戦姫絶唱シンフォギアRV   作:秋乃楓

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12再び想いを繋ぐ為に

「颯…帰って来るの遅いなぁ。もう夕飯の時間過ぎてるのに……。」

 

 

美結は寮で一人、颯の帰りを待っていた。今日もまた学校の授業の合間に響と共に飛び出したきり帰って来ない。

普段なら直ぐ帰って来る筈だった。

ただいまー!と一言、ドアを開けて。

でもそれが無かった。

 

 

「何処で油売ってんだか……ん、電話?誰からだろ?はい、もしもし?」

 

 

美結は自分のスマホが鳴ったのを知ると電話へ出る。相手は知らない男性だった。奏宮君の知り合いはキミか?と。

 

 

「え、ええ…私が颯のルームメイトの音羽です。…は?何かの冗談ですよね?颯が死んだって……解りました、直ぐ支度します。」

 

 

美結は立ち上がり、作った夕飯へラップを掛けてから私服に着替えて部屋を後にする。寮から外へ出ると黒い車が1台、門の前に降り、それに乗って向かった。

颯が待つ場所へ。

 

着いたのは大きな潜水艦と思われる艦。

その入口近くへ車が止まると降りるように促される。車から降りると響が艦の入口から駆け寄って来た。

 

 

「美結ちゃんッ!?私も今さっき聞いたばかりなんだけど…颯ちゃんが……。」

 

 

 

 

「う、嘘に決まってる。きっと驚かしたいのよ…アイツの事だから。」

 

 

 

美結と響は共に潜水艦の中へ。案内されて向かった先には部屋の前に1人で弦十郎が立っていた。

 

 

 

「……来てくれたか。颯君はこの中に居る。」

 

 

 

「ッ…解りました……ありがとうございます。」

 

 

美結が先に部屋のドアを開けて中へと入った。そこにはベットに横たわり、顔に白い布を掛けられた颯の姿が有った。

美結はゆっくり近寄ると布を捲る。

颯の顔は綺麗だった。今にも動き出しそうな雰囲気をしているが、動く気配は無い。頬へ触れると冷たく温もりは感じられない。

 

 

「嘘でしょ…颯……?ねぇ、起きなさいよ…冗談キツいってば…そんな慣れない事しなくても良いって……颯…ッ!!」

 

 

美結は彼女の身体を揺さぶる。だが起きる気配は無い。幾ら名前を叫んでも、身体を揺さぶっても何も起きない。

それでも泣きながら必死に颯の身体を揺さぶり続けた。後ろに居た響は美結へ近寄ると声を掛ける。

 

 

「美結ちゃんッ…颯ちゃんが可哀想だよッッ……寝かせておいてあげよう?」

 

 

 

「ッ…離してよ……私は何も知らないの!颯が私に内緒で何をしてたのか、どうしてこんな事にならなくちゃいけないのかも何もかもッッ!!教えてよ…ねぇ!!颯を…颯を返してッッ!!」

 

 

響の方へ向くと美結は彼女の手を掴み、泣きながら訴えた。響も何も話す事は出来なかった。響は黙ったまま美結と共に部屋を後にした。弦十郎は部屋から出てきた2人と共にブリーフィングルームへと招き入れ、そこで詳細を伝える事にした。秘匿義務でも美結には知る権利が有る。

 

弦十郎の口から伝えられたのは颯が孤児院から此処に来る前にシンフォギアという不思議な力を手に入れていた事。それを理由にリディアンへ編入した事。

装者としてノイズから人々を守る為に戦っていた事も、妹である結衣を救う為に命懸けで戦った事も全て。

そして今夜。颯は学校で知り合った一人の女子生徒と共に彼女の家にて無惨にも殺されてしまったという事。美結はずっと下を向いて唇を噛み締めたままだった。

後から入って来た翼が細かい説明をする為に弦十郎の横へ腰掛けた。

 

 

「残りは私が話します。…今から数時間前、私と雪音、マリアはテロリスト集団であるイノベイター達と戦闘を繰り広げていた。その中の1人が我々の保管する聖遺物、ギャラルホルンを狙っている事を明かした。そしてそれを用いてラグナロクを引き起こそうとしている事も併せて。私はその事実を司令へ報告したのだが…問題はそこからだった。敵のリーダーがキミ達の通う学校に編入してきた生徒である可能性が浮上したのだ。」

