時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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リュカの説教二割増。そんな修行回後篇です。
次回からやっとライザー戦です。


20話 学び

   

 

「終わったか……」

 

 

 リアスが地面に倒れたのを見て、ぽつりと呟いた。

 

 オカルト研究部の面々の戦いぶりはなかなかのものだった。

 その年齢でここまでの力を持てたのか、と感心する。単純な才能という意味では僕より上かもしれない。

 

 しかし、未熟だ。

 

 真っ先に脱落したのはイッセーくんである。

 彼はプックルの一撃を避けるまでは良かったが、トウジョウとミルたんの戦いに気を取られ、アプールの「マヒ攻撃」とマッシュの「甘い息」で倒れた。

 

 次はトウジョウだ。彼女とミルたんの戦いはかなり拮抗した、いい戦いだった。

 だが、ミルたんがいつのまにか会得していた中級火炎呪文「メラミ」で決着が付いた。

 やはり、(ミルたん)の才能は素晴しい。数週間でここまでできるようになるとは……。

 トウジョウの全体的に白っぽい装いが、火炎に包まれて一瞬で真っ黒になった。

 

 そこにヒメジマがやってきた。

 どうやら双方にとって重要拠点であるはずの林を雷撃で吹き飛ばし、一気にいくつもの駒を撃破(テイク)する算段だったらしい。

 悪くない手だ。戦力の不足を補うには最善の手だろう。

 しかしながら読んでいた。制空権を確保して爆撃で一掃する。魔界で煉獄鳥に散々やられた手だ。

 そこで、ミッテルトに頼んで「不思議な踊り」で魔力を奪わせてもらった。

彼女(ミッテルト)を踊り子にしたのは正解だった。「不思議な踊り」には三段階あるがすでに三段階目に及んでいる。即ち、最も強力なやつだ。

 更にピエールがマホトラで援護し、スミスが「誘う踊り」で足止めする。

 魔力が尽きてしまえば「雷の巫女」も形無しだ。あっというまに取り囲んで袋叩きにできた。

 

 キバくんは罠を張り巡らせていた。

 これで僕の仲間達を受け止め、各個撃破を計ったのだろう。

 しかし、罠で僕達を止めれるはずもない。何せ、元の世界や異世界で腐るほど罠を踏み破ってきた。

 火を噴く竜の像だの、動く床だの、落とし穴だの……。

 スラりんのトラマナで容易く突破できた。

 バイサーとキバくんの一騎打ちはなかなかの名勝負だった。

 単純な技の精度や早さではキバくんが上、パワーと武器の性能ではバイサーが上だ。

 勝敗を分けたのは僕の下での修業した期間の長さだろう。

 バイサーにはすでに地雷閃を体得させていた。

 キバくんも大地斬を完璧にマスターしていたなら、勝負の行く末は分からなかったかもしれないが――――

 

 他の全ての部員を倒してから、リアスとアーシアと戦った。

 やはり彼女(リアス)の資質は大変優れている。呪いの装備を身に付けているせいもあるが、割と手間取った。

 彼女が滅びの魔力を放った瞬間に金縛りになり、左手の小指が消滅した。

 そのあとすぐに、レイナーレがホイミをかけて治してくれた。

 彼女(レイナーレ)も成長している。そう思うと感動して目が潤んでしまった。

 そうこうしている内に、カラワーナとディーネが倒してしまった。

 二人とも武闘家に転職させている。二人の放った鎌鼬を受けてリアスも墜ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

「さて―――、最初の模擬レーティングゲームはまずまずだった」

 

 

 別荘に戻って意気消沈しているオカルト研究部の皆にそう言った。

 

 

「まずはイッセーくん。プックルの初撃を避けたのは素晴しかった」

 

「えっ……あ、はい……。あざッス」

 

「だが君はプックルばかりに意識が集中していた。そのせいでアプールやマッシュの接近に気付くことができなかった。

 次からはもっと周りに目を向けれるようにしないとね」

 

「はい……」

 

 

 僕の注意点を聞き、イッセーくんは更に落ち込んだ。

 

 

「次はトウジョウさんだが……、あのミルたん相手によく戦った。だが(ミルたん)の方が君より一枚上手だった。君ももっと精進しないとね。

 それに、こういう時こそ“泥臭く勝ちにいく技”が重要だ。百烈舐めが嫌なら ぱふぱ……いや、何でもない」

 

