○○○の少年と離れた時間と公園で   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で後日談編は最後になります。
楽しんでいただけると幸いです。

それではどうぞ。



第9話 七夕パワー

とある平日の放課後。商店街にて。

 

「でねでね! この間の公園探しの旅の事をおたえに話したら、おたえのオススメの公園を教えてもらったんだ! いつもそこで、飼ってるうさぎを遊ばせてるんだって!」

「えー、それ楽しそう! はぐみも、うさぎさんと遊びたいなー!」

 

香澄とはぐみがそんな話をしていると……

 

「……あ。香澄ちゃん、はーちゃん」

「「あ! 彗(すい)ちゃん!」」

 

偶然なのか藍音学院の制服姿の彗と遭遇した。相変わらず一輪車に乗ってるが。

 

「2人は時間的に学校帰りの寄り道?」

「うん、彗ちゃんは?」

「……ん、僕も寄り道というより、散歩に近いかな。それにしても、笹飾りが所狭しと並んでるね?」

 

そろそろ七夕が近いのか?と思いながら、彗は商店街を見渡す。

 

「今年の短冊には何を書こうかなー。もっとたくさんライブもしたいし、みんなといろんなところにも行きたいし~」

 

みんなで美味しい料理も食べたいよねっ!と笑顔で言う香澄。

 

「わー! それすっごいいいね~! はぐみも、さんせー!」

「……ん、それについては異論無し」

「でしょでしょ!? ……わ、そんなこと考えてたら、急にお腹が空いてきちゃった……」

「はぐみもお腹空いた!」

「……ん、気持ちは分からなくもない」

 

美味しい食べ物や料理の事を考えると、急にお腹が空いてしまう現象。案の定、そうなった香澄とはぐみ。そもそもどういう原理でなってしまうのだろうか?

 

「それじゃあ、かーくん! すいちゃん! ウチでコロッケ食べていきなよっ!」

「あっ、ちょっと待って! 確かお財布の中に……あった!」

 

そう言って、香澄は財布の中から何かの紙を取り出した。

 

「じゃじゃーん! やまぶきベーカリーの割引券!」

 

紙の正体は割引券だった。

 

「前にパンを買った時にもらったんだ! せっかくだから、一緒に使わない?」

「え、いいの!? はぐみもちょうど、さーやのウチのパン食べたかったんだー!」

「……ん、割引券、オシャレで可愛い……あと、僕も行ってみたい……」

 

沙綾の実家がパン屋だという事は、本人から聞いていたので、彗もちょうど行きたかった。

 

……という事で、3人はやまぶきベーカリーに向かう事に。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー……って、なーんだ香澄とはぐみか。あ、彗もいらっしゃい」

 

やまぶきベーカリーに着くと、看板娘である沙綾が出迎えてくれた。ちなみに彗は一輪車を外に置かせてもらった。

 

「えへへ~、3人で来ちゃいましたー。お腹が空いちゃったから、パンを買おうと思って!」

「かーくんが割引券あるからって、誘ってくれたんだよ!」

「……ん、僕も香澄ちゃんに誘ってもらった」

「ふふ、毎度ありがとうございまーす。どれにする?」

 

ゆっくり選んでねと3人に言う沙綾。

 

「んー、悩むなー……さーやのウチのパンは、どれも美味しいからなー……」

「あ、そうだ! あとちょっとでメロンパンも焼けるよ」

「えー! 余計に悩んじゃうよー」

「……(沙綾ちゃん、商売上手だなぁ……)」

 

メロンパンが焼けるという沙綾の言葉を聞いて、割と本気で悩む香澄。そんな沙綾を見て、商売上手だなと思った彗。

 

「悩んだら、全部買っていってくれても全然いいんですけど? ふふふ♪」

「さすがにおこづかい的に全部は買えないから……3つ! 私は3つ買っていこう!」

「はぐみもそうしよー!」

 

お小遣い的に厳しいのか、香澄とはぐみは3つ買っていくらしい。

 

「……ん、それなら僕が追加で買ってあげるよ」

「「いいの!?」」

「……ん、今日は1人5()()までね」

「「わーい!」」

 

そんな2人を見て、彗がなんと追加でパンを買ってあげると言ったのだ。それを聞いた香澄とはぐみは大喜び。

 

「いいの? お小遣いとか?」

「……ん、自分で言うのもなんだけど、これでも稼いでるから」

「あはは……そうなんだ……」

 