 

 

翼は美結と響へ説明を続ける。

 

 

「そして彼女と接触していたのが奏宮だった。奏宮がその子と共に居るのを見た生徒も何人か居たらしい…。彼女から事情を聞く為に私は司令の指示の元、確保へと向かったのだが…そこに居たのは奏宮とイノベイターのリーダー、シャーロット・S・アイトンだった。私は奏宮を守ってやれなかった…すまない……もっと早く離脱出来ていれば…こんな事には…ッ。」

 

 

翼は静かに頭を下げる。

暫く重苦しい空気は続いていた。

その後、部屋を後にした響と共に美結は

再び寮へと車で送られて戻った。

その車中でも2人は黙ったまま。到着して車から降りると2人は各々の部屋へと戻るのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

次の日、美結は授業に出る事はなかった。普段なら颯と話しながら2人で部屋を出るのだがそれすらも無くなってしまった。自分のベットに有る布団に包まって居ても思い出すのは颯の事ばかり。

今思えば初めて会った日から今日まで短かった様な気がしてならない。

 

颯は当初、かなり無愛想だった。

今みたいに笑ったり怒ったりする様子なんて無かった。美結自身も正直な話をすれば上手くやって行けるか自身は無かった。でも自分が颯の事を受け入れると伝えた時から彼女は変わっていった気がするのだ。表情も柔らかくなり、冗談を言ったりする事も有った。颯が普段使っている音楽プレーヤーとイヤホンを使って2人で同じ曲を聞いた事も、CDショップで買い物した事も、服を買いに出掛けた事も、一緒にゲームセンターで遊んだ事も、その一つ一つが美結にとっては大切な思い出。

 

だからこそ思い出せば思い出す程、悲しくなってしまう。颯が死んだという事実は嘘だと何度も思った。昨日の夜も朝になれば颯が下のベットで寝てるのでは無いかと思った事すら有った。

けれど、そんな事は悲しくも有り得なかった。そこには綺麗に畳まれた布団しか無い。美結は身体を起こし、携帯を点ける。2人で撮った待ち受け画面、そしてその画面上にはPM12:00と表示されていた。

 

 

「…もうお昼か。私……どうしちゃったんだろ。欠席届けも出さないでサボって休んだりして…そんな事しても何も変わらないのにさ……。」

 

 

美結はベットから降りると台所へ。

昨日作った夕飯をお昼に食べる事にした。以前、颯から教えてもらったスパゲティを作ったのだ。孤児院の時に彼女がこっそり夜食で作っていたのを聞いて、自分が作ると提案した。

味見して貰おうと思ってずっと待ってたが、帰っては来なかった。

 

 

「颯…颯に会いたいよ……私…どうすれば良いかもう解んないッ……。」

 

 

美結は冷蔵庫から出した料理をテーブルへ置くとまた泣き出してしまった。彼女の笑顔が、何気ない仕草が脳裏を掠める度に心が揺さぶられて胸が締め付けられる。すると部屋のインターホンが鳴り、我に返った。美結は目元を拭って応対しに向かう。ドアを開けるとそこに居たのは颯と何処か似た少女だった。

 

 

「…颯なの?」

 

 

 

「私は…颯じゃ有りません。結衣と言います。旧姓は奏宮ですが、今は纏井です。」

 

 

ペコリと美結と結衣は互いに頭を下げる。美結に招かれて結衣は部屋へと入った。2人はテーブルを挟んで座る事にすると、美結だけはその前にスパゲティを再び冷蔵庫へと戻してから座った。

 

 

「…何故此処に?」

 

 

 

「姉のお友達から聞いたんです。此処に居るかもしれないって。それで…美結さんに伝えたい事が有って来ました。」

 

 

 

「伝えたい事?」

 

 

 

 

「……私は姉の事を良く知りません。でも、姉と仲良くして下さりありがとうございました。きっと喜んでます…きっと。」

 

 

 

「そっか…颯とは離れてたから知らないんだよね、色々。それにしても颯と似てるのね…やっぱ姉妹だから?」

 

 

美結は結衣の事をチラチラ見ていた。

髪型は兎も角、目元も少し違うが似ている。

 

 

