戦姫絶唱シンフォギアRV   作:秋乃楓

6 / 20
06黒い魔弓

「LiNKER投与完了、テスト開始。」

 

 

「了解。モニター正常に可動、被験者のバイタルは安定しています。」

 

ある施設の一角。そこでは秘密裏に実験が行われていた。シンフォギアシステムを正規適合者では無く、LiNKERと呼ばれる薬物と特殊な訓練を用いて装着するいわば時限的と呼称されるやり方を用いた実験。

 

基本的に装者は先天的な特性によりギアを纏う事が出来る正規適合者の他に上記の様な形で装備する時限的の2種が存在している。

そして今、実験室でギアを纏おうとしているのは赤い髪の少女。未だ幼さが残るその顔は何処か緊張している様にも見えた。

 

 

「……いきます。Get rid of-ichival-zizzlッ!」

 

 

ペンダントを前へ掲げると閃光が放たれる。突如として黒と白を基調としたインナースーツと共に両手には二問のガトリングがそれぞれ付いた武器が出現した。

研究員はそれを見て声を上げた。これまで、この実験は中々上手く行かずにいた事から打ち切りも検討されていた。しかし、何度か改良を重ねた末に漸く完成したのだ。

 

 

「おめでとう、これでキミも装者だ。結衣……。」

 

 

外のマイクを通して室内へ声が届く。

声を掛けたのは年配の男性。喜んで彼女の方を見ていた。

 

 

「ありがとうございます、お義父様。これで漸く私はお義父様のお役に立てます……。」

 

 

 

「そうだな…お前の目的はSG-r07の破壊。そのシンフォギアなら可能だろう?」

 

 

 

「はい、勿論ですとも。きっと07はあの人が持っている……そんな気がするのです。」

 

 

 

「……あの人?誰だね?」

 

 

 

 

「ふふッ…お義父様も本当は解っている筈でしょう?」

 

 

結衣はクスクス笑うとギアを解いた。

実験室から出るとペンダントを首から下げ、自らの義父へ近寄る。そして彼に向かって呟いた。

 

 

「貴方が無理矢理、手柄を取る為に蹴落とした研究員とその家族。此処まで言えばお解りでしょう?…では、私はこれにて失礼致します。」

 

 

結衣は頭を下げると実験室を後にした。

長い廊下を歩くとその先に隣接するのは古い日本家屋で言い換えれば大きな屋敷。結衣は廊下で立ち止まると外を見る。夜の空には三日月が紅く輝いていた。

 

 

「……会える日はそう遠く無い。そうでしょう?SG-r07。」

 

 

結衣は自室へ入ると戸を閉めた。

この日の夜は1人の少女の思惑と共に明けていくのだった。

颯達の知らない所で少しづつ、着実に何かが動き始めている事を未だ彼女達は知らない。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

翌朝、颯と美結は携帯ショップに来ていた。実は颯が携帯を持っていない事が前の日の夜に発覚した事から急遽、買いに来ていたのだった。幸いな事に学校は休日だった事からそれを利用して街の方へ来ていた。店に入ってから颯はカタログをジロジロ見ながら首を傾げている。

 

 

「どう、決まった?」

 

 

 

「んー…まだ。色とか機能とか言われても解らないってば。」

 

 

 

「あのねぇ、そんなに深く考えなくても好きなのにしたら良いじゃない…。ほら、コレとかどう?」

 

 

 

「…派手じゃない?」

 

 

 

「そう?じゃあコレは?」

 

 

 

「無理、予算超えてる。」

 

 

 

「難しいわね…携帯持ってない子って今時、アンタ位じゃない?」

 

 

 

「む……仕方ないでしょ、孤児院だと持たせて貰えないんだし。携帯買ったりするのは許可が…!」

 

 

 

「解った、解ったから!早く決めて次行くわよ。折角の休みなんだから!」

 

 

美結は促すと颯と共に彼女の携帯を選んでいた。そして少ししてから漸く決まった。背面が美しい青色で、最近出たばかりのモデル。予算は少しオーバーしたが不足分は美結が出す事に。店員から契約情報を諸々説明を受けた後、手続きを済ませ、会計を済ませてから店を後にした。

 

 

 

