時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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タグを変えようか悩んでる真っ最中。
「ドラゴンクエスト」、ドラクエ」、「DQ」ってくどくないかと思ってみたり……。
でも、こうしないとドラクエのクロスオーバーだって分かりづらい気がする。


41話 双覇の聖魔剣

 

 

 禁手(バランス・ブレイカー)……。

 以前、ライザーくんとの戦いでイッセーくんが一時的に至ったという境地―――。

 赤龍帝ドライグの言葉が正しければ、今、キバくんはそこに辿り着こうとしている。

 

 

「同志達は、僕に復讐を願ってなんかいなかった。願ってなかったんだ……。

 でも、僕は目の前の邪悪を打ち倒さなければならない」

 

 

 復讐としてではなく、悪を討つために戦う……それがキバくんの決断らしい。

 彼が過去を断ち切り、やっと前を向いてくれたことは純粋に嬉しい。

 

 

「第二、第三の僕達を……産み出さないために!」

 

「くっ、フリィィィドォォオオオッ!!」

 

「はいなァァアアアッ!!」

 

 

 様子の変わったキバくんを警戒し、バルパー・ガリレイが後ずさる。

 代わりにフリード・セルゼンが前に出た。

 

 

「フン、愚か者めが! 素直に廃棄されておけばよいものを!」

 

 

 素直に廃棄処分されても死ぬだけでは……と、一瞬思ったが悪魔になって死ぬと完全に消滅してしまうんだった。

 そう思えばバルパーの言う事も一理あるのか……?

 

 まあ、この老人(バルパー)のことだ。そんなこと考えもしてないだろうが。

 

 

「木場ァァァアアッ! フリードの野郎とォ! エクスカリバーをぶっ叩けェッ! アイツ等の想いと魂を無駄にすんなァァァアッッ!!」

 

「一誠くん……!」

 

 

 イッセーくんが声を張り上げ、精一杯のエールを送った。

 

 

「やりなさい、祐斗! あなたはこのリアス・グレモリーの眷属。私の騎士(ナイト)は、エクスカリバー如きに負けはしないわ!」

 

 

 リアスが―――

 

 

「祐斗君、信じてますわよ!」

 

 

 ヒメジマが―――

 

 

「……ファイトです!」

 

 

 トウジョウが―――

 

 

「木場さん……!」

 

 

 アーシアが―――

 

 

「頑張るんだよ!」

 

 

 僕もキバくんを勇気づける。

 

 

「皆……リュカさん……!」

 

「はァ~ア~! なァに感動シーン作っちゃってんスか~? 

 あ~も~聞くだけでお肌がカサついちゃうー!

 もー、限界~! あーも~、とっととテメェ等斬り刻んでぇ♪

 気分爽快になりましょうかねェェェ!!」

 

 

 僕達の様子を見て苛立ちを募らせたのか暗黒闘気を一層激しく身に纏うはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)

 闘気が黒いオーラと化して全身から湧き出している。

 そんな様子を一瞥したキバくんが精神を集中した様子で言葉を紡ぐ。

 

 

「……僕は剣になる。

 僕の魂と融合した同志達よ、一緒に超えよう……。

 あの時果たせなかった想いを、願いを、今! 部長と、そして仲間達の剣となるッ!

 魔剣創造(ソード・バース)ッ!!」

 

 

 彼が手を掲げるとそこに一振りの長剣が現れた。

 白と黒のセパレート。陰と陽を合わせたような剣だ。

 

 これは…………

 

 

双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)、聖と魔を有する剣の力……、受け止めるといいッ!!」

 

「聖魔融合の剣ですって!?」

 

「そうか……! あれがっ!!」

 

「俺の中のドラゴンが、教えてくれたんです! 木場が“至った”って! 

 アレが木場の禁手、バランス・ブレイカーなんだ!」

 

「聖魔剣だと!? 有り得ない! 

 反発する二つの要素が交じり合うことなど、そんなこと、ある筈が無いのだッ!」

 

 

 確かにバルパーの言葉は正しい。対極の概念を混ぜ合わせても、互いに打ち消し合うだけだ。

 

 しかし、何事にも例外はある。プラスのエネルギーとマイナスのエネルギーを融合させた極大消滅呪文(メドローア)等がそうだ。だだ、そうした呪文・特技は生まれ持った資質、天賦の才能を必要とする。

 キバくんの“才能”と“思い”、その二つが合わさることで発現した新たな力なのだろうか。

 

 

「リアス・グレモリーの騎士、まだ共同戦線は生きているか?」

 

「だと思いたいね」

 

 