「姉と戦ったあの時、私の事を泣きながら抱き締めてくれた。独りじゃないって…ずっと言いながら。だから私も信じられない…姉が死んだ事も。謝りたかった…もっと沢山話したかったのに……。」

 

 

 

「…シンフォギアだっけ?結衣ちゃんも持ってるの?」

 

 

 

「はい…私も持ってます。姉が敵だと知った時はずっとずっと殺してやろうと思ってました。私の事を捨てたって、見捨てたんだって思ってたから……でもあの時ああするしか無かった事を聞いてから私は許そうと思いました。例え離れていても2人しか居ない家族だから…って。」

 

 

結衣は美結へギアペンダントを見せながら話していた。

それから暫くした後、結衣は美結に見送られて部屋を後にしたのだった。

話した事で気は楽になった。

 

 

 

「…良かったじゃない颯。結衣ちゃん、アンタの事許してくれてる。さて…少し出掛けて来ますか!私も気分転換しなきゃ…!」

 

 

美結は着替えると部屋から外へ。

他の生徒に紛れながら寮を後にする。

外を出て路地を歩いていた。

颯と出掛ける時もこの路地をいつも使っていた。だが、街はいつもと雰囲気が変わってしまっていた。

未だ学校まで来ては居ないが、逃げ惑う人々が大勢居る。

美結は人混みに逆らって走るとそこに居たのはノイズ。そしてそれを引き連れるローブを被った男。

それはイノベイターの構成員である錬金術師だった。

 

 

「粗方殲滅したぞ…そっちは?」

 

 

 

 

「ノイズをけしかけてやればラグナロクを引き起こした時に面倒が減るから丁度良い…こっちも大体終わったぞ。リーダーは今頃、奴等の本拠地に向かってる。ギャラルホルンさえ手に入ればそれで良いんだと!」

 

 

 

美結は身を潜めながら話を聞いていた。

本拠地、即ちあの潜水艦の事だろう。

それは解った。颯が危ない。そう思った時には身体が勝手に動いていた。

走り出そうとした際、物音を立ててしまい気付かれてしまう。

 

 

「やばいッ!!?」

 

 

 

「居たぞッ!多分、この辺の生き残りだ!!」

 

 

合図するとノイズの群れが美結へ迫る。

人型やカエル型が走って美結を追い掛けて来た。だが躓いて転んでしまう。

 

 

「あッ…!?」

 

 

 

周りをノイズが取り囲み、美結を見据える。今にも彼女を消してしまおうとせんばかりに。ジリジリと距離を詰められつつあった。

 

 

「助けてッ…颯ッッ……!!」

 

 

 

必死に彼女の名を叫ぶが何も出来ない。

そして1匹のノイズが美結へ触手を伸ばした時、刃が突き刺さると消滅した。

彼女の前へ立ったのは白銀のギアを纏う1人の少女。腰まで桃色の髪を長引かせ、右手には剣を持つ。

 

 

「大丈夫?怪我は?」

 

 

 

「だ、大丈夫…です……。」

 

 

 

「…此処は危険だから逃げてッ!」

 

 

 

「私の…私の友達が……あの潜水艦に居るんですッ!!アイツらがそれを狙ってるって……!」

 

 

 

「潜水艦…?まさか…ッ!!」

 

 

 

少女はノイズの反撃を美結を抱き締めながら避ける。そして左腕を突き出し、剣を一旦そこに収めると小型の刃物を周囲へ展開、一切に解き放った。ノイズは瞬く間に消滅する。

 

 

「…これで良し。ありがとう、この情報は本部に伝えておくわ。大丈夫…貴女のお友達は私の仲間が守ってくれる。貴女は早く此処から……!」

 

 

 

「嫌ですッ…!私、もう誰かに守られるのは嫌…私はもう逃げたりしないッ!友達…颯が見た光景をこの目でしっかり覚えておきたいから!!」

 

 

 

「貴女…自分が何言ってるか解ってるの!?」

 

 

 

「お願いしますッ…連れて行って下さい……ッ!」

 

 

美結は少女へ頭を下げた。

当然、本来なら逃げるのが当たり前だ。しかし美結は逃げたくなかった。あの時も颯は彼女に逃げる様に促し、自分だけがあの場から逃げた。もう逃げたりするのは沢山だと、内の中の感情を全て吐き出した。

 

 

「…貴女の気持ちは解った。けど、勇気と無謀は違う。それだけは覚えておいて頂戴。露払い程度しか出来ないけど…良いわね?」

 

