戦姫絶唱シンフォギアRV   作:秋乃楓

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14頼りになる先輩

S.O.N.G本拠地襲撃事件から1週間後。

街には普段通りの日常が帰って来た。

しかし、まだ油断する事は出来ない

あの日確かにリーダーであるシャーロットは一人の少女の手で討たれた。

シャーロットが倒れた事で組織そのものは自然と瓦解して行くだろうという当時の見解とは裏腹、寧ろ勢力を広めつつ有ったからだ。

彼等の後ろにはバックアップが存在するとし、引き続き調査が行われている。

 

 

本部の職員達が対応に追われている最中。颯は一人、呼び出されていた。

何でも2人きりで話がしたいとの事。

彼女が赴いたのは何処にでも有る普通のファミレス。颯が店内を見回してると声を掛けられた。呼ばれた方の席へ来ると早速注文した料理を食べてる少女が。

白髪で紫色の目と可愛らしい服装が特徴の少女。シンフォギア、イチイバルの装者である雪音クリスだった。

 

 

「お、来たな。まぁ座れよ!」

 

 

 

「…どうも。」

 

 

颯は少し頭を下げてから席へ腰掛ける。

クリスからメニューを片手で渡され、それを受け取るとテーブルへ置く。

 

 

「何か食うか?あたしが奢ってやるよ。」

 

 

 

「……いえ、そこまでお腹は空いてませんので。」

 

 

 

「ふぅん遠慮しなくても良いのに…お前も装者なんだろ?何でまた急に……オッサンも話してくれなかったし、あのバカも先輩も同じだよ。ったく!」

 

 

 

「…私の場合は成り行きでこうなっただけです。顔にステーキのソース付いてますよ?」

 

 

颯は数枚、紙の手拭きを取るとクリスへ渡した。

 

 

「お前、初めてなのに気が利くなー!気に入った、飯がダメならパフェ奢ってやる!」

 

 

 

「え!?だ、大丈夫ですから!」

 

 

 

「良いって、遠慮すんな!」

 

 

ニコニコしながらクリスはパフェを頼んだ。苺と生クリームやらが乗っかったパフェを1つ。

 

 

「此処のパフェ美味しいんだぞ?このあたしが気に入ってるんだ、安心しな!」

 

 

 

「…そうなんですね。あと、ご飯零れてますよ。」

 

 

何かと颯がクリスの零した食べ物やら何やらを気に掛けていた。事実、孤児院に居た時もこうして小さい子の面倒を見ていた為か癖になっていた。

 

 

「それで…お前、名前なんだっけ?えーーっと……カナメ?カナグ?」

 

 

 

 

「カナミです。奏宮颯!」

 

 

 

「そうだ、カナミだ!へぇ…下の名前はハヤテって言うんだな。男っぽくて良いじゃねーか!」

 

 

 

 

「…好きで男っぽい名前してる訳じゃ無いんですけど?あー、袖にケチャップ付いちゃいますからそのまま動かないで!」

 

 

颯はクリスがテーブルに零したケチャップを拭き取る。完全にクリスの世話をしている様だった。頼まれたパフェが目の前に置かれると颯はスプーンを手に取り、食べ始める。

 

 

「どうだ、美味しいだろ?」

 

 

 

「そうですね…少しクリームの量とソースが少ない気がしますけど、味には変わり無いので大丈夫ですよ。」

 

 

 

「…何でそんなん知ってんだ?同じ様なもんだろ?こういうのってさ?」

 

 

 

「私、此処の系列店舗でバイトしてましたから多少は解りますよ…。貴女が食べてるチャーハン、オムライス、ステーキも作った事有りますから。」

 

 

 

「へぇー、お前スゲェな!今度あたしにも作ってくれよ!な?な?良いだろ?」

 

 

目を爛々と輝かせたクリスが此方を見ている。颯は小さく頷くとパフェを食べ進めた。それか、お互い食事を終えると会計する為に伝票を持ってレジへ。何故かクリスは伝票を持って固まっている。颯の方へ少し振り向いた。

 

 

「……なぁ?」

 

 

 

「…?何ですか?」

 

 

 

「…幾ら持ってる?」

 

 

 

「……もしかして足りないとか?」

 

 

 

「あ、ああ…予算超えてた……。」

 

 

 

「はぁ…差分は私が払います。パフェが高かったみたいですし。」

 

 

颯は伝票を見ると端数分を払う事に。

そして店を後にするとクリスは満足そうにニコニコしていた。

 

 

