戦姫絶唱シンフォギアRV   作:秋乃楓

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17終焉の始まり

「イグニッション…アサルトギアだとぉッ!?」

 

 

 

シャーロットは思わず声を上げた。

そんなのは聞いた事が無い。本来、シンフォギアには適合者と呼ばれる者が存在する。つまり1人が2個以上のシンフォギアと適合する事は先ず有り得ない。

颯自身も自分の姿をまじまじと見ていた。

 

 

「これが…イグニッション…アサルトギア…なの?」

 

 

立ち止まっていると通信が入った。

応答すると出たのはコレを渡して来た本人、エルフナインだった。

 

 

[起動した様ですね…ずっと信じてました。颯さんが颯さんの意思で起動する事がこのギアのカギなので!]

 

 

 

「どういう事?」

 

 

 

[イグニッションアサルト…略してIAギアは本来のシンフォギアとは異なり、悪魔で一時的に装備するタイプのギアとなります。その為、絶唱は使えません。使用出来る技も従来のシンフォギアよりも下回りますからそこだけご注意を。つまり、護身用という事です!颯さんの為にボクが作ってみました。]

 

 

 

「護身用のシンフォギアか…他の人の分は?」

 

 

 

 

[未だコレだけです。戦闘自体は此方でモニタリングしていますから、必要に応じて司令と共にサポートしますのでご安心を!]

 

 

 

「了解…ッ!!」

 

 

 

 

「何をごちゃごちゃと…死に損ないがぁあッッ!!」

 

 

 

シャーロットは小型装置をばら撒き、複数体のアルカノイズを出現させると颯へ襲わせた。

 

 

 

「…常在戦場、今…私は刃に、剣となるッ!!」

 

 

颯は深呼吸しノイズへ立ち向かう。

人型ノイズによる攻撃を素早く避けると横一線に斬り捨てると今度は飛び掛って来たカエル型の攻撃を受け流して真っ二つに一刀両断する。

まさにその姿は侍そのもの。翼の様な華麗な動きでは無いが、それでもこの場を切り抜ける為には充分だった。

 

 

「はぁあああッッーー!!」

 

 

今度は居合の構えから刀を振り抜くと紅い風圧が放たれ、ノイズを数体薙ぎ払う。シャーロットの前に立ちはだかった2体の武士型ノイズがそれを阻止するとその2体との戦闘へ発展する。

鍔迫り合いをしたかと思えば、1体を右足のブレードを用いて斬り裂くとその勢いに任せて右斜め下側へと大きく袈裟懸けに斬り裂いた。無惨に崩れ落ちると颯はシャーロットの方を鋭い眼差しで睨み付けた。

 

 

「今度こそ…ッ!!」

 

 

 

「ちぃッ!!」

 

 

颯の振り下ろした刃をシャーロットの剣が防ぐ。ギリギリと金属音を響かせながら鍔迫り合いをし始めた。何度か離れ、その都度お互いの刃が火花を散らして交錯する。

 

 

「これで終わり…ッ!せやぁああッ!!」

 

 

 

 

「しまったッ…!?」

 

 

 

颯はシャーロットの手から剣を叩き落とすと彼女との距離を詰める形ですれ違い様に斬り裂いた。

確かに手応えは有った。斬られたシャーロットがふらつきながら地面へと倒れる。

 

 

「…これで終わり。今度こそ本当に。」

 

 

 

颯は振り向くとシャーロットを見下ろした。だがそこに横たわって居たのは彼女では無かった。白い人形の素体そのもの。身体の丁度真ん中辺りに切れ込みが入っているのがひと目で解る。

 

 

「ふふッ…本当の勝負は次の機会にしましょう…ハヤテ…!!」

 

 

今度は周囲からシャーロットの声だけが辺りに響くと気配そのものが消える。

残されたのは颯と美結、それから結衣だけ。

 

 

「大丈夫、お姉ちゃんッ!?え…その姿は……何?」

 

 

 

 

「ん…貰ったのが役に立っただけ。私のギアの代わりにくれたんだ…お守りだよ。」

 

 