「やーっと決まった……次はケース買わないとね。裸のままだと傷付くし、フィルム貼らないと画面汚れるわよ?」

 

 

 

「そうだね…じゃあフィルムも買うよ。コレに合う奴、教えてよ。」

 

 

 

「はいはい…っと。」

 

 

 

2人は仲良さそうに歩いて行く。ついこの前の喧嘩が嘘みたいだった。2人の服装なのだが、颯は青いジーンズと白い長袖のパーカー、中は黒いシャツ。帽子もオマケに黒い。美結は今時の女の子が着ているであろう可愛らしい茶色のスカートに紺色の服。彼女の場合、颯とは対照的でオシャレにやたら気を使っている。

 

歩きながら近くの雑貨店へ入ると2人は先程買ったスマホのフィルムを探しに店内をウロウロして探す。

フィルムを見つけると今度は共同生活で遣う品物を買い込み、会計を済ませると外へ出る。フィルム以外にも色々買った事からビニール袋が1つ増えてしまった。

 

 

「これでOKね!後はケースを…。」

 

 

 

「…ごめん美結、ちょっと持ってて!」

 

 

 

「へ?あ、ちょッ……何処行くのよ!?」

 

 

 

颯はいきなり美結へ手にしていた荷物を持たせると走って街中を駆け抜ける。

実は歩いていた時から何かしらの気配を感じていた。それも自分にだけ向けられた物。殺意でも無ければもっと異なる何か。来た道を引き返すものの、その気配は消えていた。雑貨店を訪れる迄の間に感じていたのだが、気の所為だったらしい。

 

 

「……?気の所為か。」

 

 

 

颯は周囲を見回して様子を伺う。

しかし、彼女の周りを行き交う人ばかりでその中からは先程の気配は感じられない。少し進むと発砲音と共に足元へ数発の穴が空く。颯は咄嗟に後ろへ下がると弾の飛んできた方向を見る。そこには逆光で解りにくいが人型のシルエットが有った。

 

 

「何ッ!?」

 

 

 

 

「やっと見つけた…SG-r07!!」

 

 

 

 

「え?あれは…シンフォギア!?どうしてッッ!!?」

 

 

タンタンとビルを飛び越し、相手は飛び掛って来る。最後のビルを飛び越すと右手に持っているガトリングを掃射した。

銃声と共に弾がばら撒かれ、辺りから悲鳴が上がる。辺りの人は咄嗟の出来事に悲鳴を上げたりして逃げ惑っていた。

 

 

「無関係の人達に撃つなんて…正気!?」

 

 

 

 

「目的の為なら手段は選ばない…それが私だッッ!!」

 

 

 

すると今度はハンドガンに切り替え、此方へ発砲して来た。颯は身を躱してそれを避ける。逸れた弾は逃げていた1人に命中し、その場に転ぶ様にがくりと倒れてしまう。颯はその光景を目撃し、声を失ってしまった。

 

 

「あ……ッッ!?」

 

 

 

「貴女が逃げれば他の誰かが傷付く…それでも逃げ続ける?SG-r07。」

 

 

 

「ッ……人をモノみたいに呼ばないでくれる?関係の無い人達を大勢巻き込んで、ケガまでさせて……アンタだけは絶対許さないッッ!!」

 

 

 

「ふふッ、怒った怒った!!さぁ、纏いなさい…その力を私に見せてみろッッ!!」

 

 

 

「言われなくてもッ…Saver all-revantin-tronッッーー!!」

 

 

 

素早く詠唱し、ギアを纏うと颯はブレードを抜剣し斬り掛かる。すると向こうはぶつかり合う瞬間に銃身から刃を展開させてそれを防いだ。

 

 

「それが07の本来の姿……紅くて綺麗。けれどそれは私が回収する!!それは私の纏うギアだッ!!」

 

 

 

「ッ……ふざけるなぁあッッ!!」

 

 

 

互いに何度も斬り合い、その度に火花が散る。颯は一旦振り払うと距離を取った。だが、途端に無数の弾丸がハンドガンから放たれるとそれを剣で斬り落としていく。それからは左手で展開したシールドで防ぎながら反撃の機会を伺うと

此処しか無いと利き足を踏み込み、颯は斬り掛かった。

 

