ブラッドとグレッグの話もひと段落した頃リオンは席を立ってリビアとカーラの元へ向かう。
向かう前にブラッドとグレッグに準備しとけよと伝えたが解ってない顔したので、そのまま待機してろと捨て置いた。
後ろから文句言う声が聞こえるが無視する。
広い遊戯室の中は様々なゲーム台なども置かれ退屈しのぎには持ってこいである。
見れば二人で次はどのゲームで遊ぼうかと物色してる最中だったが、リオンの気配に気付き二人同時に振り向く。
「リオンさん」
「男爵」
「二人とも今イイか」
そして三人で遊戯室を後にした。
「通信終わりました」
通信機のスイッチを切ってリオンの方を振り返りカーラが語りかける。
ここはカーラにあてがわれた部屋。部屋にはカーラに加えリオンとリビアもいた。
「ご苦労さん。コレで空賊どもはコッチの不意をついたつもりで襲ってくるわけだな。罠にハメられてるのは本当は誰なのかも知らず」
カーラの言葉を受けリオンは返事すると眼を弓なりに細め口元に三日月のような笑みを
浮かべる。一言で言えばまるで悪役のような笑顔。
「リオンさん、顔、顔!」
「おっと」
リビアに指摘されリオンは顔を引き絞める。
リビアが呆れを顔に表すとカーラも乾いた笑みを浮かべる。
兼ねてからの予定通りリオンが罠にはめられたかのように見せて空賊を返り討ちにする計画。
それを実行するべくカーラは寄親のステファニーに持たされた通信機で空賊へ通信を送ったのだった。
リオンたちの目の前で行われたそれは当全のように此方に筒抜けであった。
「じゃ、行くか」
そう言ってリオンが部屋を出るとリビアとカーラも着いて行くのであった。
「目の前で見ると迫力ありますね~。コレが男爵の鎧」
「そ、アロガンツ。俺の相棒さ」
見上げながら感嘆の声を上げるカーラとその声に応えるリオン。
格納庫にやってきたリオンたち三人。
これから鎧に乗り込み出撃するリオンと、そんな二人を見送りたいと言うリビアとカーラ。
「そう言えばあの二人は?」
カーラが疑問の声を上げるとリオンは呆れた声で返す。
「アイツらはやっぱダメだわ。準備しとけって言ったら全然解ってねぇ。何のためにここに来たか忘れてんじゃねぇか?」
リオンの言葉にリビアとカーラは顔を合わせて苦笑を浮かべる。
「でもリオンさんなら一人ででも全然心配いりませんよね!」
リビアが両手に握りこぶしを作りながら誇らしげに語る。
「そうよね。リビアさんの勇者様だもんね」
「も~! だからカーラさんってば!」
カーラの軽口にリビアは照れ笑いを浮かべながら口を尖らせる。
これから戦闘と言う割には賑やかな雰囲気。だがリオンはそういうのは嫌いではなかった。
「さてと。じゃあ、ちょっくら行って蹴散らしてくるわ」
「頑張ってくださいリオンさん!」
「御武運お祈りしますバルトファルト男爵」
そうしてリオンはリビアとカーラに見送られながら出陣するのであった。
「凄いわね、本当にまるで戦いの場に居るみたいな臨場感」
驚きの声を上げるカーラ。
ここはパルトナーの一室の中でも特に広いホールでそこにスクリーンも備わってた。そこにリビアとカーラは来てた。
リオンの活躍する姿を見たいと言う要望に応え案内されたのだった。
リオンの乗るアロガンツが映されその前方に髑髏旗をはためかせた二隻の空賊船が映る。
アロガンツに気付いたのか空賊船から鎧が出撃して向かってくる。その数は優に二十を超える。
「空賊の鎧があんなに沢山……リ、リビアさん、男爵大丈夫よね?」
リオンに全てを託すと肚を決めたカーラだったが目の前の空賊の鎧の数に不安の声を漏らす。
「大丈夫です! あんなのいくら集まったってリオンさんの敵じゃありません! あ、ほらもう早速やっつけましたよ!」