軽く事情を説明すると2人はギアを解き、美結と共に帰宅した。

復活したシャーロットは間違い無く、自分達の脅威になると感じながら。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

その頃。

結衣の義父である総一郎は自宅の研究室へ篭っていた。

真っ暗な部屋で明かりも点けずに彼は仲間と共にずっと研究に没頭していた。

新型のオートスコアラーを自らの手で生み出す為だ。例え倒されたとしてもスペアが有る。扉を開ける音に気付いた総一郎は振り返らず、作業を続けていた。

 

 

「…帰って来たのかい?無様に実験体にやられて。」

 

 

 

「…やられた訳じゃない。予想外だったのよ…あんなの聞いてないわ…ッ!」

 

 

声の主はシャーロットだった。

彼女は以前から纏井と協力関係に有る。

無論、総一郎とも。

 

 

「…キミの目的はスルトを探す事。僕達はラグナロクを引き起こせればそれで良い。」

 

 

 

「検討は既についてるわよ…貴方のアレを私に寄越してくれれば済む。」

 

 

 

 

「試作型零号の事か…アレをどうするんだ?」

 

 

 

 

「奪った07を組み込んで強化させれば良い。あの時、私が剣に組み込んだ際と同じ様に。」

 

 

シャーロットは総一郎の後ろへ立つと小声で呟いた。試作型零号とはネフィリムと呼ばれる完全聖遺物を纏井の技術で復元させたレプリカそのもの。

だが不安定過ぎる事から屋敷の地下に封じ込められていた。

 

 

「…キミもとんでもない事を思い付くな。それに以前、此処であの小娘がヘルの手で暴走した際のエネルギー余波により零号は今も活性化している。つまり求めているのさ。彼女…奏宮の実験体をね。」

 

 

 

 

「ハヤテの事か…。貴方は彼女の父の同期であり同じ聖遺物研究者…良いの?そんな物の言い方で。親友同士だと聞いていたけど?」

 

 

 

 

「ふん…07を奪って実験体へ送り付けたのはキミの仕業だろう、シャーロット。それに彼は友達でも何でも無い…僕らに楯突いた愚か者さ。あの詩音という女も…!だから殺したんだ…ッ!あれは…SGr-07は纏井で管理し有効利用するとそう言ったのに…反対するからッッ!!」

 

 

 

総一郎は振り向くと鋭い目付きでシャーロットを睨み付けた。シャーロットも総一郎の事は知っている。彼女が元居た世界から彼の仲間により連れて来られ、育てられた。革命を起こす為のテロリストとして。シャーロットが扱うフェンリルも彼が生み出したのだ。

 

 

「……07を貸して。私がアレを使う。」

 

 

 

 

「扱えるのか?キミに…ファウストローブじゃないんだぞ?アレは。」

 

 

 

 

 

「試してみる価値は有るでしょう…私がギアを纏ったら零号を仕向けて。エネルギー余波を取り込ませて覚醒させる…何なら装者達のエネルギーも食わせれば良い。」

 

 

 

 

「…解った。全ては新たな世界の創造の為に。」

 

 

 

総一郎と話を終えたシャーロットはギアペンダントをカプセルから取り出す。

そしてそれを握り締めると屋敷を後にした。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

それから数週間経ったある日。

シャーロットは残党として残ったメンバーらへ演説を行った。大歓声の中、シャーロット達テロリストらは出撃した。

残党達は自分を含めて50人、彼等は既に街へ向かった。モニターを通じてシャーロットは様子を伺っていた。

1人の男がシャーロットへ報告を入れに来る。

 

 

「報告します、街中で戦闘開始されました!相手はS.O.N.G側の装者です。」

 

 

 

 

「気にしなくて良い…足止めさせろ。私もそろそろ出るとしようかしら…此処はお前達に任せる。何かあれば随時報告せよ。」

 

 

 

「はッ!ご武運を!」

 

 

 

 

シャーロットは輸送機から飛び降りると

上空でフェンリルを纏い、それからビルの上へ着地する。

それから彼女は街中へ降りるとヒールを鳴らしながら人混みに逆らって歩き出した。それから街の中央へ向かうと装者の1人がシャーロットの前へ立ちはだかった。それはガングニールの装者、立花響。彼女はシャーロットを見据えると声を掛ける。

