異空のゼロ   作:89式小銃

28 / 28
どうもお久しぶりです89式小銃です。

前回の投稿から約3ヶ月…とんでもない月日が経っていたことに驚くと共に、読者の皆様には長らく待たせてしまい誠に申し訳ねぇです…

以後は2週間に1話は投稿できるよう、本官は努めていきたい所存であります。
また、脳の疲労度120%で内容を考えていたので、題目と内容が合ってないかもしれませんが目を瞑って頂けますと幸いです。

それではどうぞ



28 小さくなった天城さん 後編

 

 

翌日 早朝

 

海軍航空隊基地 司令棟

 

 

日の出が始まり、空が鮮やかなオレンジ色に輝く早朝。いつもより早く起床した宮部と天城は、まだ誰も歩いていない司令棟の廊下を歩いている。

 

宮部「(こんな朝早くから指揮官の仕事をしているなんて、栗田中佐は大変だな…)」

 

2人は基地司令官だけではなくKAN-SENを指揮する指揮官としての業務を請け負う栗田の仕事を手伝うために司令官室へと向かっていた。

 

宮部「天城さん。前々から気になっていたのですが、指揮官とは戦闘指揮以外に普段どんな仕事をするのですか?」

 

天城「そうですね…KAN-SENのメンタルケアや装備品の備蓄確認、演習や訓練の調整など他にも様々な種類のお仕事がありますわ」

 

宮部「そ、そんなに沢山あるのですか。それを全部こなしている栗田中佐は凄いですね…」

 

想像より多い指揮官の仕事内容に驚くと共に、それを一航空隊基地の司令官と兼業している彼女の働きぶりには感心しかない。

 

他に気になったことを色々と質問していると、いつの間にか基地司令官室の前に到着していた。

 

天城「指揮官様、お仕事の手伝いに参りましたわ」

 

栗田「…どうぞ、入って頂戴

 

宮部「(?いつもより元気が無いな)」

 

いつもより小さく疲れているような栗田の声が聞こえ、大丈夫なのかと心配になる。

 

天城「失礼致します」

 

天城が扉を静かに開け中に入っていく。

 

宮部「失礼します」

 

自身も続いて部屋に入るのだが、入った瞬間かなり衝撃的な光景が目に映った。

 

宮部「(こ、これは…)」

 

視線の先にあったのは、小さな執務机と近くの床に積まれた紙の山、――

 

それは見るのが嫌になるほどの、書類の山盛り状態であった。

 

栗田「天城に宮部少尉、来てくれて凄く助かるわ…

 

天城「…指揮官様、また仕事を溜め込んだのですか?」

 

栗田「あはは…本職の仕事に集中していたら、いつの間にか溜まってしまっていてね…

 

やらかしてしまったと苦笑いする栗田。そんな彼女の目元には遠くから見ても分かるほどの目クマができており、何日間も徹夜して作業していることが想像に難くない。

 

栗田「それにしても…本当に天城が小さくなっているのね。…ちょっと写真を撮って良いかし―」

 

天城「指揮官様?

 

栗田「じょ、冗談よ」

 

天城の気迫を受け、取り出そうとしていたカメラを静かに仕舞い込む栗田。

 

天城「本来のお仕事に専念するのはいいですが、指揮官のお仕事も両立してこなさなければ大変な事になると、以前に私が仰ったはずですよ?」

 

栗田「ま、待ってちょうだい天城。今回ばかりは上層部にも非があると私は思うわ。今度上層部のお偉い方がここを視察してくるから、その関係で今回の書類作業は普段より特段多かったのよ?」

 

天城「それは言い訳に過ぎません。計画的に適切に処理すれば、このように苦労する必要が無かったはずですよ」

 

栗田「うっ…言っている本人が完璧だから何も言い返せない…」

 

諦めて天城の言葉を受け入れる栗田。

 

小さくなっても、天城さんの仕事に厳しいところは変わっていないようだ。

 

天城「コホンッ…では、作業に取り掛かりましょう。宮部さんはこちらをお願いできますか?」

 

宮部「分かりました」

 

しゃがみ込んで天城から書類数十枚を受け取り、来客用の机で早速作業を開始する。

どんな内容なのだろうかと試しに何枚か取り出してみるが、その内容は新しい装備品の調達書に作戦報告書、KAN-SENの給料明細と実に多岐に渡るものであった。

 