リビアがスクリ-ンを指差すと、そこにはリオン駆るアロガンツが敵の鎧を掴みそのまま互いにぶつけ破壊する様子が映されてた。
そしてそのままぶん投げ空賊船に叩きつけた。
その後も群がってくる鎧を千切っては投げ正に鎧袖一触、無人の野を行くがごとき快刀乱麻の快進撃。
最初あまりの強さに圧倒され言葉が出なかったカーラだったが戦いが進むにつれ段々テンションが上がっていく。
「男爵ー! やっつけちゃってくださいー!」「リオンさん頑張れー!」
気付けばカーラはリビアと一緒に手に手を取りながら応援や歓声の声を上げてた。
ちなみにリオンはコクピットを狙うような、相手の命を脅かすような攻撃は一切してない。
リオンの駆るアロガンツの圧倒的な力あればこそ。戦いは相手の命を奪わず無力化させる方が遥かに難しい。
相手の命を奪わない、それは甘い考えかもしれないが、だからこそリビアとカーラに見せることが出来た。
だからこそ彼女らも声援を送ることが出来た。
空賊の殆どの鎧が叩き伏せられると映像が切り替わる。
映されたのは空賊船。下から映され船底が良く見える。
そこに砲撃が命中すると船は大きく揺れ開いた穴からは煙がもうもうと上がる。
撃ったのはパルトナーの主砲。
横や下には撃てても上には撃てないと言うこの世界の飛行船の常識を大きく覆す一撃。
まさに人知を超えたロストアイテムの力を見せつけた形だった。
やがて髑髏旗の代わりに白旗が上がる。
リオン達の完全勝利である。
「おかえりなさいませ男爵!」「格好良かったですよリオンさん!」
パルトナーに帰還したリオンを迎えるのは満面の笑みのカーラとリビア。
特にカーラはこれで空賊と繋がってる伯爵家と縁が切れると思ってか。
逆にリオンはどこか浮かない顔である。快勝からの凱旋とは思えないほど。
その表情に気付いたリビアとカーラは揃って首を傾げる。
「喜んでくれてるとこ真に言い難いんだけど今回倒したのは所謂先遣隊だったみたいで……」
気まずそうにリオンが口を開くとカーラの表情が固まり恐る恐る口を開く。
「え……? それってつまり……」
「うん。空賊の本隊は未だ健在ってことなんだよね」
リオンの言葉にカーラの顔はみるみる青くなる。
「未だ……終わって……ない……?」
そして眼には涙まで滲み始め膝から崩れ落ちそうになる。
「カ、カーラさん! 気をしっかり持って!」
そんなカ-ラを慌ててリビアが支える。
カーラは今の戦いで空賊を完全に潰し戦いは終わったと喜んでいた。
そしてそれに連なる伯爵家も潰され晴れて自分は自由の身になれたと。
だが実際には空賊は未だ残っており、それは未だ自分の身も伯爵家のしがらみに捕らわれたままだと言うこと。
開放されたと思ったのが実は未だだった。
そのことによるショックはカーラにとってとても大きいものだった。
「だ、大丈夫! 既に手は打ってあるから! 空賊の一人をわざと逃がし泳がせたんだ! 発信機を付けて!」
リオンが慌ててフォローするように喋る。
「さ、さすがリオンさん! 抜かりがありませんね! 聞きましたよねカーラさん!?
残る空賊も直ぐ見つけだしてリオンさんがやっつけてくれますよ! 大丈夫ですから!」
続けてリビアもまくしたてるように励ます。カーラの肩を抱き倒れないように支えながら。
ショックで呆然としかけたカーラであったが。リビアの励ましに気を取り直したように見えた。だが――
「そ、そうよね。バルトファルト男爵はとっても強いんだもの……。リビアさんの言う通り大丈夫よね、大丈……夫」
言いながらカーラは気を失ってしまった。
「カーラさん!」
不穏な幕引きで申し訳ないです。続きは明日の更新をお待ちくださいませ
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