チョイワルビッキー番外編   作:数多 命

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FGO系はこれ以降筆が止まったきりです。
すまねぇ・・・・すまねぇ・・・・。


FGOその3

目を開ければ、一面の荒野。

夜明けとも夕暮れともつかない、橙と藍が混ざる空の下。

どこまでもどこまでも広がっている。

 

「・・・・?」

 

歩き出そうとして、ふと。

足に何か当たる。

何かと見下ろしてみれば、死体が転がっていた。

 

「――――ッ!?」

 

ぎょっと後ずさる。

また足に何かぶつかり、振り向けば。

また別の死体。

頭が混乱する中、周囲が見えるようになる。

死体、死体、死体。

自分の周囲に、所狭しと屍が転がっていた。

 

「・・・・!!」

 

誰か、誰か。

生きている人は。

懇願しながら、駆け出す。

大きく息をしながら、何度も屍を踏み越えながら。

死体以外の、自分以外の人間を。

必死になって探し回った。

と、何かが聞こえる。

 

「―――――」

 

歌だ。

誰かが歌を歌っている。

藁を掴むような思いで、走る。

もう屍を踏むことすら気にしなくなった足取りで、近づいてみれば。

一人の少女が座り込んでいた。

ごろごろ転がっている屍達も、そこだけを避けているように思う。

円形の中央、か細い声で子守唄が送られる先。

膝の上で泥の用に寝入る、別の少女がいた。

座っている方との大きな違いは、とにかくボロボロであること。

服があちこち裂け、見える肌と言う肌に痛々しい傷が刻まれている。

服、肌関係なく、全身に赤黒いシミに塗れていて。

それが彼女の血なのか、返り血なのか、今の自分には判断がつかなかった。

そんな傷だらけで、疲労も限界に達しているだろう少女へ。

座っている少女は、優しく、優しく、穏やかに。

子守唄を紡ぎ続ける。

眠っている彼女が、少しでも安らかであれますように。

聞こえる歌声には、そんな願いが込められているように思えた。

 

「・・・・ッ」

 

目の前の光景に、泣きそうになる。

どうしようもなく胸が締め付けられて。

悲しくて、切なくて。

 

「――――ァア」

 

涙が溢れそうになったとき、また別の声。

子守唄とは違う、危機感を抱く響き。

ぎょっとなって振り向くと。

なんと屍が立ち上がっていた。

一つだけではない、二つ、三つと。

ゆらゆら力なく立ち上がる。

だらしなく開けた口と虚ろな目に、殺意と敵意を込めて。

自分ではなく、少女達を睨んでいた。

 

「オオオォ・・・・!」

 

一体、また一体。

手を伸ばして進み始める。

狙いはもちろん少女達。

両手の指なんてとっくに超えた数が、か弱い彼女達に襲い掛かる。

肩を掴む、腕を掴む。

抵抗むなしく引き剥がされる。

傷だらけの少女はそのままに、座っていた少女は引き離される。

屍が群がる、眠り込んでいる彼女に牙を立てる。

 

「響イイイィ――――ッッッ!!!!」

 

飛び散った鮮血に、悲痛な声が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那様!?旦那様ァッ!!」

「先輩!どうしたんですか!?先輩!!」

 

目が覚める。

飛び込んできたのは、心配そうな、泣きそうな顔で覗き込んでいる二人。

 

「ま、しゅ?きよひめ・・・・?」

「これ、飲んでください」

「ああ・・・・」

 

手渡された水を一気に煽れば、熱っぽかった喉がすっきりした。

 

「うなされていましたよ。清姫さんが泣きながら駆け込んできたときは何事かと思いました」

「そっか、心配かけたね」

 

はらはらと涙を零す清姫の頭を撫でると、彼女は懺悔するように俯いてしまう。

 

「申し訳ありません・・・・私がついていながら・・・・!」

「いいんだよ、ありがとう」

 

縋りつき泣き出す彼女を慰める方法なんて、寝起きの頭では上手いこと思いつけなかった。

 

「何か良くない夢を見ていたんですか?」

「・・・・多分、そうだと思う」

 

正直覚えていない。

覚えていないけど、一つだけ確かなことがある。

 

「悲しくて、切なくて・・・・残酷で・・・・そんな夢だった気がする」

 