「いやぁー、食べた食べたッ!そんじゃ改めて宜しくな!後輩ッ!」

 

 

 

「…此方こそ。貴女の胸を借りるつもりで頑張ります。」

 

 

恥ずかしそうにクリスが差し出して来た手を颯が握り締め、握手を交わす。それからクリスは満足そうに帰って行った。

 

 

「……変わった先輩だったな。結局、何の為に呼び出されたのか解らなかったけど。」

 

 

颯も彼女と帰り道が途中迄、同じ事からその後を追い掛ける形になる。

2人は並んで話しながらそれぞれの場所へと帰宅した。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

帰れば帰ったで面倒な事が1つ。

それは美結との距離が前より近くなった事。今までは無かったが玄関まで彼女が出迎えに来る。そしてもう1つ問題が有った。

 

 

「はい、颯!あーん♪」

 

 

 

「…自分で食べられるから良いよ。」

 

 

 

「遠慮しなくて良いから、ほーら!」

 

 

 

「あー…ん…美味しいです……。」

 

 

 

「でしょでしょ?結構頑張ったんだから!」

 

今までは無かった過度なスキンシップ。

それが増えたのだ。あの日、此処に帰って来てからずっとこんな感じで。

常に颯にべったりとしている。

食事を済ませ、ソファに座っていても常に隣に居る。

 

 

「……ちょっと、離れてくれる?コーヒー飲めないんだけど。」

 

 

 

「んー?こうなら良い?」

 

 

 

美結は颯の太腿の上へ寝転んだ。

彼女はそのまま再び携帯を触り始める。

颯はマグカップを手に取るとコーヒーを少し飲み、再びテーブルへ戻した。

 

 

「…やっぱり最近変だよ、美結。病院行く?」

 

 

 

「変じゃないってば。私は正常ですー!」

 

 

 

「じゃあ聞くけど…何で私にべったりなの?」

 

 

 

「そりゃあ…私達は友達以上の関係だもの?颯だって良いって言ってくれたじゃない?」

 

 

 

「限度が有るでしょ、限度が!」

 

 

 

「怒らないのー!怒るとシワ増えるぞ?うりうりぃ!」

 

 

美結は身体を起こすと颯の頬を指先でプニプニと突いた。それを颯が止めると美結から少し離れる。

 

 

「うっざ……いいや、私お風呂入って来る。」

 

 

 

「颯が入るなら私も入ろっかなー!背中流してあげようか?」

 

 

 

「1人で入れるッ!入れるから来なくて良いッ!」

 

 

颯はビシッと指さすと美結をリビングに残して1人で風呂場へ。

服を脱衣場で脱いでいると気になった事があった。自分の右胸下に斜めに走った傷がいつの間にか出来ていた事。

それは刃物で斬られた様な傷だった。

 

 

「うーん?何だこれ……?」

 

 

 

勿論、颯にも身に覚えが無い。

気にしつつも浴室へ入ると身体を流してから湯船へ。2人で入る時より広く感じた。

 

 

「やっと落ち着ける…ん……ッ!」

 

 

 

軽く背伸びをして一息つく。

最近は1人の時間が無く、誰かと居る事が殆どだった。その為こうして落ち着けるのはかなり久しぶりだ。

肩まで浸かるとそのまま少し目を閉じた。思い出すのはここ最近の出来事ばかり。

結衣の事とシャーロットとの事だった。

互いに正体を知らぬまま敵として戦った結衣、そしてテロリストという事を隠して自分に接近して来たシャーロット。

特に後者である彼女の事は今でも思い出すと複雑な思いだった。

彼女には彼女なりの戦う理由が有る事は解っている。

それでも他に取れる手段が有ったのでは無いかと不意に思ってしまうのだ。

 

 

「はぁあ…ッ。」

 

 

 

「ちょっと、お風呂で寝たら死ぬわよ?」

 

 

 

「寝てないから大丈夫…って何で居るの!?」

 

 

 

「何でって…気になったから…?」

 

 

 

「それと…顔近い、離れて。」

 

 

 

颯は美結の額を片手で少し押すとその場に立ち上がる。向こうは服を着て裸足のまま。

身体を洗うから出た方が良いと促すと颯は美結を追い出す。身体を洗う等してから颯は着替えて再びリビングへ戻った。今度は入れ替わりで美結が風呂場へと向かって行く。

 

ついこの前の事が嘘みたいに静かな夜だった。カーテンをずらして外を見ると空には星が輝いていた。

黒い空に点々と白い粒の様な物が有る。

視線を戻せば街の明かりがポツポツと点いている。

平穏な日々は果たして本当に戻って来たのだろうか?

