時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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最初の修行回。
これからミルたんがインフレしていきます。


9話 決意

 

「メラにょ! メラにょ! メラにょ!」

 

 

 

  町外れの郊外―――

 

 二人の男と一人の女―――いや、一人の男と一人の女、そして一人の漢女が修練に励んでいる。

 漢女は的に向かい手を翳し、何やら呪文を唱えている。

 男は手に棍、女は両手に禍々しい槍を持ち打ち合っている。

 

  ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!

 

 

「その調子だ!」

 

「ええっ!」

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 

 

 フリードがアーシアを連れて逃げ去ったあと、赤い魔法陣が出現しオカルト研究部のみんなが現れた。

 すでに少年神父(フリード)が立ち去ったことを告げると、彼女たちは安心したようだ。

 そこで、僕とイッセーくんは『はぐれ悪魔祓い』について聞かされた。

 御互い思うところはあったが、イッセーくんはリアスたちの魔法陣で部室に帰っていった。

 

 僕は取り敢えず殺された家人をザオリクで蘇らせたあと、メダパニで記憶を消し住処のアパートに戻った。

 

 

 部屋の中で今夜あったことを反芻する。

 

 

 一見すると平和な世界。実際、人間同士での争いはあるが、それは当事者間の争いだ。僕が関与すべきじゃない。

 問題は人と人ならざる者の争い……。それによって人間が人間を殺しているとは……。

 

 

 すでに眠っていたバイサーの寝顔を眺める。

 

 この子にも力を付けさせた方がいいのかもしれないな……。 

 ああ、それと依然魔法を教えてあげると約束したあの(ミルたん)との約束も果たさなくてはならないし……。

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 翌朝、目が覚めると、またバイサーが僕の毛布にもぐり込んでいた。

 本当に油断ならない。

 

 僕の仲間になってから、彼女が食事の用意をするようになった。

 はぐれ悪魔時代は生の人間を丸ごと食べていたようだが、彼女の作る料理はかなりイケる。

 まあ、肉料理が出てきたときは何の肉か聞いたが……、普通に渡したお金で買ってきた鶏肉だと言ってた。

 

 食事を終えると、袋からいくつかの防具や武器を取り出した。

 

 

「なあに? コレ?」

 

「君の為にと思ってね……。好きな物を選んでくれるかい?」

 

 

 バイサーは僕の用意した装備品をしげしげと手にとって見て回る。

 

 そして―――

 

 

「コレがいいわ♪」

 

「えっ……、これは……」

 

 

 彼女が手に取ったのは「あぶないビスチェ」だった。

 

 あぶないビスチェ―――女性用装備の一つで過激なデザインの服……というより下着だ。 「あぶない」と言われるだけあり防御力は皆無に等しい。今、無理矢理着せている布の服の方がまだ上だ。

 

 

「それはちょっと……。ならこっちはどうだい?」

 

 

 そう言って「幻魔の法衣」を差し出す。女性でも気軽に着れる上に防御力が高い。オマケに魔法耐性もある。

 

 

「嫌よ、そんな野暮ったい服ぅ……。コレがいいわ」

 

「うーん……、ならこっちの『神秘のビスチェ』はどうだい? デザインが近いし……」

 

 

 今度は青色と金色が基調の神々しいビスチェを見せる。同じビスチェでも「あぶないビスチェ」との間には防御力に雲泥の差がある。

 

 

「コレがいいって言ってるでしょ。それにそのビスチェ、何だか天使っぽいじゃない。悪魔が天使の格好をするなんて嫌よ」

 

「ふむ……」

 

 

 確かに「神秘のビスチェ」には、背に天使を摸したであろう羽が取り付けてある。

 彼女の言い分も尤もなのかもしれない。

 

 

「……まあ、いいだろう。では武器だが……」

 

「武器ならコレとコレね♪」

 

「えっ? 二本?」

 

 

 彼女が手に取ったのは「地獄の魔槍」と「デーモンスピア」である。

 

