どうも89式小銃です。
最近、非常に忙しかったので約1ヶ月ぶりの投稿となってしまいました…誠に申し訳御座いません…以後も忙しくなると思いますので月に1、2回の投稿頻度となってしまう可能性がありますが気長にお待ちいただけますと幸いです。
それではどうぞ
基地上空
菊池『あーあーこちら菊池少佐。宮部少尉聞こえますか?どうぞ』
宮部「こちら宮部。感度良好です」
機内で無線機越しに話を交わす二人。今、宮部の乗っている十七試戦闘機は高度2.000mの上空にいる。
菊池『了解しました。乗り心地はどうですか?』
宮部「はい。機内は広いですし振動も少ないので、零戦より快適に感じます」
菊池『好評のようでよかったです。では、これより飛行試験を開始します。まずは最高速度を調べますので高度6.000mまで上昇をお願いします』
宮部「了解」
菊池少佐からの指令を承諾すると、機内に備え付けられた酸素マスクを装着する。高度6.000mの酸素濃度は48%と地上の半分以下であり、酸欠によって低酸素症へと陥って思考力が低下するたいへん危険な状態となってしまう。
そのため、重桜海軍では高度4.000m以上からは酸素マスクの着用を義務付けるよう搭乗員に指導している。
宮部「(よし、行くぞ)」
操縦桿を少し引き、失速しないよう浅い角度で登っていき、そして数分後には言われた高度6.000mに到達する。
菊池『では、最高速度の計測を始めます』
宮部「了解」
スロットルレバーに力を入れ前へ少しずつ倒し、出力を上げていく。
速度計に表示される巡航速度の415.0km/hから、440km/h―470km/h―500km/hと段々速度が上がっていくのを確認する。
宮部「(凄い加速力だ、零戦の最高速度をもう超えてしまったな)」
零戦とは比べ物にならない加速性能の高さ、そして自身が大戦後期から乗っていた五二型の最高速度565km/hを軽々と上回ったことに感心する。
そして数秒後、速度計の針が655.9km/hの所で停止し6.000m帯での最高速度を示す。
宮部「こちら宮部。速度は655.9km/hを記録しました」
菊池『ふへっ!?りょ、了解しました!!』
宮部からの報告を受けた菊池少佐は驚きのあまり変な声を出してしまう。開発段階では610.0km/hと2000馬力級エンジンを搭載した戦闘機にしては低い数値を予想していたが655.9km/hと予想値を40km/hも上回り、高速艦上戦闘機として名が知られているユニオン海軍の『F4U-1D"コルセア"』の658km/hに匹敵する高速を発揮したのだから。
予想外の高性能に対し菊池少佐は、無線越しで聞こえるほど喜んでいる。
宮部「菊池少佐?」
菊池『あっ…お、おほんっ失礼しました…では、次は上昇力を調べます。まずは高度10.000mまで上昇をお願いします』
宮部「了解です」
操縦桿を引き、浅い角度で再び登っていく。高度計の針が時計回りで回っていき6100m―6200m―6300m―6400mと順調に登っていく。
零戦では地上から10.000mまで登るのに30分近くの時間が掛かっていたが、6.000mからとはいえ米軍機並みの上昇力でぐいぐいと登っていく本機の上昇力に、宮部はただただ感心する。
そして機体は高度10.000mに到達した。
周囲は雲ひとつ無く青い空だけの景色が広がり、地上の基地は米粒のように小さい。同高度から日本本土爆撃を行っていたB-29の搭乗員もこんな景色を見ていたのかと、当時の様子が想像できた。
宮部「こちら宮部、高度10.000mに到達」
菊池「了解です。身体に異常はありませんか?」
宮部「はい、少し寒い程度で問題ありません」
今、機外の気温はおよそ−50℃以下とソ連シベリアの平均気温を下回る極寒の寒さであり、防寒対策が不十分だと数分経たずして低体温症へと陥ってしまい、重大な事故に繋がりかねない。
電熱線が入った冬用飛行服を着ていても少し寒く感じるが、心配させないため菊池少佐の気遣いに大丈夫だと返答する。
菊池「では、限界高度を調べますので徐々に上昇をお願いします」
宮部「了解です」
指示を受け取り、次の試験を開始する。
その後も急降下速度や旋回半径、失速速度などを問題なくパスしていき、試験は順調に進んでいく。
◇ ◇ ◇
菊池「いや〜予測より高い数値を叩き出して嬉しいですよ!」
次々と予測を上回る性能値が叩き出され、記録されていく様子を見て興奮気味に話す菊池少佐。
そんな彼女とは裏腹に、遥か高空を飛ぶ宮部の機を見つめる天城はどこか浮かない表情をしていた。
天城「(今思えば、宮部さんとの約束を守れていませんでしたね…)」
