異空のゼロ   作:89式小銃

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どうも89式小銃です。

話の内容が纏まらない内に半月が過ぎてしまいました…ネタが無いって苦しいですね…


そして、今までの話では重桜艦しか出ていませんが、あと数話でそろそろ海外艦も登場させたいな〜と思っております。
アズールレーン陣営は…………まだ先になりそうです…


誤字、脱字、文章的におかしい箇所等があればご報告お願い致します。

それではどうぞ



20 模擬空戦

 

 

ある日の昼前

 

 

宮部の所属する海軍航空隊の飛行場へ行く道を歩く加賀の姿があった。

 

加賀「はぁ…まったく、昼食を忘れるとは宮部もおっちょこちょいだな」

 

やれやれと軽い溜め息をつきながら歩く彼女の手には小さい風呂敷包みが持たれている。

 

今日、連日行った猛訓練の疲れからか宮部が珍しく寝坊をし、本人は慌てて家を飛び出したが昼食の弁当を忘れていることに天城達が気が付き、その忘れ物を誰が持っていくかの話になった。

 

それに真っ先に手を挙げたのは赤城であった。しかし、男性の他に多くの女性も居る航空隊基地に赤城を行かせば何をしでかすか分からないため天城は承認せず、それを聞いた赤城は酷く落胆した。

 

土佐は修理が終えた艤装の調節をしなければならないと断り、天城には家の家事があった。残りは加賀一人となり暇だった彼女は忘れ物の届けを承諾した。

 

 

 

 

 

 

加賀「よし、ここだな」

 

天城の屋敷から歩いて15分、ようやく飛行場の入口へと到着した。基地内に入るため入口を警備する兵に話しかける。

 

加賀「重桜海軍第一艦隊所属の加賀だ。宮部 久蔵と言う男に用があって来た。通してくれ」

 

「少しお待ち下さい。お手元の荷物の中身は?」

 

加賀「用がある男の昼食だ。天城さんの家に住み込みしているのだが忘れてしまったようでな。私が届けに来た」

 

「了解しました。どうぞお通り下さい」

 

加賀「あぁ、感謝する」

 

あっさりと許可を貰い、基地の敷地内へと入る。

 

他国のスパイ防止や安全のため、普通ならば長〜い身分確認や身体検査等を行わなければ基地には入れないのだが、上記の心配が無い重桜KAN-SENは特別に免除されており自由に基地の出入りができるのである。

 

加賀「…ここに来るのも久しぶりだな」

 

1ヶ月半ぶりに見た、前と変わらない基地の様子に懐かしそうに呟く。

 

しばらく飛行場の風景を眺めていると、格納庫前に薄い鼠色の作業服を着た数人の整備員が集まっているのを見つける。

 

加賀「(あいつらなら宮部の居場所を知っているかもな)」

 

宮部の居場所を尋ねるため整備員達の場所に向かって歩み出す。

 

 

「ん?…えっ!?か、加賀さん!?」

 

すると一人の整備員が加賀に気づき急いで姿勢を正して敬礼をし、その人物の声で加賀に気づいた他の者達も続いて敬礼を行う。

 

加賀「はぁ…そんなに堅くならなくていいと言っただろう」

 

呆れるように溜め息を吐く。

 

「し、しかし…一応加賀さんは自分達の上官ですから…」

 

加賀「はぁ…前にも言ったが、お前達が堅いと逆に話しにくくなるから堅苦しいのはあまり好きではない。普通に接してくれ。分かったな?」

 

「は、はい。分かりました」

 

加賀「ところで宮部という男が何処に居るか知らないか?」

 

宮部「自分ならここですよ」

 

声のした方向に振り向くと、こちらに向かって歩いてくる宮部の姿。

 

宮部「どうかしましたか?」

 

加賀「ほら、忘れ物だ。今日はうっかりしすぎだ」

 

手にしていた忘れ物の弁当を包んだ風呂敷を宮部に手渡す。

 

宮部「あっ、すいません。わざわざここまで届けて頂いてありがとう御座います。加賀さんは優しいですね」

 

加賀「…次からは気をつけるんだぞ」

 

宮部の見えない角度で自身の照れ顔を隠す。心臓の鼓動が早くなるのを感じ取り、今まで感じたことのない感覚に少し困惑する。

 

しばらくして、緊張が解けた整備員らが先程行われていた宮部と基地搭乗員との模擬空戦について話し出す。

 

「それにしても宮部少尉の飛行技術は凄いですね。先程の模擬空戦でも相手を終始圧倒していて、まさに敵無しでしたよ」

 

宮部「いえいえ、そこまで言われる程の腕はありませんよ」

 

何度答えたか分からない、いつも通りの言葉で返す。そんな中一人の整備員が一言呟いた。

 

「もしかしたら二航戦の方どころか一航戦の方にも勝ててしまうのでは?」

 

加賀「ほぅ?それは聞き捨てならないな?」

 