同時に、自分の無力を思い知らされたような気がした。

()()()()のささやかな安らぎすら守れない自分が、とても悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――サーヴァント(だれか)の記憶、ないし心象風景を見たのかもね」

 

朝食後のミーティング。

朝の騒ぎはオルガマリーの耳にも届いていたらしく。

これ幸いと相談してみたところ、そんな答えが返ってきた。

 

「記憶?」

「ええ、英霊と契約している場合、互いの記憶を夢に見ることは話したでしょう?」

 

確認に、立香はこっくり頷く。

 

「肝心の内容を覚えていないっていうから何ともいえないけど、この英霊だらけの状況だもの。そういうことがあってもおかしくないわ」

「なるほど・・・・」

 

頼れる上司の解説に納得しながら、また何度も頷く立香。

そんな彼を見ていたロマニが、親戚の子に話しかけるように提案する。

 

「・・・・レイシフトはお休みにして、今日は召喚だけにしちゃおうか」

「それがいいかもね、ここんとこ働きづめだったし」

 

ダ=ヴィンチちゃんまでもが賛成したとあれば、オルガマリーも頷かざるを得ないようだった。

 

「まあ、たまにはいいかしら。ただし、明日と明後日で遅れを取り戻してもらうから、そのつもりで」

「は、はい・・・・!」

 

聖晶石の在庫や、五日に満たない日数で取り戻せる遅れなど。

様々な要因を吟味して、首脳陣はそう結論付けた。

休みになるのはありがたいが、明日から忙しくなりそうだ。

気合十分に、立香は返事をした。

 

「――――よう、マスター。こっちはいつでもオーケーだぜ」

 

部屋を出るなり待っていたのは、アーチャー『ロビンフッド』。

ただしおなじみの緑のローブ姿ではなく、赤を基調としたカウボーイスタイルの少女だ。

武器も弓ではなく、腰に携えた二丁拳銃。

さらに戦闘では、これらがガトリングやらミサイルやらに変形するもんだから、驚く他ない。

そんな彼女だが、例の如く英霊の霊格を借りた擬似サーヴァントの一人であり、本名は『雪音クリス』というらしい。

翼や奏、ひいてはファフニールの関係者で、『イチイバル』のシンフォギアを纏っている縁から召喚されたとのことだった。

ちょっと素直じゃないツンデレだが、面倒見が良い性格。

信長やビリーと銃火器について話し合う他、ナーサリー・ライムを始めとした子ども達に読み聞かせをする姿を見かける。

ちなみにこのカルデアには本家のロビンフッドもおり、始めこそ『イチイの弓』のあり方について衝突があったものの。

付き合いが長くなった現在では、効率の良い罠の仕掛け方や、狙撃ポイントについての話題で盛り上がる仲だ。

 

「ごめんクリス、今日は俺の調子が悪くって。レイシフトは明日になったんだ」

「何だ?具合でも悪いのか?」

「いや、ちょっと夢見が悪くって・・・・」

 

怪訝な顔をするなり、立香の体調を気遣うクリス。

 

「その代わり、明日と明後日は頑張ってもらうことになるけど・・・・」

「まあ、そんな日もあるか。分かった」

 

申し訳なさそうな立香に向け、クリスは人懐っこく笑うのだった。

 

「これから召喚だけど、よかったらどう?」

「おう、来たのがあぶねーのだったら困るもんな」

「あはは」

 

笑いあった二人は、そのまま連れ立って歩き出す。

しばらく行くと、翼に出くわした。

 

「雪音と、マスターか。レイシフトは中止のはずだったが・・・・?」

「召喚だけはやるんだと、センパイも来るか?」

「迷惑でなければ、ご一緒させてもらおう」

「どーぞどーぞ!」

 

ちなみに奏はランサーのクー・フーリンと手合わせ中らしい。

最終的に三人で召喚へ向かうことになった。

サークルの中央に聖晶石を置き、手を掲げる。

いつもどおり令呪が輝き、サークルが起動。

霊力の奔流が巻き起こる。

 

「『激辛麻婆豆腐』・・・・何に使うんだ」

「腹ごしらえじゃないっすかね」

 

妙な礼装に首をかしげる一幕もありつつ、召喚は続く。

 

