至らぬ点も多いですが、よろしくお願いします!
こんにちは!
数十年前に仕事をしなくていい世界に転生させてもらいました伊車改め、
現在、俺が何をしているかと言うとーーー
「おい菜海! これ3番テーブルに持っててくれ! 素早く丁寧に、崩すんじゃねえぞ!」
「うーっす!」
仕事に明け暮れています!
クソがっ!
何が仕事をしなくていい世界に転生させてやるだあのペテン師!
お陰様でこっちの世界では就活もボロボロ、今やバイトでその日暮らしになっとるはボケ!
……まあ、上の事情に関してはほぼ俺が悪いし、その他の特典とやらは確かに貰えているから文句が言える立場ではない(はず)。
……だが、だがしかしだ。
こっちはああいう条件の元、転生を選んでこの世界に新たな命として生まれたわけだ。
つまり、半分は本当になっているがもう半分が嘘である以上俺はアイツを一発殴る権利くらいは有していてもおかしくないのでは無いだろうか?
「3番テーブル様お待たせいたしました!」
とはいえ、今はこの仕事を頑張らないと生きていけないからな。
等ということを考えながら俺の一日の仕事は終わる。
誤解を招かないように言っておくが、別に今の職場に不満がある訳ではない。
時給はいいし、休みは通りやすい。
先の事を考えずにその日暮らしをするだけならなんの問題もない。
しかし、たまに来るクソ客の相手は気が滅入るが、そこばかりはどんな職種でもそうだし、なにより
「今更新しいバイト先なぞ探したくねえや」
俺は布団に入りながら眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝―――。
俺はけたたましく鳴るインターホンの音に起こされる。
「……んー、うるっさいなあ。休日くらい静かに過ごさせてくれ……ん?」
俺はまだ覚醒しきっていない頭で台所を確認する。
ガス…は切れてる。
ゴミ、も昨日寝る前に出した。
にしても、なんか臭いな…。
この悪臭の元を探ろうとする俺をまたしてもインターホンが呼ぶ。
「ったく何度もうるせえな。宅配なんか頼んでねえぞ」
そう悪態を突きながら、俺は部屋着に着替えながらドアを開けた。
「はいはーい、新聞とか宗教の勧誘なら間に合ってまーす…………」
そんなベタな言葉を吐きながらドアを開けた俺は一瞬目の前の光景を疑った。
女性の上に乗る男性らしき人物。
これだけなら人の家の前で強姦事件でも発生したのかと思うだけだ(それでも大問題だけど)。
しかし、状況はそんなテレビのニュースで流れるような日常的事件ではなかった。
女性を襲う男性……いや、それよりも襲われている女性だ。
彼女は首元から赤い鮮血を流し、目には驚きと恐怖に満ちた表情で上を見ている。
自分が一度死んでいる身でなければ俺も同じような顔をしていただろう。
そしてようやく一頻り終わって俺に気付いた男性は、
「あぁぁぁぁぁぁ~~……」
絞り出すよう声。
土気色のなった肌。
焦点の定まっていない目。
剝き出しの歯。
そして先ほど自分が襲っていた女性同様に体のいたるところから血を流し、おそらく血管に当たる部位は青く浮き出ていた。
そう、その姿を形状するならまさに
「ゾンビ?」
俺の言葉に男性ゾンビは襲い掛かってきた。
「うおっ」
ほんの少しだけ驚いたが、俺はゾンビの顎を手で弾く。
そして、
「悪いな。正当防衛って事で勘弁してね」
手に呪力を纏わせ殴りつける。
それを喰らった男性の顔は、綺麗に弾け飛んだ。
「あ、ご、ごめん……割とマジで…」
まさかただ呪力を込めただけの拳にここまでの力があるとは。
「いやいや…それよりも今は!」
俺は急いでドアを閉め、部屋のテレビを付けた。
そこに映し出された映像には、先程俺の目の前で繰り広げられた。
東京中に広がるゾンビの集団、それに襲われる人々。
さっき俺の感じた臭いはどうやら遠くで爆発した車やバイクから発せられた物のようだ。
「まさに世紀末って感じだな」
一息つくために水を飲む俺。
どうやらまだ多少のライフラインは残っているようだが、これもいつまで保つか。
ネットに至っては情報を求める人で溢れてるのかずっと繋がらねえし。
今の俺を見て落ち着きすぎだと感じる人も多いだろう。
しかしだ、こちとら一度死んで半分詐欺にあった転生をさせられたんだ。
今更街中にゾンビが現れたところでいちいちビクビクオドオドなんてしてられない……あれ?
「街中にゾンビ…という事は、という事はだ。当然こんな状況で開くバイト先なんてあるわけない。いやむしろ大半の仕事を仕事としての機能を失う。つまり働く必要がない」
『ならお前が仕事をしなくてもいい世界に転生させてやる』
もし、もしだ。
もし今この状況があの神様の言っている状況だとすると、
「ふう…」
俺は一瞬目を閉じる。
「何年越しに発覚した事実だと思ってんだあのバカーーー!!!」
俺は目の前に向けて拳を繰り出す。
すると、どうやら俺が色々考えている間にドアを破壊して部屋に入ってきた(らしい)ゾンビを吹っ飛ばした。
呪力を込めてない分弾け飛んでこそいないが、それでも十分動きを封じれる。
「ゾンビに噛まれたらゾンビになる。ま、映画の定番だな」
しかし、この感じだとすぐにここから出たほうがいいな。
荷物とかも持ってかなくていいだろう。
「その辺は行く先々で手に入れる事にしよう!」
俺はそう言って窓から外へと飛び出した。
眼前に広がる世紀末、敵は襲い来る無数のゾンビ、近くの生存者は不明。
俺がこれからどれだけ生きられるかも不明。
なら、
「せめて面白おかしく過ごすとしよう!」
俺はそう言ってこれからの事を決める。
とりあえずまずは、服だな。
早く原作組と絡ませたい…