『聖晶石』というアイテムがある。
一つ一つは大した力を持ってはいないが、複数集まると英霊召喚の触媒として使用できる。
人理が焼却され、外部からの供給が絶望的となった今では、貴重な資源の一つだ。
レイシフト先のそこかしこに落ちており、見つけたそれらを持ち帰ることもまた、立香達のノルマだった。
「よし」
さて。
そんな聖晶石がある程度溜まったこともあり、今日は何度目かの召喚を行うことになった。
もちろん英霊が来てくれることに越したことはないが。
『概念礼装』というサーヴァントを強化してくれるカードも、需要があることにはある。
捧げた聖晶石は三十個、一度に十回サークルを起動できる数だ。
「先輩、リラックスですよ」
「ありがとう、マシュ」
召喚サークルの前で意気込む立香は、マシュの声援を受けながら手をかざした。
令呪が赤く輝き、呼応するように聖晶石も点滅する。
やがて石の表面に皹が入り、次々割れていく。
「来るわよ!」
付き添っていたオルガマリーの声を合図にするように、サークルから光があふれ出す。
まず来たのはやはり概念礼装。
『黒鍵』や『ルーの車輪』などの見慣れたものが出てくる。
と、金色の礼装が現れた。
「プリズマコスモス!当たりだよ藤丸君、こいつは頼りに成る礼装だ!」
同じく一緒にいたロマニが顔をほころばせたことから、いいものが来たらしい。
まだ召喚が続いているので、解説は後回しになってしまうが。
と、今度は打って変わって激しい魔力の奔流。
何度も感じたからこそ分かる。
「サーヴァントが来る・・・・!」
光の色は金色。
霊格は期待していいだろう。
金色が爆ぜて、サークルの中央にカードが現れる。
裏地から読み取れるクラスは、セイバー。
やがてカードが裏返ると同時に、英霊がその姿を現した。
「・・・・ぁ」
まず目を引いたのは、流れるような長い髪。
腰にはセイバーらしく刀を携えている。
纏った衣服は、和風のような洋装のような、不思議な印象を受けた。
目蓋をあけ、凛とした目元を見せた彼女は、立香を見つめて口を開く。
「セイバー『スサノオ』、貴殿の呼び声に応じ参上した。人類守護は我が努め、この刃存分に使ってくれ」
はきはきと自信に溢れた声を聞いて、改めて悟る。
このサーヴァントが秘めた力を。
「スサノオって確か、日本の神霊じゃなかったかしら」
「ステンノさんやエウリュアレさんといい、やはり人理焼却が関係して・・・・?」
真面目に考察するオルガマリーやマシュの隣で、立香とロマニは口をぱくぱくさせていた。
「せ、先輩?」
「ロマニもどうしたのよ」
怪訝な顔で問いかける女性陣を他所に、二人は目の前のサーヴァントへ指を突きつけて。
「「風鳴翼さん!?」」
心底驚いた顔をしていた。
苦笑いを浮かべたセイバーは、ワケが分からず首をかしげるオルガマリー達へ目を向ける。
「分かっている方もいるようなので白状しますが、私はかの三貴神の一柱の霊格を賜った擬似サーヴァントです。仔細は後ほど説明しますので、今はそれだけ留意していただけると」
「え、ええ、分かったわ」
擬似サーヴァントといわれ、一瞬カルデアの古参の一人が頭を過ぎったが。
召喚はまだ続いているので、サークルの上から降りてもらって。
ひとまず後ろの方で待機してもらう。
サークルは再び金色に輝く。
今度のクラスはランサーのようだ。
「すごい、高位のサーヴァントが二体も・・・・!?」
興奮冷めやらぬロマニの声を聞きながら、立香は光から目を庇った。
「・・・・?」
光が収まったのを確認し、恐る恐る目を開ければ。
「――――ランサー『ヴァルキリー』、召喚に応じて来たぜ」
まず目を引いたのは、燃えるような赤い髪。
一見鳥のようにも見える前髪の間から、力強い瞳が見える。
「まあ、正確には殻を借りたパチモンだけどな。腕っ節は期待していいぞ?マスターさん」
オレンジと黒を基調とした、密着したスーツを纏った彼女は。
大振りの突撃槍をかついで、不敵な笑みを浮かべた。
「また擬似サーヴァント・・・・」
「また?あたしの他に誰か・・・・」
二回続けての擬似サーヴァント。
驚くマシュの言にひっかかりを覚えたらしいランサーが、視線を動かせば。
静かに微笑を称えるセイバーと目が合った。
「おおおおおおお!翼じゃんか!なんだ、お前も来てたのか!」
「・・・・ええ、会えて嬉しいよ」
急に弾ける様な笑顔になったかと思うと、まるで旧友に会った様な態度で近寄る。
そして力強く握手を交わした。
