異空のゼロ   作:89式小銃

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11 初戦闘②

 

 

 

救出部隊が向かっている頃、鏡面海域内では突如として現れた上位個体を含むセイレーンの軍勢と遠征部隊との間で熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

土佐「姉上!!そっちに敵機が向かっている!!」

 

加賀「分かっている!!」

 

土佐が得意の得物(重桜刀)でこちらに向かって低空を飛行していた敵機を真正面から真っ二つに切断し、両断されたセイレーン機は派手な爆発を起こして墜落。加賀は展開した戦闘機で自身に攻撃をしかけようとしていた敵編隊をものの数秒で全滅させる。

 

親潮「黒ちゃん行くよ〜!!」

 

黒潮「承知」

 

親潮と黒潮は至近距離まで接近すると、セイレーン艦隊に向けて強力な兵器の一つである酸素魚雷を一斉発射。52ノットで10.000mを約6分で走り切る酸素魚雷は3000mに満たない距離をものの2分で走り切る。そして490kgもの炸薬が詰まった魚雷は敵艦の土手っ腹で炸裂し、敵艦は火柱を上げ次々と真っ二つになっていく。

 

妙高「数が多いな…」

 

赤城「えぇ、確実にこちらを叩きかかっているわね」

 

鏡面海域に侵入した時とは比べ物にならない数のセイレーンに妙高がぼそっと呟く。

 

しかし、圧倒的な数で攻撃しているセイレーンだが、基地から沿岸砲やら対空機銃やらで赤城達を援護している基地駐屯部隊に一切目を眩れず、自分達を集中して攻撃していることに赤城は違和感を感じる。

 

赤城「(サイパンへの反攻拠点であるあの基地を攻撃しないということはセイレーンの狙いは私達……でも、もしかしたら基地を破壊するのが目的で、一番の障壁である私達を排除してから基地を攻撃する計画なのかもしれないけど、こんなに数があるのなら戦力を分けて両方を攻撃すれば良いこと……訳が分からないわね)」

 

戦いの中で思考を張り巡らせるが敵の意図を読めないでいた。

 

妙高「赤城!!左だ!!」

 

妙高の叫び声で咄嗟に左へ振り向き、自身に向かって来ている砲弾の雨に気付く。

 

赤城「他の事を考える暇すら無いわねっ!!」

 

敵の戦艦や重巡から発射された砲弾が赤城一人に降り注ごうとしていたが、式神を砲弾目掛けて放り投げ、式神と衝突した砲弾が爆発し他の砲弾も連鎖的に爆発して攻撃を防ぎ切る。

 

妙高「(残弾が少ないな…魚雷も全て使い切ってしまった…)どうする赤城。このままではジリ貧だぞ」

 

戦闘を開始してから既に1時間が経過し、自身と加賀の式神や土佐達の弾薬の損耗が激しく、このままではセイレーンに物量で押し切られるのが目に見えていた。

 

赤城「そうね…(このままじゃ不味いわね…何か打開策は……この時、天城姉様ならどうする?)」

 

誰よりも慕っている姉のことを思い浮かべ、何か打開策が無いか考える。

 

 

その時、自身の背後に突然大きな穴が幾つも開く。

しばらくしてその穴から胴体や主翼下面に赤丸の印がある百機以上の航空機が現れる。

 

妙高「あれは…重桜軍の国籍印!!もしや援軍か!!」

 

突如として現れた友軍の大部隊を見つめていると、懐にある携帯無線機が反応する。

 

赤城「こちら遠征部隊旗艦赤城」

 

『赤城さん!!基地通信隊の者です!!先程、通信機に反応がありました!!味方です!!味方部隊が救出に来ました!!』

 

友軍が救援に来たことがよほど嬉しかったのか興奮気味に赤城へと報告する。

 

赤城「そうですか。まったく…待ちくたびれましたよ」

 

ようやくの援軍に安堵が交じった溜め息をつく。

 

