モブせか・カーラ if ルート   作:julas

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今回やや短めです


7、格納庫にて

「「バルトファルト!」」

 

 声をかけられたリオンは一瞬だけ振り向きブラッドとグレッグの顔を見るが直ぐに顔ごと視線を戻す。

 一瞬だけ見せた表情は不機嫌そのものであり取り付く島もないと言った感じで。

 そんなリオンの背中に向け二人は言葉を発する。

 

「「すまなかった!」」

 

 その言葉に再びリオンは振り向く。

 見れば二人とも頭を深く下げていた。

 

「……その謝罪は何に、誰に対してだ?」

 

 底冷えするような声だった。声色から滲みだすのは怒り。

 焔のような激しい怒りではなく、吹雪のような相手の心まで凍りつかせる様な恐ろしさを秘めた怒り。

 

「か、軽い覚悟で戦いに参加しようとして浅はかだった……」

「カーラさんの尊厳を傷つけるような酷いことを言った……」

 

 振り絞る様な二人の声からは反省と罪悪感が滲み出てるようだった。

 そして頭を下げたまま続ける。

 

「そ、それで挽回の機会をくれ」

「僕達を戦いに参加させて欲しいんだ」

 

 黙って頭を下げ続ける二人に向かいリオンは口を開く。

 

「フン……ついて来い」

 

 リオンは一瞥すると歩きだす。二人はそんなリオンに黙ってついていく。

 着いた先は格納庫だった。

 そこにはリオンの愛機のアロガンツと共に並び立つ二体の鎧があった。

 先の空賊を撃退した時鹵獲した鎧のうち、比較的損傷の少なかった鎧を選び整備したもの。

 そしてその二体には其々武装が追加されていた。

 片方には高出力ブレードを備えた槍を、もう片方には通称スピアと呼ばれる魔力操作により宙を舞い攻撃可能な刃を複数背中に。

 それらは完全にグレッグとブラッドを操主として想定したカスタマイズだった。

 当初リオンは二人が軽い考えで戦闘への参加を訴えてきた時はその要求を却下した。

 だが覚悟を決め思い直してくる可能性も考え準備しておいたのである。

 

 

「コ、コイツを使わせてもらっていいのか!?」

「何だ不満か?」

「とんでもねぇ十分過ぎる! しかもこの槍ってムチャクチャ高性能品じゃねえのか!? こんな凄ぇの今の俺には……」

 

 グレッグの言葉にリオンは「あぁ!?」と不機嫌な声を発する

 

「勘違いしてんじゃねぇぞ誰がお前らの為だ。量産品の粗悪な二級品の槍なんぞで戦うつもりか? 勝つ気あんのか!?」

 

 リオンはグレッグと言う男を弱いとは思っていない。純粋な実力ポテンシャルは高く評価してる。

 だが妙なプライドを持ち【武器に頼らない実力】に拘り装備を疎かにする悪癖がある。

 その為前世のゲームでは勝てる筈の戦いを落としたことも数知れず。

 そんなことを思い出し余計に苛立ちを募らせたリオンが続ける。

 

「肝に銘じとけ。俺が勝つためだ。その為に必要な鎧と武器をお前らに使わせてやるってことだ、あくまでもコマとしてだ!

コマはコマらしく素直に従え!」

 

 

 リオンに言われたグレッグが押し黙ってるとブラッドがグレッグの肩を叩く。

 

「グレッグ、とやかく言える立場じゃないんだ僕達は。それもこんな見事なお膳立て。素直に用意してくれたものを使わせてもらおうじゃないか。

決めたろ? バルトファルトの為に協力は惜しまない、って。コマというならコマとしての役割を全うしようじゃないか」

 

 グレッグよりは物分りの良い対応のブラッドに向かいリオンは一瞥すると「フン!」と鼻を鳴らす。

 

「御託はいい。反省でも謝罪でも、その気があるなら行動で示せ。無駄口叩いてる暇あったら鎧と武装の機体特性でも把握しとけ」

 

 そう言ってリオンは格納庫を後にする。

 

 

 

 部屋に戻ったリオンは自分しかいないはずの部屋で口を開く。

 

「ルクシオン」

 

 声に応えるように中央に一つ目の様に赤いレンズを備えた鈍色に光る機械の球体がリオンの右肩の上の空間に姿を表す。

 リオンの相棒。ロストアイテムの人工知能ルクシオンである。

 本体であり真の姿は人工知能を備えた巨大な飛行戦艦だが、自身とリンクした球体型の子機をリオンの側に置いてる。

 先程の格納庫でもその前も常にリオンの側につき従っていたが他者の目があるときは光学迷彩で姿を消していた。

 またパルトナーの航行や砲撃などの全てを司り、先程の鎧の整備カスタマイズなども行うなど、様々な面でリオンのサポートを行っている。

 そして情報収集なども。

 

「空賊どもの情報を出せ。現時点で判ってる分だけでいい」

『ハイ、マスター』

 

 リオンの求めに応じ、ルクシオンのレンズから映像が照射されリオンの目の前に立体映像などが次々と浮かび上がる。

 正直な話、先遣隊の手応えから下調べなどせずぶっつけ本番でも本隊相手にも十分勝算があった。

 だがそんな楽観的な考え方が先の戦いではカーラを結果的に傷つけてしまった、そんな自分をリオンは許せなかった。

 だから本隊との戦いには万全の状態で臨むと決めたのだった。

 多数の空賊の資料と向き合いながらリオンは眉間に深いシワを寄せる。

 未だ調査中の為穴も多い。そんな穴に当たるたびリオンはそのもどかしさに歯噛みするのだった。

 




ヒロインたちの出番の無い男臭い回でしたw

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