異空のゼロ   作:89式小銃

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どうも89式小銃です。

冬のような寒さは過ぎ去り、春並の暖かさになってきましたね。非常に過ごしやすい気温ですので外出せず部屋に籠もってアズールレーンをプレイしてしまいますね。

今回の赤城さんはまだ正常ですが次回からは…………

それではどうぞ



14 帰還

 

2日後

 

 

本土

 

重桜基地 海軍航空隊司令部

 

栗田「ふああっ…やっと終わったわね」

 

上層部への報告書を徹夜して終わらせた海軍航空隊基地司令官兼代理指揮官の彼女は大きなあくびをしながら背筋を伸ばす。

背後の窓からはオレンジ色の夕焼けの光が差し込んでいる。

 

天城「お疲れ様です指揮官様」

 

長時間の仕事に対する労いとして温かいお茶の入った湯呑みを栗田に手渡す。

 

栗田「ありがとう天城。手伝ってくれて感謝するわ。おかげで予定より早く終わらせることができたわ」

 

湯呑みのお茶を啜りながら感謝の意を伝える。

 

栗田「最近、良く外に出ているけど身体の方は大丈夫?」

 

天城「ご心配なく。最近は身体の調子がだいぶ良くなってきましたわ」

 

栗田「そう。でもあまり無理をしたらいけないわよ」

 

自分の思いを相手に伝えながら、間違いがないか報告書にじっくり目を通す。

 

栗田「それにしても、今回の小笠原での戦いは私達が勝利したものの前哨基地を失ったのは痛いわね…」

 

先日に電信で届いた小笠原での戦闘勝利の報に喜んだのも束の間、もう一つの報である『小笠原基地の放棄』には酷く驚いた。

手にしている報告書もその内容についてである。

 

本来なら基地の放棄等の重大な決定事項は、まず該当基地に駐屯する部隊の司令と協議し、最終的には大本営や海軍省と言った上層部へと報告・協議して放棄するか否かを決定するのが通常である。

 

だが、いつまた鏡面海域が発生するか分からない状態、そして再度敵が襲ってくるか分からない状況で多くの避難民や負傷者を抱えた基地の完全な防衛は難しく、基地関係者やKAN-SEN達を集めた話し合いの結果、量産型艦隊を指揮する艦隊司令の判断で全てのKAN-SEN及び基地要員そして島民を島から本土に撤退させることとなった。

 

栗田「半年後にサイパンのセイレーンに対する反攻作戦が実施される予定だったけど、小笠原の前哨基地を失ったから中止せざるを得ないわね。撤退した小笠原諸島にサイパンのセイレーンが進出しないがが懸念点ね…」

 

天城「ですが今回の戦闘で量産型や下位個体をかなりの数撃破しました。いくらセイレーンが数を揃えるのが早いとはいえ、損失した分を短期間で揃えるのはそう簡単ではありません。昨月のユニオンPH基地での戦いでも何百隻もの量産型を失ったセイレーンも、こちらと同じく大規模な作戦行動を取ることはできないでしょう」

 

栗田「なるほど、そういう考えもあるわね。さすが重桜が誇る軍師だわ」

 

天城を褒め称えながら部屋の壁に掛けてある時計に目を移す。

 

栗田「5時45分…もうすぐ艦隊が帰ってくる頃ね。そろそろ出迎えに行くとしましょうか」

 

天城「そうですね」

 

二人は部屋を後にして港へと向かう。

 

 

_______________________________

 

 

救援艦隊 旗艦

 

 

宮部「………」

 

翔鶴型航空母艦の後部飛行甲板下にある内火艇置き場に居た宮部は悩んでいた。

それもそのはず、昨日会ったばかりのほぼ他人である赤城に食事の誘いを受け、女性から食事の誘いと言った経験が無かった宮部はどう答えるべきか悩みに悩み、結局は自分の意思を相手に伝えられなかった。

 