 地獄の魔槍―――「宝の地図」と呼ばれる地図に標された場所に存在する迷宮。

 その中でも特に強力な魔物がひしめくダンジョンに存在する強大な武具の数々。

 その内の一つである「鬼神の魔槍」を錬金術で極限まで強化したものだ。

 これ一本を作るのに泣くくらい苦労した。

 

 デーモンスピア――――攻撃力では「地獄の魔槍」には劣るが、それにはない特殊な能力がある。

 強力な恨みの魔力が篭っており、時折一撃で敵の魂を吸い取るという。これもかなりの業物だ。

 

 何本もある槍の中でこの二本を選ぶとは……バイサーは意外に武器を見る目はあるのかもしれない。

 だが―――

 

 

「別にこの武器を使うのはいいけど……、二本同時に使うのかい?」

 

「あら、ダメなの?」

 

「……いや、別に駄目という訳ではないが……」

 

 

 槍を二本同時に使うというのはしたことがない。

 何故か右手に武器を一つ、左手に盾というのが当たり前になっていた。

 そういえば、最近行った世界では両手剣や両手杖などの片手では装備できない大きな武器もあったが……。

 そう言えば、出会ったときも彼女は二本のランスを得物としていた。

 まあ、そういうルールがある訳でもないし、彼女の好きにやらせてみるのもいいだろう。

 

 

「うん。じゃあ、それでいいよ。 

 では、早速だけど装備してくれるかい?」

 

「分かったわ。待っててね。御主人様♪」

 

 

 しばらくして――――

 

 

 

「どう? 御主人様♡ 似合うかしら?」

 

「………うん、まあ、似合うけど……」

 

 

 確かに似合う。

 バイサーのスタイルの良さとあぶないビスチェのデザインが良くマッチしている。

 黒いレザーと艶めかしい白い肌のコントラストが蠱惑的だ。

 豊満なバストも豊かなヒップも強調されている。

 禍々しいはずの二本の魔槍も彼女の悪魔的な(悪魔だが)魅力を引き立てている。

 

 ……でも、防御力がなあ……。せめて『きわどい水着』でも勧めるべきだったか……。

 

 そんなことも考えたが、彼女が気に入ってるみたいだし口には出せなかった。

 

 

 

 

 

   ◇

 

 

 

 

 そんなこんなでバイサーの装備を決め、ミルたんに連絡を取った。魔法の修行を受けられると聞くと(ミルたん)は大喜びした。

 そして彼と合流し、そのまま転移呪文(ルーラ)で町外れの郊外に移動した。

 

 

「凄いにょ。こんな魔法もできるようになるのかにょ?」

 

「ああ、勿論だ。でも順番がある。最初はメラ……火の玉を飛ばして敵を攻撃する呪文から始めよう」

 

「わかったにょ!」

 

 

 そう言うと彼は的に向かい一心不乱に呪文(メラ)を唱え始めた。

 

 

「バイサーは僕と稽古だ」

 

「分かったわ♪ 御主人様♡」

 

 

 僕は袋から「物干し竿」を取り出し構える。

 バイサーはその武器(物干し竿)はいくら何でも自分を舐め過ぎだ、と眉根を顰めた。

 だが、あまり強力な武器だと彼女を傷つけてしまう。

 

 

「いくわ!!」

 

 

 僕の武器のチョイスに対する怒気を含んだ攻撃を繰り出してくる。

 

  ガアァァン!!

 

 そこそこ重い。元々悪魔は人間よりも頑強だ。

 それに得物の性能の良さも上乗せされ、かなりの威力だ。

 その攻撃を次々繰り出してくる。

 

 ふむ……。だが、軌道が単純だ。

 見切れば簡単に避けれる。

 

 彼女の攻撃を受け、躱し、弾き、避け、往なす。

 

 そんな攻防が永延と繰り返される。

 二百合も物干し竿と魔槍が合わさっただろうか。徐々にバイサーが息を切らし始めた。

 しかも疲労が溜まってきただけではなく、苛立ちもし始めている。

 

 何故、目の前の男は“物干し竿”で自分の魔槍を受け止めることができるのか―――

 

