どうも、天城さん(空母)の育成に力を入れている89式小銃です。
ここ最近、仕事が忙しく小説に手を付けられなかったため、投稿期間が大幅に空いてしまいました…誠に申し訳御座いません…
次回は15日までに仕上げたいなと考えております。予定が変わる可能性もありますが、それまで気長にお待ち頂けますと幸いです。
長文失礼しました。それではどうぞ
宮部「えっ…?それはどういう…」
突然オイゲンから告げられた言葉に、思わず呆然とする。
そんな様子の宮部を他所に、オイゲンは話を続ける。
オイゲン「重桜人には必ずあると言っていい動物の尻尾や耳が無いあなたの姿を見た時からおかしいと思ったわ。そして、格納庫にある貴方の乗り物にあった日記を少し拝見させてもらったわ。大日本帝国、アメリカ合衆国、第二次世界大戦、大東亜戦争と聞き慣れない単語ばかりだった。書かれていた内容も適当に創られた架空の話ではなく、それを確かに経験している現実味のあるものだった。だからあなたは別の世界から来た人間、そうじゃないかしら?」
宮部「………」
そこまで知られてしまっては、流石に事実を隠し通すのは難しかった。
宮部が異世界から来たということは指揮官の栗田や天城達重桜KAN-SENしか知らず、基地の者や外部の人間はその事を一切知らされていない。異世界から来たため、この世界の身分を持っていない宮部がユニオンやロイヤルのスパイ疑惑の容疑で捕まらないためにだ。
正直に本当のことを言ってもいいのか迷いが生じるが、考えてみると相手は外国のKAN-SENであり、そもそも重桜軍との繋がりが殆ど無いと思われる。
最終的に宮部は、自身のことを彼女に話しても大丈夫だと判断した。
宮部「…はい。オイゲンさんの言う通りです。自分はこの世界の人間ではなく、地球の日本という所からやって来ました。…いや、来てしまったという言葉が正しいですね」
オイゲン「フフッ、予想どおりね」
まるで秘密の宝箱を探し当てた子供のような笑みを浮かべるオイゲン。
だが、その笑顔はどことなく作り笑いのような感じがしてならない。
オイゲン「それにしても異世界ねぇ。正直言うと貴方の世界に興味があるわ。これでも飲み交わしながら一緒にお話でもどうかしら?」
そう言うと、胸元からスキットルを取り出すオイゲン。
宮部「お酒…ですか…?」
オイゲン「ええ、これを飲むと話が進むのよ」
昼からお酒は健康に悪いのでは?と思う宮部だが、彼女のご好意を無下にする訳にはいかない。
そして何処から取り出したのか分からない、オイゲンが差し出した小さなグラスを受け取り酒を注いでもらう。
宮部「…良い香りですね。どんなお酒なのですか?」
オイゲン「ラドラーよ。鉄血で数多くあるビールの一つ」
"ラドラー"
ビールにレモネードやサイダーなどを加えてある酒である。レモンを加えれば爽やかな酸味がビールの苦味を抑えながらも、スッキリとした喉ごしを楽しめることができる鉄血で人気なビールの一つである。
宮部「ビール…とはなんでしょうか?」
オイゲン「あら、知らなかった?まぁ簡単に言えば麦を発酵させて作ったお酒よ」
宮部「麦を発酵…なるほど」
初めて飲むビール"ラドラー"がどんな味なのかと想像しながら、一口飲む。
口に含んだ瞬間、独特な少しの苦みとほんのりとした香りを感じ、その後にスッキリとした甘さのレモンが口全体に広がる。軽やかで喉ごしがいいラドラーに舌鼓を打つ。
オイゲン「気に入ったかしら?」
宮部「そうですね…独特な苦味と香りですが、後からレモンのスッキリな甘さが口の中に広がります。日本―重桜酒より飲みやすいですね」
オイゲン「そう、気に入ってくれて良かったわ。じゃあ早速だけど、貴方の世界について教えてくれないかしら?」
宮部「分かりました」