 

 

 

「どうしてッ…どうしてこんな真似をッ!!」

 

 

 

 

「決まっている、世界を壊す為よ。それ以外に何がある?」

 

 

 

 

「どうして世界を壊そうとするんですかッ!?何か理由が有るんですよねッ!?話なら聞きます…だからッ!」

 

 

 

 

「話し合いで解決する問題ならこんな事はしない…それに此処は戦場、敵の話なんか聞くと思う?」

 

 

 

 

「でも、私達には言語が有って言葉が有るッ!だから話し合えば分かり合えるはずですッッ!!」

 

 

 

 

「……話し合いで通じる程、甘くないって事を貴女に身を持って教えてあげるッ!!覚悟しなさい…ッ!!」

 

 

 

 

「貴女に何があったのかは私には解らない…けど、私は絶対に貴女の事を見捨てたりなんかしない……!!」

 

 

シャーロットは引き抜いたグラムを響へと向ける。響は走り出すとペンダントを握り締め、突撃した。

 

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tronッッ!!」

 

 

瞬時にガングニールのギアを纏った響はシャーロットと真っ向から対峙する。

剣と拳がぶつかり合い、一進一退の攻防戦が幕を開けた。

 

 

 

「はぁああッッーー!!」

 

 

 

「だぁああッッーー!!!」

 

 

 

響が繰り出した右手の拳をシャーロットが避け、剣を素早く振り翳して反撃する。響の左腕を刃が掠め、出血した。それでも響の猛攻は止まらない。拳や蹴りによるラッシュが続く。

 

 

「教えて下さいッ!私は貴女を傷付けたくないッ!!」

 

 

 

 

「そう言いながら貴女はその拳を私に向けるの?誰かの手を掴む為のその手で誰かを傷付けるの?」

 

 

 

 

「ッ…だとしても、私はこの手を伸ばし続けるッ!!今までだって胸の歌を信じて戦って来たからッッ!!」

 

 

 

 

「ふん…減らず口を…!!ファングッッ!!」

 

 

 

響と距離を取るとシャーロットは左手を大きく右斜めへ下へ振り下ろした。すると轟音と共に風圧が響へと放たれた。

それを響が横へ飛んで避けると今度はグラムを用いた剣撃で追い討ちを掛ける様に攻撃を仕掛ける。響にそれが命中すると悲鳴と共に彼女は吹き飛んで倒れた。

 

 

「ぐぅ…ッッ…!!」

 

 

 

 

「…それでお終い?呆気ないのね、大口を叩いてた割りにはその程度だなんて?」

 

 

 

 

 

「まだッ…まだ諦めるもんか…!!」

 

 

 

 

響は再度立ち上がると構えてみせる。

シャーロットはニヤリと笑うと剣を鞘へ戻し、フェンリルを解いてしまう。

呆気に取られた響はそのまま見つめていた。

 

 

「…貴女の力に免じて私も貴女と同じモノを使うとしましょうか。」

 

 

 

彼女が取り出したのはギアペンダント。

SGr-07、レーヴァテインのギアだった。

 

 

 

「あれは颯ちゃんのギア!?何で貴女がそれをッッ!?」

 

 

 

 

「私はハヤテと同じ実験体…つまりあの子に出来て私に出来ない訳は無いという事…!それを貴女に見せてあげるわッ!!」

 

 

 

空中へギアペンダントを掲げるとシャーロットは響を見つめる。

ゆっくりと口を開くと詠唱を始めた。

 

 

「Schwert-andern-revantin-tron…ッ!!」

 

 

 

詠唱と共に衝撃波が巻き起こる。

響も思わず目を逸らしてしまった。

視線を戻した先に居たのは灰色のギアを纏ったシャーロットだった。

姿は颯が纏った時と同一。だが唯一違うのはアームドギアとして呼び出された剣が黒を伴った赤色という部分。

 

 

 

「さぁ…第2ラウンドと行きましょうか?ガングニールッッ!!」

 

 

 

 

「くッ…!!」

 

 

 