 

 

「ありがとうございます…ッ、あのお名前は?」

 

 

 

「…マリアよ。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。さぁ、行くわよ!時間が勿体無いッ!!」

 

 

マリアと共に美結は走り出した。ノイズが攻撃を繰り出せばそれを巧みに避けて反撃、次々とノイズを退けて進む。

マリアは美結を抱き上げ、建物の上を走り続けて行く。錬金術師の1人がマリア達へ目掛け攻撃を繰り出して来る。相手はノイズだけでは無いのだ。

 

 

「アイツらを逃がすなッ!!追えッ!」

 

 

 

「くそッ…!司令、指示通りポイントBの端まで来たわ!どうすれば?」

 

 

マリアは建物から降りて着地、その場で美結を下ろして構える。

すると頭上からミサイルが飛来、中から人が飛び出す。すると上空からガトリングによる砲撃と小型のミサイルの雨が降り注いだ。新体操の様に華麗に建物の上へ着地するとマリア達の方を見る。

 

 

「待たせたなッ!此処からはあたしが引き受けるッッ!!」

 

 

 

「クリスッ!?成程…流石、私達の司令ね。…さぁ、行きましょうッ!」

 

 

クリスとマリアは互いに頷き、合図する。マリア達が去った後に錬金術師とノイズも追おうとするがクリスが前へ立ちはだかった。

 

 

 

「さぁ…風穴開けられてぇ奴から掛かって来なッ!!こっから先は誰も通さねぇッッ!!」

 

左右に結ばれた長い白髪が風で靡く。

両手のガトリングを向けてニヤリと笑う。彼女の名は雪音クリス。本当のイチイバルの装者。

 

 

「ぐッッ次から次へと…!か、構うなッ!やれ!!」

 

 

錬金術師はノイズへクリスを襲う様に指示を出す。

 

 

「おらおらおらぁあッッ!!」

 

 

凄まじい銃声と共にノイズとクリスとの決戦が幕を開けた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

マリアと美結は森の中を走り続けていた。距離としては此処を抜ければ直ぐ。

するとマリアが突然立ち止まった。

 

 

「まさか此処まで侵入されてるなんて…連中、わざと市街地を直接狙って此方の戦力を割いたのね……!」

 

 

見渡せば錬金術師らがそこらに展開しているのが解る。どうやら先程の奴とは違い、手練らしい。マリアは美結の方を見るとそっと手を握り締めた。

 

 

「大丈夫…必ず辿り着けるわ。貴女の名前…未だ聞いてなかった。何て言うの?」

 

 

 

「音羽…美結です。」

 

 

 

「美結…か、良い名前ね。私の手をしっかり握ってて…絶対に離しちゃダメよ!」

 

 

 

「はい…ッ!!」

 

 

 

マリアは美結が頷いたのを確認し、一気に飛び出す。そして彼女の手を握りながら敵の戦列へ突っ込んだ。

1人の錬金術師が此方に気付くと2人へ攻撃を仕掛け、近くの木々が彼の放った炎により燃やされてしまう。

 

 

「逃がすなッ!此処から先は行かせんッッ!!」

 

 

 

「次から次へと…鬱陶しいッ!!」

 

 

 

マリアは走りながら抜剣し、剣を蛇腹状に展開させると正面のノイズを片っ端から薙ぎ払う。その合間をすり抜け、進もうとしたのだが、美結が男の放ったワイヤーに絡め取られてしまう。マリアと繋いだ手を離してしまった。

 

 

「しまったッ…美結ッ!?」

 

 

 

「へへ…大人しく降参しろ!そうじゃなきゃ…ガキの命が……おわぁッッ!?」

 

 

男は美結を人質に取ってマリアを脅し始める。が、直後に緑色の刃が男を掠め、動揺した所に今度は丸鋸が男の周りへ突き刺さる。

 

 

 

「な、何だッ!?」

 

 

 

「ヒーローの…!!」

 

 

 

「到着デスッ!!」

 

 

木の上に居た切歌、調がマリアの左右にそれぞれ立つと構えてみせた。

 

 

「2人とも…防衛ラインはッ!?持ち場を離れたら危ないんじゃ無いの……?」

 

 

 