その整備員の言葉で加賀の闘争心に火が着く。

 

『自分より強い』

そう他人に言われて黙っておけないのが、重桜一の戦闘狂と謳われる航空母艦"加賀"であった。

 

加賀「前から思っていたのだが良い機会だ。宮部、私と手合わせ願いたい」

 

宮部「えっ?手合わせ…ですか?」

 

突然の手合わせ願いに困惑した様子を見せる。

 

加賀「ああ。何か問題か?」

 

宮部「いえ…別に問題では…」

 

模擬空戦自体、宮部はあまり乗り気ではなかった。模擬空戦といえど所詮は練習であり、血で血を洗う実戦とは180度違う。それを理由に今まで何度も模擬空戦の願いを断ってきたが―

 

宮部「……分かりました。受けて立ちましょう」

 

少し考えた後に一回程度なら良いだろうと加賀との手合わせを了承する。

 

こうして加賀と宮部の模擬空戦が行われるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇数分後…◇◇◇

 

 

 

基地上空

 

 

宮部「(KAN-SENとの初空戦…どんな方法で仕掛けてくるかは未知数だな)」

 

頭を上下左右に動かしたり、機体を様々な角度に傾けたりして索敵を行いながら頭の中で相手の攻撃パターンを幾つも組み立てる。

 

今回の模擬空戦は、どちらが先に相手に命中弾を与えるかで勝敗がつく。そのため両者機体の20mm機銃及び13mm機銃には炸裂する実弾ではなく、弾頭が柔らかいゴム製の当たれば色が付着するペイント弾が搭載されている。弾は明石特製であり本人によれば『99.9パーセント安全だから安心して戦うといいにゃ!』とのことである。

 

宮部「(必然的に死角となる下方から来るか、太陽を背に上から来るか、それとも―)」

 

太陽光の眩しさに耐えながら太陽を観察していると、ほんの一瞬戦闘機らしき姿が見え、それを宮部は見逃さなかった。

 

宮部「(やはりそっちだったか)」

 

相手の搭乗している機は六四型を除いた二一型、三二型といった各型の中で最強と謳われる零戦五二乙型。強力な新型20mm機銃に13mm機銃と制限速度740.8km/hのその優れた急降下速度を活かして一撃離脱戦で決着をつけるのだろう。

 

幸い、動きが無いため恐らく相手はまだこちら気づいていない。

 

相手との高低差はおよそ1800m。この機に乗じて相手に接近するため雲を利用しながら上昇していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、加賀は宮部機を見つけるべく索敵を行っていた。

 

加賀「(今日は雲が多いな…)」

 

太陽を背に飛行しているため、相手が同じ高度を飛行していないか、太陽を見続けならなければ発見される可能性は少ない。しかし今日は雲の量が多く、彼女の視界を遮っていた。

 

加賀「(宮部は元一航戦所属の戦闘機搭乗員、どんな戦い方を見せてくれるだろうな)」

 

相手は6年以上戦い続けた超熟練搭乗員であり、それも元第一航空戦隊所属。舐めてかかれば瞬く間に落とされてしまうだろう。

 

加賀「(まずはあいつを先に見つけることに集中だ)」

 

再び索敵を始めたその時―

 

 

ダダダダダダダダッ

 

突如として背後から銃撃を受け、光弾の雨が加賀と自身の乗る機体にあらあられと降り注ぐ。

 

加賀「チィッ!後ろか!!」

 

加賀は機を咄嗟に捻らせて間一髪で躱す。

 

ブオォォォォォン

 

そして目の前を高速で過ぎる深緑色の零戦二一型。宮部の搭乗機である。

 

加賀「フッ、面白い!!」

 

先手を取られた。戦闘において先手を取られれば例外を除いて必ず不利になる。

 

しかし、彼女は口角を上げて笑みを浮かべ現在の不利な状況を楽しんでいた。

 

態勢を立て直すと機首を持ち上げて、上昇中の宮部機に獰猛な肉食獣の如く襲い掛かる。

 

ダダダダダダダダダッ

 

20mm弾と13mm弾のシャワーが宮部機を襲うが、宮部も乗機を捻らせて弾幕の雨をギリギリ回避する。そして加賀の乗る五二甲型の後ろに食らいつくため旋回を開始し、加賀もまた宮部機の後ろに付くため旋回に入る。俗に言う"ドッグファイト"である。

 

加賀「(中々追い付けん…やはり旋回戦では二一型に分があるか)」

 

彼女の乗る五二乙型は武装・防弾・速度性能が改良された代わりに運動性能を犠牲にしている。それに対し相手の二一型は防弾が皆無で五二乙型より速度が低いものの旋回性能が高く、格闘戦なら明らかに二一型が優位である。

 

そして数秒経たずして宮部機が後ろに回り込み、即座に機銃を射撃する。

 

加賀「クッ…!やるな…!」

 

左に急旋回して攻撃を回避し、宮部機が追従してくるが急降下と急上昇を織り交ぜた戦闘機動を繰り返し、機銃弾を回避する。

 

ヒュンッ!