颯はそう思うと少しだけ不安になった。

2人とも入浴を済ませ少し話をした後、就寝した。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

翌朝、颯はベットから身体を起こすと携帯へと手を伸ばした。時間帯を確認すると未だ登校する時間には余裕が有る。

髪を掻きながら欠伸をすると再びベットへ横たわった。

 

 

「忘れてた…また補習じゃん……。」

 

 

何気なく予定を考えていた時、休んでいた分の授業の補習の事を思い出してしまったのだ。学校へ行くのが余計に怠く感じてしまう。結局は自分が招いた結果だから避けられない。逆に避け続ければそれもそれで問題だ。大人しく受けるしか彼女には選択肢が無い。

そうこうしているとベットの上に居た美結が顔を覗かせて来る。

 

 

「おはよッ!…ってどうしたのよ?朝から元気無いじゃない。」

 

 

 

「……おはよ。美結は良いな…真面目だもんね。」

 

 

 

「…?何の話?」

 

 

 

 

「何でも無い…はぁ……。」

 

 

颯はベットから出ると制服へ着替え始める。身支度を整えてから美結と共に朝食を済ませると校舎へと向かった。

 

装者と言えど学生である事に変わりは無い。教室へ着くとやはり担任から呼び出しを受け、補習を言い渡された。

しかも前回よりも若干多め。頭を抱えながらも午前、そして午後の授業を終えると颯だけは前回と同じ空き教室へ。

 

 

「それじゃあ奏宮さん、始めましょうか?」

 

 

 

「…はーい。」

 

 

颯は席に着くと補習を始める。担任、藍原望と共に。英語から始まると颯は真剣にノートへ書き記していく。

ある程度進むと携帯が振動し、こっそり画面を見てみる。画面には最近連絡先を交換したばかりの響から。

何度か振動すると切れてしまった。

 

 

「…響から?何だろ…非常端末じゃ無いなんて珍しい。」

 

 

 

「奏宮さぁーん?聞いてる?」

 

 

 

「え?あ、ごめんなさい…集中します。」

 

 

 

英語が終われば今度は数学。

数学は英語と違って難しい。

シャーペンをクルクル回しながら颯は考えていた。

 

 

「どう?難しいかな?」

 

 

 

「あー…何と無くですけど解って来ました。」

 

 

 

「奏宮さん、数学の成績が良いから直ぐ出来ると思う。だからもう少し頑張ってみましょう? 」

 

 

 

「そうですね……。」

 

 

 

望の言葉に頷くと颯が数学の問題を解いていると再び携帯が振動する。

それでも颯は無視して問題を解き続けた。

 

 

「数学はこれで大丈夫…少し休憩しましょう、疲れたでしょう?」

 

 

 

「そうですね…こんな所まで進んでるなんて思いませんでした。」

 

 

 

「大丈夫よ、明日以降は此処から進めて行くから。ちょっと外すから奏宮さんも休んでてね。トイレ行きたかったらご自由に。」

 

 

望は微笑むと教室を後にした。

居なくなった事を確認し、颯は携帯を取り出す。そこには着信が10件も。

恐る恐る確認すると学校が危ないとメッセージには書かれていた。

 

 

「…はぁ?ドッキリとか何か?」

 

 

 

すると廊下から悲鳴が聞こえ、颯は慌てて立ち上がる。教室を飛び出して廊下へ向かうと望が腰を抜かして倒れていた。そこに居たのはノイズだった。

 

 

「ノイズ!?どうして学校に…!?」

 

 

 

「か、奏宮さぁん…ッ!」

 

 

 

 

「先生ッ!!このッ…!!」

 

 

颯は咄嗟に近くにあった消化器をノイズへ向けて噴射、望の手を引っ張ってその場を離れる。2人が曲がるとノイズの職種が壁へ命中し、コンクリートを破壊した。2人は走って逃げると途中で立ち止まった。

 

 

「先生…大丈夫ですかッ!?」

 

 

 

「え、ええ……大丈夫。教務室に戻ろうとしたらいきなり出て来て……。」

 

 

 

普段使う非常端末は鳴らなかった。

電源を切ってる訳でも、充電が切れてる訳でも無い。つまり突然何の前触れも無くノイズが湧いたのだ。

 

 

「他の人…そうだ、美結ッ!!お願いだから出てよ…ッッ!!」

 

 

 