シャーロットが掛け出すと刃を大きく響へ向かって振り翳す。それを避けると今度は響が蹴りを繰り出し、ギアの胸部へ命中する。だがビクともしない。

 

 

「なッ…!?」

 

 

 

「……あら、何かした?そんな生半可な攻撃じゃ傷なんて付けられないわよッッ!!」

 

 

 

響の足を片手で掴むと投げ飛ばし、地面へと叩き付ける。立ち上がった所へ今度は左手を翳し、ガントレットから複数個のエネルギー状の刃物を響へ向けてマシンガンの如く撃ち放った。

 

 

「くッ…!このままじゃ…不味いッッ!!」

 

 

弾きながら響は様子を伺う。だが、突如目の前にシャーロットが出現すると響の脇腹を力強く右足で蹴飛ばした。

鈍い音と共に建物へ激突し、コンクリート片による土煙が立ち上った。

 

 

「これがSGr-07の力…ふふッ、あはははッッ!!」

 

 

 

シャーロットが高笑いすると同時に空中から青い刃が大量に降り注いだ。それを左腕のガントレットから精製される障壁を持ってして防いだ。

 

 

「来たか…SG-01ッ!!」

 

 

 

 

「すまない…遅くなった!無事か立花ッ!!」

 

 

 

翼は着地し、響へ駆け寄ると彼女へ手を差し伸べて立たせた。そして此方へ向き直ると刀を向けて来る。

 

 

 

「…我が仲間を踏み躙り、関係の無い者達の明日を奪い…希望すら奪い去る…貴様の様な外道は私が斬り捨てる迄ッッ!!」

 

 

 

 

「やれるものならやってみなさい…貴女のその刃とやらで。」

 

 

 

 

「風鳴翼…いざ、参るッッ!!」

 

 

 

翼が繰り出した素早い斬撃をシャーロットは剣で防ぎ、受け流す。

 

 

 

「成程…確かに強いッッ!!」

 

 

 

「はぁああッッ!」

 

 

 

「何ッッ!!?」

 

 

 

翼が一瞬だが離れた途端、響が拳を振り翳して殴り掛かって来る。その一撃がシャーロットの右頬へ命中すると勢い良く吹き飛んで土煙を上げながら地面へと倒れた。

 

 

「コンビネーションアタック…これならッ!」

 

 

 

「甘く見てもらっては困るな…私と立花を!!」

 

 

 

2人は構えてシャーロットを見つめる。

ゆっくりと彼女は立ち上がると血を吐き捨てた。

 

 

 

「ふふッ…やるじゃない…!やはり戦いはこうでなくては…つまらないッッ!!」

 

 

シャーロットは深呼吸しギアの力を更に引き上げる。更にグラムを左手へ持つと再び2人へ襲い掛かった。

グラム、レーヴァテインによる組み合わせた斬撃を放つと翼も同じく斬撃を放って相殺。そこから響が隙を見て再び突っ込むとシャーロットへ何度も拳や蹴りを放つが受け流されてしまった。

 

 

「あははッッ!!所詮、ガングニールなど恐るるに足らずッッ!!」

 

 

 

 

「ぐぅうッッ…!!まだまだぁッッ!!」

 

 

 

 

 

「もういい加減に…消えろッ!!」

 

 

 

シャーロットは右手に持つ剣を手放し、更に響の拳を真正面から右手で受け止めると彼女の腹部へ左手でパンチを喰らわせた。

 

 

「がはぁッーー!!?」

 

 

 

 

「先ずは…ガングニールのエネルギーを……!!」

 

 

 

今度はギアペンダントへ直接触れるとエネルギーを取り込み始めた。

そして吸収すると響を突き飛ばし、満足そうに左腕のガントレットに嵌め込んだケースを見ていた。

 

 

 

「力がッ…入らないッ!?何でッ…!!」

 

 

 

 

「エネルギーを奪わせて貰った。貴女の爆発的なそのエネルギーを…!」

 

 

 

 

「下がれ立花ッ!!はぁあッッーー!!」

 

 

 

 

 

「へぇ…?」

 

 

 

翼が刃を振り翳すが障壁により阻まれてしまう。するとシャーロットは左腕のガントレットをまるでガングニールと同じ様な形状へ変化させた。

 