「…………」

 

 

 トウジョウにもアドバイスを送る。もう一つ思いついた意表を突く特技を提案しようかと思ったが、彼女の目を見てすぐに止めた。

 

 

「ヒメジマさんは無警戒過ぎたね。もっと魔力を上手く活用できるよう精神力を鍛えよう」

 

「……分かりましたわ」

 

 

 ヒメジマは俯いている。抵抗らしい抵抗もできず敗れたことを恥じているらしい。

確かに今回はほとんど活躍できなかった。しかし、次回からはミッテルトの「不思議な踊り」にも対応できるハズだ。

 

 

「キバくんは昨日の特訓の成果が出ていた。得物の性能で上回るバイサー相手に非常に善戦したと言える。君の課題である“パワー不足”も改善できるようにしていこう」

 

「頑張ります」

 

 

 彼の戦いぶりはなかなかのものだった。まだ若いのに大したものだ。

 最後に紅髪の少女に向き直る。

 

 

 

「リアスさんの戦いぶりは良かったよ。僕も指を失った。磨けばさらに光るだろう……どうしたんだい?」

 

「…………どうしたらいいのよ」

 

 

 

 リアスが呟いた。

 彼女の表情は何とも複雑なものだった。

 悲壮、怒り、羨望、焦り……

 

 それらの感情から沸き立つ問い掛け――――。

 

 

「どうすればあんなに強くなれるの!? 人間のあなたがどうして!? どうすればあなたに……ライザーに勝てるの!?」

 

「……君の才能は素晴しい。だが、どれ程の才能を持ってしても上手くゆかぬことはある」

 

 

 どうやら負かしたことで、彼女の心を折ってしまったらしい。

 その痛々しい姿が、かつて異世界で弟子にした少年と重なる。

 自身の優秀さ故に、あまり経験したことのない敗北。要するに負けることに免疫がないのだ。

 

 彼女を諭すためにゆっくりと語りかける。

 

 

「リアス、焦る事はない。君は今日“敗北”を学んだじゃないか」

 

 

 言葉の一つ一つに思いを乗せる。

 

 

「そして今も学んでいる。苦悩、挫折、失敗 君の身の奥から湧き上がる僕への問い掛け……。そのすべてが価値ある学び。掛け替えのない“君の時間”だ」

 

 

 リアスの瞳を真っすぐ見つめる。

 僕自身の人生を思い返しながら、静かに教え導く。

 

 

「良い思いをする事。思い通りになる事。そればかりが正解とは限らない。真の幸福は“君の時間”の中にあるんだ。それが学ぶという事。それが生きると言う事――――」

 

 

 今度はリアスのみならずオカルト研究部の皆に話しかける。

 

 

「人生とは挫折の連続だ。でも、その“挫折”にこそ、大きな意味がある。今日は皆良くやった。明日からはもっと厳しいぞ」

 

「「「はい!」」」

 

 

 そうだ……、もっと傷付きなさい。もっと挫折しなさい。もっと失敗しなさい。

 それらがまだ許されるうちに……。そこからもっと多くを学ぶんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから―――

 

 

 ライザーくんとリアス達の両方を、毎日行き来し様子を見る。

 双方ともに訓練の成果が見られ始めた。

 

 ライザーくんとその眷属達は日増しに精悍な顔付きになってきた。

 砂漠の過酷さは色々あるが、最も大きいのは朝晩の寒暖差だ。昼は真夏のように熱く、朝晩は真冬のように寒い。

 十日間砂漠から出さないつもりだ。当然、その過酷な環境に適応する為に精神力が鍛えられる。

 コーチ役の魔物達からの特訓も厳しくするように言い付けている。

 ライザーくんは数時間おきに氷漬けにされ、ユーベルーナはミニモンの極大爆撃呪文(イオナズン)で吹き飛ばされる。シーリスとカーラマインはリンガー&ブルートにメッタ打ちにされ、雪蘭とイザベラはアンクルに打ち叩かれ、ゴレムスに踏み潰された。僧侶(ビショップ)の二人もそれぞれのコーチに徹底的に扱かれている。兵士(ポーン)達はプリズンとブラウンに追い回されていた。