何回語ったか分からない自分の世界の話を、彼女に話し始める。
祖国である大日本帝国のこと
自身の生い立ち
第二次世界大戦のこと
そして、鉄血に似た国家―ナチスドイツという国のことを彼女に伝える。
オイゲン「第三帝国総統アドルフ・ヒトラー、アーリア人至上主義思想、ユダヤ人の大量虐殺…そんな国が貴方の世界に存在したのね」
初めて聞く異世界の話はオイゲンにとって興味深いものだった。また、ナチスドイツの話を聞いた彼女は強い衝撃を受けた。
ドイツ人もといアーリア人の理想郷を創るため周辺諸国を瞬く間に占領し、そしてユダヤ人や占領下の民間人を数千人単位で虐殺する国は想像できない。とても同じ人間がやっていることとは思えなかった。
宮部「ナチスドイツによって罪の無い大勢の民間人が虐殺されました。今後、彼の国のような国が現れないことを祈るしかありません」
宮部は反ナチス派の人間であり、ナチスドイツのような全体主義国家が現れないことを誰よりも切実に願っていた。
宮部「…ふと気になっていたのですが、なぜドイツ海軍の話を聞きたがっていたのですか?」
そう尋ねる宮部。ナチスドイツに関する話の中で海軍関連の話が出ると、オイゲンは自身に質問を繰り返していた。
オイゲン「………」
すると、陽気に話していた彼女の表情が重くなった。
宮部「あっ…すいません…」
話したくないことを聞いてしまったのかと思い、すぐに謝罪する。
オイゲン「…皆は私のことを幸運艦、幸運艦と呼ぶけどそれは違う。私は周りを不幸にする死神となんら変わりないわ」
宮部「えっ…?死神ですか…?」
突然始まった彼女の語りに困惑しつつも、その話の中にあった死神という言葉が気になる宮部。
オイゲン「戦闘の度誰かが傷ついて、私は必ず無傷で帰還していた。かの大戦でもそうだった。たとえ大きな損傷を負っても生還して周りの仲間は次々と沈んでいく。シャルンホルスト、グナイゼナウ、ドイッチュラント、ライプツィヒ、ビスマルク、そして姉さん達も―結局、私は大戦終結まで生き残ってしまった」
今まで心の中にあった本音を次々と晴らしていくオイゲン。不思議と彼になら自分の心の内を話すことができた。
オイゲン「助けられる機会は幾らでもあった、でも助けられなかった。…きっと沈むのが怖かったからなのかもね。だから私は、鉄血のみんなと一緒に居る資格すら無いわ」
そう語る彼女だが、遠くの水平線をみつめる目はどこか寂しそうだった。
宮部「(なるほどな…)」
宮部は彼女の一連の話を聞いて合点した。
最初に会った時から彼女は鉄血メンバーとどこか距離を置いている様子だったが、それは仲間達が沈んでいく中終戦まで生き残ってしまった申し訳なさ、そして仲間を助けられなかった自分の無力さが原因であり、そのため彼女は自身を孤独に追いやっていた。
オイゲン「…重巡洋艦である私が敵から逃げ回るなんて情けないわね。このことは忘れ―」
宮部「情けなくなんかありませんよ」
オイゲン「…え?」
予想外の言葉に、彼女は素の言葉が出てしまう。
宮部「誰だって死ぬのは怖いです。それは人間と同じように遊んで、食べて、寝たりするKAN-SENも同じです。自分も死ぬのは怖いです。妻と子供に会えないということがどんなに恐ろしいことかと毎日思っていました。だから必死に生き残ってきました」
ミッドウェー海戦、ガダルカナル攻防戦、レイテ沖海戦、日本本土空襲―数多の戦死者が出た地獄のような戦場でも、宮部は妻子と会うため"海軍一の臆病者"、"帝国海軍の恥"と仲間内から呼ばれようが必死に生き延びてきた。
宮部「過去の事を思うのは大切です。ですが、それをずっと続けていては身と心がきっと保ちません。今を真っ直ぐ歩み続けた方が良いのではと自分は思います。それに仲間達と一緒に居る資格が無いとオイゲンさんは仰っていましたが、仲間達はそう思っていないのではと私は思います」