真顔で質問に答える彗に苦笑いする沙綾。

 

「それじゃあ……クリームパンでしょ? クロワッサンと……あとメロンパンと……彗ちゃんと同じパンがいい!」

「はぐみは、こっちのカレーパンと、焼きそばパンと……コロッケパンと……はぐみもあとはすいちゃんと同じパンにする!」

「彗ちゃん、さーや、2人とも決まったよー」

 

香澄とはぐみも買いたいパンが決まったようなので、彗も自分のを選んだあと、沙綾にお会計をお願いするのであった。

 

 

 

 

「もぐ……やっぱりさーやのウチのパンって、すっごい美味しいよねー……もぐ……」

「うん、サイコーだよ!」

「……うまうま……」

 

商店街を歩きつつ、買ったパンを食べる3人。彗も初めて食べたが、確かにこれは人気なのも納得の美味しさだ。

 

「あ、そうだ、かーくんとすいちゃんにこれ渡すね!」

「? はーちゃん、この紙は何?」

「福引き券だよ!」

「福引き券!?」

 

そういえば、はぐみが沙綾から何かを貰っていたが、もしかしてこれの事かと彗は理解した。

 

「そうだよー。この時期は商店街で七夕の福引きをやってるの! なんと特賞は温泉旅行をプレゼントなんだって!」

「……ん、特賞、けっこう豪華なんだね」

「ええ、ホントに!? 私、温泉行きたい!」

 

特賞が温泉だと聞いた香澄は行きたいと言う。……まぁ、当たればの話ではあるが。

 

「……ん、福引きって、そもそも引けるのかな?」

「福引き券10枚で1回できるから、ちょうど1回引けるよ!」

「やったー! どこで福引きやってるの!? はぐ、彗ちゃん、早く行こう!」

 

そんなこんなで、3人は福引きが引ける会場へ向かう事に。

 

 

 

 

「えっとー……金色の玉が出たら特賞だよね?」

「そうそう! 特賞は温泉旅行! かーくん、頑張ってね!」

「……ん、香澄ちゃん、頑張ってね」

 

福引き会場にやってきた3人。景品が書かれてるボードには確かに『金色の玉・特賞・温泉旅行』と書かれていた。

 

「ええー、はぐと彗ちゃんも一緒に回そうよ! 3人の福引き券だったんだから」

「え!? はぐみも一緒にやっていいの!?」

「……ん、香澄ちゃんが良いって言うんだから、いいんじゃない?」

「それじゃ、せーの、で回そっか!」

 

……というわけで、3人で一緒に回す。

 

「金色、出てーっ! おねがーいっ!」

「……金色、こーい……」

「んーっ……出た! 金色っ……じゃなくて、これは……」

 

回して出てきた玉の色は金色! ではなく……

 

「おめでとうございまーす! 銀色の玉なので、二等が大当たりでーす!」

 

なんと銀色の玉だった。商店街のおばさんが二等の大当たりを宣言する。

 

「え、二等!? すごいよ、はぐ! 彗ちゃん! 特賞じゃなかったけど、二等が当たったって!」

「うん! かーくんとすいちゃんで力を合わせたからだと思う! けど、二等の景品ってなんだろうね?」

「えーっと、二等の景品は……」

 

二等が当たったのはいいが、景品の内容が分からない為、彗は景品が書かれてるボードを確認する。

 

「……遊園地のペアチケット、だって」

「ほんとに!?」

 

なんと『銀色の玉・二等・遊園地のペアチケット』と書かれていたのだ。それを聞いたはぐみは大喜び。

 

「そういえば、子供の頃のはぐのお願いって、遊園地に行けますように……だったよね?」

「あ! そうだよ! もしかして……七夕パワー、炸裂しちゃったのかもよ!?」

「……いや、そもそも七夕パワーって何? 新しい流行語大賞に選ばれそうなワードだけども……」

 

はぐみが『七夕パワー』と言うと、謎の説得力と名言力に感じるのは気のせいではないなと彗は感じた。

 

「はぐ! 彗ちゃん! みんなを誘って遊園地に行こうねっ♪」

「うん♪」

「……ん、その時になったらね」

 

早くも遊園地に行く予定を立ててる香澄とはぐみを見て、こんな放課後を過ごすのも悪くないなと彗は思うのであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。

それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。
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