今回は後日談編……その1になります。
それではどうぞ。
「それじゃあ……そろそろ帰るか?」
「うん、そうだね! はぐー、今日は1日ありがとうね! 大事な思い出が、たっくさんよみがえってきたよ!」
短冊の内容も分かった事だし、そろそろ帰るかと言う有咲。そしてはぐみにお礼を言う香澄。
「ごめんね、はぐみ。長居しちゃって」
「……ん、長居しちゃうと悪いから、僕もそろそろ帰るね」
「あ、ちょっと待って! とーちゃんが、せっかくだから夜ご飯食べて行けって言ってる! 今日は特別に、はぐみのお部屋でご飯食べていいって!」
するとはぐみから、夜ご飯のお誘いが。
「え!? はぐのウチで夜ご飯!? それって、みんなで!?」
「もっちろん! それに今、絶賛開発中の新作コロッケがあるから、その感想を聞かせて欲しいんだって!」
どうやら開発中の新作コロッケの感想も欲しいとの事。
「へぇ~、北沢精肉店の新作コロッケねー。それはかなり興味あるなー」
「でしょー? はぐみもみんなといっしょにご飯食べたいし、いいよね、かーくん、すいちゃん?」
「……ん、全然。お邪魔じゃなければ」
彗も北沢精肉店のコロッケは好物だ。どのくらい好きかというと、1人でコロッケ5つは余裕で食べてしまうくらいには。
「うう……すっごい食べていきたい……けど、今からだと帰りが遅くなっちゃうから……」
「ふっふ~ん♪ それなら大丈夫だよっ!」
「えぇ、本当にっ!? やったーっ! それじゃあ私、食べていくね!」
帰りはとーちゃんが車で送ってくれるって!と言うはぐみ。それを聞いて、喜ぶ香澄。
「あ、家に電話しておかなきゃ!」
「香澄って、ホントに切り替えはえーな……」
家に電話をかける香澄を見て、有咲は切り替えが早いなと思った。
◇
「じゃじゃーん! おまたせー! これがとーちゃん特製、新作コロッケだよーっ!」
「わっ! 山盛りになってるよ! 有咲、見て見て!」
「ちょっと落ち着けって。興奮しすぎ」
山盛りの量の新作コロッケを見て、興奮のあまり香澄は大はしゃぎ。そして落ち着かせる有咲。
「けど、興奮しちゃう気持ちも分かる! 揚げたてで、ホントにいい香りするもん」
「……ん、揚げたての良さも理解できない人は、一度、1人で揚げ物系の料理をやる事を勧める。そしてその苦労を知れ」
「なんか彗は彗で、真顔で凄い事を言ってるぞ。……しかも妙に説得力がある気がするのは気のせいか?」
沙綾に続いて、真顔で言う彗に有咲が突っ込む。
「新作は何種類かあるから、順番に食べていってね!」
「はーい! どんなコロッケなんだろ? 楽しみだなー♪」
そしてはぐみは、まずはコレ!と何種類かある内の1種類を4人に見せる。
「その名もイタリアンコロッケ! コロッケの中にチーズと特製ミートソースが入ってるんだよっ!」
チーズとミートソースが入ってるという説明を聞いてるだけで、美味しそうと思った4人は早速試食をする。
「んんっ! わ、わ~! これは……っ」
「噛んだ瞬間に中からチーズとミートソースが溢れてきて……すっごい美味しいよ、これっ!」
「確かにマジでヤバイな、これは……っ。ポテトとミートソースの相性が抜群だな……っ」
「……ん、特製ミートソースの方も、奥深い味でとても美味しい」
「わーい、ありがとー! イタリアンコロッケは、とーちゃんのイチオシなんだ!」
確かにはぐみの父が一押しと言うだけあり、味もポテトとチーズ、更にミートソースの相性がかなり良く、文句なしの美味しさである。
「これは絶対に売れると思う! ね、彗ちゃん?」
「……ん、売れること間違いなし。正直、毎日買っちゃうくらい」
「私も毎日買っちゃうかも!」
「えへへ♪ そう言ってくれるととーちゃんも喜ぶよ! そしたら次は……こっちの丸いコロッケね!」
次に見せてくれたコロッケは、丸い形をしていた。
「その名もアメリカンコロッケだよっ!」
「アメリカンコロッケ……? 中にハンバーガーでも入ってるのか?」
「あーちゃん、いい線行ってる! けど、残念ながら中に入ってるのはハンバーガーじゃなくてポップコーンだよ!」
