異空のゼロ   作:89式小銃

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どうもお久しぶりです89式小銃です。

前話の投稿から1ヶ月以上が経ってしまい誠に申し訳御座いません…以後はなるべく早く投稿できるよう努めていきたい所存であります。

さて、今全国的に暑い日々が続いており熱中症に関するニュースを見かけますので皆様も水分を取る、冷房の聞いた部屋に居るなどをして熱中症にご注意下さい。

長文失礼致しました。それではどうぞ



21 悪しき風習

 

 

ある日の休日の昼前、基地から少し離れた町の中を宮部と赤城の二人が歩いていた。

 

 

赤城「〜♪♪♪宮部様とお買い物ができて赤城は嬉しいですわ〜♪」

 

歌いながらそう語る彼女は満悦な笑みを浮かべており、尻尾が嬉しそうにブンブンと左右に動いている。

 

宮部「あはは…ありがとう御座います赤城さん…」

 

苦笑しながら言葉を返す宮部。先程から周りの民間人からの視線が凄く痛い。

 

『ん?あれって赤城様じゃねえか?』

 

『おっ、本当だな。いつ見てもあの人は綺麗だな〜』

 

『でも隣に居る人は誰だろう?見た感じ軍人さんみたいだけど』

 

『それにミミや尻尾が無いね』

 

大勢の者が自身の耳に聞こえる声量で自分の事を話しているのだから、注目されるのに慣れている宮部でも少し気まずく感じていた。

 

宮部「あの…赤城さん…?少し距離が近くありませんか…?」

 

赤城「うふふっ♪わ・ざ・と近くしているのですよ宮部様♪」

 

そう言うと宮部の腕を引っ張って自分に手繰り寄せる。

 

赤城「これも、私と宮部様の仲を邪魔する害虫から守るためですわ♡」

 

宮部「は、はぁ…」

 

害虫とは…と気に入らない人物をそう呼ばわりする赤城に酷く困惑する。

 

赤城「あっ、そろそろ見えてきましたよ」

 

すると前方に見えてきたのは、多く人の人で賑わいどこか懐かしさを感じさせる雰囲気の商店街。

 

宮部「あれが赤城さん行き付けの場所ですか?」

 

赤城「はい♪さぁ宮部様も行きましょう♪」

 

赤城に手を引っ張られながら走るその姿は、傍から見ると彼氏と彼女であった。

 

二人は商店街の中へと入り、八百屋、魚屋、豆腐屋、土産屋といった数多くの店が立ち並んでいる中、とある一軒の肉屋を訪れる。

 

「おっ!!赤城ちゃんじゃねぇか!!久しぶりだなぁ!!」

 

カウンターに居た、店を切り盛りしている60代後半の大将と呼ばれている男性が笑顔で出迎える。

 

赤城「もう大将ったら…///恥ずかしいのでその呼び方は止めて下さいまし…///」

 

昔の渾名で呼ばれた赤城は恥ずかしそうに言葉を返す。

 

「ははは!!すまんすまん!!ところでお隣さんは誰なんで?」

 

宮部「どうも初めまして。重桜海軍航空隊所属の宮部 久蔵です」

 

軽く会釈して挨拶する。

 

「ほぉ〜また珍しい軍人さんやな。出身は何処かいな?」

 

軍人とは思えない態度や言動に、ケモ耳や尻尾等の動物的な外観の特徴が無い重桜人はこの国では珍しいため大将は出身を尋ねる。

 

宮部「神奈川の横浜です」

 

「あぁ〜横浜か。なるほどな」

 

相手は納得した素振りと、ほんの少し暗い表情を見せたがすぐに接客へと戻る。

 

「で、赤城ちゃん。今日は何を買いに来たんでぇ?良い肉が入っているよ?」

 

赤城「そうですね〜では、この豚ロースを600gほど頂けますか?」

 

「あいよ!1120円だよ!!」

 

財布から紙幣と硬貨を取り出し、提示されている値段と同じ額を支払う。

 

「まいどあり!!ちょいと時間がかかるから少し待ってもらうよ」

 

赤城「分かりましたわ。では宮部様。赤城は他の店を見に行ってきますので少しここでお待ち頂けませんか?」

 

宮部「分かりました。お気をつけて」

 

赤城「はい♪すぐに戻ってきますわ〜♪」

 