前までの自分が抱えていた自責・後悔の念を晴らしてくれた天城の言葉を使い、彼女にアドバイスを送る。
オイゲン「……フフッ、天城みたいなことを言うわね。でもありがとう、少し気持ちが楽になったわ」
彼女はそう言ってニッコリと微笑む。その笑顔は作り物ではない、本物の笑顔に見えた。
オイゲンは飲み終えたグラスに酒をもう一度注ぐと、そのグラスを持ち上げる。
オイゲン「貴方が元の世界へ帰れることを祈っているわ。その間はよろしくね、異世界の兵隊さん♪」
宮部「ありがとう御座いますオイゲンさん。こちらこそよろしくお願いします」
カンッ
二人は乾杯し、辺りにグラス音が響き渡る。
◇ ◇ ◇
宮部「(ん…もうこんな時間か)」
気がつくと、日が傾き辺りの芝生は夕焼け色に染まっていた。
宮部「だいぶ暗くなってきましたし、私はこれで―」
オイゲンに一言告げ帰ろうと立ち上がるが、突然片腕を彼女に掴まれる。
オイゲン「あら、もう帰る気かしら?もうちょっと飲みましょう?」
そう言う彼女の顔は赤くなっており、地面には10つ以上のスキットル。明らかに酔っていた。
宮部「お、オイゲンさん?私は用事があるのd…おわっ!?」
直後、片腕を物凄い力で引っ張られた宮部は地面に倒され、プリンツ・オイゲンに覆いかぶさられる状態となる。
オイゲン「フフッ、可愛らしい顔ね。今日の夜は私と一緒に過ごさないかしら?」
そう言い舌舐めずりする彼女の目は、獲物を捕らえた狼そのものだった。
宮部「えっ?あ、あの…オイゲンさん?」
このままでは喰われる。身の危険を感じた宮部が逃げようとしたその時―
加賀「そこまでにしたらどうだオイゲン」
偶然かそこに加賀が現れ、鋭い目線でオイゲンを咎めている。
オイゲン「あら加賀。あなたも一緒にどうかしら?」
加賀「する訳ないだろう。」
オイゲン「あらあらつれないわね。まぁ今日はこの辺にしておこうかしら。フフッ、ではまた会いましょう
そう告げると宮部に向かって投げキッスし、その場から立ち去っていくオイゲン。
加賀「はぁ…まったく」
宮部「ふぅ…ありがとう御座います加賀さん。おかげで助かりました」
加賀「礼には及ばん。…それにしても毎度思うがお前はよく好まれるな」
宮部「そうでしょうか?」
加賀「ああ。赤城姉さまを筆頭に大鳳や愛宕、そしてオイゲンと色々な者から好意的な視線を向けてられているぞ。いつしか全員から襲われてしまうかもな」
宮部「あはは…それは困りますね…」
その言葉に失笑するしかなかった。加賀の言う通り、全員に襲われていつしか貞操の危機を迎えてしまいそうである。
加賀「…ん?この匂いはラドラーか?」
宮部「(匂いだけでよく分かったな…)はい。オイゲンさんから一つ頂いたのですが、よければこの後一緒に晩酌でもどうですか?」
加賀「ああ、ぜひ頂こう。晩酌ついでに明後日の重桜と鉄血の合同演習についてお前の意見を聞かせてくれないか?」
宮部「えぇ、いいですよ」
そして天城の屋敷へと帰路につく二人。
その後、夜遅くまでラドラーとつまみをお供に明後日の演習について意見を交わし合うのであった。
to be Continued
ボールをミートで叩く男、上林さん、tk5254さんから☆9。東海さんから☆6を頂きました!!評価ありがとう御座います!!
少し急いで書いたので文章的におかしい箇所があると思われますが、大目に見て頂けますと幸いです。誤字、脱字等がありましたら報告よろしくお願い致します。
感想、評価、そしてお気に入り登録をよろしくお願い致します。カンソウホシイナ〜
それではグッバイ
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