時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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やっと「旧校舎のディアボロス」の分が終わった……。
出来たらでいいので 感想、評価をお願いします。<m(_ _)m>


13話 リュカと愉快な仲間たち

 

「……う~ん……、朝か……」

 

 

 仮住まいの六畳一間の襤褸アパート。

 毎朝恒例となった顔面に直射日光を浴びることでの目覚め。

 

 そしてこれまた恒例となった違和感。

 

 二の腕に掛かる重み―――

 しっとりとした柔肌の感触―――

 お湯の詰まった水風船のような乳房―――

 女性特有の扇情的な甘い香り―――

 

 ……またバイサーか。

 

 

 数日前に仲間にした女悪魔。

 仲間にした次の日から僕に懐き、毎朝、気が付くと同衾している。

 

 バイサーにも困ったな……。ん……?

 

 

 どうにも他に違和感がある。いつもと違う。

 

 一体、何が?

 

 そういえば両方の(・・・)二の腕に重みを感じる。

 それに、体の上(・・・)にも何かが乗っている。

 

 

「うーん……」

 

 

 重たい瞼を開けた。

 そこには―――

 

 

「あっ♪ おっはよー、お兄さま♡」

 

 

 金髪美少女の堕天使ミッテルトの顔があった。

 

 

「んっ……、目が覚めたのか? 御主人……♡」

 

 

 僕の左腕を枕にしていた青髪、妙齢の美女カラワーナが目を覚まし、ハスキーな、それでいて甘い声色で挨拶をしてきた。

 

 

「もうっ、新入りが出しゃばって……、おはよう御主人様♡」

 

 

 右腕を枕にしていたのは黒髪の美女バイサーだ。

 

 

「……どうしてこうなった?」

 

 

 ぽつりと呟いた。

 

 

 

  ◇

 

 

 

「君たちに言いたいことがいくつかある」

 

 

 目の前にいる三人の女性にお話する。

 

 

「僕は君たちの為にわざわざ布団を買った。バイサー……君にも、いつまでも毛布だけじゃ申し訳ないと思っていたからね。それなのにどうして僕の布団に入って来る?」

 

 

 するとカラワーナが答えた。

 

 

「そんなものは決まっている。御主人との約束で“負けたら性〇隷になる”と言ったからな。性〇隷である以上いつでも〇〇〇ができるように同衾するのは当然だ」

 

「カラワーナが余計な約束をしたせいで、ウチまで性〇隷になるハメになったっす……。

でも、お兄さまはかっこいいし、強いし、別に性〇隷でもいいっすけどね~♡」

 

「新入りに負けてらんないわ。御主人様の一番の性〇隷は私よ! だから、一緒に寝るのは当然じゃない」

 

 

 ……はあ?

 何を言ってるのかさっぱり分からない。

 取り敢えず次の質問をする。

 

 

「……え~っと……。じゃあ、次の質問だが……、君たちには寝巻も買い与えた筈だが……、何故着ていない?」

 

 三人の格好を見る。全員全裸だ。

 何もかも丸見えだ。バイサーのは見慣れたし、カラワーナのは以前見た。

 二人とも成熟した女性の色香に溢れている。

 豊満な乳房を隠そうともしない。寧ろ、僕に見せつけるかのようだ。

 ミッテルトの肢体は未成熟なものだ。

 しかし、背徳的な魅力がある。

 

 またもカラワーナが答えた。

 

 

「性〇隷なのだから当然だろう」

 

「そっすよ~。お兄さま♡」

 

「元々こいつらが来る前から裸だったじゃない」 

 

 

 訳が分からない。

 まあ、一つずつ整理していこう。

 

 

「まず、僕は君たちに性〇隷になってほしい何て言ったかい?」

 

「確かに約束したぞ」

 

 

 えっ……

 

 

 

  ――― そう思うかい? ……なら、こうしよう。リアスさんとヒメジマさんを殺さずに君たちを倒せたら……僕の仲間になってくれないか?

 

 

  ――― ふふふ、ああ、いいだろう。もしお前が勝てたら仲間にでも、愛人にでも、性〇隷にでもなってやる。勝てたらな!!