 

 

「何だとッ…取り込んだのか!?ガングニールを…!!?」

 

 

 

 

「ふふ…レーヴァテインの真の力、それは取り込んだ力をあらゆるモノに変化させる事が出来る。つまり……ッ!!」

 

 

障壁を翼が無理に突破して来た所を左腕で殴り付けた。翼は吹き飛び、倒れてしまった。

 

 

「翼さんッッ!?」

 

 

 

 

「…ハバキリ、お前の力も頂こうか?」

 

 

 

 

シャーロットは倒れた翼の右腕を踏み付け、片手でギアペンダントへ触れる。そして響と同じ様にエネルギーを取り込む。そして右手に持っていた剣を天羽々斬の刀へと変化させた。物音に気付くとシャーロットは再び立ち上がった響を見ていた。

 

 

「さて…どうする?ガングニール。お前に残されたのは力は最早、風前の灯火…!何も出来まい…!!」

 

 

 

 

「シンフォギアを…その力を誰かの明日を曇らせる為に使う貴女を…私は絶対に許さないッ…!!」

 

 

 

 

「ふん…お説教ならもう聞き飽きた。塵芥と成り果てろ…ガングニールッッ!!」

 

 

 

シャーロットが左腕を振り抜くと槍が出現し、響へ向けて突き出す。すると先端が左右に分離しそこから赤色の光線が彼女目掛けて放たれた。

それはマリアが嘗てガングニールを纏った際に繰り出していたモノと酷似している。確かに光線は響を飲み込んだ。いや、飲み込んだ筈だった。

 

 

「…え?」

 

 

 

「……ったく、ちょっとはカッコつけさせろよバカ!あたしを忘れて貰っちゃ困る!」

 

 

 

 

「クリスちゃんッ!!」

 

 

 

今度はクリスがシャーロットの前へ立ちはだかる。放たれた一撃をイチイバルのリフレクターで響を守ったのだ。

 

 

「次から次へと…!!」

 

 

 

 

「バカと先輩の力を返しやがれッ!!」

 

 

 

 

「イチイバルか…その力、私に寄越せッッ!!」

 

 

 

 

「誰がッ!! 」

 

 

 

クリスは響の前へ出ると両手のガトリング銃を掃射し牽制する。

シャーロットはそれを槍で弾きながら再び光線を撃ち出す。

 

 

「貰ったッ…!全弾フルバースト、喰らいやがれぇええッッッーー!!!」

 

 

 

クリスが交戦の最中に飛び上がると上空から武器の全てを展開し撃ち出した。

大型ミサイルから左右スカート部のミサイル、それと両手に持つガトリング砲による一斉射撃。爆音と轟音が辺りに響き渡る。

 

 

「まだ…ッ!!」

 

 

 

 

「…ああ、そうだと思ったよ。これでオネンネしなッッ!!」

 

 

 

 

煙が晴れるとシャーロットは未だ生きていた。しかし、クリスは着地した時に既にスナイパーライフルを展開していたのだ。放たれた弾丸はシャーロットの胸元へ直撃、彼女は背を向けてバタリと倒れた。それを知ったクリスは響へ駆け寄る。

 

 

「…ふぅ。おい、大丈夫か?」

 

 

 

 

「何とか…!」

 

 

 

 

「すまない…雪音…ッ!それより、死んだのか?彼女は…。」

 

 

 

翼も2人の元へ来るとシャーロットを見ていた。クリスにより胸元を射抜かれてから動く気配が無い。

 

 

「…間違い無く急所を射抜いた。後は先輩とバカの力を取り返せば終わる。」

 

 

 

「そうか…構えろ2人ともッ!未だ奴は生きているぞッッ!!」

 

 

 

 

「ふふ…痛かった……私のバストを正確に射抜くとは。流石はイチイバル…!」

 

 

 

 

 

「おいおい…バケモノかよッ!?」

 

 

 

 

 

「…ふふッ、そうかもしれないわね?」

 

 

 

ニヤリとシャーロットは片方の口角を上げて微笑むとクリスにより射抜かれた装甲を撫でながら話していた。

 