自身は戦闘機搭乗員であり書類作業とは無縁であったため最初はかなり手間取ったものの、天城さんと栗田中佐のサポートのおかげで順調に進められた。

 

 

そして数時間後―

 

屋外作業と比べ、屋内作業は時間が過ぎるのが早く感じる。気が付くと時計の針は午の刻を指しており、小一時間の昼休憩が始まっていた。

 

天城「指揮官様と宮部さん、お昼休憩の時間になりましたよ。今日は食堂が空いていませんから、私が自製しましたお弁当をお持ちしましょうか?」

 

栗田「あら、もうそんな時間なのね。じゃあお願いするわ」

 

天城「承知致しました」

 

そう言うと天城はその小さい身体でテトテトと歩いていき、部屋を退出していった。

 

栗田「んーっ…あと少しね。宮部少尉と天城のおかげでいつもより早く終われそうだわ」

 

宮部「いえいえ…それにしても栗田中佐は凄いですね。この書類の量をいつもたった一人で処理しているなんて、尊敬の念しかありません」

 

栗田「私こそ、宮部少尉の仕事の丁寧さには驚かされるばかりだわ。いっそのこと私の代わりに指揮官になってみたらどうかしら?」

 

宮部「はは…それは遠慮しておきます…」

 

朝見た光景を思い出すと、疲弊どころか最悪不名誉な戦死(過労死)する未来しか見えず、彼女には悪いが自分から進んでやろうとは思えない。

 

宮部「(…ん?これは…)」

 

次の書類に取り掛かろうと1枚の紙を取り出した時、気になる内容が書かれているのが目に入った。

 


『前指揮官ノ犯罪被害者遺族ヘノ損害賠償金』

 

その意味深な文字と共に、思わず何度も見返してしまう金額がいくつも書かれている。内容的に栗田中佐が処理する書類だろう。

 

こういう類の物は見聞きしないのが掟であるが…

 

宮部「……栗田中佐、この書類の内容は…」

 

やはり内容が気になって仕方なく、遠慮気味に尋ねる。

 

栗田「ん?あぁ…これね……宮部少尉は、先代の指揮官については知っているかしら?」

 

宮部「…はい。赤城さんから教えて頂きました」

 

栗田「そう、なら話が早いわ。知っての通り、前任者の梶原 敬斗はとても人間とは思えない所業を数々行っていた。違法物の密輸入に奴隷の売買、反社会的過激団体の援助―中でも奴隷売買では、誘拐した重桜の民間人を奴隷として売っていたのよ」

 

宮部「ッ…!?民間人を奴隷にですか…?」

 

まるで中世のヨーロッパのような手法の犯罪に、ただ唖然とするしかない。

 

栗田「そして残念ながら、大勢の人がその尊い命を失うことになった。大切な人を失った遺族の方々の悲しみは計り知れず、軍は天文学的な額の損害賠償金をもって謝罪の意を示したわ」

 

宮部「なるほど……待って下さい?最後の言葉から考えると、賠償金は既に払い終えているのでは?」

 

栗田「…えぇそうよ。このお金は、亡くなった被害者と遺族の方々のために私が個人的な理由で続けているのよ」

 

そう答える栗田だが、俯いたままの彼女の暗い顔からは何か別の理由があるように思えてならない。

 

栗田「まぁ巡洋艦1隻が買えてしまうこの金額は私の給与では到底支払えなかったのだけど、天城が自主的に協力してくれているお陰で、この企画は成立しているわ」

 

宮部「え?天城さんがですか?」

 

1年前の事件によって身体・艤装共に致命的なダメージを受け、KAN-SENの力を発揮できなくなった彼女もまた被害者であり、本来なら民間人被害者遺族と同様、軍の損害賠償金を受け取る側である。

 

栗田「意外に感じるわよね。私も気になって理由を尋ねたのだけど、『前指揮官の数々の悪行を知っておきながら、それを止めることができず数多の犠牲者を出してしまったことへ対する自身への戒めと遺族への贖罪』だそうよ」

 

宮部「それは…なんとも天城さんらしい理由ですね…」

 

今思えば、天城さんは本当に凄い人だ。

 

前指揮官の愚行によってKAN-SENとしての能力を失ったり、訳の分からない薬によって身体が小さくなったりしてもそれを冷静に受け止め、日々の生活をいつもと変わらず過ごしている。こんな前向きな人は見たことがない。

 

