鬼にも笑劇があるらしい(一発ネタ)   作:こしあんあんこ

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続いた。口付けシーンは割とギリギリをせめたつもり。結構変更したから不満ではあるけれど。

やべぇ表現があると思ったら別の書き方にします。R18にならないとは思うが一応気を付けてね。


不審者が出ました

 

――津軽の持つ生首は美しかった

 

 見た目の年齢で言えば十四くらいだろうか。まだあどけなくそれでいて妖艶な少女だった。長くしなやかな絹のような黒髪は深淵のように深く、縁取られたように同色の長い睫毛が僅かに瞬けば薄く開いた紫水晶の瞳が輝く。美しくも首から下はない。まるで胴体を断った鬼のようにも思えたがその首は消えることはない。輪堂鴉夜、炭治郎が知る不死だが普段彼女の住まいにしている鳥籠は取り払われていた。津軽は鴉夜を大切に持ち上げてその顔を自らの顔に近付ける。まるで抱き寄せるような動きだった。

 

『一体何を?』

 

 言いかけようとする声は出ないまま、津軽は既に行動に移してしまっていた。彼女の唇を重ねている。口付け、接吻などというが今まさに行われているのはそれだった。重ねて僅かに離してまた重ねることを繰り返す。陰影を描く影が絡み合って濡れた音を響かせていた。おおよそ子供が見てはならぬその光景は暫く続く。濡れた音と共に何かを飲み下している音がした。まるでそれが蜜のように、美味そうに喉仏が上下する。津軽はその唇を離した。

 

「ご馳走様でした……」

 

 言い切る前に静句に奪い取られて、津軽は残念そうな顔を見せる。情緒がない、余韻でも求めたいようで津軽は抗議するが適当に流されていた。同時に、その外で顔を赤らめている少年たちにようやく気付く。

 

「「な、な……ッ!」」

 

「おや、何でいるんですかね?」

 

 個室は閉めておりましたよね、のんびりとした言葉だがあの光景は刺激が強すぎた。顔が上気しながらも口が何度も開閉する。まるで水を失った魚のようだった。

 

「何してるんですか!?」

 

「美少女と口付けしてるぅぅぅ!」

 

 叫ぶ炭治郎に妬む善逸の声が轟く。その叫びを聞いて煉獄や伊之助まで来て室内は混沌とし始めた。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「ははは、子供たちの前ではまだ早いのではないか」

 

「あたくしだって個室に篭って気を使ってたんですよ」

 

 ところで恋仲なのかね津軽殿、煉獄は正論を言いながらもそんなことを言う。鴉夜との関係が気になるようだった、事実炭治郎たちも同様のようだ。伊之助は口付けをすることの意味を疑問に思っているようだが、善逸に至っては津軽の嫉妬の念を送る。生首でも女であればいいのだろうか。兎にも角にも反応はそれぞれで結局は口付けていた理由が知りたいようだった。

 

「そりゃ、医療行為ですよ」

 

 あたくし定期的に師匠の体液を飲まねば死んでしまうので。津軽の回答はあっさりとしていた。体液、体液といったか?炭治郎は体液を想像する。鼻水、涙、汗と唾液そして尿。とはいえ鴉夜には首から下はないから尿は選択肢から消えるだろう。消去法でいうのなら四つになるのだが、津軽は唾液を選択したようだった。即答でしたねと過去を振り返る津軽は懐かしむように目を細めた。

 

――いや、それにしても唾液か

 

 何も直接流し込むのは、と炭治郎は苦笑する。貞操観念が余りにも軽い、いやしかし不死となるとそうなるものなのだろう。長生きすれば年の功とやらでそうなるのかもしれない。

 

――そもそもだ、津軽は何故死ぬのだろうか

 

 細身であれども鍛え抜かれた身体、病人にも思えぬ態度。どう見ても津軽は健康で、病人には見えなかった。唾液程度でそんな延命が出来るものなのだろうか。だが、ただの唾液ではない。不死の唾液ならば奇跡もなり得るのかもしれない。ふとよぎるその思考に炭治郎に僅かな希望を見出した。

 

――だったら、禰豆子にも効能が……!?

 

 まるで日差しを受けたように脳内が明るくなる。ならば、と意を決して炭治郎は鳥籠の前へ立つ。鴉夜さん、声高く炭治郎が声を掛ければ何かねと気さくに返答された。

 

「あの!俺にも鴉夜さんの体液下さい!」

 

 普段の彼には想像だにつかぬその言葉は、暴走した故に出た。恥ずかしいのか声は上擦り、大きくなる。それが尚更不埒な人間に見えて、善逸すら絶句していた。

 

「いけませんね、師匠の唾は俺のです」

 

 ねぇ、師匠。津軽は悪乗りしてそんなことを言う。場を荒らして悪ふざけが過ぎていた。まるで取り合いにも見える掛け合いに静句が顔を険しくなる。

 

「鴉夜様は鴉夜様のものです!!」

 

 鋭く刺すような言葉と共に両者目掛けて女中の拳骨が振り落とされた。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「成程、つまり君は鬼となった妹の為ということか」

 

 鴉夜は合点がいったような口ぶりだが、目の前には津軽と炭治郎が正座する。片や言葉足らず、片や悪ふざけ。どちらも悪いがより悪いといえば津軽の方だが。これに関しては後で仕置をするとして、鴉夜は幾許か考える。鬼になった妹について。

 

「そうだなぁ、不死の細胞というのはとにかく抵抗力が強い。取り込めば人間の免疫がぐんと高まるのだが……それだけだな」

 

 津軽の場合とまるで違う。鬼の進行を遅らせるのと既に鬼になったではもう手遅れなのだ。

 

「……そんな」

 

 がっかりした様子の炭治郎に鴉夜は気に病むなと声を掛ける。

 

「何も効果がないわけではない。私の見立てでは鬼を治す薬を作り、私の細胞を混ぜれば戻る確率はぐんと上がる。その時は協力しても良いと言ってるんだ」

 

「本当ですか!?」

 

 それは炭治郎にとっても朗報だった。

 

「ああ、勿論。君は列車を何とかしてくれたからね。その礼だ」

 

 鴉夜は何か礼をすると言っていたが、まさかこんな形で帰って来るとは思わなかった。思わず炭治郎は嬉しそうに目を輝かせる。さて、話は終わりだ。鴉夜は炭治郎との話を終えて津軽を呼んだ。はいな、いつもの返しをしながら津軽は立ち上がった。

 

「まだ穴は塞がっていないのだろう?君はゆっくり傷を癒せばいい」

 

 私は少し出る。その言葉と共に玄関口に足を運び始める。

 

「出るって何処へ……?」

 

「なに、産屋敷家にさ」

 

 会うのも久方ぶりだ、前に会ったのは何代目の頃だったかな。そんな言葉を独りごちて鳥籠を持つ男とその傍らに居る女中も出ていった。

 




初めて予約投稿した。お昼に投稿されていると良いな。

アニメで唾液吸うシーンがもうヤバかった。静句さんは我慢ならぬようですぐ取り上げたけど結構感情豊かですよね。そして多分人間に戻す薬にも効く筈さ多分。

遊郭編は必要?

  • 絡ませて
  • 必要ない
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