 

「これで終わり…ッッ!!」

 

 

両手に持った剣を勢い良く振り翳そうとする。だが寸前で手を止めてしまう。

刃を向けた目の前には子供が居た。相手の装者が咄嗟に近くに居た子供を取って盾にしたのだ。刃は少女の額と当たるギリギリでピタリと止まっていた。

 

 

「何処まで腐ってんのよ…アンタ!! 」

 

 

 

「惜しかったわね…この子ごと私を斬れば倒せたかもしれないのに?」

 

 

 

 

「人の命を何だと思ってるのッッ!?自分の目的の為なら知らない誰かを巻き込んで良いなんて間違ってる!!」

 

 

 

 

「私にはそんな事関係無い…だからこういう事も出来るッ!!」

 

 

 

途端に少女を投げ捨てると彼女はふらついて倒れそうになる。次の瞬間、颯の方を見たままハンドガンで少女を撃った。

腹部、右肩とそれぞれ弾が着弾しバタリと地面へ倒れた。

 

 

 

「な…ッ……あ…ああ……ッッ!?」

 

 

 

「ふふッ…あはははッッ!!貴女が戦えば誰かが傷付く。これで身に染みて解ったでしょう?」

 

 

 

颯は無我夢中で少女へ駆け寄る。未だ息はしているが、それでも状態は良くない。颯は拳を握り締めると鋭い視線で睨み付けた。その目は怒りと殺意に満ちていた。紫色の瞳に映されるのは此方を見て笑っている自分と同じシンフォギアシステムを扱う奏者。

だからこそ余計に怒りが込み上げて来る。使い方1つでこうも事態が変化するのかと。

 

 

「…悔しかったら、その子を見殺しにして掛かって来れば?まぁ…お人好しっぽい貴女には無理でしょうけど?」

 

 

 

「ぐッ…言わせておけばッッ!!」

 

 

 

颯が立ち上がろうとした時に通信が入る。相手は弦十郎だった。内容は戦闘を避けて撤収しろとの事。少女に関しては今居る場所から少し離れた位置に役員を待機させている為、彼等に託せとの事だった。

 

 

「…解りました、撤退します。悪いけどアンタと遊ぶのはまた今度。次会ったら叩き潰してやる…!!」

 

 

 

「はいそうですかって、このまま見逃すと思う? 」

 

 

 

ハンドガンをしゃがんだままの颯へ向ける。颯からすれば一刻の猶予も無い。

しかし颯は少女を抱き抱えて立ち上がった。撃ちたければ撃てと言わんばかりの顔で相手を睨み付けて。そして後ろへ1歩ずつ下がり出した。

 

 

 

「…へぇ、面白い真似するじゃない?なら2人纏めて……ッ!!」

 

 

 

 

「今だッ!!」

 

 

 

颯は向こうが発砲するタイミングと合わせて飛び上がった。見事弾を避け、近くの建物の屋上へ着地するとそのまま走り去った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

結局、休みの半分は謎の奏者の奇襲により予定は全て潰れてしまった。

颯は本部を訪れ、先程の事情を全て弦十郎へと報告していた。潜水艦と言えどブリーフィングルームは備わっている。2人はそこに居た。

 

 

「…成程、大体の事情は把握した。此方でも事態に関しては報告を受けている。逃げてる最中に巻き添えを食らってしまった者も居れば、負傷した者もいるらしい。被害の報告も相次いでいるよ……。」

 

 

 

「それで…撃たれたあの子は?助かるんですよね!?」

 

 

 

「恐らくな……。スタッフが最善を尽くしているが油断は許されない状況だ。」

 

 

 

颯は先程貰った缶コーヒーの缶を両手で握り締めていた。すると弦十郎は再び話を切り出す。

 

 

「……SGr-02イチイバル、それがキミを襲ったシンフォギアだ。」

 

 

 

「イチイバル…って?」

 

 

 

「狩猟神ウルの扱う弓の一部より作られたのがイチイバルのシンフォギア。装者は我々の仲間なのだが…あのタイプは初めて見た。我々の知るイチイバルとは全く異なっている…武器の形状、ギアの形……全てが違う。」

 

 

 