 

 その特訓に少しずつ順応していく様は実に頼もしい。

 将来、冥界を背負って立つ者達になるだろう。

 

 

 

 

 リアス達もかなりの成長度合いだ。

 そのあとも模擬レーティングゲームを続けた。五回目までは僕の仲間達のパーフェクト ゲームだったが、六回目で初めてニトロが撃破された。その後も続けていくうちにニトロ、マッシュ、そしてアプールまで取れるようになった。

 

 皆、僕のアドバイスを受け入れ真剣に取り組んでいる。

 そればかりか、イッセーくんは夜な夜なアーシアと何やら特訓をしている。

 こっそり、覗いてみると魔力を用いアーシアの服を剥ぎ取る特訓のようだ。

 なかなか面白い発想だ。装備を剥ぎ取る魔法……というのには出会ったことが無かった。

 これを体得すれば重装備の魔物……シールドヒッポだのリザードマンだのとの戦いも有利になるかもしれない。

 そう思い僕も訓練を始めた。相手を頼んだのは夜に強い悪魔のバイサーだ。

 山ほど持ってる「布の服」を着せ数日訓練し、ようやく使えるようになった。『装備破壊(アーマー・ブレイク)』と名付けよう。

 

 

 

 

 

  その一方で―――

 

 

「少しいいかい?アーシアさん」

 

「は、はい、何でしょう?」

 

 

 僕はアーシアさんに声をかけた。

 

 

「君とマンツーマンで特訓がしたい」

 

「私とですか!?」

 

「ああ」

 

 

 僕の提案を聞き、彼女(アーシア)は驚いた。戸惑った表情をしている。

 

 

「あのう……、ご提案は嬉しいのですが……、私なんかと特訓するぐらいなら他の皆さんとされた方がよろしいのではありませんか?」

 

「君でなければダメだ」

 

 

 キッパリ言う。

 

 

「―――それは一体どうして……」

 

 

 

「僕の考えでは―――ライザーくんを倒せるのは君だけだ」

 

 

 そう言って僕はアーシアにあることを教え始めた――――

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 決戦当日

 

 

 

 

 駒王学園生徒会室。

 そこには二人の少女がいた。

 

 

「お初にお目にかかります。ソーナ・シトリーと申します。この駒王学園では支取蒼那という名前で生徒会長を務めております」

 

「副会長の真羅 椿姫です」

 

「初めまして、僕はリュカだ。よろしく」

 

 

 お互いに軽く挨拶を交わす。

 何でもこの少女がライザーくんとリアスのレーティングゲームの中継係を務めるらしい。

 シトリー家というのも悪魔の中では名門なんだそうだ。

 

 

「何でもリアスとライザーの双方を鍛えたんだとか……。変わったことをされますね」

 

「ははは、まあ、そうかもしれないね。でも、これでお互いにわだかまりなく戦える、そう言えるまで鍛え上げた」

 

「そのようですね……。二人もその眷属達も見違えたようです。これは追いかけるのが大変そうですね」

 

「おや、君も修行するのかい? そのときは付き合うが……」

 

「考えておきます」

 

「始まるようですよ」

 

 

 僕とソーナが話をしているとシンラが告げた。

 リアス、ライザーくん 双方の意地とプライドと将来をかけた戦いが始まった。

 

 

 さあ行け、みんな。全力でぶつかり合いなさい。――――僕の仲間達も行きなさい!

 

 駒王学園を摸したバトルフィールドに、僕が選んだ三匹の魔物を送る。

 

 

 その三匹とは――――

 

 

 

 




マヒ攻撃:DQⅢで初登場し、それから常連となった状態異常付加攻撃。通常攻撃のダメージを敵に与えると共に麻痺状態にする。

甘い息:DQⅡ以降に登場する特技。敵1グループに対し、甘い匂いの息を吐き掛け、眠り状態にする。敵に使われるとイヤな技。

不思議な踊り:DQⅡ以降毎回登場する特技。相手1体のMPを減少させる。作品ごとに微妙な違いがあり初出のⅡが強力。効果によって1~3のランクに分けられる場合もある。


ふしぎなおどり が強すぎた気がする。
そこはツッコまないでください(^_^;)
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