時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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19話 模擬戦

 

「模擬レーティングゲーム?」

 

「そうだ」

 

 

 初日の修行を終え、夕食の席で僕の提案を皆に聞かせる。

 

 

「ライザーくんは既に公式の試合を何度も経験している。その差を埋めるには実戦経験を積むしかない。

 百聞は一見に如かず、百見は一行に如かず―――という。ともかく、一度やってみた方がいい」

 

「でも、あなたは人間よ? 『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』なんて持っていないでしょう。もしかしてお仲間に眷属の代理をしてもらうの?」

 

「そうなるね」

 

 

 リアスの疑問に答える。

 

 

「僕が(キング)で、兵士(ポーン)八体、騎士(ナイト)二体、僧侶(ビショップ)二体、戦車(ルーク)二体、女王(クイーン)一体の十六人で相手をする。 無論、君達に合わせてもいいがライザーくんとの戦いを想定するならこの方がいいだろう。それでいいね?」

 

「……いいわ、ライザーとの戦いの前哨戦よ。叩き潰してあげるわ」

 

「ちょっと部長!? それは無茶ッスよ!」

 

 

 リアスの返答を、イッセーくんが止める。

 どうやら昼間のアレ(百烈舐め)がトラウマになってるらしい。

 それが原因で怖がられてしまった。もうやらない、とは言ったが……。

 リアスは乗り気だ。些か張り切り過ぎているきらいがある。おそらくライザーくんとの戦いを意識し過ぎているのだろう。戦意が高いのは結構だが空回りしなければいいのだけれど……。

 

 

「部長……、それは無理だと思いますわ」

 

「リアス部長、僕もイッセーくんと同意見です」

 

「……無理」

 

 

 ヒメジマ、キバくん、トウジョウも反対する。

 彼女達も少々厳しく扱き過ぎたようだ。僕に対して恐れを抱いているらしい。

 あとでゆっくりお話しよう。

 

 

「あ、あはは……加減するから大丈夫だよ。最近仲間にした子達を中心に選ぶから」

 

 

 いきなりヘルバトラーだのグレイトドラゴンだのをぶつけるつもりはない。

 それに僕の仲間達の実力も高めるという狙いもある。

 

 

「ライザーくんの眷属は十五人。本人も含めれば十六人だ。大勢と戦う経験をしておけば必ず役に立つ……。

 相手は君達の実力に見合った者を用意する」

 

「でも、レーティングゲームは王……つまり、あなたを倒せなければこちらの勝ちにはなりません。僕達の実力ではそれは無理なんじゃ……」

 

 

 キバくんが苦言を呈する。確かに今の彼らが束になって掛かってきても相手にならない。

 おそらく片手でも倒せる。

 

 

「それなら問題ない。君達へのハンデとして僕はこれを装備する」

 

 

 そう言って『諸刃の剣』、『破滅の盾』、『死神の首飾り』、『ドクロの指輪』、『悪魔のタトゥー』を袋から取り出す。

 

 

「……なんか禍々しいわね。一体何なの?」

 

「これらの品々には呪いが掛かっている。ちょっと装備してごらん?」

 

 

 そう言ってリアスに『ドクロの指輪』を嵌めさせた。

 すると、彼女は金縛りに遭いピクリとも動かなくなった。

 

 

「……とまあ、こんなふうに、偶に動けなくなったりする」

 

 

ドクロの指輪―――装備すると時折金縛りになり、動けなくなるという呪われたアイテム

 

 他の品々も同様に、装備者にとって負の効果がある。

 

 

「……さっ……さ……と……は……ず……し……な……さ……い……よ……!」

 

「ああ……! ごめん、忘れてた」

 

 

 そう言って解呪呪文(シャナク)を唱えた。

 ドクロの指輪が外れて、リアスは動けるようになる。

 

 

「リュカさん、後で少しお話しましょう?」

 

「あはは……まあ、とにかくだ。これらを全て装備すれば、君達と互角になるだろう。次は僕の仲間だ」

 

 

 何故か怖い印象を受ける笑顔を向けてくるリアスさんを無視し、今度は召喚の魔法陣を発動した。

 出したのは――――

 

 

 バイサー、レイナーレ、カラワーナ、ミッテルト、ディーネ、スラ太郎、触手丸、スラりん、プックル、ピエール、エビルアップルのアプール、爆弾ベビーのニトロ、お化けキノコのマッシュ、腐った死体のスミス、―――そしてミルたん

 

 この十五体だ。

 

 

 グレモリー眷属と因縁のある堕天使三人とはぐれ悪魔バイサーが憎しみのたっぷり篭った眼差しを向け、リアス達もそれに返す。

 