「それと向こうは私の事は07と呼んでました。SGr-07、恐らく私のギアの事だと思います。これは私が纏うギアだとも言ってましたし……。」

 

 

 

「…つまり、颯君のレーヴァテインを狙って奇襲を仕掛けて来たという事か。解った…今日はもう遅いから帰って構わんぞ。すまなかったな、貴重な休みを棒に振ってしまって。」

 

 

 

「大丈夫です、それでは…。」

 

 

 

颯は立ち上がると頭を下げ、部屋を後にする。通路を通じて外へ出ると歩いて学校へと戻って行った。

外は既に日が暮れて空は真っ暗。

解った事と言えば向こうは自分が持つシンフォギアを狙っている事。

もう1つはあの黒いシンフォギアの名前はイチイバルという事の2つ。それ以外は不明瞭なまま。

 

 

「誰かを守る為の力で誰かを傷付けるか……。自らの欲望の為なら何をしても良いなんて間違ってる…絶対。」

 

 

 

颯はその足で寮へ戻ると自室へ入った。

既に美結が帰って来ている事から鍵は開いたまま。台所では美結が鼻歌交じりに食事を作っていた。此方に気付いたのか美結はぐるりと振り向いて来る。

 

 

「帰って来たらただいま位言ったらどう?」

 

 

 

「ごめん、考え事してて…。」

 

 

 

「考え事ねぇ…あ、そうだ!勝手に私の偏見で選んだケース買っちゃったから宜しく!」

 

 

 

そう言われると美結は再び台所へ戻る。

テーブルに置かれていた携帯会社の袋の横に置かれていた別の小さな袋。

颯は床へ座るとその袋を開いてケースを取り出す。そこにあったのは赤い手帳型のケースだった。

 

 

「…赤にしたの?」

 

 

 

「良いでしょ?青い携帯に赤のケース!似合ってると思ってさー♪」

 

 

 

「そ、そう…ありがとう……。」

 

 

 

颯は微笑むと早速、ケースを携帯へ取り付けた。気に入ったのか何度かパカパカ開いたりして1人で楽しんでいる。

美結はその光景を何処か微笑ましく見ていた。

 

 

「ご飯食べたら色々教えてあげるから、それ片付けて頂戴。」

 

 

 

「はいはい……。」

 

 

我に返るとテーブルの上を片付けて夕飯を食べる事に。それから少し掛けて食べ終わると今度は美結が颯へ携帯の使い方やら何やらを色々教えていた。

当然、連絡先も互いのを交換して。

すると何かを思い付いたのかニコニコしながら彼女を呼んだ

 

 

「颯!」

 

 

 

「何?いきなり……。」

 

 

 

「良いから良いから、ほら笑って笑って!」

 

 

 

シャッターを切る音と共に美結は颯の携帯で写真を撮った。咄嗟の出来事に颯は少し驚いていた。すると美結は慣れた手付きで色々と操作を始める。

 

 

「これをこうして…こうすれば……良し、出来た!」

 

 

 

「…ちょっと止めてよ、恥ずかしい。」

 

 

 

 

「良いじゃない?別に。ほら、私のも。」

 

 

 

 

「いつの間に……。」

 

 

 

美結と颯が写った画像を美結は彼女の携帯の壁紙として設定し、微笑んでいた。

そして美結も同じく。

 

 

「表情固いわねー…もう少し笑ったら?」

 

 

 

「今の私にはそれが限界。それでも、前よりマシになったでしょ?」

 

 

 

「……それもそうね。それじゃあ明日に備えてお風呂入って寝ちゃおうか。沸かしてくるから待ってて!」

 

 

 

「はいはい……。」

 

 

美結が立ち上がり足音を立てながら風呂場へ走って行った。その後も色々有り、残りの休日はこうして幕を閉じた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ーあの日、両親は事故で死んだ。ー

 

病院の霊安室に通され、ベットに横たわる2つの人を見たのを私は鮮明に覚えている。

その顔には白い布を掛けられていた。

片方はお父さん、片方はお母さんなのは直ぐに解った。それから暫くして2人のお葬式が終わると親戚中の話し合いになった。

 

 

誰がこの姉妹を引き取るのか。

 

 

ただでさえ両親は口外出来ない研究をしていた事から周りは口々に色々と話し合っていた。

 

