2020年。そこには現実とは全く違う世界が広がっていた。
1775年に発生したアメリカ独立戦争に勝利したイギリスはアメリカ植民地統治政策の改革を進めた。
アメリカ独立戦争の失敗によって、近代における<共和制国家>の概念が成立しなかったことで、フランス革命が起こらず、ヨーロッパ大陸は君主制国家が乱立している。
一方、1871年に統一を成し遂げたドイツ帝國はオーストリア=ハンガリー帝國、イギリスとともに三国同盟を結成。これに対し、イタリア王国、ロシア帝國、フランス帝國が三国協商を結成し、1914年についに第一次世界大戦に発展。
この戦争にて、アメリカ植民地軍がヨーロッパ戦線で活躍し、戦後にイギリスとの同意によってアメリカ連邦として13植民地が平和的に独立。
しかし、これに反発した白人至上主義者などの勢力が南部5州を分離させ、アメリカ共和国として独立を宣言。
南北戦争が勃発した。
一時期は共和国軍がニューヨーク一歩手前まで連邦軍を追い詰めるが、イギリスの義勇軍が到着すると戦線は安定。
最終的に1922年に元の国境線で停戦となり、アメリカは分断国家となった。
一方、西海岸ではメキシコ合衆国が勢力を伸ばし、中欧アメリカやアメリカ西海岸の部族を平定。
アメリカ中央部にはメキシコ影響下の西イロコイ連邦を建国し、アメリカ連邦やイギリスとの対立を深めた。
一方、史実とは違い、ロシアによって開国された日本は日清戦争、日露戦争に勝利し、アジアに一大勢力を築いていた。
日本は第一次世界大戦中の革命により成立したソヴィエト連邦と対立を深め、1922年に日英同盟を更新。
1939年9月1日。ソ連が満洲に侵攻すると、日英同盟に基づいてイギリスはソ連に宣戦布告。第二次世界大戦が勃発した。
これを好機と捉えたのがメキシコと中国であった。
1940年にメキシコ、中国、ソ連による三国同盟が締結されると、1941年にメキシコ合衆国がアメリカ連邦に侵攻。米墨戦争が勃発した。
アジアにおいても、中華民国が大日本帝國に宣戦布告し、日本は中ソの二正面作戦を強いられることとなった。
しかし、中国も日英の二正面作戦を強いられていたため、1943年に日本軍によって武漢が陥落すると中華民国政府は崩壊。中国はイギリス影響下の華南共和国と日本影響下の中華民国南京国民政府に分割された。
一方、ヨーロッパにおいて影響力を広げようとしていたドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー帝国がソ連に宣戦布告。
現代においては地獄の地上戦として知られている独ソ戦が開戦した。
ほとんどの軍を満洲に貼り付けていたソ連はドイツ帝国の攻勢に対処できず、1945年5月2日にモスクワ陥落によりソ連中央政府は崩壊。大規模な内戦が発生した。
これに伴い、満洲戦線のソ連軍も日本軍に降伏した。
一人取り残されたメキシコは1945年8月6日にイギリス軍によってサン・アントニオ、1945年8月12日にモンテレイに原子爆弾を投下され、1945年12月5日にメキシコシティが陥落したことで無条件降伏を受諾した。
アメリカは西イロコイ連邦を併合。メキシコ領であった西岸地域にはアメリカへの対抗の意味も含めカリフォルニア連邦。テキサス州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、ミシシッピ州、アルカンザス州にはテキサス連邦が建国された。
メキシコについてはバハ・カリフォルニア半島をカリフォルニア連邦サウスビクトリア州として編入。
ユカタン半島はユカタン共和国として独立した。
ロシアは1970年にロザエフスキーによって統一され、ロシア国が成立。
そして、時は進み、2020年。世界は劇的な変化を遂げた。
インターネットの発達によって成長した巨大情報網は現代社会の心臓となり、世界を繋げている。
技術革新、疫病、そして影を落すテロリズム・・・
国家紹介
グレートブリテン連邦
・イギリス
政治体制:統制民主主義
与党:保守党
首相:リシ・スナク
統一後、世界の海に乗り出し、スペインやポルトガルに代わって海洋帝国となったイギリスにはいくつもの呼び名がある。
大英帝国、イギリス、連合王国・・・
様々な呼び名があるが、この1世紀の間に巨大帝国を築き上げたということは言うまでもない。
現代においてもアメリカ連邦を遙かに超える彼の帝國はアジア、アフリカ、アメリカ大陸に植民地を抱え、世界一の海軍を持っているのである。
しかし、その植民地を全て覆うことはできない。