加えて、現在宮部は天城の家に居候させてもらっているため赤城の"自分の家での食事"の誘いを断ったとしても、帰る場所は赤城達と同じ天城の家なので非常にややこしい状況となるのが予想できる。

 

宮部「はぁ…(おそらく港には天城さんが居るだろうから、港に着いたらとりあえず赤城さんに会って説明するとしよう)」

 

桑中「宮部少尉、もうすぐで基地に到着します。下船準備を……どうかしましたか?」

 

そこに下船準備を伝えに来た桑中が現れ、宮部の思い悩んでいる表情を見て何かあったのか尋ねる。

 

宮部「いや、なんでもない。下船準備をするとしよう」

 

桑中「?了解しました。(やっぱり一航戦の方々と何かあったのか?)」

 

 

◇◇◇

 

 

それから数十分後、艦隊は基地へと到着した。

 

宮部達の乗る量産型空母と赤城達の艦は湾内の埠頭へ接舷。損傷が激しい土佐達の艦艇は近くにある乾ドックへと向かう。

 

神田「うおっしゃぁー帰ってきたぞーっ!」

 

桑中「相変わらずお前は元気だな。まだ3日しか離れてないじゃないか」

 

神田「たった3日でも俺からすれば長期間だ」

 

桑中「はいはい。自分達は一度基地に戻りますが宮部少尉はこの後どうしますか?」

 

宮部「俺か?俺は一度赤城さんと話をしてくる。それからは天城さんの屋敷に帰る予定だ」

 

桑中「了解しました。今回の戦闘は宮部少尉のおかげで戦果を挙げ無事生き残ることができました。また今度、模擬空戦をお願い致します」

 

模擬空戦の約束をして別れの挨拶を交わし、三人は別れる。

 

宮部「(模擬空戦か…景浦も模擬空戦を何度もお願いしてきていたな……さてと、赤城さんと加賀さんは―)」

 

 

雪風「ふふんっー今回は6隻沈めたのだ!!」

 

時雨「ふんっ!雪風はまだまだね!私なんか9隻も沈めたわよ!」

 

榛名「金剛姉様、今回の戦いも見事でした!」

 

金剛「当たり前よ!やっぱり戦闘は優雅に行うものね!」

 

埠頭は帰ってきた者と出迎えにきた者でごちゃ混ぜになっている。

しばらく辺りを見渡していると遠くに誰かと話している赤城と加賀の姿を見つける。

 

人混みの中を進んでいき、誰かと話している赤城の元へと近づく宮部の姿に赤城と話していた天城が気づく。

 

天城「おかえりなさい宮部さん。怪我もなく無事で何よりです」

 

ニッコリした笑みで宮部を出迎える。

 

宮部「ありがとう御座います。天城さんはお身体の方は大丈夫ですか?」

 

天城「ご心配なさらずとも大丈夫ですよ。最近は身体の調子が良くなってきました」

 

宮部「それは良かったです」

 

 

赤城「あ、天城姉様?宮部さんとはどういった関係ですか?」

 

まるで家族のように話を交わしている二人に赤城は困惑した表情で天城に関係を問いかける。

 

天城「そうね。話すと長くなりますから、一度家に帰ってからゆっくりお話しましょうか」

 

 

 

◇◇◇

 

 

天城の屋敷 居間

 

 

天城「さて、赤城は私と宮部さんの関係について聞きたいのよね?」

 

赤城「はい、天城姉様」

 

天城「分かったわ。まず最初に言っておきます。宮部さんはこの世界の人間ではありません

 

赤城「え?この世界の人間ではない…?」

 

加賀「あ、天城さんどういうことですか?」

 

天城の口から告げられた衝撃的な言葉に二人は酷く困惑する。

 

天城「落ち着きなさい赤城、加賀。二週間前、哨戒任務に就いていた神通達がとある海域で1機の零式艦上戦闘機が不時着水していたのを発見しました。そして操縦席に居たのが彼、宮部さんです」