(九回目、魔術礼装・・・・・今日もサーヴァントはなしかな)

 

概念礼装のカードを手に、一人ごちた時だった。

サークルが金色に輝く。

礼装とは違う魔力の流れに、立香は目を見開く。

 

(あ、来るんだ。サーヴァント)

 

間抜けにそう思った瞬間、現れるサーヴァントカード。

絵柄はキャスター。

カードが裏返り、輝きが増す。

思わず瞑った目を開けてみれば、サークルに立つ人影。

 

「・・・・?」

 

体に張り付くスーツ、脚部に備わった物々しい装甲。

見覚えのある装いに、立香が指を指しながら二人を見る。

目をぎょっとさせていた翼とクリスは、ゆっくり頷く。

・・・・・お仲間、ということでいいらしい。

 

「あの・・・・?」

「あ、ゴメンゴメン。ちょっとびっくりしただけ、どうぞ?」

「あ、はい」

 

置いてけぼりにした所為で、キャスターが戸惑っている。

立香が促すと、小さく顎を引いて答えた。

 

「キャスター『卑弥呼』、呼び声に答えて参りました。戦いは得意じゃないですけど、頑張ります」

「うん、よろしく。俺がマスターの藤丸立香だよ」

「はい」

 

差し出された手を握り返して、契約は完了した。

 

「で、君もやっぱり擬似サーヴァント?」

「はい、本当は小日向未来って言うんです。このギアが、卑弥呼が使っていた鏡だったって話があるらしくて、それで・・・・というか、何で分かるんですか?」

「それはな、小日向」

「あたしらもそうだからだ」

 

少し驚いた顔で立香を見上げるキャスターに答えたのは、翼とクリス。

 

「翼さん、クリス!同じサーヴァントだったんですね!」

「あたしらだけじゃねぇ、カナデさんもいるぜ」

「もちろん・・・・・立花もいる」

「響も!?」

 

卑弥呼改め未来は、ファフニールの本名を聞くなり顔をほころばせる。

隣に居た立香が、思わずドキっとするくらいの、華やかな笑顔だ。

 

「ファフニールはうちの最古参でね。今までずっと頑張ってくれたんだ」

「そうなんですか・・・・!」

 

気を取り直してファフニールについて教えてやれば、心底感激した様子で見上げてくる未来。

もしかすると、翼や奏、クリスよりもファフニールに近い人物なのかもしれない。

 

「ファフニール・・・・響と仲良いの?」

「はい、幼馴染なんです」

 

一応聞いてみれば、しっかりした肯定。

予想はあっていたらしい。

 

「よかったら会ってみる?今の時間なら、倉庫で手伝いしてると思うから」

「いやマスター、待った」

 

知り合いと言うなら、是非会うべきだと思ったのだが。

何故かクリスが制止してきた。

未来とそろって振り向けば、なんだか複雑な表情をしている。

 

「雪音、ちょっと」

 

同じく微妙な顔になっていた翼がクリスをひっぱり、二人でこそこそ相談を始めてしまった。

 

「――――あぶねーと思うんだけど。あいつって、あの頃のあいつだろ?」

「ああ、だが会わせるべきというのには賛成だ。なんだかんだ言いながら、あの子には小日向が必要なんだよ」

「けど、生身だったらいざ知らず、今はサーヴァントだぜ?被害が想像つかねぇって」

 

・・・・時折聞こえてくる物騒な単語が、立香の第六感に警鐘をならした。

 

「えっと、俺なんかまずいことしようとしてる?」

 

話し合う二人にそう聞いてみると。

同時にこちらを見た彼女達は、少し困った顔で互いを見合う。

が、何かしらの結論は出たのか、小さくため息をついた。

 

「マスター、サーヴァントはそのクラスにおける全盛期が召喚されるのはご存知ですね?」

「ああ、所長にならったけど、それが・・・・?」

「ここにバーサーカーとして召喚されてるあいつは、なんつーか・・・・ちょっとめんどくせー時期のが呼ばれててさ。何の気なしにその子を引き合わせたら、多分・・・・」

 

翼の説明を引き継いだクリスは、少し躊躇って、

 

「多分、その子を傷つける。最悪殺すかもしんない」

「・・・・・え、ええッ!!?」

 