アメリカ連邦の強大化はいつの日かイギリスの北米権益を脅かすかもしれない。
・アメリカ連邦
政治体制:自由民主主義
与党:民主党
大統領:ジョー・バイデン
1910年代の独立以降、アメリカは常に星条旗の下にあった。
13の植民地から始まったこの連邦は第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、イギリスの植民地帝國の中で最も巨大な国家である。
しかし、30の州を掲げるその巨大な連邦はその強大さ故にイギリスに恐れられている。
飼い主よりも巨大になったこの連邦はバイデンの民主党によって率いられ、その未来は定かではない。
・カリフォルニア連邦
政治体制:西海岸進歩主義
与党:カリフォルニア自由党
大統領:ギャビン・ニューサム
第二次世界大戦以降、アメリカが強大化すると、イギリスは首輪をはめる手段を探した。
それは最終的に北米大陸新たに2つの国家を作るという結果に至った。
その一つがカリフォルニア連邦である。
メキシコ合衆国の跡地であるカリフォルニアの大地を統治するこの連邦は7つの西海岸諸州とバハ・カリフォルニア半島のサウスビクトリア州の8つからなる。
この国家の特性は西海岸特有の思想にある。
良くも悪くも、アメリカの国家意識はフロンティアと切っても切れない関係にある。
西部の自然豊かな土地は気力と根性さえあれば全ての人に開かれたチャンスの土地なのである。
そして今、カリフォルニアの大地は、万人のための自由と正義という信条を掲げようとする最大の試み、西海岸進歩主義の震源地となっている。
西海岸は夢を見る人々の土地であり、アメリカ連邦の陰湿な政治家とその現実主義を嘲笑する。
つまりはカリフォルニア連邦は東海岸の保守主義者への嫌悪感を示す者が集まる場所であるということなのだ。
・テキサス連邦
政治体制:ディキシークラット
与党:テキサス国民党
大統領:グレッグ・アボット
第二次世界大戦後にできたこの連邦は5つの州からなり、西海岸の片割れと言われている。
史実とは違い、ワシントンの束縛がないことはこの国家にとっては幸運であった。
何が言いたいかというと、テキサス連邦の人種政策は他の国々に比べて悲惨なのだ。
現代まで続く人種隔離政策は連邦の闇であり、光の戦士が現れるまで晴れることはない。
・ボレアリア連邦
政治体制:立憲君主制
与党:カナダ自由党
首相:ジャスティン・トルドー
第二次世界大戦後にハドソン湾とボレアリアの大地が統合されたことで成立したこの連邦国家はロンドンの意思の下にある。
連邦の役目はアメリカの強大化を防ぐためにある。
・華南共和国
政治体制:保守民主主義
与党:自由祖国党
首相:羅冠聡
第二次世界大戦後に中国の残骸の中から誕生したこの共和国にはかつての中華民国との連続性はない。
イギリスの帝国主義によって作られた連邦国家である。
そして、ロンドンの意思を最大限にくみ取った羅冠聡は北部の中華民国の亡霊に対して強い嫌悪感を抱いている。
・インド連邦
政治体制:社会民主主義
この巨大な連邦は第二次世界大戦におけるインド人部隊の戦果から生まれたと言っても過言ではない。
インド連邦の役割はロンドンの意思を最大限にくみ取るグレートブリテン連邦の警察であったが、今はその役割を外れつつある。
この国はビルマやセイロン島の密林からパキスタンの砂漠にまで広がる巨大な連邦であり、その力を強大化させているのは国土ゆえである。
しかし、インドの強大化はいつの日か大英帝国に牙を剥くかもしれない。
・イギリス領北アフリカ地域
政治体制:植民地政府
与党:北アフリカ植民地総局
総督:ニコラス・ソームズ
イギリスにとって宝石のような土地であるこのイギリス領北アフリカ植民地は第一次世界大戦の結果フランスから奪った植民地も含まれている。
しかし、今やイギリスにとってこの植民地は悩みの種に成り下がった。
共産主義者の反乱は常にイギリス軍の流血を途絶えさせることはないのだ。
・イギリス領南大西洋諸島
政治体制:植民地政府
与党:北大西洋植民地総局
総督:アントニー・クラブ
イギリスの大西洋における最大の拠点として知られているこのイギリス領南大西洋諸島はアメリカ連邦の強大化に対する防波堤である。
ロイヤルネイビーの高官であるアントニー・クラブは北大西洋の大海原で自慢の艦隊を引き連れている。
・エジプト共和国
政治体制:文民独裁
与党:無所属
大統領:アブドルファッターフ・サイード・フセイン・ハリール・アッ=シーシー
