Snset Over The BLUE   作:わしすせそ

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File.1 背掻猿

 オカルト研究部──と銘打たれた、今にも剝がれ落ちそうなガムテープ。

 無造作に貼られたその扉を開けば、いつも通り彼がいる。

 

「ア(いのうえ)君、早いね」

「そうですかね。いつも通りだと思いますが」

「いつも通り早いね、という意味だよ」

「そうですね。それなばら確かに早いかもしれません」

 

 彼の手には本が一冊。無地のブックケースに入っていて、だから何を呼んでいるかまでは察せられない。とはいえ18発禁本とか漫画本ではないことはそこそこの付き合いから理解している。大抵は「思想が強すぎる本」か「欠片も信じていない自己啓発本」であることが多い。

 自身の思想や信念とかけ離れていればいるほど、新しい知見になると、彼は好んでそういう本を読んでいる。

 

「今日の予定は決まっているんですか? 柿ヶ久(こがらし)先輩」

「無論だとも。君も知っているだろう? 一昨年わが校で起きた集団いじめの事件と、それの顛末である加害者四名の自殺事件を」

「有名な話ですね。だから去年の入学者数は例年と比べて激減していた、とか」

「そこはデマだなぁ。風評好きな奴が流した噂話という奴だ」

 

 机を挟んで、パイプ椅子に座る彼の対面につく。こちらも当然パイプ椅子。部員二名の部活にそこまでの予算は降りない。廃部にならないのは、功績があるからだ。

 視線。

 否、そこまでダイレクトなものではないけれど、読み終わっているはずのページを捲らないでいる彼の姿勢に、催促の気配を感じ取った。

 

 鞄からファイルを取り出す。取り出して机の上に開いて、これだ、と指を差した。

 

「背掻猿、という怪異がいる」

「こちらは聞いたこともありませんね」

「だろうね。便宜上名前が必要だからと、私がつけた呼称に過ぎないから」

 

 No.52とナンバリングされたその怪異は、一見して小鬼、あるいはゴブリンの群れのように見えた。暗がりで焚火のような灯を囲んでいて、恐らくはそれに集まり群がっているのだろうことが窺える。

 特徴的であるのは、焚火の前に縮こまる一匹を他の猿が囲んでいることだろう。そして、

 

「攻撃している……というよりは、背を掻いてやっている、が正しそうですね、名前からして」

「そう。背掻猿は、とても寒がりでね。暖かいものや光るものに寄ってくるし、それでも寒さが凌げなかったら、仲間が仲間の背を掻いて、その灼熱感で寒さをしのぐんだ」

「とても仲間想いな怪異に聞こえますが」

「とても、ね。でも、背掻猿は加減を知らない。掻いてやっている内に仲間の背が血だらけになろうと、それで死に絶えようと、背搔猿はその背を掻き続ける。彼らがそれを止める──加減の間違いに気付くのは、仲間が冷たくなった時だ。そうなったら次の仲間に移る」

 

 ファイルを捲る。

 

「こういう、"生きている人間に害を与えない、ただ奇怪なだけの怪異"というのは、中々世間の日の目を浴びないものだ。無論、怪異自体がそもそも日の目を浴びる存在ではないけれど」

「その言葉の続きは要りませんよ、柿ヶ久先輩。"ただし、死者に害為す怪異もまた、祓わねばならない"──なんて、もう耳に胼胝ができる程聞いていますから」

 

 そう、それがこのオカルト研究部ぼ活動方針。

 生者を怪異から救う者達は少なからず存在する。なんならそういう機関もある。

 だけど、既に死した者を、あるいは今回のように加害者である者を、危険を冒してまで怪異の手から救わんとする者はいない。

 

 よって、私達の行動はつまり、

 

「隙間産業、ということだね」

「何も産み出してはいませんが」

 

 さて、部活動の時間だ。

 

 

一

 

 

