時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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リュカが転職で身に付けた禁断の奥義が炸裂する。
そんな修行回です。


18話 それぞれの修行

  

 

「あ、あはは……、ごめんごめん」

 

「“ごめんごめん”じゃないでしょうッ!!」

 

 

 日本の森の奥深く、グレモリー家の別荘があるという場所に転移した。

 そこで見たのは仲間モンスター(約一名は一応人間)に追いかけられているオカルト研究部のメンバーだった。

 僕が仲間達を制止するとリアス達が食って掛かってきた。

 

 

「大体、何でライザー達も鍛えるのよ! 色々とおかしいでしょう!」

 

「ふむ……」

 

 

 確かに彼女達からすれば、敵であるライザーくん達の特訓も請け負った僕に対して複雑な感情があるのかもしれない。

 そのことについて説明はすべきだろう。

 

 

「リアスさん、君の気持ちは理解している。女性なら地位や家柄を抜きにして、自分の認める相手と結婚したいと思うのは当然だ。

 まして(ライザー)は不誠実な面が目立っている。その結婚したくないという思いは強いだろう……。

 だが自分の家のために勤めを果たそうとすることは立派なことだ。そうだろう?」

 

「まあ、そうだけど……」

 

「なら、君はライザーくんの思いを見定めることはすべきじゃないのかい? 

 僕は君達二人に納得して、少しでも幸せになってもらいたいんだ」

 

 

 僕の思いの丈をぶつける。リアスさんも渋々頷く。

 一方、イッセーくんは殺気だって睨んでくる。他のみんなも敵意の篭った眼差しを向けてくる。

 

 

「イッセーくん……それにみんなも。君達の主君に対する愛情は知っている。僕は君達にも応援している。僕に着いて来てくれるのなら、君達の大事な部長を守り通すだけの力を与えてみせよう。いいかい?」

 

 

 僕の言葉を聞き皆が呆れたような顔をした。

 一拍置いて、キバくんが困った表情で答えた。

 

 

「何と言いますか……、リュカさんは人がいいですね。分かりました。付き合います」

 

「……ありがとう」

 

 

 キバくんの言葉に感謝の意を述べた。

 

 

 

 

 

「さて……、まず僕が派遣する魔物についてだが、あまり当てにはしないで欲しい。君達は自分達のみの力でリアスさんを守り切る、そう思って特訓に取り組んで欲しい」

 

 

「もちろんッス!」

 

「そうね……私たちグレモリー家の者だけで勝つ、そのつもりで勝負を受けたんだもの。当然よ」

 

 

 イッセーくんとリアスが答えた。

 瞳から強い覚悟が窺える。素晴しいことだ。

 

 

「うむ。ではまず今日一日、君達がどのような特訓をするのか見学させてもらおう」

 

 

 

 

 

  レッスン1 キバくんとイッセーくんの剣術修行

 

 

「よっ はっ」

 

「おりゃ! おりゃああああっ!」

 

 

 イッセーくんとキバくんが木刀で打ち合っている。

 

 イッセーくんの方は力任せで振り回しているだけだ。

 剣術とすら呼べない。

 

 キバくんのは筋がいい。

 あれなら結構早く上達するだろう。

 そう思い、袋から父の愛刀を取り出した。

 そして、トベルーラで岩場に行き大きな岩を調達する。

 

 転移魔法(ルーラ)で戻ってきた頃には、イッセーくんの木刀はキバくんにはたき落されていた。

 

 

「そうじゃないよ。剣の動きを見るだけじゃなくて、視野を広げて相手と周囲も見るんだ」

 

「その通りだよ、イッセーくん。……ところでキバくん。その木刀でこの岩を斬ってもらえるかい?」

 

「えっ?」

 

 

 キバくんは戸惑う。確かに彼の実力なら、名刀を用いればこの岩を斬るくらいならできるだろう。

 だが、木刀では些か厳しいようだ。

 

 

「なら、こうしよう――――」

 

 

 ビュバッ!

