「ギャオオオオオッッ!! 食べちゃうぞだにゃぁぁぁっ!!」
「なっ!!」
突如として現れた三体の黒い
堅牢な鱗、巨大な翼、凶暴そうな頭部。刀剣のように鋭い爪。何処をどう見ても竜だ。
それを目撃したライザーの眷属悪魔達は驚きのあまり絶句した。
彼女達の様子を見まわした竜の一頭が得意げにフシュフシュと鼻息を漏らしながら説明する。
「オレ達が使ったのは火竜変化呪文ドラゴラムだにゃ~。これがお前達に用意した試練にゃ。さー、掛かってくるにゃ!!」
そう告げるなり、三頭の黒竜が一斉にライザー眷属に襲い掛かった。
ドラゴン達が同時に激しい炎を浴びせかける。
ゴアアアアアアアアァァァ!!
凄まじい熱と光の奔流。三頭の竜が放つ火炎はレイヴェル達の想像を遥かに上回るものだった。
一瞬でグラウンドは焦土と化す。
だが―――
十二単を着た女悪魔、美南風が両手を翳し、結界を展開した。
防御光幕呪文フバーハ……もどきである。
この十日間で
彼女は未熟であったものの、師の特訓により、以前に比べ呪術の幅が大きく広がっていたのだ。
だが、所詮はもどきである。不完全な
それでも仲間達を守ろうとした彼女は――――
「「「美南風!!」」」
仲間達の呼び声も届かず、黒焦げになった彼女はぱたりと地に倒れた。
「ライザー・フェニックス様の『
バトルフィールドにアナウンスが虚しく響いた。
◇
「「バ~ラバラ♪バ~ラバラ♪バ~ラバラ♪バ~ラバラ♪」」
レイヴェル達とドラゴン軍団が激突している頃、一誠と小猫は体育館でライザー眷属達と戦っていた。
相手は雪蘭、ミラ、イルとネルの双子である。
小猫と雪蘭は『
小猫は雪蘭と互角に戦っていたが、一誠の方はチェーンソーを持った体操着姿の双子に 追い回されるという、一見すると一方的な展開になっていた。
「ネル~。修行の成果見せようよ♪」
「そうだね、イル♪」
笑みを浮かべた双子が一気に加速する。チェーンソーを振りかざし、そして――――
「「兜割り!」」
チェーンソーを物凄いパワーで振り降ろす。
ガアアァァァン!!
体育館の床がぶった切られた。
兜割り―――斧の技の一つ。ダメージを与えるのみではなく、相手の甲殻や鎧などを破壊し、守備力を下げる
直撃すれば
だが、一誠は辛うじてかわせた。
しかし、間髪入れず、もう一人の兵士が襲い掛かる。
「薙ぎ払い!」
「グアッ!」
ガツンッ! ミラの棍が一誠の顎に直撃した。
凄まじい痛みが走り、脳が揺れて視界にもやがかかる。
だが、一誠は気合で持ち堪えた。
「「へへ~ん。
「そういうことだ、リアス・グレモリーの兵士! お前達に勝ち目はない!」
勝ち誇った表情をするイル&ネルとミラ――――
しかし、時間は稼げた。
『Explosion!!』
これで一定時間パワーアップできる。一誠が駆け出す。
素早くミラ達の懐に飛び込む、彼女達が棍を、チェーンソーを繰り出してくるが体を捻ってかわし、三人の体に素早くタッチする。
そして―――
「くらえ! 俺の新必殺技!
「「「イ、イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」」
ミラ、イル、ネルの服が弾け飛んだ。三人娘は生まれたままの姿となる。
「アハハハハハ! どうだ、見たか! これが俺の技だ! その名も『洋服崩壊』! 俺は脳内で女の子の服を消し飛ばすイメージだけを延々と、延々と妄想し続けたんだよ! 魔力の才能を、全て女の子を裸にする為だけに使ったんだ!」
一誠が鼻の下を伸ばしながら、胸を張って得意げに説明した。
「最低!女の敵!」
「ケダモノ!性欲の権化!」
イル&ネルが猛烈に非難してくるが一誠は気にせず彼女達の裸体を観察する。
しかし―――
「……見損ないました」
味方のはずの小猫からも軽蔑の眼差しを向けられる。流石の一誠もこれにはたじろぐ。
「いや、でもリュカさんも“泥臭く汚い”技が大事って……」
「……リュカさんのも大概ですが先輩のはもっと酷いです」
すると、リアスから通信があった。例の作戦を決行するらしい。
一誠と小猫は体育館から走り去ろうとする。
「逃げる気!? ここは重要拠点なのに!」
雪蘭が追おうとするが、小猫に足をやられたため追いかけることができない。
一誠達が体育館から出ると―――
ドオオォォォン!