病院で話を交わした際、彼を元の世界へと返すためにあらゆる手段を使って協力すると約束を交わした。しかし現実は自分達のために都合の良いように働かせてしまっていた。
天城「(今度、宮部さんと話をしなければいけませんね…)」
本人は気にしていない様子だが、いつまでもそうする訳にはいかない。約束を守れていない事への謝罪や元の世界に戻す方法の調査を含めた話し合いを近日中に行うことを思い立つ。
「…ん?あれはなんでしょう?」
すると、双眼鏡を覗いていた女性下士官の一人が遥か上空を飛ぶ、十七試戦闘機とは別の飛行物体を見つける。
「今日は周辺基地の部隊の飛行予定ってありましたっけ?」
「いや無いはずだが?それにしてもあの機体やけに黒いな、一体どこの部隊だ?」
その飛行は物体は全体が深い黒色に染まり、後部から棒状の炎を吹き出してまっすぐ宮部の乗る試作機へと向かっていた。
明石「んー?……にゃ!?あれはセイレーンにゃ!!」
菊池「な、なんですって!?」
明石の叫びを聞いた菊池達も急いで双眼鏡を覗く。遥か高空のため少し見づらいが、その外観は確かにセイレーンが使用する航空機だった。宮部はまだ気づいていない。
天城「指揮官様!直ちに宮部さんへ連絡を!!」
菊池「わ、分かったわ!!」
◇ ◇ ◇
菊池『こちら菊池!!宮部少尉!!宮部少尉聞こえますか!?』
宮部「き、菊池少佐?どうかしましたか?」
突然掛かってきた通信機から流れてくる慌てふためいている菊池の声に、何事かと困惑する。
菊池『5時の方角からセイレーンが急速接近中です!!数は3ー』
ババババッ
彼女からの通信が終わる前にセイレーンの戦闘機は宮部の乗る機体に向かって射撃を開始していた。放たれた機銃弾は五月雨式に宮部の機体を襲う。
宮部「(何っ…!?クッ…!!)」
咄嗟に乗機を捻らせ、間一髪で銃撃を回避する。そしてすぐ横をセイレーン戦闘機3機が猛スピードで通過する。
宮部「(ッ…油断だ…)」
悪寒が走り全身に鳥肌が立つ。もし菊池少佐が知らせてくれなかったら、対応が遅れて機体ごと穴だらけにされていたことだろう。
通過していったセイレーン戦闘機は上向きに旋回を始めていた。宮部は操縦桿を前に押して急降下し、再び自分に攻撃を仕掛けようと曝け出したセイレーン戦闘機の機体上部に13mm機銃弾を叩き込む。
ガンッ ガンッ
しかし、機銃弾を受けたセイレーン戦闘機は何ともないようで降下してきた宮部機とヘッドオン状態となり、距離が非常に近かったこともあってお互いは攻撃せずそのまま通り過ぎる。
宮部「(やはり演習弾では効果が薄いか…)」
この十七試戦闘機には20mm機銃と13mm機銃がそれぞれ2挺ずつ搭載されているが、試作機かつ今回はあくまで飛行試験のため機銃弾は炸薬が入っていない演習用徹甲弾を半分しか搭載していなかった。たとえ機銃弾が命中しても炸裂せず貫通するのみで、加えて安全のため発射後は運動エネルギー…つまり速度が低下する構造にしてあるため、撃墜するのは熟練搭乗員でも至難の技である。
宮部「(…あれをやってみるか)」
咄嗟に思いついたある方法を試すべく宮部は最後尾に位置していたセイレーン戦闘機の背後を取る。そして、攻撃が確実に命中する僅か数十メートルの至近距離まで接近すると隙かさずスロットルレバーの20mm機銃射撃レバーを握り込む。
ダダダダダッ
ガコンッ ガコンッ ボンッ
発射された20mm演習徹甲弾はセイレーン戦闘機の後方にあるエンジンへと次々に命中し、
宮部「(ふぅ…この距離まで接近して撃っていたとは、石岡はやはり凄腕の搭乗員だな)」
昭和十七年の秋頃、ラバウルに進出してきた第三航空隊の一部隊に所属し共に戦った戦闘機搭乗員の石岡がよく使用していた"通称"『石岡の体当たり戦法』
敵機との距離を50メートル以内の必中距離まで接近し、確実に弾を命中させるその戦法を応用することで、演習弾での敵機撃墜を成功させた。
宮部「(よし、あと2機だな)」
次の狙いを二番目の敵機に定める。セイレーン戦闘機は降下で逃れようとするが、行動移る前に宮部機から発射された20mm機銃弾が襲う。
ガコンッ ボンッ
そして2機目もエンジンから黒煙を吹かして墜落していく。これで1対1となった。
最後に残った敵機は急上昇して宮部から逃れようとする。
高高度域での上昇力が低い零戦が相手だったならそれで逃げられたかもしれないが、十七試戦闘機は高高度域の上昇力が優秀なF6F"ヘルキャット"やF4U"コルセア"に対抗できるよう設計されている。
宮部は操縦桿を一杯に引いて敵機をすぐさま追いかけ、数秒もしないうちに急上昇で速度が落ちているセイレーン戦闘機の背後につく。
そして照準器に敵機を捉え、無表情で20mm機銃の射撃レバーを引き13mm機銃の射撃ボタンを押し込む。
ダダダダダッ
バババババ
ドンッ!!