 

 

  ――― 約束だよ。

 

 

「え~っと……、あれは君が勝手に言っただけじゃないのかな?」

 

「ともかく約束は約束だからな。いつでも相手してやるぞ。何なら今でも―――」

 

「遠慮します」

 

「えっ!? ならウチとっすか?」

 

「遠慮します。というかどうしてそうなるの?」

 

「なら私とね? やっとその気になったのね♪ 嬉しいわぁ♡」

 

「遠慮します。というより、そんなつもりはないっていつも言ってるよね?」

 

 

 はぁ~~……。どうしよ、コレ……。

 まあ、ドロヌーバのヌーバや腐った死体のスミスが寝床に入ってきた時に比べればマシか……。

 

 

 かつて、元居た世界のことを思い出す。

 

 ドロヌーバのヌーバ――― 泥に魂が宿り魔物となった仲間モンスター。彼が入ってきたために毛布が泥まみれになった。

 

 腐った死体のスミス――― 屍が蘇り魔物と化した仲間モンスター。彼が入ってきたときは寝台に死臭が染みつき一週間は取れなかった。

 彼らの時も結局は許した。ドロドロだったり、腐ったりしていても彼らの素晴らしさが損なわれる訳ではない。

 相手の欠点を許容する心。それもまた愛だ。

 多少色ボケしててもそれは彼女たちの一部だ。受け入れるのも、また愛か……。

 

 

「まあ、いいや。それよりも朝食にしよう―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 バイサーとカラワーナが調理場で喧嘩している。

 元々堕天使とはぐれ悪魔は、狩るものと狩られるものの関係だ。

 多少仲が悪いのは仕方がない思っていた。

 だが今の状態は理解できない。

 

 

「分かってないわねぇ。御主人様は私の裸エプロンを見てるのよ。アンタは引っ込んでなさいな」

 

「引き下がるは貴様の方だ。御主人が見てるのは私の方だ」

 

 

 二人とも何故か裸に『きぬのエプロン』を装備し、僕がどちらを見ているかで揉めている。

 早く食事ができないかと思い目をやっているのだが……。

 

 やっと、朝食ができた。

 二人の料理はなかなか美味しい。

 

 カラワーナが言うには、堕天使は人間の男性を誘惑し堕落させるのが嗜みらしい。

 男性を手中に納めるには胃袋を掴むのが手っ取り早いと言う。

 

 その為、料理は出来るそうだ。

 ミッテルトは苦手らしいが……。

 

 

 和やかの雰囲気での食事。

 だが、ふとレイナーレの方を見る。

 

 警戒心、怯え、恐怖、怒り。それらが表情からにじみ出ている。

 全く箸が進んでいない。

 

 このままでは、彼女は精神的にもたないな……。と言うより、まだ心から僕を許してはいないらしい。

 

 彼女の計画を妨害したことへの怒り、僕を光の槍で刺したことへの報復に対する恐れ。

 それがまだ心の中に残っている。

 

 よし! 今日の昼は彼女とお話しよう。

 

 

 そう決意した。

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

「ギラにょ! ギラにょ! ギラにょ!」

 

 

 街外れの空き地。今日もミルたんを呼び、魔法を教えることにした。

 今日は閃光魔法(ギラ)だ。

 

 そして、バイサー、カラワーナ、ミッテルト、そしてレイナーレも連れてきた。

 

 新しく仲間になったカラワーナとミッテルトの特性を見る。

 

 

「ふむ……」

 

「どうしたんだ、御主人……そんなじっくり見つめて……」

 

「君はいい体つきをしている」

 

「えっ? な、何を急に……♡」

 

 

 僕が褒めるとカラワーナはその整った顔を紅潮させる。

 

 

「ああ、体格がいいし筋肉の配列もいい。鍛えればいい武闘家になれる」

 

 

 そう言って彼女(カラワーナ)を武闘家に転職させた。

 その後の転職プランとしては 武闘家 ⇒ 戦士 ⇒ バトルマスター が最適か。

 

