戦姫絶唱シンフォギアRV   作:秋乃楓

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16再び羽撃く為に

纏井邸において翼、響は嘗て自分達が戦った相手との戦闘を続けていた。

翼は倒した筈のオートスコアラーであるファラと。

響はネフシュタンの鎧を身に付けたクリスと。

そしてもう1人。オートスコアラー・ヘルは颯を強制的に暴走状態へと仕向けると2人へ襲わせた。まるで惨劇を楽しむかの様に。

 

 

 

「ふふッ…凄い凄い……!流石は紅き剣ですね…容赦が無い。」

 

 

ヘルはその様子を屋敷の屋根の上から見下ろしていた。自らは傍観者という立場で。そうこうしているとヘルの近くへ弾が数発命中する。彼女が視線を向けると黒いイチイバルを纏った結衣が塀の上に立っていた。

 

 

「答えて…お姉ちゃんに何をしたのッ!?」

 

 

 

「何って…解き放ったのですよ。あの方の中に有る内なる闇を…人は誰しも闇を抱えている。それは決して拭えぬモノ。貴女も…彼処で戦っているお二方もそれは同じ事です。」

 

 

 

「ッッ…!!」

 

 

 

結衣は惨状を見ると歯を食い縛った。黒いギアを纏った姉、颯がまるで獣の様に暴れ回り彼女の仲間を襲っている様を。

自分の目の前に居るのは義父である総一郎が生み出したと思われるオートスコアラー。雰囲気は何処と無くだが自分と似ているのが気に食わない。

 

 

「待ってて…今助けるからッ!!」

 

 

 

結衣は翼の元へ向かった颯の間へ入ると彼女を押さえ込もうとする。

だがギアを纏っていても力の差は歴然。

紅い目で睨み付ける颯と目が合い、逸らさぬ様に必死で向き合い続けていた。

 

 

「お姉…ちゃんッッ!!目を覚ましてッ!!」

 

 

 

「グルルッッ…!!」

 

 

暴走状態の颯は更に力を込め、結衣を突き飛ばしてしまう。そこへ畳み掛ける様に拳を振り翳すと彼女を殴り飛ばした。

結衣は身体を木に叩き付けられ、その場に倒れてしまう。結衣の方へ近寄ろうとした颯だったが突然、身体が動かなくなってしまう。翼の投げた短刀が颯の影へ突き刺さっていたのだ。

影縫いと呼ばれ、翼が使う技の1つでもある。

 

 

「よせ…奏宮…!それ以上やればお前の妹をお前自身が殺す事になってしまうんだぞッ!!」

 

 

翼はファラによる攻撃を刀で跳ね除け、すれ違い様に斬り裂いて倒した。

バラバラと崩れ落ちたがそこに残ったのは白い灰の様な物だけ。

それには見向きもせず、颯を止めるべく結衣の前へと立った。

だが颯は咆哮し地面をも抉り返すと短刀を跳ね除け、翼へと立ち向かった。

 

 

「…何だとッ!?影縫いすら越えようというのか!?くッッ…!!」

 

 

 

「ガァアアッッッーー!!!」

 

 

 

互いに正面からぶつかり合い、天羽々斬の刃と颯の鋭く尖った両手の爪が接触して火花が散る。後ろには結衣が居る事から翼は迂闊に離れられない。

クリスを跳ね除けた響が翼へ声を掛けて来た。

 

 

「翼さんッ!こっちに!!」

 

 

 

「ああ…行くぞ立花ッッ!!」

 

 

 

響の合図と共に翼は無理やり颯を押し返す。そこから飛び上がると右足のブレードを展開し彼女を斬り裂いた。

颯が後退した所を見計らい、響は彼女を後ろから羽交い締めにする。

 

 

「颯ちゃんッ…ごめん!!」

 

 

彼女を無理に抱き上げるとそのまま後ろへ仰け反り、バックブリーカーを決める。頭部を強打した颯はそのまま動かなくなってしまった。

ヘルはその光景を見ると詰まらなそうにし、見下ろしている。すると拍手と共に総一郎が庭へと降りてきた。

 