 

 

 キバくんに問答無用で斬りかかった。無論、今の彼でもギリギリ反応できるくらいの速さに落としてある。

 キバくんが咄嗟に躱す。

 

 

「何を!? クッ……!」

 

 

 キバくんが木刀を投げ捨て構える。

 すると何もない空間から一振りの剣が現れた。

 

 あれが魔剣創造(ソード・バース)か……、なかなか面白いな。

 

魔剣創造(ソード・バース)――――あらゆる属性の魔剣を創造できる神器(セイクリッド・ギア)

 

 その存在を聞き、純粋に羨ましいと思った神器。

 冒険の最も大きい支出は武器・防具の買い替えだ。お下がりや、異世界では錬金を駆使して費用を抑えるのに必死だった。

 その苦労がなくなるのであれば何とも素晴しい神器だ。創造した剣の強度はオリジナルの魔剣に及ばないらしいが……。

 

 

「はあああああっ!!!」

 

 

 キバくんが創った剣を構え向かってきた。

 甲高い金属音を鳴り響かせながら何百合と打ち合う。

 

 へえ……、魔力の膜で刀身を覆い剣の強度を増しているのか……。闘気を纏わせれば同じことができるが魔力でやるのは面白い。今度真似してみるか。

 

 そんなことを考えながらキバくんと打ち合う。

 五分は過ぎただろうか―――

 彼の動きが鈍ってきた。

 キバくんは全力だ。フルパワーでの戦いは体力を短時間で消耗させる。

 キバくんの足が震えだしている。そろそろいいだろう。

 

 ガキンッ!

 

 キバくんの魔剣を吹っ飛ばした。同時に彼自身も力尽き、後ろにぶっ倒れる。

 

 

「はぁ……、はぁ……、はぁ……」

 

「じゃあ、あの岩を斬ってみようか」

 

「えええっ!?」

 

 

 倒れたキバくんに拾った木刀を握らせ、その光景を見ていたイッセーくんが驚嘆した。

 そんなことには構わず無理矢理起こして、岩の前に立たせる。

 

 

「さあ、やってごらん」

 

「はぁ……、はぁ……、はぁ……。せやっ!」

 

 

 キバくんが岩に木刀を振り降ろした。

 

  パキンッ

 

 岩が真っ二つになった。

 

 

「わ、割れたっ!? 木刀で!?」

 

「フフッ、不思議かい? 理屈は単純だよ。人間……君は悪魔だが、疲れているときは一番楽な動作をしようとするものなんだ。

 つまり、それが一番自然な動きということになる。君ほどの才能があれば、たとえ木刀でもこのぐらいの岩を割るくらいの力はあった……ということさ」

 

「はは……、リュカさんは凄いですね……」

 

 

  バタン

 

 キバくんが倒れた。疲労によるものだろう。側で見ていたイッセーくんが目を丸くした。

 

 

「大丈夫、気絶しているだけだ。別荘に戻ろう……。そこでヒメジマから魔法の特訓を受けるのだろう?」

 

「――――えっ?あ、はい!」

 

 

 

 

 

 

  レッスン2 ヒメジマとイッセーくんの魔力修行

 

 

 

「えっ!? 違うの?」

 

「……えぇ……、そうなりますわね……」

 

 

 魔法は割と得意だ。これならより皆の特訓の手助けがしやすい、そう意気込んでいた。

 そこで、意気揚々と魔法の使い方をレクチャーしようとしたらヒメジマの口から衝撃の言葉が発せられた。

 

 

 ――― 曰く、魔法と魔力は違う、と。

 

 

 愕然とした。何がどう違うのか分からないため詳しい説明を求める。

 ヒメジマの説明ではこうだ。

 

 魔力とは悪魔“特有”のモノらしく人間は持ってないそうだ。

 魔法とは、その悪魔の力を解析し人間でも扱えるようにしたモノらしい。

 

 僕の認識では魔力を用いて魔法を使う、と思っていたのだが、この世界ではそうではないらしい。

 要するに魔力による攻撃は、僕の知識では“僕らの世界の魔力”を使った“体技”に近いのかもしれない。

 その内いくつかは普通に使えるのだが、“魔力は悪魔の力”という発言が矛盾する。

 僕は人間なんだろうか? この世界では悪魔に分類されるのか? 