 

「久しぶりね、小娘」

 

「何でこいつらを……!?」

 

「ああ、ちょうど君達の実力に見合っているかと思ってね」

 

 

 その言葉にリアス達が目を吊り上げる。それもそうだろう。彼女ら(バイサーたち)はついこの間まではオカルト研究部の皆に比べれば遥かに弱かったのだ。

 それを“自分達の実力に見合っている”と言われれば怒るのも当然と言えよう。

 

 

「ああ……、あの後、徹底的に鍛えてね。結構強くなったんだ」

 

「リュカさんが……!」

 

 

 リアス達が、今度は彼女達(バイサーら)がどのぐらい強くなったのか、と警戒の目を向ける。

 それは良いことだ。過去に一度勝った相手のことは、心の奥底で「どうせこの程度だろう」と決めてかかってしまう。そうならないように油断することなく冷静に相手を観察するのは素晴しい。

 

 

 

 

 

 だが、イッセーくんは――――

 

 

「人魚!? 忍者娘!? 植物モンスター娘!? リュカさんはこんな娘たちまで仲間にしていたなんて……羨まし過ぎる!!」

 

「その娘達はスラ太郎と触手丸とディーネだけど」

 

「えっ?」

 

 

 イッセーくんが驚愕で目を見開いた。

 

 う~ん……、あれほど仲間に欲しがったスラ太郎と触手丸を見抜けないとは……(イッセーくん)には観察眼を養ってもらわねば。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 

  翌朝

 

 

 グレモリー家の別荘近くの森で、僕とリアス達は模擬レーティングゲームを始めた。

 数に勝る相手と戦うには速攻で攻め切らねばならない。そうでないと守勢に回れば耐え切れないからだ。

 

 本陣を離れ、仲間達とオカルト研究部の皆との戦いを見物することにした。

 見つかっては訓練にならないのでレムオルで姿を隠す。

 

 仲間達に待ち伏せさせた戦術上の重要拠点である林を見張っていると――――

 

 イッセーくんとトウジョウがやって来た。

 

 

 

 

 

  一誠side

 

 

「リュカさんとの模擬戦か……。行くよ、小猫ちゃん!!」

 

「……はい」

 

 

 俺と小猫ちゃんは部長の指示でバトルフィールドの中間に位置する林まで来ていた。

 何でも、リュカさんの本陣に通じる重要拠点らしい。

 

 そこで、部長から秘策が与えられたが―――

 

 

「正直、勝てる気がしないんだよな~……」

 

「……私もです」

 

 

 昨日の修行は酷かった。リュカさんはとんでもなく強かった。

 俺が絶対に勝てないと思った木場を叩きのめして、異世界の魔法で朱乃さんをふっ飛ばし、俺に小さい女の子にボコボコにされるというトラウマを植え付けた小猫ちゃんを「手足が短い」と斬って捨てた。

 

 それに、リュカさんの仲間達だ。

 昨日の事件は人生で五本の指に入るくらいのトラウマになった。

 ほとんど怪獣みたいなドラゴンが二匹、一匹はアーシアのラッセーとおなじ蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)だが15mはある成龍(確か成龍って捕まえられないんじゃなかったっけ?)。

 もう一匹はどデカい火の玉を吐く赤いドラゴン。朱炎龍(フレイム・ドラゴン)というらしい。

 その上、ザトゥージに見せられた有効的(・・・)な怪物ヒュドラ。

 牛頭のおっかないミノタウロスもいたな……。

 その上ミルたんって……、魔法を教えてるとは聞いてたけど、本当に使えるようになってたとは……。

 

 

 でも、昨日見せられた模擬レーティングゲームの仲間はそれ程強そうじゃなかった。

 一つ目のリンゴに、手足の生えた茸。棘の生えたピンク色の生き物。青いゼリーみたいなやつ。

 あの辺は俺でもどうにかできる―――と思いたい。

 でも、赤い(たてがみ)の生えた競走馬と同じぐらいのでっかい豹は強そうだったなあ……。

 それに、初日に木場を叩きのめした緑色のスライムに乗ったヘンテコな騎士……。

 

 だが、そいつらも問題じゃない。

 何だよアレ!? あんなエロそうなお姉さんが、あのバイサー!? 堕天使三人もリュカさんにべったりだったし……。元カノが他の男と……、と思うと複雑な気分になった。

 

 それに何だよ“転身”って!? 何で筋肉だらけのプロレスラーみたいだったディーネちゃんがあんな美女の人魚になってんだよ!? そんでスラ太郎と触手丸が実は♀……。

 

 もう何でもアリだな! うらやましいぞ、ちくしょう!

