時を失った英雄 in ハイスクールD×D   作:ksb

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DQHで驚いたこと ルドマン登場

それにしてもデボラェ……。ビアンカとフローラの微妙にギスギスした感じが最高でした。


42話 計画

 

「妖魔学士ザムザ、ですって……? 聞いたことがないわ! 貴方は何者なの!?」

 

 状況がつい先程と一変してしまった真夜中の駒王学園。

 キバくんが宿縁の対象たるエクスカリバーの破壊に成功し、安堵したのも束の間、

 今度は突如として現れた謎の人物―――ザムザの奇怪な生きた牢獄によって敵である堕天使幹部コカビエルが捕らわれてしまった。

 

 更にこの男が展開した『魔法の球』から現れた怪物(モンスター)の群れに僕達は包囲されてしまったようだ。

 

 ひょっとすればコカビエルが感知していない厄介事が起きてしまうのではないかとも薄々感づいていたが……。

 思っていた以上に大きな事態だ。

 

 そんな中、紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)リアス・グレモリーはこんな異常な状況下にも拘らず、気丈にも得体の知れない介入者に鋭い誰何の声を上げて見せた。

 

 

「何者か、だと? キヒヒッ、たった今名乗ったばかりではないか。

 それに……死に逝く者と実験動物(モルモット)に説明など不要だろう?」

 

実験動物(モルモット)ですって!?」

 

 

 男の言葉にリアスが気色ばむ。ザムザは得意気に続ける。

 

 

「そうだ。貴様らは実験動物……いや、コカビエルでさえそうだ。

 ……というのも、今回の計画を嗾けたのは我々だ」

 

「何ですって!?」

 

 

 リアスが、他のオカルト研究部の部員達が目を剥いて驚く。

 なかなか驚愕すべき真実なのだろうが、僕は何となくそうだとは思っていた。

 

 

「クヒヒッ、シナリオはこうだ。神の子を見張る者(グリゴリ)の不満分子である堕天使コカビエルは、教会の異端バルパー・ガリレイと結託。エクスカリバーを教会から強奪する。

 その後、魔王の妹が治めるこの街で聖剣合体の儀式を取り行うも、術式の不備と貴様らの妨害により大爆発、街ごと吹き飛び跡形もなく消滅した……ように見せかけるというワケだ。

 死体も残らんから誰も怪しまないだろう? しかし、実際には神器(セイクリッド・ギア)持ちと聖剣の核、そしてコカビエル自身は我々が回収するという寸法だ」

 

 ザムザの説明を聞いた皆は呆気にとられる。僕もかなり驚いた。

 実に手間の掛かった壮大な計画だ。

 確かに、堕天使の幹部を気取られずに拉致しようと思えば、それぐらいのことをしなければ難しいだろうが……。

 実際にここまで上手くやっているのだから、彼らの手腕は恐ろしいモノだと言える。

 

 僕はそんなことを考えていたが、彼らの事情など一切構わずに激怒し、叫ぶ者がいた。

 ―――イッセーくんだ。

 

 

「……ふ、ふ、フザけるなぁぁぁああああッッッ!!!

 実験動物っ!? 計画っ!? そんなモノのためにこの街を破壊しようってのかよ!?

 巫山戯んじゃねぇぞッ! 俺が、俺達がそんなことさせるかよ!!」

 

 

 イッセーくんの激しい啖呵を浴びせられたザムザが彼に目を向ける。

 そのまなざしは嫌悪と苛立ちに満ちたものだった。

 

 

「チッ、実験動物の分際で偉そうに吠えるんじゃあない! 元はただの人間……つまりゴミクズに、偶々神器が付いていただけの存在にも拘わらず、偉大なる魔族の実験に貢献できるというだけで感謝してほしいものだ。

 しかし、貴様は興味深いぞヒョウドウ イッセー……その神器の性質は然る事ながら、肉体の一部を(ドラゴン)に出来るとはな。

 そいつを研究すれば大量生産できるかもしれん。ドラゴンと魔族のハイブリッド……。

 貴様のようなバケモノをな! キィ~~~ヒッヒッヒッヒィッ!!」

 

「んなっ!?」

 

 

 バケモノ……。突然そう言われたことに、流石のイッセーくんも言葉を失ってしまう。

 それもそうだろう。彼はつい数ヶ月前まで普通に暮らしていたただの少年だ。

 それがほんの僅かの期間の間に悪魔となり、さらには自分の片腕をドラゴンのモノにまでした。

 その苦痛は相当なものだったろう。

 

 呆然と立ち尽くすイッセーくん。そんな彼の前にリアスが庇うかように進み出た。

 