 答えは闘気を纏わせているからだが、そんなことを彼女が知る由もない。

 闘気を纏わせた武具は強度も威力も増す。 

 しかし、彼女からすれば、明らかに自分が これまで使っていた武器よりも優れた得物を用い全力で放つ攻撃が、ほとんど日用品みたいな物に凌がれている。

 そんな苛立ちからか、一気に勝負を決めようと連続で突きを放ってきた。

 しかし、雑だ。

 

 

「そうじゃない。連打とはこうやるんだ。『氷結乱撃』!!」

 

「キャアアアァァァッ!!」

 

 

 竿に冷気を纏わせ素早く振るう。

 全ての突きが彼女に直撃し吹っ飛ばした。

 凍傷だらけになり地面に倒れ伏した彼女に回復魔法を掛ける。

 

 

「御主人様ってば~……。容赦無さ過ぎぃ……」

 

「ア、アハハ……。ゴメンね」

 

 

 頬を膨らませて抗議するバイサーに謝る。

 

 

「けどね、バイサー。『五月雨突き』なんてのは槍術の中でも比較的高度な技だ。いきなりできるものじゃない。ちゃんと地力を鍛えないとね」

 

「……はぁい」

 

 

 バイサーが怒られた子供のようにしゅんとなる。

 だが悪くはなかった。最初にしては上出来だ。

 

 

「でも君には槍の資質がある。鍛えればかなりのモノになる」

 

「ホント!?」

 

「ああ、本当だ……。けど千里の道も一歩から。まずは……、この職業からにしよう。『ダーマの悟り』!」

 

 

 彼女に手を翳しダーマの悟りを開く。最初に転職させる職業は「戦士」だ。

 彼女の槍の才能をまずは伸ばす。

 それから、彼女は乳頭から閃光を放つ魔法(何で乳首から? と尋ねたら「乳房に見とれた得物を焼き殺すのが楽しかった」という答えが返ってきた)を体得していたことから魔法も得意なのだろう。

 故に 戦士 ⇒ 魔法使い ⇒ 魔法戦士 という流れがベストだろう。

 

 

「これで君には『戦士』の資質が備わった」

 

「ホントぉ!?」

 

「ああ、だがこれからが大変だぞ」

 

「ええ、分かったわ!」

 

 

 彼女は笑顔で頷いた。

 何故、彼女がはぐれ悪魔となったかは知らない。だが、接し方一つでヒト……もとい悪魔は変われるのだ。

 彼女を良い悪魔に育ててみせる! そんな思いを強くした。

 

 

「今日はいっぱい頑張ったから、帰ったらご褒美にイ・イ・コ・トしてね。御主人様ぁ~♡」

 

「……あ、あはは……。ところでミルたんの方はどうなっただろうか―――」

 

 

 

  ふと、目をやった先には―――

 

 

「メラッ!!」

 

 

  ゴオオォォーーッ!!

 

 メラミくらいの火力のメラを放つ漢女(ミルたん)がいた。

 

 

「できたにょ!!」

 

「凄いな……」

 

 

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

  その日の夜

 

 オカルト研究部の部室に言ってみると重苦しい雰囲気が漂っていた。

 部室の中にいたのは三人 イッセーくん、トウジョウ、キバくん だ。

 三人とも何やら決意した、という表情だった。

 

 

「おや、みんなどうしたんだい?」

 

 

「ああ、リュカさん。実は俺たち三人で――――

 

 

  アーシアの救出に向かいます」

 

 

 

 




あぶないビスチェ:Ⅷに登場。

神秘のビスチェ:Ⅶ、Ⅷ、Ⅸに登場。

きわどい水着:Ⅸに登場。

地獄の魔槍:Ⅸに登場。

デーモンスピア:Ⅴ以降とリメイク版Ⅳに登場する。各作品で安定して強い。

物干し竿:Ⅸに登場する棍に分類される武器……というか日用品。

氷結乱撃:Ⅸに登場する棍スキルの特技。棍のメインダメージソースだが属性が付いている為、効きにくい敵もいる。

さみだれ突き:Ⅷ以降に登場する槍の特技。優秀なダメージソース。


Ⅸで最強装備を全部作った私はドMなんだろうか?
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