颯は咄嗟に携帯を取り出して美結へ連絡する。途端に2人の居た近くの教室の窓ガラスが割れ、ノイズが数匹入って来てしまった。

携帯に何度も連絡しても繋がらない。

連絡を続けながら望と共に逃げ続ける。

2人は階段を5階から降りて出口のある1階へ走って向かう。出口を見つけると走って近寄った。しかし塞がれてしまう。

 

 

「ふふッ…逃げられると思った?」

 

 

 

「アンタは確か…レイス…、あの時の自動人形(オートスコアラー)かッ!!」

 

 

 

颯が声のした方へ振り向くとそこに居たのは黒い髪を伸ばし、ドレスを着た女性の様な人形。紅い瞳は2人を見つめていた。片手には銀色の杖、ネフシュタンを持っている。

 

 

「あら…名前、覚えててくれたの。嬉しいわ…我がマスターが貴女に殺されたあの日からずっとずっと貴女が…その身に纏うシンフォギアが憎かった……だから今度は貴女から大切なモノを奪う事にしたの。我がマスター…シャーロットの敵討ちをさせて貰うわッ!!」

 

 

 

「……先生、玄関がダメなら非常口が有ります。そこから逃げて下さい。」

 

 

 

「え?…ダメよ、奏宮さんも一緒に!生徒を守るのが教師の役目ですッ!」

 

 

 

颯の腕を望が掴む。けれども颯はそれを振り解いた。

 

 

「私は…ッ!私と関わった人達全てをこの手で守りたいんです…私にしか出来ない事だからッ!!」

 

 

 

「な、何を言ってるの…奏宮さんッ!?」

 

 

 

「……明日、必ずまた来ますッ!」

 

 

 

颯は望を非常口の方へ逃がすと再び前を向く。正面にはレイスとノイズの群れ。

 

 

「ふふッ…カッコイイわね、自分と関わった人達全てを守りたいだなんて。そんな偽善じみたセリフをよく吐けるッ!! 」

 

 

 

 

「…出来るよ、このシンフォギアが有れば。私はそう決めた…誰に何を言われたとしても……絶対に曲げるもんかッ!!」

 

 

 

 

「減らず口をッ!!」

 

 

 

「はぁああッッ…!Saver all-revantin-tronッ!!」

 

 

颯は走りながら詠唱するとギアを纏い、即座に抜剣するとレイスへ向けて剣を振り翳した。ネフシュタンの一部で防がれるもギリギリと競り合い続ける。

 

 

「皆の居場所にノイズを嗾(けしか)けるなんて…絶対に許さないッ!!」

 

 

 

「そんなの私には関係ない…お前の命さえ奪えればどうでもッッ!!」

 

 

 

「ッッ……!!」

 

 

 

颯は振り払うと刀身へ炎を纏わせるとそれを素早く振り翳し、風圧を飛ばした。

放たれた一撃はレイスへ直撃し彼女は焼かれていく。悲鳴が聞こえ、持っていたネフシュタンを手放してしまった。

 

 

「…このまま焼かれて消えて。アンタの居場所は此処じゃない。」

 

 

 

「よくも…よくもぉッッ……!!」

 

 

炎を無理に振り払ったレイスは頭を抱えながら颯を睨み付けていた。

人間の裸とは異なり、肌として露出している部分や関節、造りは人形そのもの。

するといきなり右腕を伸ばすと颯の首を締め上げた。

 

 

「なッ…ぐッッ!!?」

 

 

 

「捕まえた…捕まえた……!!小娘風情が…この程度の事で私を殺せると思ったか?私はマスター…シャーロットの最高傑作ッッ……!!」

 

 

颯の首を締め上げる力を更に込めると彼女へ近寄り、睨み付けた。左手もそこへ添えると更に力を込めていく。

 

 

「ッ…あッ……!?」

 

 

 

「これで終わりにしましょう…?」

 

 

 

背中から左右3本、計6本の鋭い刃物が付いた腕が生えてくると今にも颯へ向けて振り下ろされそうだった。

このままでは間違い無く殺されてしまう。颯は何とか脱出する手段を考えるが思い付かない。その瞬間、銃声がレイスの腕の1つを削ぎ落とした。

 

 

「な…ッッ!?」

 

 

 

「え……?」

 

 

更に1発、もう1発と放たれた弾は確実にレイスへ命中していく。

 

 

 

「くッ…何処だ!?何処からッッ……!?」

 

 

 

 

「まさか…結衣?」

 

 

 

颯は隙を見て逃げると狙撃が止んだ。

カツンカツンとヒールの音と共に此方へ誰かが歩いて来る。ドアを荒々しく開くとそこにはイチイバルを纏ったクリスの姿が。手にはライフルを握っている。

 