 

「この野郎…ッッ!!」

 

 

 

 

「…はぁあッッ!!」

 

 

 

クリスが構えようとした途端、シャーロットは背面の装甲部分から何本ものワイヤーをクリスへ投擲し彼女を縛り上げる。

 

 

「痛かったわ…意識が飛んじゃう位。でも、さようなら…貴女は用済みッ!!」

 

 

 

 

「ざけんなッ…離せッッ!!」

 

 

 

 

「もう遅いッ!!」

 

 

 

クリスのギアペンダントへ片手で触れるとエネルギーを先の2人と同じ様に取り込んだ。

そして投げ捨てると今度は装甲の色が赤く変色し姿を変えた。

左腕は赤いガングニールのガントレット、右手には赤い天羽々斬の刀。

そしてイチイバルを取り込んで得た装甲部。3人のギアの力を奪ったシャーロットは不気味に笑っていた。

 

 

「これで良い……さぁ始めましょうか…終末戦争、ラグナロクを!!」

 

 

 

 

「そんな事させない…!止めるんだ…絶対にッッ!!」

 

 

 

響の叫び声と共に翼、クリスも挑み掛かる。そして3対1の交戦へと突入したのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

3人が戦闘状態へ突入した時、街は既にパニック状態、イノベイターの配下の錬金術師らが生み出したアルカノイズによる被害は拡大し続けていた。

一方の颯、美結、結衣の3人は学園の避難所にて街から避難して来た人達の支援へ当たっていた。無論他のボランティアの人達と一緒に。外に居た颯の元へ美結が駆け寄ると隣に来た。

 

 

「……颯、どうかした?」

 

 

 

「何でも無い。それよりそっちは大丈夫?」

 

 

 

「大丈夫…ねぇ颯、これから私達…どうなるのかな?」

 

 

 

そっと美結は颯の腕を片手で掴んだ。

そして身体をゆっくりと寄せる。

 

 

 

「…どうなるって?」

 

 

 

 

「街が壊されて、沢山の人が傷付いて死んじゃって…戦争みたいな事になって…当たり前の日々が当たり前じゃ無くなっちゃって…ッ!!いつまで続くの?こんな事…!」

 

 

全ては2日前から始まり、既に10日も経っていた。装者らも全面的にイノベイターらと戦っているがやはりそれでも被害は収まる気配は無い。拡大する一方だった。リーダーであるシャーロットを見つけたのもついこの間に過ぎない。

 

 

「大丈夫…私が美結の傍に居る。ずっと一緒だよ…いつか終わるよこんな事は…。」

 

 

そっと美結の背中を摩る。視線をふと体育館の中へ向けると多くの人達が悲しんだり傷付いて手当を受けている様子が目に入って来た。護身用として受け取ったギアはあの時に1度起動してから使っていないのだ。

 

 

「…お姉ちゃんに会いたい人が来てる。」

 

 

 

結衣が2人を見つけると駆け寄って来る。颯は不思議そうに思うと美結を彼女へ任せ、結衣から言われた通りの場所へ向かった。向かったのは学校の校門付近。

 

 

「私に会いたい人…?」

 

 

 

 

「…此処だ、颯君。」

 

 

 

そこに居たのは颯も良く知る人物、風鳴弦十郎。普段通りの格好に赤いシャツを腕まくりしている。

 

 

 

「…お久しぶりです。何かご用ですか?私はもう貴方の組織の人間じゃ有りませんが。」

 

 

 

 

「知っている。だから会いに来た…キミにもう一度、戦ってもらう為に。」

 

 

 

 

「…レーヴァテインは有りません。護身用のギアもあの1回で故障しましたから。こんな役立たずにどうしろと?」

 

 

 

 

「役立たず…か。シンフォギアが無ければ自分は何も出来ない…そう言いたいのか?」

 

 

 

颯は頷いた。これまでも今までもシンフォギアで戦って来た。だからシンフォギアが無いという事はつまり自分は無力、ただの人間。それに等しいと。

 

 

 

「…甘ったれるなッッ!!奪われたモノを取り返さずしてキミは尻尾を巻いて逃げるのか!?あのギア…レーヴァテインはキミのご両親がキミへ託したモノなんだぞ!!」

 