『今すぐ赤城さんの艦隊に加勢するとのこと!!』

 

赤城「分かりました。貴方達も引き続き援護をお願いするわ」

 

『了解です!!』

 

通信を終える。

 

赤城「さて、上空の敵機はやって来た味方部隊に任せるとして、私達はセイレーンの艦隊を叩くとしましょう」

 

妙高「了解した」

 

救援に現れた味方部隊によって勢いづいた基地駐屯部隊と赤城達の艦隊のによる反攻戦が開始される。

 

 

_________________________________

 

飛行隊長「良いか!!作戦通り、ここからは小隊各自で戦闘を行ってもらう!!各隊武運を祈る!!散開!!」

 

飛行隊長が散開を告げると編隊が小隊ごとに分かれ、戦闘に突入する。

血気盛んな者達が敵機に次々と襲い掛かる中、宮部が率いる小隊も編隊から離れ、高度5000を飛行しながら眼下の戦況を確認していた。

 

宮部「(凄い数の艦艇だな…100…いや150隻以上はいるだろうな…)」

 

闇夜のような黒色の船体に赤く発光する線が引かれた戦艦並みの船体の甲板に各種武装がてんこ盛りされている艦艇がうじゃうじゃといる光景に固唾を飲む。

 

桑中「宮部少尉!真下に遠征部隊です!」

 

桑中の報告を受け、機体を少し傾けて下を見る。

 

宮部「(あれか…)」

 

夜入りの時間帯並みに暗いなか、昼間に星が見えていたと言われるほど驚異的な視力をもつ宮部の目は水上で戦闘する赤城達の艦隊を捕捉する。

 

宮部「(……あんな近距離で空母が戦っているなんてな…)」

 

敵との距離がかなり近いにも関わらず、空母の赤城と加賀が一歩も引かず果敢に戦闘を行っている光景に軽く驚く。

 

しばらく周りを見渡していると2時の方角の下方に2機のセイレーン機を視認する。

相手は400km/hほどの巡航速度で遠征部隊を伺うように飛行しており、まだこちらに気付いていない様子だった。

 

宮部「桑中、神田、2時の方角下方に2機の敵機が見えるな?それをやるぞ」

 

桑中「は、はい!(えっと……あっ!あれか!)」

 

宮部に言われた方角によく目を凝らし、目標を確認する。

それは米粒並みに小さく、機体の色が海面の色にうまい具合に溶け込んでいるのを良く見つけれるなと桑中は心の中で感心した。

 

宮部「桑中は左、神田は右のやつを攻撃だ。攻撃が失敗しても決して深追いはするな」

 

桑中・神田「「了解!!」」

 

指示を了承すると二人は下方のセイレーン機に向かって急降下攻撃を仕掛ける。

二人が乗っている三二型の降下制限速度に近い640km/hもの速度で急降下し、全身に重くのしかかる強烈なGに耐えながら必死に敵機を捕捉する。

 

桑中「あと少しだッ…!」

 

150m、100m、50mと距離をぐんぐん縮めていき、照準器全体に敵機を捉えると同時に左手で強く握り締めている射撃レバーを力強く引く。

 

ダダダダダダッ

 

機銃の射撃音でようやく敵の存在に気付いたのか、セイレーン機が回避行動を取ろうとするが、時すでに遅し。

大型の爆撃機をも落とす大威力の20mm機銃弾が次々と突き刺さったセイレーン機は主翼とエンジンから火を吹き、真っ逆さまに堕ちていき爆発四散する。

 

桑中「よしっ!!撃墜したぞ!!」

 

真上からの完璧な奇襲攻撃で初めての敵機撃墜に心が躍動する。

隣を見ると神田機も奇襲攻撃が成功しており、風防越しに本人が初撃墜に大はしゃぎしている光景を見て、思わず口角が上がる。

 

桑中「…!あれはっ!!」

 