・・・・どうやら、霊格を借りている彼女達は知り合いのようだ。
「一つ追加だ、マスター」
ランサーは言うなり、セイバーと肩を組む。
「あたしと翼、両翼そろったあたし達なら、千人どころか万人力だ!大いに頼ってくれや!!」
そして、自信たっぷりにそういうのだった。
実際二人が並んでいると、何ともいえないフィット感を感じて仕方が無い。
きっと生前は自他共に認めるコンビだったのだろうと、マシュが頼もしく見つめていると。
「嘘、だろ?こんなことってあるのかよ・・・・!?」
「ううううぅぅぅぅぅ・・・・・・!」
「ドクター?」
「藤丸もどうしたのよ?」
立香は乾いた笑みを浮かべながら嬉しそうに震え、ロマニにいたってはボロボロ涙を零している。
どういうわけだか、二人の様子が先ほどからおかしい。
マシュが首をかしげ、オルガマリーが怪訝な顔で問いかけた直後。
「「―――つ」」
「つ?」
「「ツヴァイウィングだああああああああああああ!!!!」」
ひゃっほーう!だなんて、文字通り飛び上がって喜ぶ二人。
始めはそれぞれ飛び跳ねるだけだったが、最終的には互いの手を取って踊りだしてしまう。
何が何だか分からないマシュはおろおろし、オルガマリーはどこか冷めた目で身を引いた。
「まあ、まずは説明だよな」
「ご両人も、どうか落ち着いて欲しい」
いよいよ騒がしくなった面々へ、原因である二人がなだめにかかる。
少女説明中・・・。
「なるほど、これが噂のシンフォギアなのね」
スサノオとヴァルキリー改め、翼と奏の話を聞き終えたオルガマリーは、二人をまじまじと見つめた。
翼の格好はかけ離れてしまっているらしいので、奏の方を主に観察している。
「聖遺物のほんの小さな欠片から、歌を介して力を引き出す・・・・先輩の故郷で、そんな技術が生まれていただなんて」
マシュもかなり驚いているようだ。
「あたしからすれば、二課が国連所属になってんのにびっくりだよ。弦十郎の旦那も大変だなぁ」
「司令だけではないよ、仲間たちも一緒になって戦った結果さ」
「へぇ?」
感慨深く零された言葉に、翼はどこか誇らしげに返す。
「まあ、この話は後でゆっくり」
「ははっ。おう、楽しみにしてるぜ」
翼が興味を持った奏をなだめて、話は一段落した。
「あ、あの!」
次に前に出たのは立香。
「俺、お二人のファンで!だから、一緒に頑張ってもらえるのは本当にありがたいです!」
喜色満面ではあったが、どうにか押さえ込んで背筋を正す。
「どうしても未熟者ですが、俺も精一杯頑張ります!どうか、よろしくお願いしますッ!!」
「おう!未熟だろうがベテランだろうが、やる気無ぇよりゃ何倍もマシだ!頑張ろうな!」
「こちらこそよろしく頼むよ」
頭を下げた立香へ、好反応を見せた二人は。
それぞれ手を差し出して、硬い握手を交わすのだった。
さてさて。
早速二人の実力を測るべく、手ごろな難易度の特異点へレイシフトすることになった。
ボロ泣きから復帰したロマニも加えて話し合った結果、第二特異点であるローマへ行こうと言う話しに。
そこで、パーティ編成はどうするかという話になったが。
これはあまり悩むことはなく、すぐに決まった。
今回は単なる腕試しの面が強いため、あまり力まなくともよかったからだ。
と言うわけで、レイシフトルーム。
「よろしくな、センパイさん?」
「はい、頑張りましょうね」
準備を終えた各々が、出発前にわずかばかりの談笑を楽しんでいた。
連れて行くのは、翼と奏にマシュ、それから・・・・。
「マスター、一人足りないようだが・・・・?」
「ああ、さっきスタッフさんから連絡があって、ちょっと遅れるって」
『多分そろそろ・・・・』と言いかけた時、扉が開く。
「ああ、ファフニール。来てくれて・・・・?」
最後のメンバーである彼女に声をかけようとして、ふと気付く。
この前霊基再臨して露になった両目が、仰天に見開かれていた。
視線を先を追ってみると、同じく驚いているらしい翼の姿。
奏はそんな相棒の様子に怪訝な顔をしていたが、やがて何か思い当たったのか愕然とする。
突然現れた一種の緊張に、立香は首を傾げようとして。
早くも沈黙を破ったのは、翼のほうだった。
「立花?立花じゃないか!?」
「えぇっ!?翼さん、この子知っているんですか!?」
次いで、立香が驚愕を露にした。
マシュも目を見開いて、翼とファフニールを何度も見比べている。
無理も無い、第三特異点までを攻略した長い間。
正体不明のままだったサーヴァントの正体を、新入りが知っているのだから。