 そんな疑問が湧き起ってきたが今は問題ではない。

 

 拙い……。“魔法”と“魔力”が違うなんて初めて知った……。それなのに『大事な部長を守り通すだけの力を与えてみせよう』なんて大見栄を切ってしまった。どうしたものか……。

 

 焦る。ここ最近で一番焦る。その感情が表情に出てしまったらしい。

 ヒメジマとイッセーくんが何とも言えない表情でこちらを見てくる。

 

 正直に言おうか。この世界で言うところの“魔力”の扱い方なんて知らないって。いや、でも僕達の世界の“魔力”とこの世界の“魔力”の性質は似ている部分もある。グランドクロスとかなら使える。そこからなんとかアドバイスを捻り出そうか……。う~ん………。

 

 

「あの………、そこまで深刻そうな顔をされなくても……、私はリュカさんの世界の魔法に興味がありますわ。教えてくださいますか?」

 

「本当か!?」

 

 

 危うく絶望しかけたところにヒメジマが助け舟を出してくれた。サディストなどと言われているが本当は良い子なのだろう……。

 僕の中でヒメジマ アケノの好感度が上がった。

 

 

 

 

 

 

 レッスン3 トウジョウとイッセーくんの組み手

 

 

「ぬがあああああ」

 

「……弱っ」

 

 

 イッセーくんがトウジョウのパンチをもろに受け吹っ飛ばされ木に激突した。

 やはり、この子の怪力には目を見張るものがある。

 

 

「……打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つんです」

 

 

 なかなか的確なアドバイスだ。それに打撃のみならず寝技や関節技、敏捷性も優れている。

 だが―――

 

 

「君には欠点があるな」

 

「……何ですか?」

 

「それを分かってもらうには僕と立ち合った方がいいな。お願いできるかい?」

 

「……こちらこそ」

 

 

 こうして、僕とトウジョウで立ち合うことになった。

 御互いにジリジリと間合いを詰める。

 

 トウジョウが動いた。

 

 凄まじい速さで懐に飛び込みストレートパンチを放ってくる。

 

 ちょっと後ろに下がって僅かに顎を引き、寸前で躱した。

 

 彼女は間髪をいれずにローキックをかましてくる。

 

 ほんのちょっと後ろに下がって、これも躱した。

 

 トウジョウが寝技をかけようと飛びかかってきた。

 

 トウジョウが触れる前に僕が彼女をハイキックで吹っ飛ばした。

 

  バアァン!

 

 

 先程のイッセーくんと同じく木に激突した彼女に話しかける。

 

 

「これで分かったかい? 君の弱点が……」

 

「……分かりません」

 

「そうか、ならはっきり言おう。君の欠点は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 手足が短い」

 

 

 

 

 

 

「…………………グスッ」

 

「ちょっとリュカさん!!」

 

 

 ……少し、言い方が不味かったかな……。

 

 トウジョウが涙目になり、イッセーくんは物凄く批判的な顔を向けてくる。

 何とか分かってもらうべく言葉を尽くすこととしよう。

 

 

「え~っと……ゴメンね。でもそれは大事なことだ。近接戦で相手の間合いを読むのは基本中の基本だ。

 君は持ち前の敏捷さで素早く相手の懐に飛び込み、それを補ってきたのだろう。だが、同じくらいの敏捷さでリーチがより長い相手では、接近戦において負けが確定したも同然だ」

 

 

 僕の言葉を聞きトウジョウがしゅんとなる。自覚があったらしい。

 

 

「それに君の戦い方はきれいすぎる。先程のイッセーくんへの助言然り、君はまるで格闘技の御手本だ。

 だが、それは良いことばかりではない。ときには“泥臭く汚い”技も使わなければならない」

 

「……“泥臭く汚い”技?」

 