 まず一つの大前提として、この世に怪異というものが存在する、なんて話は詳細語りをせずとも理解されることだろう。創作か空想か、古来より語られて来たそれらは事実存在し、文明の高度に発達した現在において尚活発に活動している。

 そしてそれらは、如何なる形においてか、度々人間社会……生者の社会に現れては騒ぎを起こし、見える者、聞こえる者、触れられる者ら"干渉し得る者"が怪異を祓い、また元のサイクルに戻る……という仕組みを辿っている。

 

 ただ、冒頭でも述べたように、"生者を害さず、ただ生態が奇怪なだけの怪異"というのは往々無視されがちであり、時には長年放置されることもある。そういうのは大抵非常に強い力を持っているのだけど、されども結局は生者に害を為さないからどうでもいいものとして扱われやすい。

 仮にその怪異によって死者が凄惨な目に会わされていようとも、だ。

 死者の安寧を祈りこそすれど、その行方にまで目が行かないのは生者らしいといえば生者らしいのだけど。

 

 逢魔が時の学校を二人で歩く。

 明るい内にこの手の怪異が現れることは少ない。

 

「今回の標的である背搔猿は常に仲間を欲している。棲み処と定めた一地域内で死した魂、その中でも未練のある者を狙って囲み、仲間へと引き込むんだ。引き込まれたが最後、死者は背搔猿となり、その後背搔猿であり続ける。先ほどは死という表現を用いたけれど、本質的に怪異が怪異の行動によって死に絶えることはない。だから、背搔猿も背搔猿の"背搔"で死ぬことはないんだ。冷たくなった背搔猿は、そのスパンこそ不明とはいえ、また背搔猿として活動を始める。寒くて仕方がない、仲間を温めてあげたい、仲間が欲しい。その一心で数を増やしていく」

「いじめの加害者が自殺したのは一昨年との話でしたが、背搔猿はいつからこの学校にいたんですか? もし二年間、ないしはそれ以上の期間存在していたのなら、数がとんでもないことになっていそうですが」

「それはわからないよ、ア君。私が背搔猿の存在を確認したのはここへ入学してすぐのことだけど、先月見た時は五匹か六匹そこらの群れしか見なかった。増えているのか減っているのか、群れが幾つもあるのかどうなのかさえわからない」

 

 ただ一つ、確実なことは。

 

「平時において生者に害を為さないとはいえ、仲間を害されたり、死者の魂を横取りされた時は、容赦なく襲ってくるので気を付けるように」

「何したんですか?」

「背を掻かれていた猿の背後から礫を投げて頭を潰してみただけだよ。残りの五匹はそれはもう怒り狂って私を追いかけまわした。仲間想いであるからこそ敵対者への怒りが激しいね、アレは」

「遮蔽物などの有無は?」

「遮蔽に隠れていたし、臭い消しも使っていたけれどバレたから、何か特有の感覚器がありそうだね。無論、死者を仲間に引き入れんとする怪異だ。生者と死者を見分ける器官があるのはなんらおかしいことじゃあない」

 

 見た目という点において、生者と死者はあまり違いがない。怪談のように足が無い、透けているだとか、腕を前に出して手だけ垂れさがっているとか、そういうことは全くない。三角巾もつけていない。

 触れ得ないのはそうだけど、死者自身も早々壁抜けをしたりしない。どちらかというと生前通りの動きをなぞる傾向にある。廊下は走らないし、雨が降ったら屋内に戻るし。

 だから、私達側は勿論、怪異側からしても見分けはつかないものと思われる。それでも彼らが生者に迷惑をかけずに済み続けているのは、やっぱりどうにかして区別しているからなのだろう。

 

 ふと──先の教室から、キィ、という板材の軋む音が聞こえた。

 

