時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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やっべ、D×Dキャラほとんど出てねえ……。
クロスオーバー物としては致命的なんじゃないだろうか?

その点は今回だけお見逃しください<m(_ _)m>


26話 魔神

   

 

「よいしょっと……、案外簡単に入り込めたな」

 

 

 外部から孤立したレーティングゲーム用の異空間。

 突然の異変にソーナ・シトリーは表面上の冷静さを崩さないよう努力していたが、内心では相当焦っているようだった。それだけ、親友であるリアスへの思いが強かったのだろう。審判役のグレイフィアさんに連絡を取ったり、各方面に引っ切り無しに更新したりしていた。

 しかし、グレイフィアさん達も何が原因なのかさっぱり分からないらしい。

 

 そこで思い切って、僕も断絶したバトルフィールドに向かう事にした。

 異世界間を行き来する要領で、空間の“歪み”を見つけ、するりと抜けて中に入る。

 そこには戦いの臭いが充満していた。リアス達以外にも大勢いの気配がする。中にはそこそこ……いや、かなりの大物もいるようだ。

 まず、気配が集中している駒王学園でいうところの体育館の辺りに行く。

 そこには沢山の女悪魔―――たしかヘルヴィーナスという種族だったか……そいつらがたむろしており、その中央にイッセーくん達とライザーくん達がいた。

 

 愛弟子達を嬲り者にしていたヘルヴィーナス達を倒し、ドラきち達が引き止めているという“大物”のいる場所に向かう。

 

 荒れ果てたグラウンドで、吸血蝙蝠は合体しグレートドラキーとなって、黄金色に輝く巨躯を誇る魔神と対峙していた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 指先から光の波動を迸らせ、グレートドラキーの能力低下を解除する。

 続けてべホマをかけ、(グレドラ)の傷を癒す。暗黒闘気のためか、回復の速度がが遅い。

 それでも光の波動の効果と込める魔力を強めたことの御蔭で、何とか治すことができた。

 

 

「大丈夫かい?」

 

『問題ないにゃ』

 

 

 グレドラを気遣って尋ねる。それに対しグレドラはハッキリとした声でそう答えた。

 彼ら(・・)の返答を聞きホッと安堵する。

 ドラキー達の実力には微塵も疑ってはいなかったが、回復役のヨッキーは転職して日が浅い。

 この敵に対し、中級回復呪文(べホイミ)では厳しいだろう。

 

 周りの状況を確認する。ここは異空間、校舎を始めとする建造物の類は壊してしまっても問題無し。リアス達、ライザーくん達双方はこの場から離れさせた。彼らにも気遣う心配はないだろう。

 

 よって言えることは――――

 

 

「少々本気を出しても問題はないな」

 

 

「フハハハハハハハッ! 何の冗談だ? 人間如きに我を止めることなど出来ぬ! 我を畏れよ! 逃げ惑えっ!」

 

 

 僕の呟きを聞き、魔神が哄笑する。どうやら徹底的に人間を下に見る気質らしい。まあ、そうなっても仕方がないだけの力は備えているらしいが、そうであれば尚のこと性質が悪い。

 

 

 

「逃げてもどうせ回り込むくせに……。かかっておいで」

 

「人間風情が……我を舐めるなあぁぁぁあっ!!」

 

 

 魔神がいきり立って襲い掛かって来た。巨大な腕でから生えた極太の針で以って突き刺そうとしてくる。それも、魔力と暗黒闘気で威力を相当強化しているようだ。針の先端が空を突っ切り、僕の頭を貫こうと向かってくる。

 

 僕は魔神を迎え撃つために、袋から異様な輝きを帯び七枚の刃を連ね扇とした武具を取り出した。

 

 その名を、最終扇(さいしゅうおうぎ)という――――

 

 少々ダジャレっぽい名前だが、その性能は凄まじい。ハッキリ言って最強武器候補の一つだ。

 

 

「『風姿花伝(ふうしかでん)』!!」

 

「なあっ!?」

 

 

 まずは、小手調べだ。扇を高速で煽ぎ、空気の層を生み出す。そこに魔力で蜃気楼を生み出し自身の姿を投影する。

魔神が手の甲から生えた鋭い骨で貫いたのは僕の分身で、僕自身は無傷だ。

―――この技を『風姿花伝』という。

 

 

「小賢しい技を……ッ! なら貴様は後回しだ! 先にその大蝙蝠から殺してやろう!!」

 

 

 狙いを僕からグレドラに移す。そうはさせるものか。

 

 

「『花吹雪(はなふぶき)』!」

 

 

 魔力で以って花弁を生み出し、扇で以って巻き上げる。巻き上げられた花弁が敵の視界を遮り、味方を守る。

 魔神はがむしゃらに針を振るうが、悉く当たらない。どんなに巨大になろうとグレドラは元々身かわしが得意なドラキーなのだ。それに加え『花吹雪』の効果を得ているグレドラに、あんな雑な攻撃が当たるはずもない。そうこうしている内に合体ドラキーが距離を取り、突進の構えを取る。