『殺す』だなんて物騒極まりないワードに、立香はぎょっとなった。

次いで、何か地雷を踏んでしまったのではと、隣を見やる。

未来は何かを決意した顔で、口元を結んでいた。

 

「・・・・・会うな、と言っても、小日向は会いに行くでしょう。どうしてもとおっしゃるなら、我々も同伴させてください」

 

言うまでも無く、ファフニールを止める役としてだろう。

クリスも同意するように頷いており、いざとなれば戦闘も辞さない腹積もりらしい。

 

「二人はこう言ってるけど、どうする?俺は、君にあったばかりだからよく分からないし、ファフニールがそうなっちゃうのなら、会わない方がいいのかもしれない。それでも会うかい?」

 

そんな二人の心情を汲み取って、立香は未来に問いかける。

・・・・本音を言うのなら、傷ついて欲しくない。

活躍を聞いて、自分のことのように喜ぶほど親しい相手なら、なお更。

だが、未来の決意は、立香の予想を上回っていたようだ。

 

「――――会います」

 

多少間はあったものの、確かな声で『是』を告げた。

 

「響は、わたしを信じてくれましたから、わたしも、響を信じたいです」

「・・・・・そっか」

 

翼が指摘したとおり、決意は硬いらしい。

止める方が無粋だと悟った立香も、腹を決める。

 

「じゃあ、いってみようか。最悪ちょっと散らかるかもだけど!」

「散らかる程度で済みゃあいいんだけどな」

 

プレッシャーを払拭するように冗談を言いながら、そろって廊下に出る。

そのときだった。

 

「――――」

 

誰かが、息を呑む音。

そちらを見れば、霊基を最大まで解放したファフニールが突っ立っている。

 

「響!」

 

立香や翼達が身構える前に、未来が嬉しそうな声を上げて。

駆け寄ろうとして、

 

「――――ッ!!」

「っきゃ!」

 

思いっきり突き飛ばされる未来。

尻餅をつき、痛みに顔を歪める彼女を見下ろしたファフニールは。

立香達に目もくれず、廊下を疾走して去っていく。

未来が翼に助け起こされる様を見ていると、ロマニから通信が入った。

 

『い、今、ファフニールがすごい勢いで駆け込んできて、レイシフトしてったけど。何かあったの?』

「えっと、実は・・・・」

 

経緯を説明する傍ら。

ファフニールが走り去った方向を、未来が切なげに見つめている。

 

「・・・・・響」

 

呟いた声は、寂しさに溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス:アーチャー

真名:ロビンフッド《雪音クリス》

属性:秩序・善

身長:153

体重:データが破損しています

 

 

ステータス

筋力 E

耐久 D

俊敏 B

魔力 E-

幸運 E

 

 

クラススキル

単独行動 B

対魔力 E

 

 

保有スキル

魅惑の美声 C

敵単体に確率で魅了状態付与(1ターン)

 

射撃 A

自身のクリティカル威力アップ(3ターン)&無敵貫通(3ターン)

 

ガン=カタ B

自身の攻撃力アップ(3ターン)&必中状態付与(3ターン)

 

 

宝具

夢なぞる指で引き金を引く(ソング・オブ・イチイバル)

敵全体に大ダメージ&スター発生アップ

 

 

霊基

第一段階:ウエスタンスタイル、踏まれたい足元してる。

第二段階:二期ギアにウエスタン系の小物がついている姿、たゆん。

第三段階:三期ギアにテンガロンハット、たわわ。

最終段階:戦場でバイオリンを奏でながら歌うクリス、敵味方関係なく聞き入っている。

 

 

台詞

戦闘開始

「群れ雀がうじゃうじゃと・・・・!」

「あたし様のおとーりだッ!!」

 

スキル

「これだな」

「やっさいもっさい!」

 

コマンドカード

「おう」

「分かった」

「いいぜ」

 

宝具カード

「バーゲン開催だ、遠慮すんなって」

 

アタック時

「ちょっせぇ!」

「ぶち抜けッ!」

 

EXアタック時

「もってけ土砂降りだッ!」

 

宝具

「つけるなんちゃらはいらねぇよなァ?『夢なぞる指で引き金を引く(ソング・オブ・イチイバル)』ッッッ!!!閻魔様に土下座しなァッ!!」

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