 

「勝手なことを言わないでちょうだい。私の可愛い下僕を侮辱するなんて絶対に許さない。万死に値するわ」

 

「部長……」

 

 

 主の言葉を聞いて、目元を潤ませるイッセーくん。

 それにしてもリアスには人の上に立つ者として天性の物があるようだ。

 僕自身、帝王学など学んでいない。今こうしている間も国を空け民に迷惑を掛けている。王としては二流三流の人間だ。

 一方、彼女は生まれ持った資質があるのだろう。例え技量が未熟であっても、すでに皆の精神的な支柱になっている。

 

 

「フン、家柄だけが取り柄の小娘がッ! 貴様も邪配合の材料にしてくれる。掛かれッ!!」

 

『『『『グアアオオオウウウぅゥゥゥウウウッッ!!』』』』

 

 

 彼女の言に怒りを多少の怒りを覚えたのか、青筋を立てたザムザの号令の元に魔物達が一斉に動き出す。

 ある者は体育館の跡地から、ある者は朝礼台の影から、ある者は花壇を踏み潰しながら、辺り一面からわらわらと出してくる異形共の軍勢。

 だが、その彼らに甚だ奇妙な違和感を覚えた。

 

 ――― 一体彼らは何なんだ? 生命力を感じない?

 

 まるで見えない御者に鞭打たれる馬の如く、一心不乱に向かってくる魔物達。

 

 しかし、彼らは生きていない(・・・・・・)のだ。

 

 いや、そのこと自体は珍しくない。腐った死体にリビングデッド、死神兵にワイトキング。

 ゾンビ系のモンスターなど沢山いる。仲間モンスターのスミスなんかもそうだ。

 

 だが、彼らは違う。

 

 極めて繊細な違いではあるが確かに感じる。

 そう、彼らは自身の意志ではない何者かによって強引に(・・・)動かされている。

 自らの生に対する未練や、生前に抱いた怨念によって動いているのではない。

 激痛に追い立てられているが如き彼らの表情がそれを物語っている。

 

 

「これは酷いな……」

 

「ぼーっとしてないで来るわよ、リュカっ!」

 

 

 リアスに怒鳴られた。

 確かに彼女の言う通りだ。今はそれどころではない。

 不気味なアンデッド軍団がもうすぐ目の前に来ていた。

 

 

『……ギアアアアアッ……!』

 

『……イタイ……、イタイ……、イタイ……』

 

『殺してくれぇぇぇ……!』

 

 

 悲鳴を上げながら吶喊してくる生ける亡者の群れ。

 ある者は剥き出しの脳みそをぶちまけながら、ある者は露出した臓物を引き摺りながら、ある者は腐り切った皮膚を痛みの余り掻き毟りながら、それでも構わず突っ込んで来る。

 

 

「ぐっ……! 何なんだよ、コイツら!! ブーステッド・ギアァッ!!!」

『Boost!!』

 

 

 襲い掛かってくる魔物達に若干怯みつつも、イッセーくんが自分の神器を用い、力の倍化を始める。

 その傍らでリアス達も応戦を始めた。

 

 

「随分と悪趣味ねッ! ハァァァッ!」

 

「いきますわ! 雷鳴よ!!」

 

 

 リアスのあらゆる物を消滅させる魔力の波動が、ヒメジマの眩いばかりの雷が亡者どもを轟音と共に薙ぎ払う。

 

 しかし……

 

 

『ガアアアアアアッ!』

 

 

「なっ!?」

 

 

 魔物軍団は一切怯まなかった。否、激痛で怯む余裕すらないといった具合だ。

 彼女達の攻撃で倒れた同胞達の躯に乗り上げ、踏み潰し、何かに取り憑かれるの如く狂気の前進を続ける。

 彼らの前衛の切っ先が、今まさにリアス・グレモリーとその眷属達に届かんした。

 

 

「応戦して、祐斗! 小猫!」

 

「分かりました、部長!」

 

「……はい!」

 

 

 紅い髪の少女は尚もめげず、自分の可愛い眷属達を叱咤してみせた。

 つい先程、自身の宿命に区切りを付けたキバくんと、小柄ながらもタフネスとパワーを兼ね備えたトウジョウが僕の側を抜けて、前線に躍り出る。

 

 

「たああああっ!!」

 

 

 キバくんの超高速で剣を振るう。皮がずる剥けになり肉が露出したキラーエイプやダンビラムーチョが彼の聖魔剣によって立ち所に肉塊と化す。右から襲い来るブルデビルを瞬く間に袈裟斬りにし、返し刀でリカントマムルを斬って捨てた。