宮部「(天城さんのように強い意志を持って努力しつづければ、必ず元の世界に戻ることができるだろうか…?)」

 

この世界に来てから今日でちょうど1ヶ月経つ。

 

未だ元の世界に戻る術を1つも見つけられていないが、諦めず天城のように前向きに探し続けようと強く決心するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に翌日の午前

 

 

いつもと変わらず大小様々な船が行き交う港のとある埠頭には数隻の軍艦が接舷しており、その中にはグラーフ・ツェッペリンやプリンツ・オイゲンら鉄血艦の姿も見られる。

 

2日間に渡って行われた重桜・鉄血の合同演習は無事に終わり、KAN-SEN達は久しぶりの陸地に悦ぶと共に明日からの少し長い休暇をどう過ごすか思案していた。

 

そしてその集団から少し離れた所に、加賀と共に帰路に着く赤城の姿があった。

 

赤城「〜♪」

 

歩いている彼女は静かな音色の口歌を奏でており、上機嫌な様子なのがうかがえる。

 

加賀「とても上機嫌ですね姉さま」

 

赤城「ふふっ♪もうすぐ宮部様と久しぶりにお会いできるんですもの♪上機嫌じゃないわけがないわ♪」

 

加賀「久しぶりと言っても、たった3日会ってないだけですが…」

 

相変わらずな言動に、内心では呆れてしまう。

 

宮部に恋する赤城の行為が行き過ぎないよう監視するよう天城から言い渡されている加賀だが、自身の知らない内に赤城が幼体化の薬を手に入れたこと、それを天城が誤って口にしてしまい身体が小さくなってしまったことをまだ知らない。

 

ふと前に視線を向けると、数百m先に宮部1人が立っているのを見つける。

 

加賀「む…噂をすればだな。姉さま、宮部が―」

 

彼が出迎えに来ていることを赤城に伝えようと横に振り向くが、彼女の姿はとうに無く、既に宮部へ向かって走り出していた後だった。

 

赤城「宮部様〜♡久しぶりにお会いできて、赤城嬉しいですわ〜♡」

 

開口一番3日ぶりの再開を喜ぶと共に、宮部へ猫みたく擦り寄る赤城。将来、自分の()()となる彼に他の女の匂いが移らないよう、徹底的にマーキング(匂い付け)する。

 

宮部「合同演出お疲れ様です赤城さん。3日間船上での生活で疲れているかもしれませんが…その…自分の後ろに天城さんが…」

 

自身の背後にとてつもないオーラを纏っている小さくなった天城の姿があることに赤城本人がまだ気づいていないため、状況が悪化する前にそのことを伝える。

 

天城「あ・か・ぎ〜?

 

赤城「ヒィ!?あ、天城姉様!?ど、どうしてそのお姿に!?」

 

圧を含んだ優しい?天城の声にようやく気付いた赤城。

自身に原因があるにも関わらず、姉が小さくなっていることに状況を飲み込めず酷く困惑していた。

 

天城「明石から聞きましたよ?薬で宮部さんを小さくし、良からぬことをしようと企んでいたそうね?」

 

赤城「あっ…え、えーっとそれはですね…少し事情がありまして…」

 

このままでは過去一辛い説教をされてしまうと、必死に弁解を試みつつ宮部に救いの目を向ける。

 

宮部「……赤城さん頑張って下さい」

 

赤城「み、宮部さまぁ〜!!

 

だが現実は非情であった。

 

絶望する間もなく赤城は天城に引き摺られていき、すぐに二人の姿は見えなくなる。

 

加賀「はぁ…姉さまも遂にここまで来たか……しかし、小さくなった天城さんは案外可愛らしかったな」

 

宮部「…え?」

 

加賀の似つかわしくない発言に思わず驚くのだが、彼女の言葉に少し同意してしまっている自分が恐ろしい…

 

今晩には薬品の効果が切れ天城さんは元の姿に戻るが、彼女や他のKAN-SEN、そして自分のためにも、今後幼体化する薬が明石さんによって作らないよう祈るしかない。

 

 

 

 

to be Continued

 





Japan Defense Forceさんから☆10

敷島さんから☆9

ちゃぶりさんから☆8を頂きました!!評価ありがとう御座います!!

お気に入り登録、評価、そして感想をお待ちしております!!

それではグッバイ

尻尾をモフるとすれば?

  • 赤城
  • 加賀
  • 天城
  • 土佐
  • 信濃
  • 武蔵
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。