 双覇の聖魔剣を携えたキバくんにエクスカリバーを握りしめたゼノヴィアが歩み寄り、真剣な表情で問い掛ける。

 

 

「ならば共に破壊しよう。あのエクスカリバーを」

 

「……いいのかい?」

 

「最悪、私は聖剣エクスカリバーの核だけを回収できればいい。

 最早、アレは聖剣であって聖剣ではない。異形の剣だ」

 

 

 フリードの持つエクスカリバーを厳しい目で睨み付けるゼノヴィア。

 異形の剣―――彼女はあの聖剣をそう断じる。

 ただ興味深いことも口にした。『核を回収できればいい』とは―――

 異界の伝説の鍛冶師が造る武具はたとえ損傷しても自動修復したという。

 あのエクスカリバーも核を持ち、破壊されても核が残れば復元できるということか。

 

 

「ククク、勇ましい事だな。だが、所詮、貴様が持つのは破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)。七分割された聖剣の一つに過ぎぬ! 

 四つを統合した私のエクスカリバーに敵う筈がない!」

 

 バルパーがキバくんの双覇の聖魔剣に若干戸惑いつつも、ゼノヴィアの方を見て嘲笑する。

 

 うん……まあ……、僕は修復しただけ……だよね?

前のヤツ(エクスカリバー・デストラクション)よりも強そうなのは気のせいだろう……。うん、気のせい気のせい。

 

 錬金釜で以前よりパワーアップしたっぽいことから軽く目を背ける。

 だが………

 

 

「残念だったな、バルパー。これは真の聖剣だ。

 よく分からないが、そこにいるリュカ殿のおかげで本来のエクスカリバーの力を得たのだ」

 

「え、ちょ」

 

 

 僕の現実逃避をゼノヴィアは木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

 そんな様子を、キバくんは何故か白い目で見ていた。

 

 

「フン! 出鱈目を言うな! 殺れ、フリード!!」

 

「ソレが本物のエクスカリバーだろ~が、ニセモンだろ~が……、

 暗黒闘気のおかげで超ハイテンションの俺様には関係ないザンス!

 まとめて死ねやぁぁぁああああっっ!!!」

 

 

 全身に漆黒のオーラを纏わせたフリードが猛烈な速さで吶喊してくる。

 以前とは比べ物にならないスピードだ。暗黒闘気が体に馴染んできているのだろう。

 その勢いのまま聖剣を振りかぶった。

 

 

「ダークマッシャーァァァアアッ!!!」

 

 

 聖剣が紫電を帯び、キバくんに向かう。

 地獄の雷を刀身に纏わせ相手を切る上位剣技の一つ『ダークマッシャー』だ。

 

 直撃すれば一溜まりもない必殺の魔剣が襲い掛かる。

 

 だが―――

 

 ミス! フリードの攻撃は当たらなかった!

 

 

「君の殺意は分かりやすい。どんなに速くても来ると分かっていれば対処できる!」

 

 

 相手(フリード)の動きを読んだのだろう。僅かな動きだけで、キバくんはあっさり避けた。

 修練によるものか、はたまた禁手に至って精神的に一皮剥けたのか。それとも両方か。

 

 しかし、一方で漆黒の少年神父は渾身の一撃を躱されたことにますますヒートアップする。

 

 

「ザケンじゃねえぞぉぉおおっっ!!! クソ悪魔の! 分際で! 俺の! 攻撃を! 躱すなッ!!

 『闘魔滅砕陣(とうまめつさいじん)』!!!」

 

 

 フリードが拳を振り上げる。

 すると、たちまち彼の全身を覆う暗黒闘気がより強まり凝縮され、さながら蜘蛛の巣のような紋様を描きつつ、闘気の奔流となって地を這い、キバくんとゼノヴィアを絡め取った。

 

 

「くぅぅぅううう!」

 

「がぁぁぁあああ!」

 

 

 まるで、その場だけ重力が増したかのように、キバくんとゼノヴィアが身動きを取れなくなってしまった。

 しかも、暗黒闘気の糸に纏わりつかれ、全身を締め上げられているかのように踠き苦しんでいる。

 

 

「ギャッハハハハッ! 僕ちゃん必殺の『闘魔滅砕陣』はどうよ!

 緊迫プレイの真っ最中じゃ御自慢のスピードは活かせないよね~……。じゃあ、死ね!」

 

 

 フリードのエクスカリバーが鞭の如くうねり、それを少年神父が横に薙ぎ払う。

 これは『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』の能力だ。

 ……あの聖剣は統合されたエクスカリバーの能力が扱えるのか?