 

 

『どりゃーーー!!』

 

「ぐわっ!!」

 

 

 グレドラが魔神に体当たりをかました。ただのグレドラの攻撃力だけでも凄まじいのに、助走をつけ、闘気を纏わせての一撃だ。いかに“いにしえの魔神”と云えどこれには耐え切れない。盛大に吹っ飛び後ろの木々に激突する。十数本の木がバキバキと音を立てへし折られ、もうもうと砂煙が立った。

 

 

『やったかにゃ?』

 

「いや、まだだ……」

 

 

 僕がそう言い終わらないうちに魔神が起き上がった。相当なダメージは受けたようだが、倒せるほどではない。

 

 魔神は大きく息を吸った。また『光の炎』を吐くつもりらしい。

 だが、その技に対する準備は出来ている―――というより、“その技への備え”が武器に“扇”を選んだ理由だ。

 

  カアアアァァァァァッ

 

 “いにしえの魔神”が、やはり『光の炎』を吐いてきた。悪魔を瞬く間に消滅させ、常人であれば一瞬で灰になる、それ程の猛火が迫ってくる。ジリジリとした熱気を肌で感じる。

 それを、限界まで引き付けたうえで、扇を振るった。

 

 

「『吐息返し』!」

 

 

 僕の扇が風の障壁を生み出す。風のバリアが魔神の『光の炎』を弾き返す。その炎は吐きだした張本人に向かっていき―――魔神は自分で放った炎に身を焼かれることとなった。

 

 

「グオオオォォォォッ!」

 

 

 魔神の巨躯が輝く炎によって包まれる。だが、所詮は魔神本人が吐き出したモノだ。彼を焼き殺す威力はなかった。

 だが、一瞬の隙が生まれる。

 僕が扇で以っていくつもの風の刃を生み出し、それを舞い踊りながら撃ち出す。

 ――その技の名を『(おうぎ)(まい)』。

 まんまのネーミングだが、強力な技だ。今こそ好機、一気に攻めかかる!

 

  シュバババババッ!!

 

 

 

「グ、ググギ……、グハアアァァァッ」

 

 

 僕の『扇の舞』によって打ち据えられた魔神の大きな肉体が空中高く放り上げられる。

 ズタボロになった魔神が吹っ飛ばされながら驚愕した。僕達にとっては相手が完全に無防備な今が最大の チャンスだ。

 

 

「グラドラ、今だ!!」

 

『分かったにゃ!!』

 

 

 僕の呼び掛けに応じたグレートドラキーが莫大な魔力を集中させる。グレドラの腹部がぷくっっと膨らみ、黄色く光輝いた。

 僕は直後に訪れるであろう衝撃に備える。

 

 

 

「 ビ ッ グ バ ン ! ! !」

 

 

 グレドラが腹に溜めた魔力と闘気を一気に撃ち出した。

 合体ドラキーが放つ究極の奥義が強大な魔神相手に炸裂する。

 その有様はたった一言でしか言い表せない。

 

 

   大 爆 発

 

 

 自分の知る爆発系の呪文・特技のなかでも最大クラス。

 地表にいる僕は闘気と魔力を最大限活用し、『大防御』する。それでもその衝撃は凄まじい。

 校舎裏の木々も、学園の建造物も根こそぎ吹っ飛んでいく。

 凄まじい轟音が鳴り響き、頭の中で反響する。

 宇宙開闢の大爆発の光が網膜を焼き尽くさんばかりに放射される。

 

 やがて、爆音が止み―――

 

 

  どしゃっ

 

 

 上空から黒焦げになった魔神が落ちて来た。

 

 

「……グレドラ~……、ちょっとやり過ぎじゃないか? もう少し加減しても……」

 

『う~ん……。少しやり過ぎたかもしれんにゃ~』

 

 

 すっかり更地となった駒王学園を摸したバトルフィールドを見渡す。

 

 ああ、レプリカで良かったな……。本物だったらこう遠慮せずに戦うことはできなかった。

 

 そんなことを考えていると―――

 

 

「ガアアアアアァァァッ!!! まだだァァァッ!!!!」

 

 

 魔神が凄まじい雄叫びを上げ起き上がった。

 どうやら古《いにしえ》より存在する魔神、即ち“神”の一柱としての誇り、執念によるものらしい。

 敵ながらなかなかアッパレな奴だ。

 

 しかし、用意はある。

 

 

「……君は運が無かったな」

 

「何ィ!?」

 

「ほんの数日前の僕であれば、ひょっとすれば負けたかもしれない。だが、僕も現在進行形で学んでいる。先日“あること”を学び、今日はそれをしている。君と僕の戦いの勝敗はそこで決していると言っていい」

 

 