 どうやら、キバくんは戦闘面でも一皮剥けたらしい。全く、敵を寄せ付けていない。

 

 

「……えい!」

 

 

 トウジョウもその小さな拳を振るい、攻め寄せて来る魔物軍団に対してかなり善戦している。

 腐って鱗の剥げ落ちた竜戦士にアッパーを食らわし昏倒させ、鋭い正拳突きを放ち頑強な肋骨が露わとなってしまっているトドマンを、その骨がへし折れるほど強く殴り飛ばした。

 

 

『グギャァァァ……』

 

 

 二人の奮戦のおかげか、少しずつ圧力が弱まりつつある。グラウンド中が魔物達の死骸によって埋め尽くされた。

 これで人心地付けただろうか? いや、彼らの妙な違和感の正体がつかめない。絶対に何かがある。

 僕がそう思案に耽っていると、奇妙な光景が目に映った。

 

 

『グアア……!』

 

 

 地に敷き詰められているバラバラになった魔物軍団の骸がピクリと動いた(・・・)のだ。

 

 

「な、何なんだよ、コレ……」

 

 

 むくり……むくり……と五体満足な魔物共は次々に起き上がり、四肢のいずれかを欠損した者は這うように、なおもこちらに向かってくる。

 改めて敵の異質さを再確認する。どんなにゾンビ系モンスターでもコレはおかしい。おかし過ぎる。やはり、何者かに操作されていると見ていいだろう。彼らには死すらも許されないのか……。一体、誰がこんな真似を……?

 

 

「キ~~~ヒッヒッヒッ! 流石は冥王殿の秘術だけはある!

 さあ、殺れッ! ゾンビ共!!」

 

 

 僕らが追い詰められていると判断したのであろうザムザが下卑た高笑いと共に、屍達に発破を掛ける。

 その様子を見たオカルト研究部の面々には先程までの活気がない。イッセーくんも、リアスも、ヒメジマも冷や汗を流している。アーシアは恐怖を押し殺すのにやっとのようだ。

 皆、敵のあまりのおぞましさに飲まれてしまっている。そう思う僕も相手の異常さに些かの戦慄を覚える。

 

 

「クッ、ならばエクスカリバーで……、ハァァァアアアッ!!」

 

 

 裂帛の気合と共にゼノヴィアが斬り込み聖剣を振るう。

 数体のゾンビモンスターが薙ぎ払われる。

 

 その直後、変化が起きる。

 倒された魔物から黒い瘴気のようなものが漏れ出て、聖剣の輝きによって掻き消された!

 あれ程、しつこく食らいついてきた亡者が動きを止める。

 

 そうか、打撃や斬撃の効き目が薄いのであれば……!

 

 

「皆、ケルぼうにケルやんも、下がってなさい」

 

 

 僕の言葉に皆が一斉にこちらを振り向く。

 

 

「えーっと……、こんな場面で聞くことじゃないッスけど……、ケルぼうとケルやんって?」

 

「ああ、この子達(ケルベロス)の名前だ。便宜上の、だけど。コカビエルからは聞き損ねたしね」

 

「はあ……」

 

 

 イッセーくんの疑問に対する僕の答えを聞き、面白かったのか皆の顔に笑みが戻る。

 しかし、リアスは真剣な表情で尋ねてくる。

 

 

「下がれって……、あいつらをどうにかする作戦があるの?」

 

「ああ」

 

 

 僕は頷くと、イッセーくんの方に向き直った。

 

 

「イッセーくん、君の力を貸してくれ。僕に溜めた力を譲渡してほしい」

 

「俺の力を……リュカさんに?」

 

「そうだ。チマチマ戦っていては限が無い。だから一気にやる」

 

 

 そういって亡者共の前に進み出た。自らの力のみでもやれないこともないが、如何せん数が多い。それに、いたずらに長引かせても彼らの苦痛が増すばかりであろう。

 更に言えばイッセーくんの『譲渡』も身を持って体験しておきたい。

 

 

「分かりました。それじゃ……っ! いっけぇぇぇええエエッッ!!!」

『Transfer!!』

 

 

 後ろに立つイッセーくんの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が眩く輝いた。

 その光と共に全身に力が漲ってくるのを感じる。

 

 

「ほほう! こいつはなかなかのものだ。『不思議なタンバリン』も顔負けじゃないか……!

 それじゃ……一気にやらせてもらうよ!!」

 

 

 僕は 祈りを込めて 手で十字を切った!