 つづいてミッテルトもじっくりと観察する。

 

 

「な、なな何っすかぁ!?」

 

「君はなかなかに華があるな……。よし」

 

 

 ミッテルトは踊り子に転職させた。

 転職プランは 踊り子 ⇒ 遊び人 ⇒ スーパースター と言う流れがいいだろう。

 

 二人の転職は済んだ。あとは、レイナーレだが……。

 

 

「少し、二人で話そうか……」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 バイサー、カラワーナ、ミッテルトに組み手をさせている。

 そこから少し離れた場所で、僕とレイナーレは向かい合った。

 

 

「さて、君は癒しの力を得るために『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を奪うために、アーシアさんを殺した。

 今朝、話したかと思うが僕は異世界の人間だ。

 君がヒトを殺してまで手に入れようとした力も努力次第で手に入るものだ。

 君が望むのなら教えてあげよう。どうだい?」

 

「……嫌よ」

 

「どうしてだい?」

 

「人間風情に何が分かると言うの!! 

 私は上を騙し『聖母の微笑』を手に入れた。私は至高の堕天使になれる!

 私をバカにしてきた者たちを見返すことができる! そう思ったのに……あの癒しの力をもってアザゼルさまとシェムハザさまに愛を頂ける……そう思ったのに!!

 あなたはそれを奪った!! 『愛の本質は与えるもの』? 巫山戯るんじゃないわよ!!」

 

 

 ことの善悪を除けば、確かに彼女の愛は強い。覚悟もあった。退路を断った乾坤一擲の行動だったのだろう。

 それを潰されたのだ。恨みは大きい、ということか―――

 

 

「だが、それでは“君”がなくなる」

 

「は?」

 

「『聖母の微笑』を得れば『アザゼルさまとシェムハザさまに愛を頂ける』……。それでは君という人格はその才能の付属品だ。『聖母の微笑』が愛されるのであって、“君自身”じゃない」

 

「………何よ、ソレ…………」

 

 

 僕はレイナーレをそっと抱きしめた。

 そうしながら、かつて元の世界での出来事を思い出す。

 今にも泣きそうに目を腫らした最も愛おしい少年の姿が目に浮かぶ。

 

 

 

 ――― お父さん……ぼくとポピーと、どっちが好きなの? ―――

 

 

 

 かつての過ち。世界中を探し回り、ようやく見つけた勇者だった息子。

 かつて自分が装備できなかった天空の剣を容易く装備し、自身のみでは出来なかった魔界からの母の救出、それを可能たらしめる唯一の希望。

 僕は初め、息子を息子として以上に勇者として見ていた。

 それ故に言われてしまった言葉。

 

 

「……レイナーレ、君は君だ。たった一人のレイナーレだ。

 珍しい『神器(セイクリッド・ギア)』の持ち主でなくてもいい。力など持ってなくてもいい。

 ただ、君がレイナーレであるというだけで、僕は君を愛そう」

 

「……別にアンタに愛されたって………」

 

 

 思いを込めた言葉を語りかける。彼女(レイナーレ)も多少は揺らいだか―――だが彼女は頑なだ。

 

 

「それはそれでいい。君は君であるというだけで僕から愛される。不都合があるのかい?」

 

「それはないけど……」

 

「なら、いいじゃないか……。君がそれでも力が欲しい、そう思うなら僕を利用すればいい。僕は君にできることをしよう。異世界の術も教えよう。君を守ろう。君を大切にする……」

 

 

 レイナーレの目と僕の目が合う。彼女の瞳からは悪意はもうない。もう少しだ―――

 

 

「分かったわ……。あなたの仲間になる」

 

 

 やっと了承してくれた。ようやく胸を張ってこう言える。

 

  レイナーレ が 仲間に なった!

 

 

 彼女(レイナーレ)をより強く抱きしめた――――

 

 

 

 

 どんな異世界でも心は通じ合う。魂は通じ合う。愛は通じ合う。

 腕の中にいる堕天使の少女こそがその証明だ。バイサー、レイナーレ、カラワーナ、ミッテルト……この世界でも新しい仲間が四人も出来た。

 

 ……いや、ミルたんも入れると五人だろうか。ふと目を横にやると――――

 

 

「ギラにょ!」

 

  グアアァァァッ!!