「うちでは面倒は見れない。」

 

 

 

「厄介なのを残して死んでくれた。」

 

 

 

「口外出来ないという事は違法な研究をしていたんじゃないのか?」

 

 

とあらゆる悪口を聞いたのを覚えている。大人から向けられる視線は冷たくて痛かった。集まりに来ていた同じ歳の子から言われたのは

 

「お前の親はいけない事をして死んだんだ。」

 

 

「お前達が居ると不幸が移る!」

 

 

誰も味方は居なかった。そして話し合いの末、引き取られるのはどちらか1人になった。私は妹を引き取って欲しいと話した。向こうは私も引き取ってくれると話したが私は断った。

 

 

「私は1人で大丈夫です。だから……もうお父さんとお母さん、それから私達の悪口は言わないで下さい…お願いします。」

 

 

それから妹は新しい両親へ連れて行かれ、私は施設に預けられた。

 

 

泣いたり、笑ったり、怒ったり、そういった感情もその時から薄れ始めたのかもしれない。

 

他人と関われば辛い思いをするのは自分自身。だから誰も信じたくない。自分の中に入って来て欲しくない。私に関わらないで欲しい。私と関わればきっと誰かが不幸になる。だから……。

 

 

「や…て…はやて……颯ッ!!」

 

 

誰かに声を掛けられて目を覚ます。

もう朝だった。外では鳥がチュンチュンと鳴いている。

 

 

「……美結?何、朝からそんな声上げて。」

 

 

 

「何じゃないわよ…何で朝から泣いてんの?ずっとうなされてたし……。」

 

 

 

「え?あ…ちょっとね、嫌な夢を見ちゃったから。」

 

 

 

「……嫌な夢?」

 

 

 

「最近は見ないと思ってたから…さ、早く支度しないと。遅刻するよ。」

 

 

颯はポンと美結の肩へ手を置くと少し微笑んでみせた。2人は着替えと朝食を済ませると普段と同じで寮から通学する。

教室へ来ると室内はいつもと同じ。

誰かと話したり、勉強したりと色々だ。

すると颯の携帯とは別の端末に着信が入る。颯はカバンを机に置いてから応対した。

 

 

「…はい奏宮です。解りました、現地で2人と合流します。」

 

 

颯は通話を終えると端末をしまう。

美結へ目で合図すると彼女はそれに対して小さく頷いた。

そして颯は自分の携帯と端末をポケットへしまうと教室を出て廊下を走って行った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「ポイントCにノイズが突然、出現…私達だけで迎え撃てって。」

 

 

 

「成程…颯さんは?来ないデスか?」

 

 

 

「響さんは無理そうだから颯さんに頼んだって司令が言ってた。だから颯さんが来る前に数を減らしちゃおう、切ちゃん!」

 

 

 

「合点承知デース!!」

 

 

 

先に到着した切歌、調は近くの道路で立ち止まる。2人は互いにペンダントを取り出すと小さく頷いた。

 

 

「Zeios igalima raizen tronッ!!」

 

 

 

「Various shul shagana tronッ!!」

 

 

 

眩い光が2人を包み込むとそれぞれのギアを纏う。切歌はイガリマ、調はシュルシャガナ。2人はノイズの群れへと突撃した。調がツインテールを見立てた左右の装置から多量の小型の丸鋸を放って

迎撃したかと思えば、切歌が素早く接近し大鎌でノイズを次々と斬り裂いて進む。まさに息のあったコンビネーションそのもの。

 

 

「やぁああッッ!!」

 

 

 

「デェエーースッ!! 」

 

 

 

今度は調が滑る様に地面を移動し、スカートを鋸に変化させ斬り裂いて行く。

それから切歌が飛び上がり、最後のノイズをバッサリと頭上から一刀両断し葬り去った。

 

 

「ふぃー、楽勝だったデス。」

 

 

 

 

「うん。あっさり終わっちゃったね。」

 

 

 

2人は立ち止まると辺りを見回す。

するとパチパチと乾いたが辺りに響いた。視線を向けるとそこに居たのは赤い長髪の少女だった。

 

 