 

「…終わった様だね。全ては僕が仕込んだ事さ。彼女と共にね。」

 

 

 

 

「お前は…纏井総一郎!」

 

 

 

 

「そういうキミは風鳴家のお嬢さんか。ふふッ…そしてその横に居るのが聖遺物融合症例第1号、立花響。SONGの精鋭2人に会えるとは光栄だよ…。」

 

 

総一郎はメガネを指でクイッと上げて見せる。そして倒れている颯と結衣を見ると鼻で笑ってみせた。

 

 

「そこに寝ているのが正規適合者の奏宮颯…どうやら彼女には些か荷が重過ぎたらしい、SGr-07を扱うには。それにしても馬鹿な親だ…自分の娘ですらこのギアの実験体にするとは。」

 

 

 

総一郎は颯へ近寄ろうとするが、響が前へ立ちはだかった。

 

 

 

「…そこを退きたまえ。彼女のギアを回収し、それを平和的に利用する為に此処へ来たんだ。」

 

 

 

 

「嫌ですッ、退きません!」

 

 

 

 

「…どうやらキミは何も知らないらしい。彼女の父親は悪魔の科学者さ。数多くの実験を繰り返し…そこで生まれた犠牲すら厭わなかった。そして自らの娘である彼女とそこに居る出来損ないの妹もまた研究対象にして実験を繰り返した。」

 

 

 

 

「ッ…幾ら何でも言い過ぎです!!自分の子供に…しかも結衣ちゃんに向かって出来損ないだなんて……!!」

 

 

 

響は総一郎に対し激しい怒りを覚え、拳を握り締めていた。

今にも手を出しそうになるがそんな響を総一郎は押し退けると颯の首元からギアペンダントを無理矢理、引きちぎるとそれを奪った。

 

 

「…これで良い。お役目ご苦労だったね、颯ちゃん。もうキミに用は無い……。 」

 

 

総一郎は颯を片足で蹴り飛ばして見せた。それを目撃した響は感情のまま、気が付けば総一郎へと殴り掛かっていた。

 

 

 

「私の仲間を…友達を…そんな風に扱うなぁあッッ!!!」

 

 

 

「血の気が多いね…キミはッ!!」

 

 

 

総一郎は響の拳を左手で止めてみせた。

よく見るとその手は何かが違う。まるで機械の腕の様にも見えた。

 

 

「その腕は…ッ!?」

 

 

 

 

「あぁ…コレかい?ネフィリムの力を応用して作った僕お手製の防具さ。更に攻撃にも転用出来るんだッッ!!」

 

 

 

響を振り払うと今度は右手を突き出し、衝撃波だけで響を吹き飛ばすと池へと叩き落とした。

 

 

「立花ッ!?貴様…ッ!!」

 

 

 

 

「おっと、キミとやり合うつもりは無いよ…未だ長く関係を続けたいからね。風鳴機関とは…特に。早く行きたまえ…そこに寝ている実験体と池に突き落としたバカな子と共に。それから結衣…もう帰って来なくて良い。お前は今日限り、僕の娘じゃない…お前の様な約立たずは不要だ。二度と姿を見せるな!!」

 

 

総一郎はその言葉を残すとヘルと共に屋敷の奥へと歩いて消えた。

 

 

「そんなッ…待って下さいッ、お義父様……!」

 

 

 

「…待てッ!キミが何を言っても、彼にはもう届かない。今は奏宮を…お姉さんを連れて此処を出よう。出来るな?」

 

 

 

「ッ……!」

 

翼は後を追い掛けようとした結衣を止めてから4人は纏井邸を後にした。

奪われたシンフォギア、レーヴァテインを残して。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

次に颯が目を覚ましたのはS.O.N.G内に有る医務室。いつの間にか彼女は青い病衣を身に付けていた。

ふと視線を横へ向けるとエルフナインと目が合った。

 

 

「…大丈夫ですか?」

 

 

 

「うん…未だ少し頭が痛むけど平気…何があったの?」

 

 