「実践してみせよう。イッセーくん、相手をお願いできるかい?」

 

「えっ? あ、はい!」

 

 

 今度はイッセーくんと向き合う。

 彼が拳を握りしめ向かってくる。

 

 イッセーくんの打撃はほとんどテレフォンパンチだ。それはそれで、あとでゆっくり指導しよう。だが今はそのことではない。

 

 彼のパンチを躱し、イッセーくんの顔面に顔を近づけ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ………………

 

 

 

 イッセーくんの顔中を舐め回した。しかし、ただの“舐め回し”ではない。

 

 百烈舐め―――“舐め回し”の強化版であり、超絶な舌技で敵をひるませ、更に相手の守備を崩すという技

 

 イッセーくんがショックのあまりフリーズしているところに正拳突きを叩きこんだ。

 彼は簡単に気絶し大の字に倒れた……尤も、気絶したのは正拳突きを浴びせる前だったが。

 

 

「今の技の名は『百烈舐め』。それを見た感想は?」

 

「…………………」

 

 

 どうやらトウジョウもショックを受けてるらしい。半ば茫然としている。

 

 

「あんまり“きれいな技”ではないだろう? でも意外と役に立つ。相手の意表を付けるからね――――

 僕は君に『手足が短い』と言った。でも僕自身それ程でもない。……まあ、人間の中では割と背は高い方ではあるが、ギガンテスだのグレイトドラゴンだのと比べたら君とほとんど変らない」

 

「……慰めになってません」

 

 

 トウジョウの厳しいツッコミが入る。ショックから立ち直ったらしい。

 

 

「あ、あはは……。まあ、とにかく“自分の欠点”を見つめるというのは大事だ。そしてその上で“泥臭く”勝ちにいく技を身に付けることが重要だ。というわけで、いきなり『百烈舐め』は難しいから初歩の『舐め回し』を――――」

 

「やりません」

 

「えっ? 僕の話聞いてた?」

 

「……聞いてましたし、自分の欠点を見つめることは大事だと思いました。でも、今の技はやりません」

 

 

 説得しようとしたが、彼女の意志は固かった。

 

 

 

 

 

 

 レッスン4 リアスとイッセーくんの筋トレ

 

 もっと効率的に筋トレができるようにイッセーくんにヘビーメタルを99個持たせたら、彼は動けなくなった。

 リアスさんに怒られた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

「今日一日君達の特訓を見させてもらった。結論を言おう。今のままではライザーくんには勝てない」

 

 

 修行を終え、ぐったりしているオカルト研究部の面々にいった。

 なんか僕に呆れてるような、怒ってるような、感謝しているような複雑な表情を向けてくるが気にしないでおこう。

 

 

「今の君達に欠けているもの、それは“実戦経験”だ」

 

「“実戦経験”?」

 

「そうだ。聞くところによればライザーくんは何度もレーティングゲームとやらをしているそうじゃないか。その差は君達が思っている以上に大きい」

 

「…………」

 

 

 皆が押し黙る。どうやらそのことは自分達でも考えていたらしい。

 

 

「そこで僕が提案する修行の内容はこれだ――――」

 

 

 

 

 

  ――――模擬レーティングゲーム。

 

 

 




グランドクロス:DQⅥで初登場した攻撃特技。祈りを込めて十字を切ることで、敵を聖なる真空の刃が切り裂き、バギ属性ダメージを与える。また、十字ということでゾンビ系の敵に対してはダメージが増加する。

なめまわし:敵を舌で舐めまわし、鳥肌を立たせて1ターン休み状態にする。DQⅥなどでは転職で覚える。バーバラやミレーユも覚える。

ひゃくれつなめ:なめまわしの強化版。初出はDQⅥ。なめまわし同様、敵1体を1ターン身震いさせて行動不能にし、更に守備力を激減させる。

ヘビーメタル:DQⅨ・Ⅹに登場するアイテム。錬金素材の一種で、やたらに重い謎の金属。


ひゃくれつなめは意外と使える。マジで。
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