 

 

「グ ラ ン ド ク ロ ス !!」

 

 

 聖なる力を帯びた真空の刃が巨大な十字架となって 魔物達を襲う!

 

『『『ぐわあああああっっ!!』』』

 

 

 聖なる光と烈風で亡者達を薙ぎ払う。

 自分でもこの威力には驚きだ。以前、レイナーレ達との特訓の際に放ったのとは段違いじゃないか。

 やはり、イッセーくんの能力は素晴しい。この力によってとれる戦術の幅は広い。チーム戦においては様々な戦い方が可能となるだろう。

 

 推測通りゾンビ達は聖なる力には弱かったようだ。冥王とやらの呪縛が解けたのか、バラバラになっても動き続けた生ける屍共は沈黙し、ただの屍に戻ったようだ。

 校庭には魔物の腐食した死骸が四散している。動いているのはオカルト研究部の皆とゼノヴィアと僕、そして生体牢獄(バイオプリズン)の上に立つザムザだけ―――

 

 そのザムザは薄ら笑いを浮かべている。一切、余裕が崩れていない。

 

 

「あとはテメェだけだ。覚悟しやがれ!」

 

「ヒヒッ……、さあて、そいつはどうかな?」

 

 

 凄むイッセーくんに対しても不敵な笑みを浮かべる魔族の男。

 しかし、彼の言葉はどういう意味なのか………? まだ、仲間がいるということか?

 

 その時―――

 

 

 

  ガ シ ン ッ … … … !!

 

 

 次の瞬間、強烈なプレッシャーを感じた。僕も含め、その場にいる全員がその方向を向く。

 

 

「な、何だ、アレ!?」

 

 

 巨大なナニカが校舎の陰から現れた。

 

 

「デ、デカいドクロの巨人………!?」

 

 

 イッセーくんのセリフがその者の姿を端的ではあるが的確に形容している。

 「デカい髑髏の巨人」……。確かにそうではあるが、そんな可愛げのあるものじゃない。

 

 

『ガアアァァァ……、ここは……何処だ……。余をたばかりし者は誰ぞ………!』

 

 

 野太い威厳のある声色。虚ろな三つの眼窩には鋭く赤い眼光。蓬髪に豪壮な髭。

 

 

『何処だぁぁぁああっっ!! 何処にいる!!』

 

 

 背中から生えるヒトにはあり得ないドラゴンの翼……それも白骨化したものだが、それがこのモノ怒りを表すかのように激しく、重く羽撃つ。

 

 

『貴様らか……! この余を、暗黒皇帝ガナサダイを愚弄したのは……、

 

 万 死 に 値 す る !!』

 

 

 そいつは僕らに鋭利な目線を向ける。

 右手には柱ほどもある長槍、左手には大盾。荘厳ながらもどこか禍々しさを感じさせる冠。そして三つ又の巨大で尖鋭な尾。

 

 

 

 かつて異世界において世界征服を掲げ数多の国々を蹂躙する軍事国家があった。

 

 その国の名は『魔帝国ガナン』。

 

 そして、その国を一代で強国へと導いた支配者――― 暗黒皇帝ガナサダイが駒王学園に現れた。

 

 

 




生体牢獄:漫画「ダイの大冒険」に登場する仕掛けの一つ。『バイオプリズン』と読む。ザムザが超魔生物の実験体として、ロモス武術大会のベスト8を捕えるために使用した生きた檻。8ヶ所から骨組みとなる支柱が生えると同時に生体膜が一挙に包み込み、支柱が頂点に結集するとドーム状になり敵を一網打尽にする。打撃、斬撃、魔法も通じない強固な檻になっている。また、時間が経過すると痺れガスを充満させて、捕らえた相手を行動不能にしてしまう。

キラーエイプ:DQⅢ、モンスターズに登場する猿系モンスターの1種。

ダンビラムーチョ:DQⅦ・Ⅷ、モンスターズに登場する怪人系モンスター。

ブルデビル:DQⅣに登場するアンクルホーンの上位種。外見はⅤ以降のアンクルホーンとほぼいっしょ。

リカントマムル:DQⅠ・Ⅸに登場するモンスター。リカントの上位種、キラーリカントの下位種で、茶色の毛皮を持つ獣人。

竜戦士:DQⅤに登場するモンスター。赤い皮膚に金色の武具を装備した竜人族の戦士。

トドマン:DQⅣやDQM2に登場するいかつくて黄色いトドの獣人モンスター。


何だかエクスカリバー編が異常に長くなってきた……。しかし、まだまだ続きます。

それと楽しみにしていたハイスクールD×Dにバランが転生するのが消えてた。悲しい。
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