 そうだとすれば、あと三つも特殊能力があるということになる。

 

 このままでは胴体を両断される! ――そう思ったのだろう。ゼノヴィアがエクスカリバーを掲げ、咆哮した。

 

 

「ぬぅぅうううう! エクスカリバー! お前が真の聖剣だというのなら、私の思いに応えてくれ!!」 

 

 

  カッ!

 

 

 ――剣が彼女の想いに応えたのか。次の刹那、黄金の如き眩い光が辺り一面を覆う。

 

 

「屈め!」

 

 

 二人の命を一撃で奪い取ったであろう魔剣の一薙ぎは、すんでのところで躱され、虚しく空を斬った。

 エクスカリバーの輝きによって闘魔滅殺陣から逃れることができたのだ。零コンマ一秒遅れていたら彼女達の身体は上半身と下半身に分かたれていただろう。

 

 だが、変化はそれだけでなかった―――

 

 

「クソ共がァッ! だが、何をしたって無駄なんだよ!

 『闘魔滅殺陣』!」

 

 

 再び拳を振り上げるフリード……

 

 

 しかし 何も 起きなかった

 

 

「あり?

『闘魔滅砕陣』! 『闘魔滅砕陣』! 『闘魔滅砕陣』! 『闘魔滅砕陣』ッ!!」

 

 

 フリードは何度も拳を振り上げ同じ技を発動させようと試みる。

 敵であるキバくんも見かねたのか彼に教えてやった。

 

 

「それこそ無駄みたいだよ。今の自分の姿を見たらどうだい?」

 

「はあ? 何を言って……そんなの超イカした漆黒の僕チンに決ってるじゃ……、

 

 うぇぇぇえええええっ?!」

 

 

 キバくんに指摘されたフリードは、近くの校舎の窓に映った自身の姿を見て口をポカンと開き目を丸くした。

 髪の色が黒暗淵の漆黒から元の銀髪に戻っている。目元の赤い痣も消えていた。

 

 つまり、身に纏っていた暗黒闘気が消えたのだ。

 

 

「え? え? えぇぇぇえええええっ!?

 何で元に戻んだよ! 時間切れ!? ガス欠!? それとも今ので消えちゃった!?

 そんな制限あるなら事前に言えよ、あのジジイィィッ!!」

 

 

 暗黒闘気の効果が消えたことに戸惑う少年神父。

 彼の力は、“胡散臭えジジイ”なる人物に渡された『液化した暗黒闘気』を飲むことで身に付けたもの……つまり、彼自身の能力ではない。一種のドーピングだ。その効果をエクスカリバーが剥ぎ取ったのだろう。流石は“この世界が誇る聖剣”といったところか。

 

 だが、そんな彼に構わずキバくんが斬りかかる。

 

 

「チィィィィイイッ! ならこれで……」

 

 

 フリードが何やら聖剣の特殊能力を発動させる。すると聖剣の剣先が消失した。 

 だが、剣の気配が消えたわけじゃない。確かにそこに剣が存在するという感覚がある。

 つまり、刀身を透明にする能力だろう。

 ゼノヴィア達が言っていた盗まれた聖剣(エクスカリバー)の一つ、『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』のものだろう。

 確かに、近接戦において得物の姿を悟らせないというのは強力な能力と言える。

 

 しかし、(フリード)は墓穴を掘った。極めて単純なミスを犯している。

 キバくんの先程の言葉を忘れてしまっているらしい。

 

 

「さっき言ったよ。君の殺気は分かりやすいって」

 

 

 そう、フリードのあまりに強い殺意が乗せられているためか、彼の剣撃は非常に読みやすい。

 キバくん程の使い手なら目隠ししてでも平気だろう。

 

 フリードの見えないハズ(・・)のエクスカリバーと、キバくんの双覇の聖魔剣が何度も撃ち合わされる。

 

 やがて、ピシッ……ピシッ……と何かが壊れる音が響いてくる。

 その音はどんどん大きくなっていく。

 

 

 

  ピシッ、ピシッ、ピシッ……

 

 

 

「そんな剣でッ! 僕達の想いは断てないッ!!」

 

 

 

 

 

  バキンッ!!

 

 

 

 

「折れたァァァァアアッ!?!?」

 

 

 折れたのはフリード・セルゼンの聖剣の方だった。

 まるで宝石が砕け散るように、粉々に四散して破片が辺りに飛び散った。

 

 

「マジ、ですか……!? この俺様がっ……クソ悪魔如きに……?!

 暗黒パゥワーで超グレードアップした俺様が?!