「流石はS.O.N.Gの精鋭…ノイズ位は簡単に蹴散らしちゃうか。ピンクがSGi-01シュルシャガナ、緑色のがSGi-02イガリマ……ふふッ。」

 

 

 

「およよ?颯さんデス!ノイズなら全部アタシ達が倒しちゃったデスよ?いやぁー、あと少し早ければ颯さんの分も……。」

 

 

 

「……似てるけど違う。何かヤバイよ、切ちゃん!」

 

 

 

「ふぅん…颯って言うんだ、あの子。丁度いい…貴女達にも挨拶しておかないとね……ッッ!!」

 

 

 

瞬時に少女はギアを纏った。

そして2人へ銃口を向けるとニヤリと微笑む。

 

 

「さぁ…私と一緒に踊りましょう?ダンスパーティーの始まりよッッ!!」

 

 

少女はガトリングを構えると銃声を響かせながら弾丸を掃射し始めた。足元にはカラカラと薬莢が散らばっていく。

 

 

「デデデ!!?撃って来たデスよ!?」

 

 

 

「あれってクリス先輩のギアじゃ……ッッ!?」

 

 

 

2人は左右に別れ、弾を避ける。

少女も両手に装備したガトリングを2人へ向けてそれぞれ動かして掃射を続ける。

 

 

「こんのぉおッ…!」

 

 

 

切歌は射線から飛び上がり、空中で鎌の刃を増やして少女へ投げ飛ばした。空を切りながら刃は少女へと差し迫る。

すると、飛んで来た方へ身体を向けると今度は左右のスカートからミサイルを放って刃を破壊してしまった。

 

 

「ざぁんねん…ッ!?」

 

 

 

「後ろが空いてるッッ!!」

 

 

調は少女へヨーヨー状のアームドギアを投げ付けて背面から斬り裂こうとする。が、出現した障壁に阻まれてしまった。

 

 

「……コンビネーションプレイによる戦闘か。悪くないけど、私には効かないッッ!!」

 

 

 

「な…ぁッッー!!?」

 

 

 

少女はガトリングで調を薙ぎ払う様に横一線で殴り飛ばした。近くのビルの壁へ叩き付けられ、調は崩れ落ちてしまう。

 

 

「調ッッ!?よくも…ッッ!!」

 

 

 

「ムキになった?仲間がやられて可哀想ね…ほらほらほらほらぁあッッ!!」

 

 

 

少女は不気味に笑いながら挑発し、切歌の繰り出す斬撃を次々と躱していく。

右手のガトリングをハンドガンへ切り替えると切歌の眉間へ向けた。

 

 

「はい、お終い…ッッ!?」

 

 

 

「……間に合ったッッ!!」

 

 

引き金を引こうとした瞬間、何かが当たって落としてしまう。少女が振り向くとそこに居たのはギアを纏った颯。

よく見るとハンドガンには小型のダガーナイフが突き刺さっていた。

 

 

「颯さんッ…調が、調が!」

 

 

 

「…攻守交代、切歌ちゃんは調ちゃんを!」

 

 

颯は走って切歌へ近寄ると代わりに引き受ける事にし、少女と向き合う形でその場に立った。少女はナイフを引き抜くとそれを颯ヘ向ける。

 

 

「あと少しだったのに。貴女の仲間を殺せば貴女はもっと悲しむ…貴女の力は誰かを不幸にするのに未だ気付かないの?その力を持ち続ければ更に誰かが傷付くのに……?」

 

 

 

「それはアンタが決める事じゃない。私の掴んだ力が誰かを不幸にしたり、悲しませたりするというのなら私はそれを覆すだけ…何でもかんでもアンタが勝手に決め付けるなッッ!!」

 

 

颯は少女へ向けて指をさす。

その目は怒りと同時に彼女自身の決意も満ちていた。

 

 

「……バカね。それもかなりの大バカと来た。なら解らせてあげるわ…その身体にたっぷりと!!」

 

 

 

「やれるものならやってみなよ…私は無作為に誰かを傷付けるアンタを絶対に許さない。この力は…シンフォギアは……誰かを傷付ける為に有る力じゃないって事を私が証明してみせる…必ず!!」

 

 

颯も左腕のガントレットから剣を抜剣し構え、そして少女を見据える。互いに睨み合ったまま膠着状態が続くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。