「まだ帰宅していない生徒がいるのでしょうか」

「そうかもしれない。けどそうじゃないかもしれない。さて、ア君。君ならどうする?」

「怪異である前提で、対怪異用武装で攻撃します。対怪異用武装は人間に効果を為さないので」

「そうか。じゃあそれをするといい」

「無理ですね。そんな便利なもの持ってないので」

 

 怪異だけに通用して、人間には通用しないもの──なんて、存在しない。別に怪異は塩を嫌わないし。札一枚に怯えたりもしない。

 ではどのようにしてそれらを祓うのか。私達を含む世の中の霊媒師、祓魔師たちは、何をどうしているのか。

 

 答えは簡単だ。

 

「シンプルに行きましょう。僕が先行して、殴ります。柿ヶ久先輩は中にいる存在が怪異であることを祈っていてください」

「大丈夫。怪異じゃないとわかったら、私が君を止めるから。ア君は何も恐れずに殴りに行っていいよ」

 

 物理で解決する。

 私達"干渉し得る者"は、自身の肉体だろうと自らが投げたものであろうと、どんな方法でも怪異に干渉し得る。当然死者にも生者にも干渉してしまうので、間違っていたらごめんなさいでは済まないけれど、ア君にそのミスをさせないためのセーフティが私だ。

 

 無論。

 こんな風にGOサインを出すのは、私の中でこの音の発生源が生者や死者ではないと、怪異であると半ば断定できているからであり、

 

「──!!」

 

 ア君が一切の躊躇をしないのもまた、彼の直感が「迷ったら自分がやられる」というのを理解しているから、なのだろう。

 私が教室へ足を踏み入れた時にはもう決着はついていた。

 頭部が千切り飛ばされた背搔猿が四匹。一匹は教室の窓側にぐちゃっとなっていて、他三匹は恐らくア君に蹴り飛ばされたのだろうことが窺える。

 尚、今回は怪異が猿の形をしているから頭部を狙ったけれど、それなりの割合で弱点が頭部ではない、東部を潰したところであまり意味を為さない怪異も存在する。それなりの割合というか、結構多いくらいだ。とはいえそういう時でも先行し、とりあえずぶん殴るのがア君ではある。

 普段インテリな雰囲気を醸し出して置いて、こと戦闘となったらガンガン行こうぜなのが彼の魅力であり、特徴であると言えるだろう。

 

「……」

「君が今思っていることを当ててあげよう。"何故この背搔猿たちはここにいたのか"──だね?」

「はい。件のいじめの加害者である四名の姿も、焚火もない。ならばなぜ今の背搔猿達はここに集っていたのか、何をしていたのか。……まさかもう加わってしまっていて、今殺したのが件の四人、ということですか?」

「それはないよ。まだ話していなかったけれど、背搔猿が死者を仲間に引き入れる時の手法として、"死者を焚火で火あぶりにする"というものがある。無論彼ら自身に火あぶりにしている自覚があるのかは謎だけどね。どちらかというと、死の寒さに凍えている死者を温めてあげよう、という気概があるようにも見えたかな」

「成程。これらが加害者であるのならば、近くに焚火があるはず、ですか。ですが、今日より前に引き込まれていた場合は?」

「それもない。何故ならその四人を今日の朝見ているからね、私が。だから言い出した話だよ、これは」

「流石ですね、柿ヶ久先輩の霊引体質は」

 

 死者の集まる体質。あるいは死者のいるところに惹かれる体質。どちらが引いているのかはわからないけれど、私は生まれてこの方、毎日のように死者を見ている。幼い頃は死者と生者の見分けがつかなくて苦労したものだ。今でも先述したように見分け自体は付かないけれど、観察で大体区別できる。

 ただそうなったところでこの体質が変わるわけでもないので、こうして活かせる方向へシフトしたわけだ。

 

