ありません」

 

 そう言ってカーラが出迎えてくれた。

 

「いや、構わん。それよりどうしたカーラ。顔が赤いぞ?」

「え、えっとその……」

 

 カーラは照れくさそうな気まずそうな笑みを浮かべ、口ごもる。

 その様子にアンジェは首を傾げながら部屋の中を覗くとリオンとリビアも顔を赤くしてる。

 

「何があった? 都合が悪そうなら出直すが?」

「え、えっとその……リオンさん、アンジェリカ様いらっしゃったのですが……」

 

 カーラがリオンの方を振り向き尋ねるがリオンは顔を赤くしたまま黙り込んだままである。そして側に居るリビアも同様に。

 

「も、申し訳ありません少し時間を空けていただけると……その、助かるのですが……」

「そ、そうか。うむ、では私は一旦自分の部屋に戻らせてもらうとしよう。カーラはどうする?」

「ア、ハイ。では私もお供させていただきます」

「本当に何があった? お前も、リオンもリビアも顔を赤くして?」

「その……アンジェリカ様のお部屋でお話しさせていただきます。リオンさんには、リビアさんもルクシオンさんも着いててくれますので……」

「そうか……。うむ、ではリオン、また後でな」

 

 

 

 

 そしてアンジェの部屋。

 

「で? 一体何があった?」

「じ、実はですね……その」

 

 そしてカーラから事のあらましを聞くことになる。

 戦から帰投したリオンがコクピットに横抱きの様にヘルトルーデ王女を同乗させてたのはアンジェも目の当たりにしていた。

 婚約者が他の女性と密着してればそれは確かに面白くないだろうな、とアンジェは話を聞きながら思う。

 そしてそのことをリオンに問い詰めた結果、ルクシオンから語られた話と、リオンの"無実"を証明するためのヘルトルーデとの会話記録。

 その時リオンがヘルトルーデに向かって、まるで惚気のような婚約者の話を熱く捲し立てた様に思わず3人とも赤面してしまったと。

 話を聞き終わったアンジェは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

 

「それはまた……その場に私も居なかったのが悔やまれるな」

「ア、アンジェリカ様~!」

「ハハッ、スマンスマン。しかしリオンの奴も言うではないか。そうかそうか。まぁ良かったではないか、リオンの奴が戦場においてもお前たちのこと大事に思ってるのが解ったのだから。

そういう訳だから、お前たちもあまり疑ってやるなよ?」

 

 笑いながらアンジェはカーラの肩を叩くのであった。

 

 

「ハイ……その、確かに恥ずかしくはありましたが……それ以上にやっぱ嬉しかった、です。仰るとおり愛されてるって実感あって……」

 

 言いながらカーラは顔を赤くし俯いてしまう。

 その顔には恥ずかしそうな、それでいてとても幸せそうな笑みを浮かべていた。

 そんなカーラにアンジェは手を伸ばし優しく肩を抱いてやるのだった。

 その後しばらく他愛無お喋りなどを交わしながら時の流れに身を委ねる。

 そしてしばらく後。

 

 

 

「そろそろか?」

「そうですね。もうそろそろリオンさんも落ち着いてる頃合いだと思います」

「では行くか」

「お供いたします」

 

 そうして二人リオンの部屋に向かうのだった。

 




修羅場回避不可でしたw
本編に比べれば温い方でしたが代わりに婚約者達迄流れ弾w

そして次回大きな節目です……!

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