なんとこのアメリカンコロッケの中身は、ポップコーンという斬新な……というか斬新過ぎるものだった。とりあえず試食する4人。
「なんていうか……不思議な食感……だね? 味はわりと美味しいけど……」
「……ん、右に同じく。味は美味しいけど……」
「く、口の中の水分が、ものすごい勢いで奪われていくぞ、これ……」
「はぐーっ。わ、悪いけどお水くれる……? ゴホ……っ」
「あ、あれ? アメリカンコロッケは微妙だったかな? ふむふむ……改良の余地あり、と……」
約2名、今のコロッケを食べたせいか口の中の水分を奪われ、はぐみから水を貰った。
「それじゃあ次にいってみよう! イタリアン、アメリカンときたら、次は中華だよ!」
次に見せてきたコロッケは、なんと中に餃子が入ってるらしい。
「コロッケの中に、餃子を入れちゃったんだ……はぐのお父さんの発想って、すごいね……」
「……ん、この発想は僕も思いつかない」
「ていうか、わざわざコロッケの中に入れる必要あるか?」
「まあまあ、とりあえず食べてみよう。コロッケにする事で、予想外の変化があるかもしれないし」
まず何故にコロッケの中に餃子……?という疑問が浮かんだが、とりあえず試食する4人。
「あーんっ……んんんっ! わ、結構大きい餃子が入ってるよ!……うん、意外と悪くないかも……」
「ただ……良くもないって言うか……」
「だよな? 味が混ざっちゃって、すっげー微妙な感じ……これって普通に別々で食べた方が美味しいんじゃないか……って、彗は何してんだ?」
香澄、沙綾、有咲が味の感想を述べる。ただ1人、彗だけは食べた後、自前のノートに何かを書き込んでいる。
「……今食べた中華コロッケの改良点……というか、完成形。餃子の皮が食感を阻害している。あと餃子の餡の作り方を変えるべき。はい。これ改良点とレシピね?」
「わかった! とーちゃんに渡しておくね」
「……ん、試作品が完成したら期間限定で販売してみて、商店街のお客さんから意見をもらうといいよ」
先程のノートをはぐみに渡す彗。どうやら今のコロッケの改善するとレシピのようだ。
「……ん、沙綾ちゃんもいる? この餃子の餡のレシピ、カレーパンに使う生地にも合うんだけど」
「ホントに!? せっかくだから貰おうかな。お父さんも新作のパン作りに悩んでたし」
「沙綾も乗り気じゃねえか!?」
特定のパン生地に相性いいよとレシピを沙綾に勧める彗。そして意外にも乗り気な沙綾に突っ込む有咲。
「ねえねえ、はぐ! こっちのコロッケは? このコロッケは、まだ食べてないよね?」
「あ、ごめん! そのコロッケをまだ紹介してなかった! それはロシア風コロッケ!」
そう呼ばれたコロッケ。はぐみは何が入ってるかは、食べてみてのお楽しみだというが……一体何が入ってるのだろうか?
「ロシア風って……何が入ってるの!? 楽しみー! それじゃあ、いただきまーす! あーむっ……」
早速とばかりに試食する香澄。他の3人も試食する。
「コロッケの中から……小さいコロッケが出てきたぞっ!?」
「そのとーり! 北沢精肉店自慢のコロッケをコロッケで包み込んだ、きゅーきょくのコロッケだよ!」
有咲の言葉にドヤ顔のはぐみ。
「コロッケの中に、コロッケ……これがロシア風って……あ、マトリョーシカの事か? 人形の中に人形が入ってるやつ……けど、それって……意味なくね?」
「うん……中に衣が混ざってる以外は、普通のコロッケだよね……」
沙綾の言う通り、中に衣が混ざってる事を除くと……普通のコロッケである。
「けど、これ美味しい! 美味しいよはぐっ! このロシア風コロッケが1番好きかも!」
「……ん、僕もこっちがいい。他のも美味しかったけど、強いて言うなら、このロシア風コロッケが好きかも」
「だよねだよね!? はぐみもこれが1番好きなんだ! やっぱり、かーくんとすいちゃんとは気が合うなー!」
しかし香澄と彗、はぐみは波長が同じなのか、そんな事は関係なさそうなのであった。
読んでいただきありがとうございます。
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本日はありがとうございました。