上空で待機しているであろう宮部機と合流しようと上空に目を向けると、いつの間にか宮部機が3機の敵機と戦闘を行っていた。

 

桑中「まずい!!加勢に行かないと!!」

 

いくら宮部の腕が良いと分かっていても1対3はさすがに不利だと思い、加勢しようとするがその必要は無くなった。

 

後ろにピッタリと付いた敵機を前の模擬空戦で見せた動きで引っ剥がし、逆に後ろを取った宮部は透かさず敵機の後ろに機銃弾をお見舞いし撃墜。続いて、近くにいた敵機も一連射で撃墜し、最後に残った敵機が味方の仇討ちかのように果敢に旋回戦に挑むが低空時での旋回性能が高い零戦に叶うはずもなく、鋭い旋回で後ろに回り込まれあっけなく撃墜される。

 

桑中「なんて速さなんだ…たった数秒で3機も…」

 

神田「凄すぎるだろ…」

 

劣勢的状況から逆転し、瞬く間に3機の敵機を撃墜した達人とも言える早業に二人共全身に鳥肌が立つ。

 

桑中「宮部少尉、大丈夫ですか?」

 

二人は宮部機と横並びになり念のため、無線で安否を尋ねる。

 

宮部「ああ、大丈夫だ。幸い被弾もしていない」

 

桑中「ふぅっ…無事で良かったです」

 

本人の無事に安堵する。

 

桑中「…それにしても、かなりの数の味方機が堕ちていますね…」

 

現時点で撃墜されている殆どの機は蒼龍と飛龍の艦載機だが、基地航空隊の機も少なくない数が堕とされていた。

 

宮部「だが、敵の数も少なくなっている。この調子で攻め続ければいずれ勝てるだろう。引き続き気を引き締めていくぞ」

 

桑中・神田「「了解!!」」

 

 

_______________________________

 

 

一方、赤城達も順調に敵の数を減らしていた。

 

加賀「大分片付いてきましたね」

 

赤城「ええ。あと30隻といったところかしら」

 

最後の敵戦艦を攻撃しながら話を交わす。

味方の航空部隊が参戦したことによって、空に割いていた分の航空戦力も敵艦攻撃に利用することができ、仲間達と協力して3分の2以上の敵艦を撃沈することに成功した。

 

加賀「…さっきから頻繁に空を見ていますが、何かあるんですか?」

 

さっきから頻繁に空を見上げていた赤城を疑問に感じた加賀が本人に尋ねる。

 

赤城「いえ…あの戦闘機小隊の小隊長機が少し気になってね」

 

赤城と一緒に空を見上げると基地航空隊所属の戦闘機小隊3機が飛行していた。

 

加賀「(三二型2機に五二型の小隊長機か。五二型なんて基地にあったか?)」

 

基地に配備されている零戦は全てが三二型であり、昨月になって量産が開始された最新型である五二型の配備という話を聞いたことがない加賀は疑問に思う。

 

赤城「(この感じは何かしら…?あの機を見ていると少し懐かしく感じるわ)」

 

 

 

ドォォン!!!!

 

すると、何処からか飛来した砲弾が赤城の至近距離に着水し派手な爆発をあげる。

 

加賀「姉様!!」

 

巨大な水柱によって赤城が隠れるが、しばらくして水柱が消え、赤城の無事を確認する。

 

赤城「私は大丈夫よ。それより…」

 

砲弾が飛翔してきた方角に目を遣ると、セイレーンの上位個体の姿が空中にあった。

 

加賀「テスター…!!」

 

顔を顰め、明らかな敵意をテスターと呼ばれる彼女に向ける。

 

 

テスター「久しぶりね赤城、加賀、そして重桜のお仲間さん達」

 

 

 

 

 

 

to be Continue

 





11jtjfyさんから☆10、黒鷹商業組合さんから☆5を頂きました!!評価ありがとう御座います!!

次回投稿日は未定です。

それではグッバイ

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