 ッフザけr―――ッ!?」

 

 

 エクスカリバーを打ち砕く際に、キバくんが神速の速さでフリードにも一撃入れていたのだろう。

 哀れな狂人は吃驚した表情のまま仰向けに倒れ、そのまま気絶した。

 

 

「―――みんな、見ていてくれたかい……? 僕の力はエクスカリバーを超えたよ!!」

 

「何ということだ……。聖と魔の融合など理論上、不可能な筈……!?」

 

 

 キバくんはやり遂げた表情で天を仰ぎ亡き同胞達に報告するかのように囁いている。

 どうやら彼の中で一つのけじめがついたようだ。

 翻って皆殺しの大司教バルパー・ガリレイは何やら譫言のように呟き、思案している。

 

 

「バルパー・ガリレイ! 覚悟を決めてもらおう!」

 

 

 キバくんが長きに渡る因縁に決着を付けるべく老神父の前に進み出た。

 だが、バルパーはそんな言葉など聞いてはいない。

 夢中で何かを考えていた彼は出し抜けに叫んだ。

 

 

「そうか、分かったぞ! 聖と魔、それを司るバランスが大きく崩れているなら説明は付く!

 つまり! 魔王だけではなく神もッ―――!?」

 

 

 バルパーは何か途轍もない事に思考が至ったらしい。

 その事を口にしようとしたのだろう。

 しかし、次の瞬間、彼の背から心臓を光の槍を貫いていた。

 まさか、仲間同士であるのに攻撃するとは僕も夢にも思わなかった。

 心から沸き立つ怒りを感じながら、バルパーを殺した者へ目を向ける。

 

 

「仲間同士で殺し合うとは穏やかじゃないね? コカビエル」

 

「元々、戦争をしようと思えば一人でも出来たんだ。どうということはない。

 まあ、確かにそいつは―――、バルパーは優秀だったよ。その事(・・・)に気付けたのも、その優秀さ故だろう。

 ま、利用されてくれて協力を感謝するさ、フフフ、あっはっはっはっ!」

 

 

 コカビエルが哄笑を上げる。

 その姿は傲慢さを絵に描いたようなものだ。

 “人間など取るに足らない”。そう考えている事が滲み出ている。

 確かにそうなのだろう。彼、コカビエル程の力を有しているのであればそう考えるのも不思議はない、寧ろ自然だ、とも言える。

 

 これは戦うにしても、引いてもらうにしても、諌めるにしても、解り合うにしても難儀するな……。

 

 コカビエルを見上げながらそう考えていた。

 

 

 

 しかし、次の瞬間―――

 

 

 

 僕にとって予想外の事が起こる。否、リアス達やコカビエルにさえ予期し得ぬ事が起きた。

 

 

 

 

 

 

 ドォォォオオンッッ!!

 

 

 「――――ッ?!!」

 

 

 地中から何か、形容し難い奇怪なものが現れた。

 巨大な骨でできた格子――?に、粘膜に覆われた皮膚で構成された円形の牢屋のような物だ。

 それは、まるで噴き出すような勢いで地面から飛び出し、太古から存在する堕天使を瞬く間に囲み、覆い、包み、捕らえ、閉じ込めてしまった。

 

 

「キ~~~ヒッヒッヒッ!!

 こちらこそ協力を感謝します。コカビエル殿!

 これで我らも大いに助かる!」

 

 

 甲高く下卑た笑い声と共に校舎の陰から一人の男が出て来た。

 長身で三白眼、顔に薄ら笑いを浮かべた若い男、だがそれは明らかに人間ではない、いや、悪魔でも堕天使でもない。

 

 

「……魔族」

 

 

 僕がぽつりと呟く。

 すると、男はそれに答えるかのように高らかに名乗った。

 

 

「我が名はザムザ! 妖魔司教ザボエラが一子だ。

 我らが新たなる主のため、聖剣の核、神器(セイクリッド・ギア)持ち、そして堕天使コカビエルをもらい受けに来た!!」

 

 

 そう宣言した男は宙に浮き上がり、懐から何やら玉のような物を両手にいくつか取り出した。

 それは以前レイナーレが持っていた物……“魔法の珠”だった。

 

 

「出でよ、怪物(モンスター)共! デルパァ~ッ!!」

 

 

 “魔法の珠”をバラ撒きながら解放の呪文を唱えるザムザ。

 一瞬の後、辺りを見回してみるとそこにいたのは、見るからに凶悪な魔物の軍勢であった。

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 その頃、リュカのアパートでは……

 

 

「コカビエル様が街を破壊!? 