 

 

 ベギラマぐらいの閃光で的を消し炭にするミルたんがいた。

 

 

「できたにょ!」

 

「……物凄いな」

 

 

 

 

 それと次の日から、僕の布団にレイナーレも入って来るようになってしまった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 冥界某所

 

 大戦で滅びた七十二柱のひとつ、冥界の中でも名門とされた最上級悪魔の屋敷。

 かつては栄華を誇ったのであろう豪勢な屋敷は、今や見る影もない。

 大戦終結後も放置されており、まさに荒れ放題。

 冥界の悪魔達も近づかなかった。

 

 

 その館の地下

 そこに三人の男たちがいた。

 一人は帽子にトレンチコートを着た壮年の堕天使、ドーナシークだ。

 (ドーナシーク)はあとの二人に跪いて許しを乞うている。

 

 

「済まぬ! 計画は失敗した! だが最善は尽くしたのだ。どうか、神の子を見張る者(グリゴリ)には口添えを―――」

 

「キィ~ヒッヒッヒィ……なぁ~にが“最善を尽くした”じゃ!

 目的を果たせずして戻ってくるとは……。お前は“道具”ですらない。完全なる“ゴミ”じゃ!!」

 

 

 二人いるうちの小柄なほうが責め立てる。

 すると、もう一方が前に進み出た。

 

 

「ほっほっほっ そのようなことはありませんよ。あなたはゴミ等ではありません。

 私がなんとかしましょう……。どうか(おもて)をおあげください」

 

 

 長身の男がドーナシークの顎に手を添えて顔を上に向かせる。

 

  カハァァァァ

 

 

 男がドーナシークに毒々しい橙色の息を吹きかけた。

 それを浴びると、堕天使は痙攣し動けなくなった。

 

 

「ほっほっほっ もう一度言います。あなたは“ゴミ”などではありません。彼はこのまま邪配合槽か超魔生物の研究室へ……。

 “ゴミ”ではなく“資源”として有効に使わせて戴きましょう。ほっほっほっ」

 

 

 その言葉を聞き、二名の悪魔神官がドーナシークを部屋から運び出した。

 

 

「しかし、使えませんなぁ。ワシらの計画では神器を堕天使に移したうえで回収、それを邪配合、もしくは超魔生物の材料に……。

 そして、スーパーキラーマシンでグレモリー・シトリー両家の後継者を抹殺し戦争再開という一石二鳥を狙ったのですがなぁ……」

 

「あまり欲張ってもいけませんよ。

 そもそも、この計画の目的は『聖母の微笑』の持ち主を人間以外の種族にすることです。人間ではいかに強力な神器を持っていても邪配合・超魔生物、どちらの材料にも適しませんからね。 

 堕天使になるはずだった者が悪魔になっただけ。それでも良しとしましょう」

 

 

 男たちが話していると部屋の中にもう一人の男が入ってきた。

 

 

「グブブブブブ……。今、戻ったぞ………」

 

 

 異様な風体の男だ。ずんぐりとした大柄な体格にフード付きの黒衣を身に纏っている。

 フードの中にはいくつもの眼光。腕はヒトのそれではなく昆虫などの節足動物を思わせる。

 一目で人間でないことが分かる男だ。

 

 

「おや、お戻りになりましたか。首尾はいかがでしたか?」

 

「上々だ。なかなか面白い冥府であった。ハーデスなる神が統治していたな。

 だが、我の秘術を用いれば露見せずに干渉することも可能だ」

 

「ではその方針で。あまり事を荒立てぬよう。今は拙速より巧遅のほうが好ましいでしょう」

 

「うむ……」

 

 

 

 

 

「ほっほっほっ 全ては我が主の為に……」

 

 長身の男の常にうすら笑いを浮かべている口元が、更に吊りあがった。

 

 

 

 

 

 




暗躍する謎の集団。一体何者なんだ……?
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