 

 

 

「でもッ…じゃあどうすれば良いんですかッ!?頭で割り切っても心が納得しない…!あの時、覚悟を決めたのに…運命は変えられるって…もう逃げたりしないって…!でも結局は何も出来ないッッ…無力だ…ッ!!」

 

 

すると弦十郎は颯の手を取ると

そっと握り締めた。更に指を折り畳むと拳の形へと変えたのだ。

 

 

「…確かにキミは無力だ。だが、それは俺達も同じ事。運命に抗う事を止めたらその時点で本当に全てが終わってしまう…。例え無力だとしても最後の最後まで戦って喰らいついてでも掴み取ってみせろッ!!シンフォギアが纏えなくてもコレが有るッ!!だから諦めるなッッ!!」

 

 

 

颯は右手の拳を見ると何かを決めた。

そして弦十郎を見つめると一言、「はいッ!!」と力強く返事をした。

それから連絡用の端末を彼から受け取り、校門を飛び出すと颯は一直線で駆け出して行く。戦火により燃え盛る街中を突き進んで。すると走っている最中に1人の錬金術師と出会すと立ち止まった。

 

 

「こっちはこれで終わったな…おっと、未だ生き残りが居たかッッ!」

 

 

 

「……ッ!」

 

 

 

 

「丁度良い…お前で最後だッ!!やれッッ!!」

 

 

颯が身構えた途端、錬金術師の指示でアルカノイズ数体が彼女の方を振り向く。

 

 

「ッ…!!」

 

 

颯は咄嗟に落ちていた鉄パイプを拾うと構えてみせる。例え敵わなくてもやるしかない。颯が突撃しようとした途端、空中から緑色の刃が数匹のアルカノイズを切り刻んだ。そして今度は丸鋸が辺りに降り注ぐと次々と同じ様に切り刻む。

颯は思わず空を見上げた。

 

 

「まさか…ッ!?」

 

 

 

 

「ヒーローのッ!!」

 

 

 

 

「到着デスッ!」

 

 

切歌と調が颯の前へ降り立つとそれぞれ構えた。

 

 

 

「事情は司令から聞いてます。早く行って下さい、颯さんッ!!」

 

 

 

 

「此奴らはあたし達が引き受けるデスよッ!」

 

 

 

「うん…ありがとうッ!」

 

 

 

「そう簡単に行かせるかよッ!!」

 

颯が走り出そうとすると錬金術師は行かせまいとアルカノイズをけしかける。だが切歌がそれを阻止し、交戦へ突入する。

 

 

「お前の相手はあたし達デス…!!」

 

 

 

 

「…行くよッ、切ちゃんッッ!!」

 

 

 

「「やぁあああッッーー!!」」

 

 

 

それから颯は2人を背にし、響達の待つ現場へと駆け付けた。

周囲はビル街が立ち並ぶ場所。

既に辺りのビルは壊れている。

そこは嘗てキャロルが用いたチフォージュシャートーが損壊し、旧都庁にそのまま鎮座していた場所だった。

だが何かが違った。辺りには3人の装者が倒れている。

 

 

「響…ッ!?翼さんッ…クリス先輩ッッ!?」

 

 

 

颯が響へ駆け寄るとゆっくり目を開く。

そして颯の手を握り締めた。

 

 

「颯ちゃんッ…ごめん…ギアを取り戻せなかったッ…!」

 

 

 

 

「今はそんな事気にしなくて良いから…!」

 

 

 

 

「そうだ…未だマリアさんがシャーロットさんと戦ってるッ…!!」

 

 

 

 

「え?!…解った、行ってみる。ギアを持たない私に何が出来るか解らないけど…ッ!!」

 

 

颯は響から離れると立ち上がった。

掛けだそうとすると響は颯を止めた。

 

 

 

「颯ちゃんッ…頼んだよッ!!」

 

 

 

 

「うん…頼まれたッ!!」

 

 

 

2人は違いに頷くと颯はマリアの元へ向かった。自分に何が出来るか。その答えは自分自身が知っている。それを証明する為に。

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