上空で待機していた朱乃が雷で体育館ごと、中にいたライザーの眷属達を撃破した。
「やったね、小猫ちゃん」
一誠が小猫の肩を叩こうとするが、彼女がそれを拒絶する。
「……触れないで下さい……」
「ハハハ、大丈夫だよ。俺、味方には使わないから」
「……それでも最低な技です」
どうやら本格的に嫌われたらしい。小猫がジト目で睨みつけてくるが、それでも作戦は最高に決まった。
しかし、今の雷撃で朱乃の魔力がかなり消耗したらしい。それを回復するまで時間を稼がなくては、一誠がそう思ったとき……
小猫の立っていた場所が、爆発した。
「小猫ちゃん!」
一誠が慌てて振り向く。
しかし、彼女は無傷だった。服はかなりボロボロになっているが目立った外傷はない。
空を見上げると魔道士姿の女性、ライザーの
「……あら、完璧なタイミングで爆破したかと思ったのだけれど……」
確かに不可思議だろう。ユーベルーナの言う通り完璧なタイミングでの不意打ちだった。
しかし、小猫には受け身が取れたらしい。
「……リュカさんから『敵を仕留めた直後が一番油断する。数に勝るライザーくん達なら、必ずそこを狙う』と忠告されてましたから」
「まあ、リュカ様ならそう言うでしょうね……。本当にあのお方は我々とあなた達、どちらを勝たせたいのかしら……? “どっちも応援する”というのが真実なのでしょうけど」
ユーベルーナが嘆息する。一誠も小猫もなんとなく同情した。
「ですが私もあの方から助言を受けてるのよ。『イッセーくんは土壇場で力を発揮するタイプだ。勝ちに行くなら序盤で潰してしまいなさい』ってね」
「えっ!? ちょ、リュカさん何言ってんの!!!」
ライザーの女王の言葉を聞いて一誠が驚き、顔を青くした。
一方、ユーベルーナは杖をしまい、両手に爆撃の魔力を纏わせる。
「正直、私自身はあなたをそこまで警戒してないけど……。リュカ様の言葉だもの、たぶんその通りなのでしょうね。だから、この十日間で会得した私の最強の奥義で三人まとめて葬ってあげる」
朱乃がこちらに向かってきてる。その彼女も含めて
「ええええええええっ!! ちょ、待って!!」
ユーベルーナが両手の魔力を合体、集束させて何やらヤバそうな魔法を発動させようとする。
それを見て一誠は絶叫するが―――
『ユーベルーナ! あなたも手伝いなさい!』
ライザー側の通信機から少女の声がする。救援を求める声だ。かなり切迫した状況らしい。
「チィィィッ! ならば!」
ユーベルーナは発動させようとしていた魔法を中断し、地面に魔力の塊を叩きつける。
ズドォォォン!!
凄まじい砂煙が生じた。
一誠、小猫、朱乃の三人は思わず目をつむる。
視界が晴れたときには、すでにユーベルーナはいなくなっていた。
「……逃げられた!」
「イッセーくん! 小猫ちゃん! 朱乃さん!」
そこに木場が駆け寄ってきた。
「木場! そっちはどうだ?」
「兵士を三人片づけたよ……。それよりライザー・フェニックスの女王がグラウンドの方に向かったみたいだけど……」
「どうやら、ドラきちさん達がかなり頑張ってくれてるみたいですわ」
「あいつらが……」
通信機から聞こえた声の印象から、かなり追いつめられているらしい。それを悟った一誠は、改めてリュカの魔物はヤバいということを思い知った。
「それより僕達も行こう。ドラきち達と連動して一気に撃破する敵をチャンスだ」
「そうですわね」
「……同意見です」
「そッスね。勝ちましょう!!」
木場の提案を皆が了承する。
こうして、一誠、木場、小猫、朱乃の四人はドラキー達とライザーの眷属達が激闘を繰り広げているであろうグラウンドに向かった。
そこで彼らはまたも驚愕することになる。
◇
ライザー眷属にとって今や窮地であった。
鉄よりも固い竜の鱗はイザベラの拳も、レイヴェルの魔力弾も通らず、簡単に弾く。
ドラキー達は、こちらの攻撃など一切気にせず、巨大な腕を振り降ろし、火を吹き、尾で薙ぎ払う。
それはまさに大師匠の用意した試練と呼ぶにふさわしいシロモノだ。
絶体絶命の状況に、ライザー眷属達は追い詰められる。
しかし、一人が皆に呼び掛ける。
「私に一つ案があります」
「何、シーリス?」
「私がやつらを倒します。ですが、力を溜めなくてはなりません。その為の時間を稼いでください」
「分かったわ!」
大剣を持った
それを聞いた他の眷属達も一斉に動く。
ユーベルーナが爆撃魔法を放つ―――
イザベラが殴る―――
カーラマインが斬る―――
レイヴェルが魔力弾を放つ―――
ニィとリィが引っ掻く―――
どれもこれも一切意味を為さない。
そればかりか、カーラマインの剣は折れ、イザベラは拳を痛め、ニィとリィの爪が欠けた。
「にゃ~~~! 効かないにゃ!! それっ! お返しにゃ!!」
ドラきちが鋭い爪を振り降ろす。
それが二人の猫耳の生えた少女に直撃した。
「ぎゃああっ!」
「に゛ゃあっ!」
ニィとリィが叩き潰された。そのまま光の中に消える。リタイアになったらしい。
そのとき、シーリスが叫ぶ。
「もういい! 下がれ!!」
進み出た
そして大剣を大上段に構え―――
「ドラゴン斬り!!」
ドガアアアァァァン!
