雷神トンヌラのハーレム大作戦 作:天空おやじ
無事にビスタの港へ着いた。
お世話になった船乗りさんたちひとりひとりに別れを済ませ最後にデボラたちの下へあいさつに来たのだが…。
「私の部屋まで挨拶しに来るなんて良い心がけね、まぁフローラがどうしてもっていうから顔を見せてあげたんだけど」
「ね、ねえさん…」
うん、いつものデボラとフローラで安心した。
いやーここでいったんお別れだからそれが悲しくて部屋に引きこもるとか悲しそうな表情するとかあるかなーとか思ってたけど全くないね、流石デボラさん。
「本当、アンタたち私の事好きよね」
「ぼくたちはフローラに会いに来たんだ!デボラの事なんて好きじゃないやい!いーだ!」
数日の船旅ではりゅかたんとデボラの関係は変わらなかった、将来天空の勇者を産んでくれるかもしれない人なんだから今のうちに良好な関係を築いておきたかったんだけどなぁ。
「数日間の船旅だったけどとても楽しかったよ、デボラ、フローラ、またいつか会えるといいね」
「フローラ!お人形ありがとう!このスラリン人形、大事にするから、また…また一緒に遊ぼうね!!」
「はい、トンヌラさん…リュカさん、またいつか、一緒に、あそびましょう…」
りゅかたんとフローラが涙を流しながら抱き合っている、感動やな…。
フローラからもらったスライムのお人形、大切にするんだよりゅかたん。
「次に会う時までに私の子分に相応しくなるのよ小魚兄妹」
「あ、はい、頑張ります」
「む!おにいちゃんがそんなんだからデボラが調子に乗るんだよ!誰がデボラなんかの子分になるもんか!いーだ!」
あいあい、おにいちゃんがわるいです。
でもしばらく会えないのだからきちんとお別れを済ませないとね、りゅかたん。
「……じゃあね!」
「またね、小魚妹」
「フン!!」
「小魚兄」
「はい」
「期待してるわよ」
「え、はい」
結局俺たちの名前を呼んでくれなかった…。
こうして俺たちの始まりの船旅は終わった。
ルドマンさんと父さん、船長たちもガッツリ熱い握手を交わしてお別れしてたな、良い事だ。
船が見えなくなるまで見送った後、俺たちはビスタの港の中へと入った。
「パパス!パパスじゃないか!」
「おぉ!ボルカノ!久しぶりだな!」
父・パパスは顔が広い。
世界中を旅して周っているから色んな所に知り合いがいる。
このボルカノさんはビスタの港を管理してる船乗りさんだ。
「しばらくぶりだなパパス、今も旅を続けていたんだな」
「あぁ、そういうお前は港の管理者振りが板についてきたな…トンヌラ、リュカ、父さんはおじさんとお話があるからしばらくそのあたりで遊んでいるといい」
「「はーい」」
その辺つってもこの辺何もないんだけど…。
「おにいちゃん!スライムさん!!スライムさんがいるよ!!」
港の外の草むらからスライム数匹がこちらをみつめている。
アー…あの目つき、奴らは敵モンスターだ…。
モンスターは人間を捕食する。
縄張りを荒らされたり、食べ物に困ってたり、人間に恨みがあったり…。
その他諸々の理由でモンスターは人を襲う事がある。
特に、人の血や肉の味を覚えたモンスターは手が付けられない。
こちらを餌と認識して襲ってくる、人の天敵だ。
「あー…残念だけどあのスライムさんは悪者スライムだね」
あのスライムたちは敵だ。
目がイッてる、あの目はこちらを餌だと認識してる目だ。
こんなにわかりやすく自分が敵だと教えてくれるモンスターには感謝しかない。
「悪者スライム?だったらやっつけなきゃ!」
「そうだね、怪我する人を出さない為にも僕たちでやっつけなきゃね」
「うん!」
うん。
うちの妹のりゅかたんは戦闘狂なんだ。
原作ではひのきの棒を持っていたのにりゅかたんは既にブーメランを使い慣れている。
近単・遠複に分けて扱うブーメラン捌きにはパパスも唸る程…りゅかたんつよい。
「えーい!!」
りゅかたんの先制攻撃!
ブーメラン攻撃がスライムたちを襲う!