 僕の言葉に魔神がたじろぐ。しかし、同時に好奇心を抱いたらしい。恐ろしい程殺気が篭った声色で僕に詰問してくる。

 

 

「何だ、それは……。言ってみろ、その“学んだもの”とやらを!!」

 

 

「ああ……その学んだことと言うのはね――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昼寝だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場に長い沈黙が訪れる。どうやら戸惑っているらしいので僕が説明する。

 

 

「つい先日のことだが、寝不足で不覚を取ってね……。それ以来、昼寝をするようにしている」

 

「………………何?」

 

 

「僕は君がビッグバンを受けて、倒れたときも油断しなかった。それは僕にとって大きな進歩だ。

 国王だったときは、いつもこれぐらいの時間帯には寝てたし……、冒険の最中もなるべく夜は宿屋で眠るようにしていた。何せ、夜の方が昼より出現する魔物が強いからね。賢明な冒険者は危険な夜ではなく昼に行動する。

 しかし、昼寝することによって深夜でも集中力が保たれた。故に、つい先程準備ができたんだ」

 

 

「……何の準備ができたと言うのだ……!?」

 

 

 僕の中で準備ができたもの――――それは“必殺技”。

 

 数ある技の中でもかなり異質なものだ。それに必要とされるのは“魔力”でも“闘気”でも“テンション”でもない。

 敢えていうなれば“潜在能力”とでも呼称すべきか。

 その“潜在能力”は常に発揮されるものではない。戦いの最中、唐突に“開放する”ものだ。

 

 そして、今の戦いで“潜在能力”を“開放”できたのには理由がある。

 僕の手に握られる武具――― “最終扇” だ。

 この扇の最大の能力は、その威力ではない。この扇には“潜在能力を開放しやすくする”という効果がある。

 

 僕は色々な世界で様々な職業をマスターしてきた。故に、様々な必殺技が扱える。

 この状況であればこの技がいいだろう。

 

 ある技を思い定め、魔神に歩み寄る。

 

 

「ま、待て! 一体何をすると―――」

 

「すぐに分かる。歯を食いしばりなさい」

 

 

 そう言うと、拳に力を込めて腕を大きく振りかぶる。そして―――

 

 

 

 

 

「 会 心 必 中 !!!」

 

 

 

 

 

 

 いにしえの魔神 に 会心の一撃!

 

 

 

 

 その名の如く、本来稀にしか入らない“会心の一撃”を確実に叩き出す技。

 魔神は咄嗟に暗黒闘気を全開にし、防ごうとしたらしいが、それすらも貫通した。

 

 

「我が……! この我が人間に敗れるなどあり得ぬ……! ウガアァァァッ!!!」

 

 

 断末魔の叫びを上げる魔神。やがて彼の黄金色の外殻にひびが入り、そのまま肉体が四散した。

 

 

 いにしえの魔神 を 倒した!

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

「ふむ、なかなかの強敵だったな」

 

 

 先程までとは打って変わり、静寂に包まれたグラウンド。

 たった今倒した強敵との戦いを心の中で反芻させる。何とも言えない感慨深い思いに身を委ねた。

“いにしえの魔神”……恐ろしい魔物だった。彼は何者かに召喚されたと言っていたが……一体誰が使役していたのだろうか?

 

 そんなことを考えていると―――

 

  パチパチパチパチ……

 

 後ろから拍手が聞こえてきた。

 振り返ると紅の髪の仰々しい衣装を身に纏う水際立った美男が佇んでいた。僕に穏やかな笑顔を向けてくる。

 

 

「いやぁ、なかなか見事だったよ」

 

 

 彼の表情からは敵意は感じない。何の裏もなく素直に称賛してくる。だが、この青年……だろうか? はおそらく凄く強い。内包する強力な魔力をひしひしと感じる。

 

 

「ええと、どういたしまして。僕の名はリュカだ。君は―――?」

 

 

 

「ああ、すまなかった。挨拶が遅れたね……。私はサーゼクス・ルシファー。魔王をしている者だ」

 

 

 

 

 

 




さいしゅうおうぎ:Ⅸに登場する最強装備の一つ。必殺ゲージが貯まりやすくなる効果がある。

風姿花伝:Ⅸの特技。扇スキルの技。効果はMJなどの「まもりのきり」に近い。

花吹雪:Ⅸの特技。扇スキルの技。効果は「マヌーサ」に近い。

吐息がえし:Ⅸの特技。扇スキルの技。効果はⅥとⅦに登場した「おいかぜ」に近い。

扇の舞:Ⅸの特技。扇スキルの技。扇のメインダメージソースとなる。

ビッグバン:Ⅵから登場した特技。大爆発を引き起こして敵全体を攻撃する特技。威力も極めて高い。

会心必中:DQⅨに登場。戦士の必殺技。相手のみかわしや盾ガードを無視して、必ず会心の一撃を与える。


必殺技の解釈、リュカの職業などについてはあんまり深くツッコまないで下さい。
オナシャス!!

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