 

「やはり覚えてないんですね。ボクが代わりに説明します…どうか落ち着いて聞いて下さい。」

 

 

 

エルフナインは椅子へ腰掛けると颯へ何があったのかを全て説明した。

結衣の家、翼と響と共に纏井邸に向かって結衣と話した所迄は颯も覚えていた。

しかし問題はそこから先だった。

謎のオートスコアラーにより暴走状態へと強制的に仕向けられ翼や響、更には結衣へと牙を剥いた事。

結衣が義父から見限られてしまった事も全て彼女の口から明かされた。

 

 

「……そっか、私また暴走したんだ。あの時絶対に大丈夫だって思っていたのに。」

 

 

 

 

「そこ迄は計算外でした…まさかそんなシステムまで兼ね備えているなんて…。オートスコアラーを複製する技術を持っているという観点から、相当な技術者という事です……結衣さんの義父さんは。」

 

 

 

 

「あの時で全て終わったと思ったのに…。」

 

 

 

颯は溜め息をつくと頭を抱えていた。

あの時確かにシャーロットは倒したのだが未だ‎問題は解決していなかった。

そうしていると響が病室へと入って来た。

 

 

「颯ちゃん…具合はどう?」

 

 

 

「…お陰様で大丈夫。どうかした?そんな深刻そうな顔して。」

 

 

 

「実は…その……チームから外れて欲しいって司令が。」

 

 

響は颯を見ると呟いた。その顔は普段の彼女の表情からは想像出来ない程、曇っていた。

 

 

「……どういう事? 」

 

 

 

「またいつ暴走するか解らないから危険だって…それに結衣ちゃんの事も心配だから付いていて欲しいって。ごめんね、別に颯ちゃんが足でまといとかそういうのじゃ無いから…!」

 

 

 

「別に良いよ…。」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

「役に立たないとか要らないだとか…そういう言葉には慣れてるから。それに私が居ればまた迷惑掛けちゃうし。」

 

 

颯は心配する響を他所に微笑んで見せた。自分は大丈夫だから心配するなと。

 

 

「…私が持つべきじゃ無かったんだよ、シンフォギアなんて。誰かを守ろうとか助けたいだとか私には重過ぎた…。」

 

 

 

 

「そんな事無い…そんな事無いよッ!ギアを手放しちゃ…自分を責めちゃダメだよ…誰かを助ける事を諦めないで!!」

 

 

 

 

「私は!!私は…響みたいに強くなんて無い……それにもう無いんだよ、私のギアは。だから此処に居ても仕方ない…私は普通の女の子に戻るよ。響が私の代わりに戦ってくれればそれで良いから……。」

 

 

響の手を颯は握り締めた。

明日には此処を去るとだけ伝えると響はそれから何も言わずに出て行ってしまった。エルフナインも彼女の後に続いて此方へ頭を下げてから立ち去って行く。

病室に残されたのは颯ただ1人。

 

 

 

「…呪われた子、か。またあの時と同じ事が繰り返されてる気がする。私はきっとこの先もずっと…関わる誰かを不幸にして傷つけて行く。ならいっそ…1人が良い。」

 

 

その後、颯は眠りに付いた。

自分の中に1つの思いを抱きながら。

 

 

そして翌朝。

病室に来た美結に手伝って貰いながら着替えを済ませると病室を後にした。

頬には絆創膏、腕には包帯が巻かれている。外へ出る前、見送りに来た職員へ自分のIDカードと端末を返却する。

司令からはそこまで言われてないと一度は受け取りを拒否されたが、それでも颯はカードを渡した。

 

 

「…皆さんにはお世話になったとお伝え下さい。ありがとうございました。」

 

 

頭を下げるとタラップを降り、颯は美結と共に本拠地近くに停まっていた車へ乗り込んだ。ドアを開けると誰かが名前を呼んで走って来た。振り向くとそこに居たのはエルフナインだった。

 

 

「待って下さいッ…颯さん!これを…!」

 

 

彼女が渡して来たのは小さな白い小箱。

あの時、ギアペンダントが入っていた物と比べると少し小さな気がする。

 