発射された機銃弾の雨は次々とエンジン部分に吸い込まれていき、そしてエンジンが爆発。高温の爆炎は積載されていた燃料に火を着け、搭載されている機銃弾を誘爆させてセイレーン戦闘機は大きな爆発を起こし空中に大小の残骸を撒き散らす。
宮部「(ギリギリの戦闘だったな…)」
計器板上の残弾指数器に目を遣る。20mm弾・13mm弾の針は共にゼロの値を指していた。
宮部「(…他のセイレーンは居ないようだな)」
機体を傾けたり背面飛行をしたりして、奇襲に警戒する。
奇襲は戦闘終了後の、部隊が集合している時が最も危ない。もう敵機は居ないだろうと油断しているからである。そのため味方機と合流して安心しきっていた搭乗員の多くが奇襲や待ち伏せ攻撃によって食われた。
入念に安全確認を行い敵機が居ないことを確認するとひとまず一息つき、戦闘で緊張し硬くなった体と心を落ち着かせる。
菊池『…宮…少…!宮部…尉…!宮部少尉無事ですか!?』
すると、無線機から安否を尋ねてくる菊池少佐の声が雑音が混じりつつも聞こえてくる。
宮部「こちら宮部、自分は無事です。機体にも異常ありません」
菊池「本当に無事で良かったです…電探部隊に確認したところ周囲に敵機の姿はありませんでした。着陸の態勢を整えましたので帰投頂けますか?」
宮部「了解しました」
通信を終えると、機体を下方に傾け少しずつ降下していく。
基地∶滑走路
赤城「宮部様〜っ!!!!」
無事着陸し操縦席から地面に降り立って早々、天城の屋敷に居るはずの赤城が慌てた表情で自身に向かって飛び込んでくる。
赤城「お身体は大丈夫ですか!?お怪我は!?私の事を覚えていますか!?」
飛行服の上から宮部の身体を触って怪我が無いか隅々まで確認する赤城。
宮部「あ、赤城さん?一度落ち着いて―」
赤城「宮部様、服を脱いで下さいまし!!さぁ、早く!!」
宮部「えっ!?ま、待って下さい赤城さん!?」
このままでは大勢の前で下着姿の自分を晒してしまう。
既に救命胴衣を外し、飛行服のボタンを外そうとしている赤城を止めようとしたその時―
_人人人人人人_
> げ ん <
> こ つ <
ー Y ^ Υ ^ Υ ^ Υ ー
赤城「ッッ…!!」
声にならない悲鳴を上げながら地面にしゃがみ込み、林檎並のたん瘤ができた頭を抱える赤城。隣にはやれやれとため息をつく天城の姿。
天城「まったく…この前に宮部さんに迷惑をかけてはいけないと言ったばかりですよね赤城?」
赤城「うぅっ…ですが天城姉様…」
天城「赤城?」
赤城「ヒィッ…は、はい…」
オーラと不気味な笑顔で赤城を黙らせる。
菊池「ははは……とりあえず、宮部少尉が無事で良かったですよ」
宮部「ありがとうございます菊池少佐。もしあの時、少佐が連絡してくれなかったら私は無傷では済まなかったかもしれません。改めて感謝します。」
飛行帽を外し、菊池に向かって大きく頭を下げる。
明石「それにしてもにゃ。あのセイレーン戦闘機はどういった目的で、どこから来たんだにゃ?」
今回、来襲してきたセイレーン機の目的が何なのか疑問を浮かべる明石。
ここから近くのセイレーン基地でも重桜から2.450km以上も離れており戦闘機のみでは辿り着くのは不可能である。仮に空母を伴った艦隊で来るとしても、伊豆諸島や本土沿岸に張り巡らされたレーダー網や近海を哨戒する艦隊に発見され、即座にこの基地に連絡が飛んでくる。
菊池「偵察…ではないですよね…それが目的なら敵機に攻撃を仕掛けて自分達の存在を晒すようなヘマはしないですし…」
「「「う〜ん…」」」
頬杖をついて深く悩む面々。
天城「ずっと悩んでいても仕方ありませんよ?休憩用にお茶を用意致しましたので皆さんどうですか?」
そう話す天城の背後に視線を移すといつの間にかあった長机に、いつの間にか用意されていた人数分の菓子とお茶。
赤城「天城姉様、いつの間に用意を?」
明石「流石は天城にゃ…何事にも抜かりなしにゃね…」
「恐ろしく速いお茶の用意、私じゃなかったら見逃しちゃうわね…」
「君は何を言っているんだ?」
宮部「ありがとう御座います天城さん。ではありがたく頂戴致します」
結局セイレーンの目的は不明のままであるが、今は天城のご厚意を堪能するとしよう。
こうして新型機の飛行試験は、途中想定外のハプニングがあったものの無事に終えることができたのであった。
to be Continue
英語わかんないさんから☆9を頂きました!!高評価ありがとうございます!!
誤字、脱字等があれば報告よろしくお願い致します。そして高評価、感想、お気に入り登録お待ちしております!!特に感想とお気に入り登録が嬉しいです!
次回は、鉄血KAN-SENが登場予定ですのでお楽しみに!
それではグッバイ
尻尾をモフるとすれば?
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赤城
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