轟音と共に黒竜の一匹の鱗を叩き割った。血が一気に噴き出す。
ドラゴン斬り―――竜族の魔物に大きなダメージを与える剣技。
しかし、それだけでは火竜変化し、成長の極地に達したドラキーに傷を与えることはできなかっただろう。
ダメージを与えることができた理由はシーリスが“きあいため”をしてたことだ。
それを学んでいたシーリスも“きあいため”を会得していた。
そこで“きあいため”と“ドラゴン斬り”を組み合わせることを思いついた。
竜殺しの力と、闘気を溜めての一撃の複合攻撃により、ドラゴンの堅牢な鱗を砕いたのだ。
「ギギャアアアッ!!」
「ラッキー!?」
どうやら負傷したのはラッキーだったらしい。そもそも、ドラキーは機動力を武器とする種族で、反面に防御面で脆い。戦士職ではその長所を殺し、短所も補い切れない。ドラキーにとっては最も不向きな職種といえる。
「にゃ~~……。しょうがにゃい。いったん解除するにゃ」
「キキーーッ!」
三体が一斉に
そして、ヨッキーが負傷したラッキーに近づくが―――
「させん!!」
ライザー配下も黙って回復などはさせない。
ユーベルーナが妨害の爆撃魔法を放とうとした。
「させないのはこっちにゃ。ラリホー!」
「うっ……」
ドラきちが唱えたのは
ユーベルーナ達は精神を集中させて意識を保つ。
だが、一瞬の隙ができた。そして一瞬で事足りた。
「べホイミ!」
「……キキーーッッ!!」
あっという間にラッキーの傷が癒えた。
「少々油断したにゃ~……。
ため息混じりにぼやいたドラきち。しかし、すぐさま心を切り替え、攻撃に移るあたり
そんな彼らが次に取った行動。それは全力の一撃を放ち疲弊したシーリスに突撃することであった。
そして―――
「吸血究極連携ブラッディファング!!」
三体のドラキーが連携し、シーリスに噛み付く。そして、凄まじい早さで血を吸い取った。
一度に大量の血液を失った
「シーリス!」
レイヴェルが叫ぶ。『
一方、ドラキー達は奪った血液をテンションに転換し―――
「真空波!!」
「キキーーッ(体当たり)!!」
「バギマ!!」
それぞれの吸血蝙蝠が、それぞれの職種で得意とする技を一斉に放った。
一瞬、ほんの一瞬であるが油断したライザー・フェニックスの眷属悪魔達は、その攻撃を受け身も取れずに受けた―――
◇
「凄いものですね……。失礼ですがパッと見た感じではそんなに強そうではなかったのですが……」
生徒会室
僕はソーナ達と、決戦の行方をモニター越しに見守っていた。
「ドラきち達の事かい? 彼らは歴戦の勇士だからね。寧ろ、この短期間にあれだけ成長してみせたリアスさん達とライザーくん達に驚いているよ」
自分の教えを受け、皆成長している。まるで息子に剣術を教え、それを彼が見事に体得してみせたときと同じくらいの感動だ。
しかし、洋服崩壊とは面白い。女性用装備は男性用の装備と比べ、防御力は劣るが特殊な耐性を持つものが多い。
それらを踏まえると――――例えば天使のレオタードを身に纏った一団に襲われたとき、
まあ、“天使のレオタードを身に纏った一団に襲われる”なんてことは滅多にないが……。
そんなことを考えながらモニターを見ていると――――
ザッ……ザザッ……ザァーーーーーー
映像にノイズが混じり始めた。
「おや? これはどうしたんだい?」
「変ですね……。遠隔透視の魔術に異常が発生したのでしょうか……?」
「ふむ………」
何か良くないことの前兆でなければいいが…………。
僕はそう思った――――――
かぶとわり:DQⅧ以降、DQMJ以降のモンスターズシリーズに登場する特技。敵1体に通常攻撃と同等のダメージを与え、同時に相手の守備力を下げる効果がある。
特にⅧではヤンガスがオノスキルのSPを6まで上げると習得でき、ジャンプして空中回転しながらオノを敵1体の頭に叩きつける。消費MP0で通常攻撃+7~10ターンの間、守備力を元の値の半分まで下げることがある…という優秀な技。
きあいため:DQⅣ~Ⅶに登場する特技。大きく息を吸い込んで気合をため、次のターンに物理攻撃の与ダメージを約2倍にする。「ちからため」と違い攻撃が必中になる。
ブラッディファング:DQMBより。必殺技の一つ。肩書きは「吸血究極連携」。牙を使う技を3つ選ぶと発動する。3匹が順に噛みつき、更に巨大な牙が敵全員にダメージを与え、相手の気力を奪って味方全員のテンションを上げる。
第三者視点って難しい(T_T)
慣れないことはしたくないなぁ……。