翼の顔は驚いてはいるこそ嬉しそうで、懐かしそうに目を細めていた。
「・・・・ウゥ」
一方のファフニールは、どこか怯えた様子で後ずさった。
その反応に翼は一瞬眉をひそめたものの、すぐに微笑を湛える。
ゆっくり歩み寄って、頭に手を伸ばす。
「大丈夫だよ。見た目こそ変わっているが、お前はお前だろう?」
「・・・・ァゥ」
優しく頭を撫でながら、ファフニールに話しかける。
「今日から私も、ここで世話になることになった。よろしくな」
「・・・・」
最後にそう締めると、ファフニールは黙って頷いた。
「翼さん、お知り合いなんですか?」
マシュがおずおず話しかけると、翼は晴れやかな笑みを浮かべる。
「ああ、誇れる後輩の一人だよ」
自信満々に言い切って、またファフニールの頭を撫でた。
クラス:セイバー
真名:スサノオ《風鳴翼》
属性:秩序・善
身長:168
体重:情報が公開されていません
詳細:人理焼却に伴い生まれた擬似サーヴァント。
天羽々斬を振るっている縁から、三貴神の一柱『スサノオ』の霊格を借りて召喚されている。
普段は歌姫をやっており、とある『アイドル』とは天と地ほどの差がある。
ステータス
筋力 B
耐久 C
俊敏 A
魔力 E
幸運 D
宝具
無敵貫通&敵単体に大ダメージ
クラススキル
対魔力 E
騎乗 C
保有スキル
防人 B
自身の防御力をアップ&精神弱体耐性アップ(3ターン)
歌女 A
味方全体の攻撃力をアップ&味方全体のクリティカル威力をアップ(3ターン)
心眼(真) B
自身の防御力をアップ&回避状態付与(2ターン)
霊基
第一段階:『不死鳥のフランメ』の衣装から、ヒラヒラを取り払った状態。日本刀を携えた姿がカッコイイ。
第二段階:『不死鳥のフランメ』の衣装完全体、刀がアームドギアのそれになる。
第三段階:三期ギアに『不死鳥のフランメ』のひらひらを纏った状態。
最終段階:『逆光のフリューゲル』の衣装で歓声に応える姿、背後に心当たりのある誰かがいる。
台詞
戦闘開始
「いざ参る・・・・!」
「我が刃、ご覧に入れよう!」
スキル使用
「羽ばたき鋭く・・・・!」
「風斬る如く・・・・!」
カード選択
「承知!」
「いざ!」
「ええ!」
宝具カード
「防人の刃、受けてみよッ!!」
攻撃時
「せいやッ!」
「はッ!」
EXアタック
「
宝具
「絶なる刀、天を駆け・・・・羽ばたき以って、斬り開くッ・・・・・『
クラス:ランサー
真名:ヴァルキリー《天羽奏》
属性:秩序・善
身長:169cm
体重:情報が公開されていません
詳細:人理焼却に伴い生まれた擬似サーヴァント。
生前は翼とユニットを組んで、歌手活動をしていた。
ステータス
筋力 B
耐久 A
俊敏 C
魔力 E
幸運 E
宝具
敵全体に大ダメージ&味方のNPを少量チャージ&自身の戦闘不能(デメリット)
クラススキル
対魔力 E
保有スキル
歌女 A
味方全体の攻撃力をアップ&味方全体のクリティカル威力をアップ(3ターン)
仕切り直し B
自身の弱体解除&体力を少量回復
薬害 B
自身にスター集中状態中を付与(4ターン)
霊基
第一段階:お馴染みガングニールのギア、から、腰のパーツを取り払ったもの。
第二段階:お馴染みガングニールのギア。
第三段階:『逆光のフリューゲル』の衣装に、ガングニールの装甲を取り付けた姿。
最終段階:『逆光のフリューゲル』の衣装で歓声に応える姿、背後に心当たりのある誰かがいる。
台詞
戦闘開始
「いいぜ、こいよ」
「あたしの歌を聞けーッ!」
スキル使用
「これだな」
「腹いっぱいもっていけ!」
カード選択
「ああ」
「いいぜ」
「よっしゃ!」
宝具カード
「んじゃあ、ま・・・・派手に行くかァッ!!」
攻撃時
「おらァッ!!」
「くらいなッ!!」
EXアタック
「そうら遠慮すんなッ!」
宝具
「心と体、全部空っぽにした・・・・これがあたしの一切合財ッ!!『
戦闘不能時
「ああ、腹減ったぁ・・・・」
「後は任せた・・・・!」
カルデアにきちまいました、ツヴァイウィング。
翼さんは剣士勢と手合わせ三昧もいいけど。
霊基の影響でキャス狐を何度も『姉上』と呼びそうになって『担任をお母さんと呼び間違えちゃうアレ』みたいな羞恥心でもだもだするのもいいと思うのです。
奏さんは兄貴あたりと仲良くなりそう。
お酒が入ったら一緒に肩組んで横に揺れるみたいな。
まあ、仔細はみなさんのたくましい想像力で補ってください(丸投げ