「大丈夫。颯さんの妹が助けてくれてる…罪滅ぼしだって。」

 

 

 

「昨日の敵は今日の何とやらデス!さぁ…一気に行くデスよッッ!!」

 

 

 

「そ、そう…何が何だか解らないけど…事情は後で聞かせて貰うッ!今は彼女を助けるわよ!」

 

 

マリアと調、切歌は構えるとそれぞれ突撃する。

 

 

「その子を離しなさいッ!!」

 

 

 

「う、うるせぇッ!!これでも喰らえッッ!!」

 

 

 

男は地面を片手で殴るとマリアへ目掛けて衝撃波を繰り出す。地面が割れ、一気に向かって来た。

 

 

「そんなモノで…やられるかッ!!」

 

 

 

空中へ飛んだマリアは剣を左腕へ差し込み、大剣へ切り替える。そのままブースターの勢いを利用して突撃すると真正面から突撃し男を殴り付けた。しかも美結の横をスレスレで。

 

 

「がぁ…ああッッ!?」

 

 

 

「……貴方を斬っても仕方ない。コレで勘弁してあげる、傷は仲間に治して貰いなさいッッ!!」

 

 

致命傷では無く、敢えて威力を殺したと囁くと男を吹き飛ばした。当の男は木々を薙ぎ倒しながら倒れ込んでいた。

美結の拘束を素早く解くと再び彼女の手を握り締める。

 

 

「マリアッ!早く行って!」

 

 

 

「此処は私達が何とかするデス!」

 

 

 

「恩に着るわ…ありがとうッ!」

 

 

マリアは頷くと美結と共に走り出した。あと少しで本部へと辿り着ける。

此方に気付いた敵の攻撃を次々と避けながら。そして森を抜けた先に開けた景色と共に海が。そしてそこに佇む潜水艦。

だが敵も既に潜水艦を取り囲んでいた。

 

 

「美結ッ、跳ぶわよ!!」

 

 

 

「え?跳ぶって…!?」

 

 

 

「黙って!喋ると舌を噛むからッッ!!」

 

 

 

「えええッッー!!?」

 

 

マリアは美結を抱き抱え、潜水艦から離れた位置から片足で地面をタンッと踏み付けるとブースターで空へ。

そして急降下し、一気に潜水艦の甲板へと着地した。

 

 

「ふぅ…何とか突破出来たわね。」

 

 

 

「いつも、あんな無茶を……?」

 

 

 

「あら、それは今回だけよ?さぁ行きましょうッ!」

 

 

マリアがそう促した時だった。

咄嗟に美結を庇うとマリアは倒れてしまう。彼女達の近くに居たのは紫髪の女性。狼を象ったファウストローブ、フェンリルを纏っている。それは颯を手に掛けた人物、シャーロットだった

 

 

「マリアさんッ!?」

 

 

 

「…誰かと思えば、元F.I.Sのテロリストさんじゃない。それと誰?貴女。まぁ良いわ…私はギャラルホルンとレーヴァテインを回収しに来たの。退きなさい。」

 

紅い剣を2人へ向ける。だがマリアは立ち上がり、美結の前へ立つ。

 

 

「何が貴女の狙いなの…シャーリィッッ!!」

 

 

 

「その名で呼ばれるのは久し振りね…同じレセプターチルドレン同士、よく競い合った中だもの。でもそれは過去の話。今は違う…!」

 

 

 

 

「ッ…なら、ケリを付けるしか無い様ね。美結……そこから走って行ってドアを抜けた先の階段を降りれば司令室へ行ける。決して振り返っちゃダメ…良い?」

 

 

 

「でもマリアさんは…?」

 

 

 

「大丈夫、そう簡単にくたばる程…ヤワじゃないわ。さぁ行きなさいッ!!」

 

 

 

マリアは剣を抜くとシャーロットへ向ける。マリアの言葉を聞いた美結は咄嗟に背を向けて走り出した。

 

 

「行かせるかッ…!!」

 

 

 

 

「言ったでしょう?ケリを付けるって。お前の相手はこの私だッッ!!」

 

 

 

美結へ向けて放った光線をマリアが剣で弾き返した。そして2人は甲板の上で戦闘を繰り広げ始めた。

本格的に動き出したイノベイター、そして帰還した残りの装者達。

颯不在のまま戦闘は続いていく。

 

 

 

(つづく)

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