 

すると右頬の僅か数センチ横を機銃弾が通過し、不気味な風切り音が鼓膜を伝わる。

 

加賀「(ッ…!攻撃が正確になってきたな…)」

 

コツを掴んだのか先程より攻撃の精度が良くなり、命中しそうな弾が多くなっている。

 

加賀「(…仕方ない。あの手を使うか)」

 

このままではいずれ命中して敗北してしまうと悟った加賀は意を決し、機体を蹴って零戦から勢いよく飛び降りる。

 

加賀「クッ…!」

 

下からの強い風圧を全身に受けながらも、空中で態勢を立て直し、自機を呼び戻そうとする。

 

彼女の取った行動に驚いたのか、宮部は落下する加賀を追跡せず捉えている戦闘機を攻撃する様子も無い。その内に飛び降りた零戦が落下中の加賀の元へと急降下で向かい、加賀は向かって来た自機に飛び乗る。

 

加賀「(グレイゴーストを真似て行ったが上手くいったな)」

 

昔のユニオンとの合同演習で対峙したとあるユニオン空母が見せた動きを思い付き、行動に移して成功させた加賀は素早く上昇すると宮部機の後ろを取る。

 

少々―いや、かなり卑怯な事かもしれないが、これもこの世界では立派な戦術である。

 

加賀「これで勝負は決まりだ宮部」

 

射撃しようとして勝ちを確信した次の刹那、視界から宮部機が居なくなる。

 

加賀「何っ…!?何処に行った?!」

 

慌てて周囲を見渡すが宮部機の姿は何処にも無い。すると背後から冷たい感覚を感じ取り、咄嗟に後ろに振り向くとそこには宮部機の姿。

 

こちらとの距離は僅か数メートルしかなく、相手の顔が見えるほど近い。

 

加賀「(…やられたな)」

 

ダダダダダダッ

 

宮部機から放たれた機銃弾は胴体、主翼、尾翼、風防へと命中し、その箇所は塗料で鮮やかに彩られた。そして加賀自身も13mm機銃弾数発が身体や顔へと当たって乗機と同様の姿となる。

 

加賀「……ふっ、敗北だな」

 

彼女は満足気味な表情を浮かべ、風防を開けて操縦席に座るとリラックスする。

 

宮部と加賀の初模擬空戦、勝負は宮部の勝利に終わった。

 

 

________________________________

 

 

 

 

加賀「よく働いてくれたな。感謝する」

 

乗っていた零戦の胴体を触りながら、労いの言葉を贈る。たとえ感情が無く言葉を喋れない機械でも自分のために一所懸命働いてくれたのには変わりない。

 

 

 

宮部「加賀さん、身体は大丈夫ですか?」

 

戦闘機を式神に戻して袖の中へ仕舞っていると、乗機を格納庫に戻した宮部が加賀の元へと近づき真っ先に身体に怪我が無いかを尋ねる。

 

加賀「ああ、大した怪我は無い。明石の作った弾と聞いて少し不安だったがその心配は無用だったな」

 

宮部「そうですか安心しました。これを使って顔でも拭いて下さい」

 

そう言い自身のタオルを差し出す。

 

加賀「ん、助かる」

 

加賀はそれを受け取り、手と顔に着いた塗料を綺麗に拭き取る。

 

その間、赤や青、黄色に緑色の塗料で汚れた加賀の服を見た宮部が申し訳なさそうな表情になる。

 

宮部「すいません加賀さん…服を汚してしまって…機体だけに当てようと思ったのですが失敗してしまいました…」

 

頭を深く下げて汚したことを詫びる。

 

加賀「なに、洗えば簡単にすぐ落ちる。そんなことで詫びる必要はない。…それにしても模擬空戦とはいえ私に勝つことができた者はお前が初めてだ。流石、元一航戦所属の搭乗員だな」

 

宮部「いえいえ、まさか加賀さんが飛行機から飛び降りるなんて、私でも度肝を抜かれましたよ」

 

加賀「あぁ。ユニオンのある空母がしていたことを真似たのだが、驚かせてしまってすまない」

 

軽く会釈して謝る。

 

加賀「また機会があればもう一度手合わせしよう。そして次は私が必ず勝つ」

 

宮部「模擬空戦はあまり好きではありませんが―仕方ありませんね。その時も受けて立ちましょう」

 

二人は固い握手を交わし、再戦を約束する。

 

宮部からは見た加賀は"優しくて頼れる人"、加賀から見た宮部は"信頼できるライバル"として二人はこれからもお互いを支えて合っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮部「ところで赤城さんは?」

 

加賀「宮部に会えなかったと自分の部屋で布団に包まって嘆いているだろう」

 

宮部「えぇ…」

 

 

to be Continue

 





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