「焚火、というのは物質的なものですか?」

「いいや、怪異的なものだ。だからそれが校舎や生者を燃やすことはない」

「であれば、もう少し暗くなった方が良さそうですね。逢魔が時の明るさでは焚火を見逃してしまう」

「背搔猿もそれがわかっているから逢魔が時を狙って活動しているみたいだけどね。死者が最も生者から離れる時間。夕日という熱を感じられず、自身の寒さに気付くこの時間にこそ、背搔猿はそれを憐れんで動く」

「……日和見な発言でした。急いで四人を探しましょう、柿ヶ久先輩」

「うん」

 

 ア(いのうえ)君は非常に真面目な子だ。

 無駄に正義感があるとか使命感を覚えているとかではないけれど、部活動に真剣というか、妥協をしない。今の発言だって日和ったというよりは「暗い方が明かりを見つけるのに効率が良い」という効率重視の発言であるのを知っているから、それを咎めるようなこともしない。

 勿論効率重視じゃない、日和った発言だったとしても咎めはしないけれど。

 

「先輩、何をしているのですか?」

「ん、背搔猿の死体をね。さっきも言った通り、背搔猿は仲間想いだ。だから仮に入れ違い、すれ違いになって、これら仲間の死体を背搔猿が発見した時、すぐに私達を追って来られるように、臭いのつくものを持ち去るんだよ。死者を仲間に引き入れることより、仲間を殺されることの方が堪えるようだからね」

「成程。では僕も」

「ア君はダメ。ア君は奇襲係なんだから、背搔猿の死体の臭いを奴らに感じ取らせるのは愚策だろう? ああ、私だけ狙われる、という心配をしているのなら」

「していません。柿ヶ久先輩は僕より強いので、そんな心配はするだけ無駄でしょう」

「おっと、酷い話だね。これでも私はか弱い乙女の一人だというのに」

「か弱い乙女は背搔猿の生態観察を一人で終わらせたりしませんよ」

 

 言われて舌を出す。

 強さ、という一点においてはベクトルというか尺度が違うから比べるものでもないけれど、確かに怪異祓いの腕においては私の方が上だろう。一日の長だ。

 それでも戦闘を、否先頭をア君に任せるのは、やっぱり私がバックアップとして機能するからという話に終わる。ア君がミスっても失敗しても、どうにかなるように、だ。

 

「──あれは」

「見つけたかい?」

 

 勿論、彼が先に行く理由はそれだけではない。

 彼の私より優れている点の一つに、目が良い、というのが挙げられる。私が悪いんじゃなくて、彼が良いのだ。

 

「はい。……うすらぼんやりと、ではありますが、窓越しに……火の揺らめきと、小さな人影が複数見えます」

「じゃあそこへ行こう。私が確認する必要はないからね」

「了解です」

 

 千里眼という程ではない。透視ができるわけじゃないし、千里が見えるほどでもない。

 ただ、200mから300mくらいの景色が鮮明に判別できる程度の視力を持っている。そしてそれらを処理する頭も。

 伊達にインテリっぽいことしてるわけじゃないってことだね。

 

 さて、駆け出したア君に追従しながら、今後のことを少し考える。

 

 ──これまた先述したように、背搔猿がどれほどいるのかを私達は把握できていない。

 よって仮に死者を狙う、あるいは既に捕獲している背搔猿らを殺したところで、また湧く可能性はゼロじゃない。というか大いにあり得る。

 そして私達もいつまでもいつまでも同じ死者を守っているわけにはいかないし、同じ怪異を相手にしているわけにもいかない。

 

 だから怪異から死者を救った後、死者には速やかに退去してもらうのがベストなわけだけど、未練があるから退去していなかったわけで。

 それが私達との話し合い如何でどうにかなる、というのは楽観が過ぎる。未練とは早々に断ち切れるものではないのだから。

 

 そういう、所謂「膠着状態」、あるいは「こちらではどうしようもない事態」になった場合、最悪は、私の手で。

 