歴史的な名所を多く有するエジプト共和国は北アフリカにおける地域大国である。
その版図はスーダンの地にまで広がり、北アフリカにおいてグレートブリテン連邦の権威を維持するために重要な国家である。
・東アフリカ連邦
政治体制:自由民主主義
与党:東アフリカ統一民主党
大統領:ジョン・チェヨ
東アフリカ連邦はタンザニア、ウガンダ、ケニアをまとめた連邦国家である。
この地はロンドンの意思によってまとめられた国家であったが、民族事情は複雑に絡まり、大統領の頭を悩ませない日はない。
・オセアニア連邦
政治体制:自由民主主義
与党:労働党
大統領:アンソニー・アルバニージー
遥か南の海に広がるこの大陸とニュージーランドの島々はその全土がオセアニア連邦の領土である。
この地はアジアにおけるグレートブリテン連邦の権威を維持するために重要であり、日本との関係も深い。
大東亜共栄圏
・大日本帝国
政治体制:護憲保守主義
与党:立憲政友会
内閣総理大臣:岸田文雄
いくつもの世界の中で、この大日本帝国という国家が不幸な歴史を辿らなかったのは幸運なことであると言える。
悲惨な分断を迎える歴史もあれば、ゲーリングの狂気の戦争機械をイタリアとともに破壊した歴史もある。
欧米の帝国主義が健在なこの世界において、大東亜共栄圏はアジアの民主主義を守る存在である。
・フィリピン共和国
政治体制:文民独裁
与党:フィリピン民主党・国民の力
大統領:ロドリゴ・ドゥテルテ
日本のすぐ南にあるこの共和国は大東亜共栄圏の中で最も重要な国家である。
・ベトナム帝国
政治体制:絶対王政
与党:グエン朝
皇帝:バオ・タン
清仏戦争によってフランス帝国の支配を受けたベトナムは第一次世界大戦で日本海軍によって解放されるに至った。
その後のベトナムはラオス、カンボジアとともにインドシナ半島の大東亜共栄圏加盟国であり、戦略的にも重要な地域である。
・ラオス王国
政治体制:絶対王政
与党:ラオス王室
・カンボジア王国
政治体制:絶対王政
与党:カンボジア王室
国王:ノロドム・シハモニ
・タイ王国
政治体制:絶対王政
与党:タイ王室
国王:ノロドム・シハモニ
・中華民国
政治体制:文民独裁
与党:国民党
総統:朱立倫
中華民国南京国民政府は第二次世界大戦後の中国の分割の際に華北地域に建てられた日本の傀儡政権である。
中国人は一部を除いてもはや諦めている。
帝国協定
・ドイツ帝国
政治体制:立憲君主制
与党:ドイツキリスト教民主同盟
皇帝:ゲオルク・フリードリヒ・フォン・プロイセン
首相:フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー
1871年にビスマルクによって統一されたこの帝国は第二次世界大戦を経て東欧を手に入れるほどにまで成長した。
・ウクライナ共和国
政治体制:保守民主主義
与党:国民の僕
大統領:ウォロディミル・ゼレンスキー
ロシアの国境地方という概念に過ぎなかったこの地は第二次世界大戦の結果、ソ連が瓦解するとベルリンの管理下に入った。
「ウクライナ」が概念ではなく国家となったのは、第二次世界大戦後である。
勿論、ベルリンの意思によってだが。
しかし、ウクライナ人にとっては幸運だった。
ロシアの軛から解放されたのだから。
この地はその特性上、ベルリンの悩みの種であり続けている。
ゼレンスキー大統領は国家の行く先が感動的な映画のような物ではないということを知っているのである。
・ベラルーシ共和国
政治体制:社会民主主義
与党:ベラルーシ社会民主党
大統領:イーゴリ・ピャトロヴィチ・バリサウ
ポロツク公国から始まったこの国家はバルト海と黒海を結ぶ通商路として有名であった。
一時、モンゴルに占領されながらも、12世紀から100年の間に10の公国が一つの民族の旗の下で戦った。
しかし、ベラルーシ人の歴史というのはポーランドからロシアの大地、そしてモンゴルにまで広がっている。
ベラルーシ人は様々な民族によって支配されてきたのだ。
やがて、第二次世界大戦を経てソ連が崩壊すると、ベルリンの意思によってウクライナやバルトと共に独立するに至った。
・バルト連邦
政治体制:社会民主主義
与党:無所属
大統領:ギタナス・ナウセダ
かつてから様々な国の支配を受けてきたバルト地域は第二次世界大戦後の鷲の死骸からバルト連邦として蘇った。
・ディーツラント王国
政治体制:立憲君主制
与党:自由民主国民党
首相:マルク・ルッテ
第一次世界大戦後に成立したこの王国はドイツ帝国との関わりが最も深い国家である。