腹ごしらえを終えた宮部と天城は、宮部の乗機である零戦の状態を確認するため、海辺近くにある海軍飛行場のとある格納庫を訪れていた。
ガチャ
格納庫扉とは別にある人が出入りする扉を開け、二人は格納庫の中へ入る。
宮部「一式陸攻…」
格納庫の中は広く、すぐ目の前にはニ機の一式陸攻が駐機していた。
天城「陸攻がどうかしましたか?」
宮部「いえ…昔のラバウルでの出来事を思い出しまして…」
乗艦である赤城がミッドウェー海戦にて撃沈された後、上層部は海戦に敗北した事実を隠蔽するべく生き残った宮部達搭乗員を様々な前線に送り、宮部はラバウルへと送られた。
宮部「そこでは護衛部隊として作戦に参加し何十機もの一式陸攻を護衛しました。ですが守り切れず大勢の搭乗員の命が失ってしまいました…」
天城「それは…さぞ辛かったことでしょう…」
宮部「彼らの犠牲なくして私の命は無かったでしょう…」
そして奥の隅っこの方に目を向ける。そこには1機のプロペラが曲がり、機体下部が大きく凹み、所々塗装が剥げた零戦ニ一型があった。宮部が最後に搭乗した機である。
天城「明石さん?いらっしゃいますか?」
???「はいにゃ〜少し待っててにゃ〜」
天城が誰かの名を呼び、しばらくすると零戦の影から猫耳の生えた緑色の髪に身の丈に合っていない大きな上着を羽織った娘が現れる。
明石「天城がここに来るのは珍しいにゃね」
天城「普段は、自宅で過ごしていますからね」
20秒程天城と会話した後、明石の目線が宮部に移る。
宮部「初めまして、宮部 久蔵と言います」
明石「宮部にゃね。天城から話は聞いているにゃ。私は、重桜連合艦隊唯一の工作艦明石だにゃ。よろしくにゃ」
宮部「よろしくお願いします明石さん」
明石にお辞儀する。
明石「ふむふむ、天城の言う通り礼儀正しい軍人さんだにゃ」
宮部の礼儀正しさに感心する。
宮部「早速なんですが自分の機の状態はどうなのでしょうか?」
明石「それはもう酷い状態だったにゃ〜」
明石が零戦の方へと歩き出し、宮部と天城は後を付いて行く。
明石「エンジンは海水に浸かってダメ、プロペラも着水時の衝撃で曲がってダメ、機体下部もかなり凹んでいたにゃ。おまけに20mmと7.7mm機銃が両方とも壊れていたにゃ」
宮部「思ったより損傷が激しいですね…」
明石「それよりもにゃ」
明石が零戦の近くに置いてある
明石「なんで戦闘機、それも零戦なんかにこんなデカい爆弾を搭載していたのにゃ?それに爆弾が投下軸に固定されていたから投下すらできなくなっていたにゃ」
宮部「爆弾を固定……なるほど…」
何か納得し、険しい表情になる。
明石「?どうしたのにゃ?」
宮部「明石さん、天城さんから特攻についての話は聞きましたか?」
明石「特攻?特に聞いてにゃいけど…そもそも特攻って何にゃ?」
天城「航空機に爆弾を取り付けて敵艦に突撃する自爆攻撃です。」
明石「じ、自爆攻撃!?」
明石は驚愕する。
明石「自爆攻撃にゃんて…とても信じられないにゃ…」
宮部「爆弾の固定も恐らく、搭乗員は出撃したら必ず死んでこいという意味を込めて行ったのでしょう。私も先程言われるまで全く気が付きませんでした」
天城「それは…」
宮部世界の上層部の行いに、心の中で憤りを感じる。
明石「とんだ上層部だにゃ…まるで鉄鳥の棺桶だにゃ…」
明石も憤りを感じ、揶揄する。
宮部「…ところで明石さん、この機体を直せますか?」
明石「えっ?まぁ…一応直せるは直せるにゃ。でもあちこち故障しているから長い期間を要するにゃ」
天城「具体的にどのくらいですか?」
明石「そうにゃね〜エンジンや機銃を新しく交換したり胴体の損傷箇所の修理もあるから…だいたい2週間ぐらいにゃ」
宮部「2週間ですか…」
明石「いっそのこと新しい機に乗り換えるのも良いにゃよ。零戦なら簡単に手に入るにゃ」
宮部「そうですね…」
顎に手を乗せ、数秒考えた結果、明石に修理を頼むことにする。
宮部「…新しい機に乗り換えるのも良いですが、やはり修理をお願いできますか?」
明石「分かったにゃ。新品同様の出来に仕上げてやるにゃ」
宮部「よろしくお願いします。」
頭を下げる。
明石「じゃあ明石は、売店に行ってくるからこれで失礼するにゃ。また会おうにゃ〜」
ぶかぶかな服の袖を振って格納庫を後にする。
天城「宮部さん。」
宮部「?何でしょうか?」
天城「なぜ、新しい機に乗り換えることにしなかったのですか?」
宮部「…あの機体を捨てたらもう二度と元の世界に帰れない気がしまして」
天城「そうですか。では一度私の家に向かいましょうか」
宮部「そうですね」
宮部と天城も格納庫を出て、天城の家に向かおうとしたところを一人の女性に止められる。
???「そこの軍曹」
宮部が着用している軍服の階級を呼んだ声に後ろを振り返るとそこには海軍中佐の軍服を着用し、黒髪ロングヘアの大和撫子な女性が立っていた。
???「あなたが天城の言っていた異世界から来た軍人ね。私はこの基地の司令官を勤めている
宮部「初めまして栗田中佐。宮部 久蔵特務少尉です」
相手に敬礼し自分の名前、階級を言う。
栗田「あら、少尉だったのね」
宮部「(まぁ、少尉と言っても特務だけどな)」
心の中でボソッと呟く。
栗田「天城から聞いたわよ。戦闘機搭乗員で元一航戦赤城の所属、6年以上最前線の空で戦い抜いた、まさに歴戦の兵士って感じの経歴ね」
宮部「自慢できるほどの経歴ではありませんが…」
栗田「何言ってるのよ。空母赤城に乗っていた時点で他の航空機搭乗員とは比べ物にならないわよ」
宮部「はぁ…」
栗田「とりあえず、これからはよろしく頼むわ宮部少尉。それじゃあまた会いましょう」
風のようにそそくさ去って行ってしまう。
宮部「…なんだったのでしょうか…」
話の途中から混乱していた宮部は呆然とする。
天城「…マイペースな性格の彼女ですが他の分野では優秀なのですよ」
宮部「なるほど…」
天城「ふふ、では向かいましょうか」
宮部「はい」
宮部は、基地近くにある天城の家へと向かうため歩き出す。
指揮官になるのなら何処の陣営?
-
ユニオン
-
ロイヤル
-
北方連合
-
アイリス
-
東煌
-
重桜
-
鉄血
-
ヴィシア
-
サディア