 それ、本当なの!?」

 

 

 ちゃぶ台を囲む人外のうち一人が驚嘆し、思わず立ち上がった。黒髪の見目麗しい堕天使の少女レイナーレだ。

 

 

「ええ、そのようです。何でも魔王の妹のいる学び屋を破壊すればサーゼクス殿も動かざるをえない、とのことで……」

 

 

 そのように返しているのは紫色の肌に獣の下半身の大悪魔、ヘルバトラーのバトラーだ。

 彼はその外見に似つかわしくない慇懃な口調でレイナーレ達に説明する。

 

 

「主からの報告によれば他にもエクスカリバーなる聖剣を奪ったフリード・セルゼンとかいうはぐれ悪魔祓いとラエボザなる神父もいっしょだとか……」

 

「フリード……!」

 

 

 当然、その男と堕天使達は知り合いだ。つい数か月前まで同じ『神の子を見張る者(グリゴリ)』に所属していたのだ。

 

 

「こうしてはいられないわ!

 すぐに駒王学園に行くわよ!」

 

 

 黒髪の堕天使はそのまま玄関から出て行こうとする。

 しかし、止める者がいた。

 ゴスロリファッションに金髪の堕天使娘のミッテルトだ。

 

 

「ちょっと待つッスよ! レイナーレお姉さま、相手はあのコカビエル様っス!

 ウチらが行ったってどうにもならないっス!」

 

 

 だが、レイナーレは首を振った。

 

 

「いいえ、コカビエル様よりも……そのラエボザって名前に覚えがあるわ。

 前に『計画の助けに……』って魔法の球を渡してきたのがそいつよ」

 

 

 その言葉を聞いた他の堕天使達が息を飲む。

 リュカから自分達が渡された魔法の珠とスーパーキラーマシンは自分達が考えていたよりも遥かに危険なシロモノである、と聞かされていたのだ。

 

 

「その事はすぐに知らせなくちゃ!

 それにコカビエル様はアザゼル様と対立していたはず。

 あの連中が利用しようとしても不思議はないわ」

 

 

 もし、あの得体の知れない者達に堕天使陣営……それも幹部格が利用されたとなったら、堕天使全体が苦境に立たされることになる。

 それは何としても阻止しなければならなかった。

 

 

「ふむ……だが、今、駒王学園に行けばコカビエル様と対立することになりかねんぞ。勝算はあるのか?」

 

 

 そう発言したのは赤いボディコンスーツを着た妙齢の美女カラワーナだ。

 その問いにレイナーレはあっけなく答える。

 

 

「全然。あれから随分修行したけど全く勝てる気がしないわ。

 まあ、ただ……」

 

 

 一旦言葉を切ったレイナーレは確信を込めてこう続けた。

 

 

「リュカがコカビエル様に負けることはもっとありえないわね。

 だって――――

 

 

 

 

 

 私の主さまだもの……♡」

 

 

 

「ち、ちょっと何言ってるんすか! ウチのお兄さまっス!」

 

「私の御主人だ!」

 

「新入りの小娘が! 私の御主人様だ!」

 

「アタシの御屋形サマです!」

 

「ディアナノオトコダ!」

 

「ワタクシの栄養源ですわ」

 

「私の契約者よ!」

 

「ピキキー!」

 

「キュルルルン!」

 

「ガルルル!」

 

「チューチュー!」

 

「ブルルルッ!」

 

「ビビビビッ!」

 

「プシューッ!」

 

「ワシんじゃワシんじゃ!」

 

「グワオオウッ!」

 

「ピルルルッ!」

 

「ぐはあ~~っ!」

 

「げへげへへ!」

 

「シャララ~ッ!」

 

「ガブッ! ガブッ!」

 

「ぶふ~っ!」

 

「シャキーン! シャキーン! ピガガガ…………

 

 

 

 唐突に惚気たレイナーレに、周りにいた魔物達が一斉にツッコむこととなった。

 

 




メドローア:漫画「ダイの大冒険」が初出の呪文。両手にそれぞれメラ系とヒャド系のエネルギーを別々に作り出し、それを合体させてスパークさせる事で、あらゆる物質を消滅させるエネルギーを生み出す。それを弓矢のように引き絞って撃ち出し消滅させる魔法。その後、モンスターズシリーズにも登場した。

闘魔滅砕陣:漫画「ダイの大冒険」に登場するミストバーンの大技。「闘魔傀儡掌」の上位技で、暗黒闘気を地面へ蜘蛛の巣のように張り巡らせ、周りの敵全員を縛り付けて動けなくする。闘魔傀儡掌と同様に暗黒闘気の威力を強めることで、相手に引きちぎるほどの激痛を与えることも可能。
 

1話の伏線をやっと回収。
え? 後付けだって?
そ、そんなわけないですよ……(汗)
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