「柿ヶ久先輩、そろそろです。また僕が先行でいいですか?」

「先行自体は良いけれど、まずは死者の確認と、もし火あぶりにされていた場合、死者らの救出が最優先だ。君が救出を行っている間に私が背搔猿の注意を引く。君は死者を、そうだな、安全な場所なんて存在しないから、適当に窓の外にでも放り投げてから救援に来て欲しい」

「わかりました。──行きます」

 

 言葉と同時にア君が教室へ突撃する。

 先程"視て"いたから、内部構造は大体把握しているのだろう。突然の闖入者に背搔猿がギャイギャイ騒ぎ立てているのが聞こえるけれど、その中でキビキビとした動きでア君が動き回っているのがわかる。

 彼の入ったドアではない方のドアから教室へ侵入した私の目に入ったのは、手足を縛られた少女二人をア君が抱え、それを窓へ向けて放り投げている光景だった。

 視界の端に光る、鋭利な爪。その持ち主は当然背搔猿。事態の把握が最も早かった背搔猿の一匹がア君に手を伸ばしているのだ。

 

 その一匹の頭部にシャーペンを射出してこれを殺害。

 先程作った背搔猿の死体の入った臭い袋をべちゃっと彼らの前に放り投げ、そのまま呆然としている二匹を同様の方法で狙撃して殺す。

 

 ア君と私に一つ誤算があったとすれば、背搔猿の数の多さ、だろう。

 私が見た群れは六匹が最大数だった。よって三匹を削れば数は半減、とはいかない。ぬたぬた、ねらねらと音を立てて教室中の暗がりから染み出るようにして背搔猿が出てくる。その数、十を超えて十五。

 ニタリと笑うことも、多勢に無勢を哄笑することもない。

 ただ背搔猿は仲間を奪われ、仲間を殺されたことに怒り狂い、私へととびかかってきた。

 

「──?」

「が、だよ。背搔猿諸君。確かに数は間違えたけれど、君達も勘違いをしている」

 

 とびかかって来た三匹が、わけがわからない、といった表情で地に落ちる。

 

 顔面を真横に割断された状態で。

 

「先ほど言ったように、先輩は僕より強いので、狙うのであれば僕にすべきでした。どう考えても死者二人を担いでいる僕の方が狙い目でしたから。ああいえ、先ほど言った、というのは先輩と僕が話していたというだけで、あなた達が聞いていたかどうかは知りませんが」

 

 窓側にいた一匹の頭蓋が蹴り潰されて、身体だけがパタと倒れる。

 

 ああ、けれど、悲しいかな。

 背搔猿に言語を解する知能はないし、解したところで状況整理のできる頭脳もない。

 だから各々が各々、近い方へと飛び掛かり、

 

「できることならすべての仲間を呼んでくれ。手間が省けるから」

 

 そのすべてが死に絶えるのである。

 

 

二

 

 

 さて、では残念ながら、の話からしよう。

 曰く、加害者四人のうち二人は既に背搔猿へ引き込まれていてしまったらしい。逢魔が時に入ってすぐくらいの時間で、ある"未練の関係物"の周囲に地縛されていた四人の背後から背搔猿が来て、二人を連れて行ってしまったのだと。

 残念ながら。

 本当に残念ながら、一度怪異となってしまった死者が再度死者に戻ることはない。怪異はこの世が終わるまで怪異であるか、私達のような"干渉し得る者"に祓われ殺されるかの未来しか持ち合わせていない。

 

 だからヒステリックに懇願してきた死者二人の「お願い」は聞き届けられないし、

 

「まさか未練が、"私達だけ死んだことが許せない"だったとは」

「三つ子の魂百まで、馬鹿は死んでも治らない。こういうのばっかりだから死者を害する怪異を討伐しよう、とする者が出て来ないわけだね」

「まぁ、地獄まで堕ちれば流石に反省するでしょう」

「黄泉か冥府か地獄かは、果たして私達の与り知らぬところだけど」

 

 彼女らの未練もまた解消してやれなかった。誠に残念である。

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