あのブーメランは特別製で名づけるならリュカのブーメランだろうか。
グランバニア地方にある丈夫なひのきを使って名のある鍛冶師に作らせたブーメランだ。
普通のブーメランよりも強いと思う、その証拠に…。
スライムたちが真っ二つだ。
「あ、あっちにもいる!それー!」
この戦闘は一方的だった、俺の出番なんてない。
りゅかたん一人にスライムの群れが次々と…あれ?
スライムがどんどん増えてるんだが…?
ま、まさか…。
こ、こいつら、合体する気じゃ…!!
そうはさせん!!
「リュカ!一気に仕留めるよ!」
「うん!えーい!!」
腰の鞘から鋼の剣を抜き右足を軸にして両手で振り抜きその遠心力を利用して体を回転させ敵に突撃する。
トンヌラの回転斬り!!!
斬れ味鋭くスパスパとぶった斬られてくスライムの群れ。
これは俺の力によるものではない、俺の持つ鋼の剣の威力のお陰だ。
俺の鋼の剣はりゅかたんと同じ特別製だ。
鋼はグランバニア産のグランバニア鋼、並の鋼の剣とはレベルが違うぜ。
名づけて、トンヌラの剣…ってか?
「併せてリュカ!うォーーーりゃァーーー!!!」
「うん、おにいちゃん!!」
スライムたちを切り裂いていく感覚が剣から腕に、全身に伝わってくる。
すまんね、スライム、恨むなら人の味を覚えた自分の舌か君たちをおかしくさせてる何かを恨んでくれ。
しかし次から次へときりがない、ABCDで数えるならVくらいまで倒したんじゃないか?
「トンヌラ!リュカ!」
「父さん(お父さん)!」
おっとここで父・パパスの参戦!!
勝ったな。
「はァ!!」
父・パパスは単純に強い。
強い、速い、手数が多いの三段仕込みの単純剣士だ。
だが単純故に強い、何か守る者がある男ってのはとことん強いもんだ。
「フン!!」
俺たちを背に戦う父さんの一撃は凄まじい。
モンスターの急所を正確に捉えた会心の一撃。
モンスターを俺たちの方へ向かわせまいとする素早いフットワーク。
それを可能とする体幹と筋肉、積み重ねた実戦の数々…経験値…。
いや、ホント強い、レベル27とは思えん強さだ…ま、この世界ではレベルなんて関係ないか。
気が付けば父さんは俺たちよりも早く、多くのスライムを狩り尽くしていた。
スライムの群れをやっつけた!
といっても当然ながらこのスライムたちはゴールドを落とさない。
経験値なんて見えないものも分からないから自分が強くなったと実感する事もあまりない。
こいつらの残骸…素材を武器屋とかに持っていって売る事が出来るんだが、スライムはなぁ…。
「まぁこんなのでも、無いよりかマシだよな」
トンヌラはスライムの残骸を手に入れた!
スライムの残骸なんて使い物にはならない、何かを作る為の素材にもならない。
だけど一般村人からすればスライムも十分危険なモンスターだ、それを倒した報奨金、雀の涙ほどのゴールドが教会で貰えたりする、この世界にはスライムに恨みを持つ人たちも多くいるんだ。
「大丈夫かリュカ、トンヌラ」
「大丈夫だよお父さん!ぼくとおにいちゃんで悪いスライムをやっつけたんだ!」
「よくやったな、見事なブーメラン使いだった。だがこの結果に驕らず精進するんだぞ」
「うん!」
父さんの英才教育によって育ったブーメラン使いりゅかたんは今日も行く。
立派に育っていくりゅかたんの姿におにいちゃんも鼻が高いぞ。
「トンヌラもだ、力の抜き方が上手くなった、良い緊張感を纏っていたぞ」
「はい、ありがとうございます!これからも頑張ります!!」
「うむ」
いやー、やっぱパパスかっこいいわ。
男が惚れる男っていうの?凄い男気がむらむらしててやばいんだよ、パパスさん…。
こりゃ近所のシスターとか酒場の老人が放っておきませんわ。
「さぁ、サンタローズへ向かおう、サンチョの作ってくれたおいしいスープが待っているぞ」
「「おー!!」」
こうしてスライムとの戦闘を終えた俺たちはサンチョの待つサンタローズへ向かった。
「ふむ、この辺りもモンスターが増えたな」
「おにいちゃん!あの緑色のモンスターはなんていうの?」
「あれはマッドプラントだね、凄い臭いらしいから攻撃した後武器の手入れはしっかりしとかないとね」
「はーい!」
道中遭遇したモンスター共を倒しながら…。