そう告げると足早に肉屋を去っていく赤城。

 

「ほんま、赤城ちゃん大きくなったなぁ〜昔は小さくて可愛らしかったあの娘が、今では長門様と共に重桜を守る立派なKAN-SENなんやからな〜」

 

購入した豚肉の梱包をする大将が赤城の後ろ姿を見ながら嬉しそうに話し出す。

 

宮部「赤城さんと大将さんには深い関わりがあるのですか?」

 

「そらもう、俺どころか商店街の殆どの店が赤城ちゃんと切っても切れない深い関係よ。昔、ここは人が滅多に来ない寂れた商店街で、どこの店も店じまいを考えていたんやが、ある日を境に大勢の人がやって来てこの商店街は再び活気を取り戻したんよ。」

 

宮部「大勢の人が?」

 

「そうや。どうやら、近くに宮部はんが今所属する海軍航空隊の基地が出来たらしくてな。本来ならこことは違う他県に建てる予定やったんやけど、赤城ちゃんが商売に悩む俺達のためにここに作って欲しいと上層部にお願いしてくれたらしいんよ。赤城ちゃんは小さい頃、ここで暮らしていたから俺達の事を思って、行動してくれたんやろうな」

 

赤城本人が大将の言っている通りに思って行動しているかは分からないが、商店街の人達は赤城が自分達のためにしてくれたんだろうと信じている。

 

宮部「なるほど。赤城さんは地元思いな方なのですね」

 

「ほんま、赤城ちゃんには頭が上がらないよ」

 

宮部「ところで大将さん。先ほど私の出身地を聞いて納得した素振りでしたが、横浜に何かあるのですか?」

 

「ん、そうやなー……2年前、あそこにはユニオン人が住むユニオン街ってのがあってやな。そこの町の住民の殆どが普通の重桜人と違うて、獣のミミや尻尾が無い人やってぎょうさんおったんや。やけど当時の指揮官がやらかしたあの事件以降殆どのユニオン人やその家族がユニオンに行ってもうて、そういった人が居らんようなって珍しくなってもうたさかいな。」

 

前任の指揮官が起こした事件は重桜側の責任であったが、反ユニオン主義のとある右翼新聞社がこの事件の詳細を軍内部の協力者からいち早く知ると共に、これを利用して『ユニオンKAN-SENが重桜KAN-SENを攻撃』という見出しで新聞を発行した。

 

メディアの影響は恐ろしいかな。その間違った情報は瞬く間に全国へと広がり、情報を疑わなかった人々は一斉にユニオンを批判した。

そして重桜に在留していたユニオン人も当然批判の的にされ、それに耐えられず在重桜ユニオン人の殆どが重桜を去った。

 

「あの頃のミミや尻尾が無い子や人は可哀想やったな…"重桜人のなり損ない"や"ユニオンのスパイ"で呼ばれて白い目で見られていたさかいな…」

 

宮部「………」

 

宮部は言葉を失う。外見が他人より少し違うだけで差別されることは聞いた事が無かった。

地球でも白人が肌の色が違うだけでアジア系やアフリカ系の人々を差別していたが、宮部はそれを知らなかった。

 

「それも質が悪いことに、政府上層部が主導で執り行っていたらしいからな」

 

宮部「重桜でそんなことが…」

 

戦前の日本でも支那人や朝鮮人、そして欧米人に対する差別や偏見は珍しく無かった。しかし、それは個人や団体といったささやかな規模なのに対し、こっちの世界では国が主導するほどの規模である。

 

国民を導く立場であるはずの政府が関与する差別に憤りを感じているとー

 

「や、止めて下さい!!」

 

「うるせぇユニオンのスパイが!!」

 

近くから女性の悲鳴と罵倒する男の声が聞こえてくる。

 

宮部「…大将さん。赤城さんが帰ってきたら自分は手洗いに行っていると伝えて下さい」

 

「ちょっ、何処へ行くんで宮部はん?」

 

宮部「少し話し合いに行って来ます」

 

そう大将に伝えると、女性の悲鳴が聞こえてきた野次馬が集まっている場所に向かって走り出す。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「さっさと自分の国に帰ったらどうだ!!重桜人に化けたユニオン人め!!」

 

「ち、違います!!自分はユニオン人では…!!」

 