 でも、リュカさんの場合、他のバケモノともいちゃいちゃしてるんだよな……、ヒュドまるとキスとかできないから全然うらやましくないぞ、こんちくしょう!

 

 

「……イッセー先輩、アレ」

 

「ん? ゲッ」

 

 

 小猫ちゃんに話しかけられ周りを見てみると完全に包囲されていた。

 あのデカイ豹。一つ目のリンゴ。手足の生えた茸。棘の生えたピンク色の生き物。

 そして――――

 

 

「久しぶりにょ」

 

「ミルたん……」

 

 

 どうしてここにいるんだ……。

 心の底からそう思った。

 

 

「じゃあ、勝負にょ。師匠から『実戦に勝る鍛錬なし』って言われてるにょ。いっぱい戦って、もっと強い魔法少女になるにょ!」

 

 

 うん、前向きだ。イヤになるくらい前向きだ。何で俺の周りにはこんなんしかいないんだ。

 すると、小猫ちゃんが前に出た。

 

 

「……あなたの相手は私。リュカさんに『戦ってみなさい』って言われてる」

 

 

 ミルたんvs小猫ちゃん……。どんな組み合わせを実現させようとしてんだよ、リュカさん!!

 すると、俺の相手は――――

 

 

「ガロロロロ!」

 

「ですよねー……」

 

 

 キラーパンサーのプックル―――そう聞かされた。キラーパンサーってどんな魔物なんですか? そう尋ねたら、異世界では『地獄の殺し屋』という異名で恐れられてると聞かされた。

 うん、恐い。スッゲー恐い。何だよあいつの牙、三十センチぐらいあるんじゃないか?

 リュカさんに聞かされた話によれば、プックルは最初に仲間にした魔物で本来滅茶苦茶強いらしい。

 だが、リュカさんと同じく『呪いの装備』で制限をかけているそうだ。

 つーか、そんなことするくらいならもっと弱そうなのにしてくださいよ……。

 

 そんなことを考えていると――――

 

 

「グオオオオウッ!!」

 

 凄まじい早さで間合いを詰め、剃刀みたいなカギ爪で引っ掻いてきた。

 咄嗟に飛び退く。

 

  ガリッッ

 

 後ろの木に深い引っかき傷ができた。

 

  ゾッ……!

 

 その傷の溝の深さ、そして鋭さを見て鳥肌が立った。うん、死ぬな。アレ受けたら。

 横では―――

 

 

「……えい」

 

 

 小猫ちゃんが拳を繰り出す。

 

 

「なかなか強い悪魔さんにょ。ギラ!」

 

 

 ミルたんが手から眩い閃光を繰り出す。

 凄まじい激闘が始まってた。

 

 

「……やばいな、アレ」

 

 

  ボトッ

 

 

 小猫ちゃんとミルたんの激闘に目を奪われていると、目の前に赤い何かが落ちた。

 

 

 エビルアップルのアプール―――確かそんな名前だ。

 

 次の瞬間、体に鋭い痛みが走った。一つ目リンゴが俺の足に噛み付いてきやがった!

 何とか振り払うと―――

 

 

「何だ、コレ―――」

 

 

 急に体が痺れてきた。更にお化けキノコが桃色の吐息を吹きかけてくる。

 その吐息を浴びると、今度は物凄い眠気が……。

 

 俺はそのまま抵抗さえできず、やがて意識が暗転して――――

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

「目を覚ましたのね、イッセー……」

 

 

 目が覚めると部長がいた。ちょうど真上に顔がある。落ち込んでいる顔だ。

 どうやら、部長に膝枕してもらってるらしい。

 

 

「どうなったんスか……、部長……」

 

 

 答えは予想できるが一応尋ねる。すると、思った通りの答えが返ってきた。

 

 

 

 

「――――模擬レーティングゲームには負けたわ」

 

 

 

 

 

 




諸刃の剣、破滅の盾、死神の首飾り、ドクロの指輪、悪魔のタトゥー:DQシリーズでおなじみの呪われた装備の数々。それぞれ耐性が下がったり、行動ができなくなったり…と効果の違う呪いがかかる。

エビルアップルのアプール、爆弾ベビーのニトロ、お化けキノコのマッシュ:DQⅤ序盤で仲間になるモンスター。『序盤三強』の異名を取る。

レムオル:姿を消すことができるという、非常に独特の効果を持った呪文。現在までのところ、本編シリーズではⅢのみにしか登場していない。


レムオルかステルスで迷いました……。
つーか、どっちでもいいか(適当)
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