 

「…やっぱり此処だったか!あのバカに聞いて正解だったぜ。」

 

 

 

「先輩…どうして?」

 

 

 

「話は後だ、先ずは此奴ら片付けるぞッ!!」

 

 

颯は頷くとレイスを蹴り飛ばし、間合いを取る。クリスに促されると颯は外へと飛び出した。レイスも2人の後を追って校舎外へ飛び出して来る。

 

 

「よくも…私の邪魔をしてくれたわねッ!!」

 

 

 

「はッ、お前の考えてる事なんざお見通しなんだよッ!!」

 

 

 

レイスはクリスへ向け、ノイズを放つ。しかしハンドガンへ可変させた左右のアームドギアにより撃ち抜かれると尽く消し炭にされてしまう。そして間合いを詰めるとレイスの斬撃を避けながら的確に彼女の身体を撃ち抜いていく。

 

 

「ぐッッ…あと少し…あと少しだったのにッ!!」

 

 

 

「御託は良いから、さっさとおネンネしなッ!!颯ッ!ノイズはお前に任せたぞ!!」

 

 

 

「解りましたッ…蹴散らします!」

 

 

颯も剣を構え直しノイズ相手に戦闘を繰り広げる。攻撃を避けては蹴りを繰り出し、剣を振り下ろしてノイズを斬り裂く。気が付けばノイズも全て倒されてしまう。

 

 

「こうなったらッ……!!」

 

 

 

クリスによる銃撃で怯んだレイスは

ふらつきながら2人を睨み付けている。こうなれば最早、虫の息だ。

レイスはネフシュタンの杖を投げ捨て、黒い剣を取り出す。そしてそれを左右に分割し二刀流の形に持った。

 

 

「我がレイスの名の由来である…魔剣ダインスレイヴの力を…貴様らの肉体へ刻み付けてやるッ!!」

 

 

 

「やってみろよ…人形野郎がッ!!」

 

 

 

「…喰らえぇええッッ!!」

 

 

 

レイスが突撃するとクリスは即座にハンドガンからガトリング砲へ切り替えると発砲した。それでも彼女は弾を剣で弾きながら突き進んで来る。クリスとの間合いが近付くとレイスは剣を頭上へと振り翳す。

 

 

「ふふ…貰ったぁあッ!!」

 

 

 

「…バーカ…掛かったな?アーマーパージだッッ!!」

 

 

ニヤリと顔を近づけてクリスが微笑む。なんと、彼女は至近距離で自らのアーマー全てを散弾のように脱ぎ捨てて散らしたのだ。それ等が大きな音と共にレイスへ直撃するとクリスは裸になり後ろへ後退する。バラバラになったレイスの破片が辺りへと砕け散った。

 

 

「ふぅ……これで終わったな。大丈夫か?」

 

 

 

「私は大丈夫ですけど…その、服は?」

 

 

 

「あー?良いだろ、女同士なんだから!それより…何で電話に出ねぇんだよ?あのバカ、心配してたぞ?」

 

 

 

「それは…その……補習を…。」

 

 

クリスへ諸々の事情を説明する。

颯もギアを解くとクリスと共に校舎へと戻った。颯は彼女へ自分が体育で使っているジャージ 一式を貸すとそれをクリスは服として着る事に。

 

 

「成程…お前の事情は解った。お前の友達とあたしとバカと未来で街に居たらすれ違った奴があの人形野郎がお前を狙ってるかもしれないって……それで飛んで来たら案の定だったって事さ。」

 

 

 

「すれ違った人って?誰ですか?」

 

 

 

「あー…髪が長くてお前とソックリな奴。未だアイツらと居るんじゃねぇかな。それにしても…お前、補習だなんてお前ももしかしてバカなのか?」

 

 

ニコニコとクリスは微笑みながら颯を肘で小突いて来る。

 

 

「…バカじゃないです。出席日数が足りなかったんです、最近は色々有ったから余計に。」

 

 

 

「けどまぁ…間に合って良かった。お前、妹居るのか?」

 

 

 

「ええ、まぁ。」

 

 

 

「…大事にしろよ。お前がコレで守ってやれ。あたしもお前と仲間を守ってやるから。」

 

 

クリスは、とんっと颯の胸を拳で軽く突くと真剣な顔で頷く。颯もそれに応える様に頷いた。その後、補習を再開し無事に終える事が出来た。

可愛くて頼れる先輩にフォローされながら。

 

 

 

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