 

「…これは?」

 

 

 

「もし…颯さんに未だ戦う気が有るのなら…この箱を開けて下さい。きっと役に立ちますから。」

 

 

 

「……解った、ありがとう。」

 

 

 

「それでは…ッ!」

 

 

颯へ頭を下げると美結と共に車へ乗り込む。車は走り出すと本拠地から去った。

外の景色を見てから颯は受け取ったケースを片手でカバンへと戻した。

 

 

「…颯?美結ちゃんの事だけど、どうする?」

 

 

 

「…それなら一緒に住む事にした。結衣もきっと納得してくれると思う。」

 

 

 

 

「そっか…そうだ、今日はちょっと奮発して美味しい物食べよっか!」

 

 

 

 

「ん…無理しないでよ?足りないなら少し出すから。」

 

 

 

「そこまでドジじゃ無いから大丈夫!」

 

 

車内で何気無い会話をしていると

2人を乗せた車は学園の寮へと着いた。

それから普段使っている部屋へと戻ると颯は靴を脱いでからソファへと腰掛けた。普段と比べると心に穴が空いた様な気がするが。

 

 

「…ねぇ、また戻るんでしょ?」

 

 

 

「戻るって…?」

 

 

 

「何言ってんのよ…人助け、またやるんでしょう?怪我が治ったらさ。ちゃんと栄養とか食事の勉強して颯を支えられる様にするから!メニューだってもっと増やせる様にする!だから楽しみにしててね?」

 

 

美結は着替えを済ませてから台所に居た。2人分のコーヒーをコップに入れて持って来ると片方を颯へと渡した。

 

 

「う、うん…楽しみにしてる。」

 

 

 

「大丈夫、変な物食べさせたりしないから!」

 

 

美結はテーブルを挟んで向かいのカーペットへ座るとニコニコと微笑んでいた。

颯には彼女の向ける笑顔が苦しかった。

辞めた事は未だ詳しく話していないからだ。それから暫く経つとインターホンが鳴り、結衣がスーツケースを持って2人の寮へとやって来た。

彼女を招き入れてから3人で夕飯を取る為に外へと出掛けたのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

街は普段と変わらず、多くの人が行き交っている。もう既に世間では家路に着く人が多く居る時間帯でもあった。

店を色々と吟味した結果、ファミレスへと入った。

 

 

「ごめんなさい、私の為に…。」

 

 

 

「良いの良いの!さぁ好きなの頼んで!」

 

 

 

「……無理すると破産するから程々にしてあげてよ?」

 

 

 

「うッ…五月蝿いなぁ!ほらぁ、颯も何か頼みなさいって!」

 

 

美結は颯に指摘されると苦笑いしながらも話を無理に進めた。注文し終わり、それぞれ頼んだ物が後から届いた事を確認すると食事が始まった。

颯と結衣の話から最近の何気無い話題。

趣味とか色々な話を重ねながら。

食事を済ませ、楽しい時間が過ぎると3人は会計の為にレジへ。

支払いを済ませてから帰路へと着いた。

 

 

「はぁ…私が奢るって言ったのに。颯が出したら意味無いじゃない!」

 

 

 

 

「美結にそういう役は似合わないって事。」

 

 

 

 

「ふふッ、仲良いんだね2人とも。羨ましいや。」

 

 

3人が街中を歩いていると直ぐ近くの建物の上に誰かが居るのが目に入った。

形からして人なのは解るが何かを此方へ向けている。その瞬間、市街地の真ん中へ多量のノイズがいきなり姿を現した。

 

 

「えッ…!?」

 

 

 

「ノイズ!?どうしてこんな街中に!」

 

 

颯と結衣が前へ出て美結を庇おうとする。直後にノイズらは人々を襲おうと狙いを付け始めた。

 

 

「ッッ…!!」

 

 

結衣はカバンから打ち込み式の注射器を取り出し、それを首元へ当てた。

 

 

「結衣…それって纏井の…!」

 

 

 