集まる野次馬の中心部には、着物を着た光り輝く金髪が特徴のユニオン人に似た顔立ちをした女性が地面にへたり込んで、三人の屈強な男達に囲まれていた。

 

男達が話す意味が分からない話に対して、女性はビクつきながら強く反発するが男は聞き入れず、ますます語気を強める。

 

「うるせぇ!!お前らユニオン人は重桜に居場所なんかねぇんだよ!!」

 

そして女性に向けて拳を振り上げるが、直後手首を誰かに掴まれ、女性の顔ギリギリで拳が止まる。

 

宮部「女性に手を出すとは大人げないですね」

 

「あぁ?なんだお前?」

 

止めに入った宮部にガンを飛ばす男。しかし軍人であり幾度もの死線を乗り越えてきた宮部は怖気づかない。

 

そして、なるべく穏便に済ませるためまずは相手に話を聞く。

 

宮部「一つ聞きますが、なぜこの方を差別をするのですか?」

 

「はっ!何を言うかと思えばそんなことか?そいつが重桜に卑怯にも撃を吹っ掛けてきたユニオン人なのにのうのうと何も無かったかのように生活しているから、俺達が成敗してやるんだよ!!」

 

男のあまりの理不尽な暴論に、内心呆れ返る。

 

「ところでお前も重桜人じゃないようだな?俺達を邪魔するなら、この女と一緒にぶちのめしてやるからーなっ!!」

 

掴まれていない手で宮部の顔面に向かって拳を振り上げるが、宮部は相手が手を出してくるだろうと見越していたため、余裕で回避し相手の拳は宙を空振る。

 

そして穏便に済ませる事が不可能だと判断した宮部は、相手の腕を掴むと前方に浮かし、背中にかつぎ肩口から投げて背負投げを行う。

 

「ガハアッ…!」

 

受け身を知らない男は、石で舗装された地面に強く叩きつけられ、腰を強打するとあまりの激痛に仰向けの状態で動けなくなる。

 

「こ、こんの野郎!!」

 

様子を見ていた2人目の男が顔に向かって拳を振り上げて殴りかかってくるが、咄嗟にそれも回避し首に手刀を打ち込んでこちらも無力化する。

 

宮部「2人は襲いかかってきましたが、貴方はどうしますか?」

 

「く、クソっ!!お、覚えていやがれっ!!」

 

そして最後に残った男は倒れた仲間を背負い、最初の男も腰を押さえながら立ち上がって、男達はその場から脱兎のごとく逃げ去っていく。

 

宮部「ふぅ…お怪我はありませんか?」

 

へたり込んでいる女性に近づき、手を差し伸べる。

 

「は、はい。助けて下さりありがとう御座います」

 

女性は宮部の手を掴んで立ち上がると、深いお辞儀をし感謝を伝える。

 

宮部「いえいえ、当然の事をしたまでです。しかし、相手の話を聞いていましたが姿が違うだけで差別するとは許せませんね」

 

「………」

 

宮部「?どうかしましたか?」

 

「…えっ?あ、いえ、私のことを気遣ってくれる人が初めてだったもので…」

 

宮部「………」

 

今までの出来事を思い出したのか悲しそうに話す女性の言葉に気が咎めてしまい、口を紡ぐ。

 

赤城「宮部様〜?何処にいらっしゃるのですか〜?」

 

すると、遠くから自分の名を呼ぶ赤城の声が聞こえてくる。

 

宮部「(おっと、赤城さんが呼んでいるな。)では自分は用事がありますのでこれで失礼します」

 

「…あ、あの!お名前だけでも…!」

 

名前を聞こうとするが、宮部はすぐにその場から去っていってしまう。

 

「(なんだか不思議な人でしたね…)」

 

宮部の後ろ姿が見えなくなると、近く海軍航空隊基地に所属する息子に仕送る和菓子が入った箱を大事そうに抱え、自宅への帰路につく女性であった。

 

 

 

to be Continue

 






金剛1125さん、ハイトさんから☆10、東ドイツ空軍航空部隊さんから☆9を頂きました!!皆様、高評価ありがとう御座います!!

誤字、脱字、文がおかしい所があればご報告よろしくお願い致します。そして感想、評価、お気に入り登録も何卒よろしくお願い致します。

それではグッバイ

尻尾をモフるとすれば?

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