 

宮部「天城さんの言う通り自分はこの世界とは違う別の世界から来ました。そして神通さん達に重桜まで運んで頂いた後、目を覚まし怪我を治療させて頂いて現在はここ天城さんの屋敷で居候をさせてもらっています」

 

赤城「なるほどね…」

 

加賀「にわかに信じがたい話だが…」

 

最初は信じれなかった二人だったが、よくよく考えればセイレーンも突如として世界中に現れた異形の存在であるため今に始まったことではない。

 

赤城「とりあえず、宮部さんは別の世界から来た人間ということね?」

 

宮部「はい。(飲み込みが恐ろしく早いな)」

 

普通の者なら半時間混乱したり困惑したりするものだが、二人の恐ろしいほど早い飲み込みに内心驚く。

 

赤城「…宮部さんが来た世界に少し興味があるわ。どんな世界か聞いて良いかしら?」

 

異世界から来た人と知り、宮部の世界に興味が湧いた赤城はそちらの世界の話をしてくれないかお願いする。

 

宮部「分かりました。と言っても、こちらの世界と文化や歴史はあまり違いは無いのですが―」

 

情報交換の際に天城へ話したのとほぼ同じ内容を赤城と加賀にも話す。

 

 

◇◇◇

 

 

赤城「二度の世界大戦…宮部さんの世界でそんな事が…」

 

民族問題による皇太子暗殺や失った領土の奪還のためといった理由で大勢の人間が殺し合い巻き込まれ、最終的に二度の戦争で1億2400万の人間が死んだ世界大戦の話は二人にとって衝撃的な話だった。

 

加賀「生身の人間が乗った航空機で自爆攻撃なんて聞いたことないぞ…なんて狂った所業だ…」

 

赤城「人の命を弄んでいるとしか思えないわね…」

 

人間の命を糧とした正気とは思えない攻撃に二人は憤りを感じる。

 

赤城「お話ありがとう御座います宮部さん。…辛かった事を思い出せてしまったのではありませんか…?」

 

話で辛いことを思い出せてしまったのではないかと思った赤城は宮部に尋ねる。

 

宮部「いえいえ、真剣に話を聞いてもらって自分が感謝しないといけません。赤城さん、加賀さんありがとう御座います」

 

頭を下げて感謝を伝える。

 

 

天城「さてと、もう6時半ですしお腹も空いていると思いますから夕飯の支度にしましょうか。今日の献立は肉じゃがですよ」

 

席から立ち上がると台所へと移動し、夕食の支度を始める。

 

宮部「天城さん手伝いましょうか?」

 

天城「大丈夫ですよ。戦闘でお疲れになられていると思いますから宮部さん達は休んでいて下さい」

 

加賀「では支度の間、私は土佐を迎えに行って来ます」

 

赤城「じゃあ私はお風呂に入ってきますわ」

 

天城「お湯は沸かしてあるから、ゆっくり浸かってきなさい。ちゃんと尻尾とミミも丁寧に洗うのよ?」

 

赤城「もう天城姉様ったら!私は子供ではありません!」

 

天城「ふふっ、分かっているわよ」

 

イタズラに成功した子供の表情のような笑みを浮かべる。

 

宮部「(天城さん、あんな表情見せるんだな)」

 

普段見られない天城の表情に軽く驚きつつ、胸ポケットから家族写真を取り出す。

 

宮部「(松及、清子。必ず約束を果たすからな)」

 

元の世界へ置いてきてしまった妻と子に思いを寄せる宮部であった。

 

 

 

 

to be Continue

 





トコ焼きさんから☆10、大西洋の鉄城さん、SS級戦犯さんから☆9を頂きました!!

皆さんは重桜KAN-SENで誰が推しですか?

感想、評価お待ちしております!!

それではグッバイ

指揮官になるのなら何処の陣営?

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