「大丈夫、S.O.N.Gの人から貰ったLiNKERだから!Get rid of-ichival-zizzlッッ!!」

 

 

結衣は薬液を打ち込み、詠唱するとギアを纏った。調整をして貰った事からギアも細部が変更されている。

色も黒いイチイバルというより、黒と銀の彩色が施されたイチイバルだった。

 

 

「…お姉ちゃん、早くギアを!私はアイツらを片付けて時間を稼ぐから!!」

 

 

 

「ッ…わ、解った!」

 

 

颯はそう言われるとギアを纏わず、美結の手を引いて走り出した。もうギアは颯の手には無いからだ。

 

 

「颯、どうして戦わないのよ!?」

 

 

 

「……今は聞かないで走ってッ!」

 

 

 

逃げ惑う人々を掻き分けて2人は走った。だがそれも直ぐに絶たれてしまう。

2人の前に現れたのは嘗て颯が倒した筈の敵、テロリスト集団、イノベイターのリーダーであるシャーロットだった。

紫色の髪を風に靡かせながら2人を見据えている。

 

 

「やっと会えたわ…ハヤテッ!!」

 

 

 

 

「シャーロット…何で生きてるの!? 」

 

 

 

 

「貴女へ復讐する為に地獄の底から舞い戻ったのよ…今度こそ私の邪魔をさせないッ!!」

 

 

 

「ッ…!!」

 

 

颯は美結の手を握り締めた。今の自分にはギアなんて無い。だから彼女だけは何としても守り抜こうと思っていた。

 

 

「…あら?ギアは纏わないの?それとも纏えないのかしら?…なら好都合、このまま死んでもらうッ!!フェンリル!!」

 

 

シャーロットは指輪を嵌め、颯の前へ突き出すとあの時と同じファウストローブを身に纏う。マントを靡かせると懐から剣を取り出し、鞘から抜剣する。

グラムとはまた異なる剣なのは確かだった。

 

 

「…貴女に折られたグラム、それから貴女の仲間に壊されたレイス…その仇を此処で取らせて貰うッッ!!」

 

 

颯へ刃先を向けるとシャーロットは襲い掛かって来た。風を斬る音と共に颯へ何度も剣が振り下ろされた。

颯は咄嗟に近くに落ちていた傘を手に取ると片手で剣を防いでみせた。

 

 

「美結…ッ、合図したら逃げてッ!!」

 

 

 

「颯…まさか戦えないんじゃ…!?ねぇ、そうなんでしょう!?」

 

 

 

「ギアなんか無くても…ッ!! 」

 

 

颯はシャーロットと競り合い続ける。しかし押し切られると剣の刃先が颯の着ていた服を斜め掛けに大きく斬り裂いた。

下着も斬れ、颯の服と素肌が一部見えてしまっている。少しすると血もつうっと滴り落ちて来た。

 

 

「…やはりグラムによる傷が有った。あの時、私は一か八かの賭けに出たの…貴女に負わせたその傷はギアを纏う事でその効果を発揮する。言わば呪いの1つ…!」

 

 

 

「ぐッッ…!!」

 

 

 

シャーロットは片手で颯の服を無理にズラすと彼女の傷を見てニヤリと不気味な笑みを浮かべ微笑んだ。そして悪戯に颯の片胸を軽く揉むと反応を楽しんでいた。

 

 

「颯に触らないでよ…このヘンタイッ!!」

 

 

それを見た美結はシャーロットを突き飛ばそうとするも避けられ、足を引っ掛けられると転んでしまった。

 

 

「邪魔をしないで貰える?少しでも楽しみたいのよ…簡単に殺してしまうには惜しいから。ねぇ颯。あんな女より私の方が好みでしょう?貴女となら愛し合ったって良い…私はずっと貴女を見て来たのだから。辛くて悲しくて痛くても誰も助けてくれない…けれどもうそれも終わり。2人だけの世界にして、そこで互いに愛し合いましょう?永遠に…!」

 

 

 

「…永遠に?」

 

 

 

「そうよ…何人足りとも邪魔はさせない。その為に今ある世界を壊すのよ…私と貴女の2人で。」

 

 

 

「……それも悪くないかもね。」

 

 

 

シャーロットの指先がいつの間にか颯の胸先を撫でていた。颯は目を閉じ、彼女の提案に頷く。

 

 

「…けど、私は美結と生きるって決めた。私の傍に居るのはアンタなんかじゃない……美結だッッ!!」

 

 

直後に颯は自分の片胸を触っていたシャーロットの手を強く握り締め、振り払うと睨み付けた。

 

 

「ッ…!痩せ我慢も大概にしたら?貴女は何も出来ない人間で私は錬金術師…その意味が解る? 」

 

 

 

「解るよ…錬金術師だろうと誰だろうと同じ人間だって事位…!!」

 

 

 

 

「そう。なら身体に直接解らせてあげる…貴女は私には勝てない事をッッ!!貴女を愛するのはその次で良い…! 」

 

 

 

シャーロットは颯を突き飛ばすとグラムの刃先を向け、刺突の構えを取る。

颯は一瞬目を閉じてから再びシャーロットを睨み付けた。

 

 

「喰らええ…ッッ!!」

 

 

 

「そうだ…颯ッ、これをッ!!」

 

 

美結が散らばった颯のカバンから箱を取り出すとそれを投げた。シャーロットの持つ剣が颯へと迫る中、投げられた箱を颯は手に取る。

そして刺突を避けてから颯は箱を開いた。そこに入っていたのは銀色のギアペンダント。取り出したそれを右手で強く握り締める。

 

 

「他の誰かじゃない…私がやらなきゃダメなんだ…それが私の運命ならッ!!」

 

 

 

「なら…その運命は此処で終わる。私の手で壊せばそれで済むのだからッッ!!」

 

 

 

 

「私の代わりは誰も居ない…美結でも、結衣でもそれは出来ない…!実験体って言われても、呪われた子だって言われても私は私!!過去がダメなら未来を変えればいい…私はずっと大事な事を忘れてた……でも、もう絶対に逃げたりなんかしないッ!!お願い…私に力が有るのなら、私を選んでくれるのなら……力を貸してッッ!!」

 

 

 

「ふふッ…何を言い出すかと思えば、そんな世迷言を!我が最愛の人であり私の最大の敵…私にひれ伏しなさい…ハヤテッ!!」

 

 

 

「運命は変えられる…変えてみせるッ!!」

 

 

 

シャーロットがグラムの刃先を指先でなぞると紅く発光し始める。そして颯目掛けて突き出すと赤い光線が颯と美結へ放たれると2人を飲み込んだ。その光は周囲の建物のガラスを粉砕し、標識や停まっていた車でさえも薙ぎ払った。

辺りは炎に包まれている。

 

 

「結局は何も出来ない…口先だけなら何とでも言えるわ。後は彼がハヤテから奪ったギアを…ッ!?」

 

 

剣を鞘へ戻そうとした時、何かが立ち上がった。それは紛れも無く颯そのもの。しかし何かが違っていた。その姿はシンフォギアを纏っている。

レーヴァテインとはまた異なるギアを。 まるでその姿は天羽々斬のシンフォギアと似ているがカラーは異なっている。

白い部分が紅く、そして青い部分は黒い。

 

 

「レーヴァテインは無い筈なのに…どうしてッ!?有り得ない…そんな事!!」

 

 

 

「…SGx-01。SGr-01天羽々斬のシステムを応用して生み出した戦闘用デバイス。それこそがイグニッションアサルトギア…!!」

 

 

颯は剣を引き抜くとその刃は日本刀と酷似しているがその刃は白く輝いていた。 刃先を突き付けると颯は真っ直ぐ睨み付ける。

 

 

「私の生き様…その身に刻み付けなさいッッ!!」

 

 

 

「減らず口を…ッッ!!」

 

 

 

颯、そしてシャーロットの戦いが再び幕を開けた。彼女が再びレーヴァテインを纏う日が来るのだろうか?

イグニッション・アサルトギアとは?

戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

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