幼馴染からツノ生えたんだけど   作:口フェチ

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主人公の隣に幼馴染み生やす系作者です。

本日の被害者は青木ルリさん。

残酷な描写は一応原作通りにルリちゃんが吐血るんで……


なんでツノ生えてるの?……え?ドラゴンだから?ふーん、納得。

 俺には一人、目力が強い女の子の幼馴染みがいる。

 

 彼女の名を、青木ルリという。

 

 ルリは俺と同じマンションに住んでいるお隣さんで、彼女と母親の海さんで二人暮らしをしている。

 

 ルリとは幼い頃から何かと一緒でいることが多く、高校生になった今でも俺は一番仲の良い異性はルリだと思っているし、多分ルリも一番仲の良い良い異性は俺だと思っている。違ったら俺が悲しい。

 

 俺とルリは同じ高校に通っているのだが、朝はルリに弱特攻を持っているようで、彼女は朝にちょっぴり弱い。俺はどちらかというと寝覚めがいい方なので、毎朝ルリの目覚まし役として彼女の部屋に乗り込んでいる。無論、海さんからの承諾は得ている。

 

 朝が苦手と言っても本当にちょっぴりだけなので、ルリを起こさず放っておいても彼女が寝坊することは恐らくない。だから別にわざわざ毎朝毎朝起こしに行く必要もないのだが、なんというか、もはや彼女の目覚ましをするのが習慣付いてしまっていて、ルリを起こすことによって俺の一日が始まる感じがしていて、逆にルリを起こさないと俺の一日は始まらないのである。

 

 さて、そんな感じで、今日も今日とて俺の一日が幕を開けようとしている。

 

 海さんから貰った合鍵を使って青木家に侵入する。

 

 リビングの方へ向かうと、エプロンを着た海さんが朝食の準備をしていた。

 

「海さんおはよう」

「おはよ。今日も早いな」

「ルリは?」

「まだ寝てる」

「おけ。起こしてくる」

「はいよ」

 

 適当に挨拶を交わし、足早にルリの部屋へと向かう。

 

 数回ノックをしてから、扉越しに声を掛けてみる。

 

「ルリさんー、起きてますー?」

『ゔう、おきでまづー……』

「意識があるだけで起きてるとは言わないそれ」

『もぉ起きるから……』

「開けるよー」

 

 一言断ってから、ルリの部屋の扉を開く。

 

「かってにはいってくんな……」

 

 ルリがそう文句を垂れながらノールックで中指を立てて来たが、いつものことなので気にしない。

 

 視界に広がる見慣れた光景、何の変哲も無い一人部屋。

 

 いつも通りに家具がおいてあって、いつも通りに床が微妙に散らかっていて、いつも通りにベッドの上が荒れまくっていて、いつも通りにベッドの上には終わっている寝相の、ツノが生えた少女がいて……

 

「はいおきてくださ……い?」

 

 ん?……は?

 

「ルリ」

「なに……」

「頭のそれなに?」

 

 ルリの頭、おでこよりちょっと外側で、多分髪の生え際のM字辺りのところから、見慣れぬ鋭利な突起物が生えていた。しかも2本。一見ツノのように見えるが、人間の頭からツノなんて生え来るか普通?

 うん、生えてくるわけありませんよね考えるまでもなく。

 

「頭……?なんかついてる?」

「うん。ついてるっていうか……生えてる?」

「は?」

 

 訳が分からない、といったふうな顔をしつつ、自分の頭をまさぐるルリ。寝ぼけているのか、手付きがおぼつかない。

 

「…………なにこれ」

「俺から見ると完全にツノ」

「ツノ?ホントに言ってる?」

「うん。触っても良い?」

「この状況で聞くことかそれ……まぁいいけど」

「あざす。それでは失礼……」

 

 ルリの頭から映えている仮称ツノにそっと手を伸ばし、着手。

 

 んー……ひんやり触感。気持ちいい。そして硬い。小突いたらコツコツいいそう。

 

「刺したら人殺せるわこれ」

「物騒」

「で、これマジでなんなの?」

「いや、私が聞きたいわそんなこと」

「なんか心当たりないの?」

「ないない。全くない」

「んー……ルリのお父さんがなんかそういう類の種族だったとか?ツノが生えてきたのはその遺伝で……みたいな」

「そういう類って?」

「ドラゴンとか。ツノが生えてそうなやつ。わりとありそうじゃね?」

「んな馬鹿な」

 

 ルリは呆れ顔をしたが、俺は全然この線はあり得ると考える。なぜならこの十数年間を青木家と共にしてきたのだが、俺は青木父の素性を一切知らない。先程も述べた通り、青木家はルリと海さんの二人暮らしだ。俺は青木父のことが知りたくて、海さんにそれとなく青木父について聞いてみたことがあるのだが、なんかいい感じにはぐらかされ、結局青木父の情報は一つも手に入らなかった。それほどに機密性が高い父だ。頭からツノが生えていたとしてもなんらおかしなことではない。

 

「……まぁいいか。とりあえず鏡でツノ確認して、そのついでに歯も磨いてきちゃって。海さん朝ごはん用意してくれてるから」

「まぁ良くないんだけど、一大事なんだけど」

「いや、別に俺にツノが生えてきたわけじゃないし」

「このっ……他人事だと思いやがって……」

 

 恨めしそうに俺を睨むルリを背に部屋を出る。そして再びリビングの方へと向かう。

 

「ねー海さん」

「どうした?ルリ起きない?」

「いや、起きたんだけど、なんか、ルリの頭からツノっぽいのが生えてた」

「ツノ?……あー、ついにか」

 

 海さんは、なんとなく事情を察したように頷いた。

 

「お?なんか知ってるかんじ?」

「うん。だいたい」

「まじか。教えて」

「ルリが来たら教えるよ」

 

 ルリよ。早急に歯磨きを終わらせるのだ。早く。ハリーアップ!

 

 

 

 

 間もなくして、複雑そうな顔をしたルリがリビングに来た。

 

「ほんとに生えてたんだけど……」

「うわ、ほんとに生えてる」

「うわって言うな。ねぇお母さんこれなに?」

「ツノだと思う」

 

 ルリは、はぁとため息をついて生えてきたツノをさする。

 

「やっぱツノかぁ」

「そのツノ、海さんが事情を知ってるらしい」

「え、ホントに?」

「ホントだよ。何から話すべきかな……まぁ結論から言うと、頭からツノが生えてきたのはごく自然なことで、焦るようなことはない、ってことね」

「自然?なんで?」

 

 訝し気に言うルリ。海さんは、朝食の準備を片手間に、当たり前かのように返した。

 

「そりゃあんた、半分人間じゃないし」

「え?」

「今告げられる衝撃の事実……!?」

 

 驚愕のあまり漫画の次巻予告の煽り文みたいになってしまった。

 

「いや漫画の次巻予告の煽り文か」

「ツッコみがくどい」

「やかましいわ」

 

 ルリがしょうもないツッコミをしてきたので適当に批評しておいて、話を進める。

 

「海さん、海さんって人間じゃなかったの?」

「いやこっちじゃなくて、人間じゃないのは旦那の方」

「あぁそういうこと」

「絶対分かってて言ったでしょ……」

 

 いやまぁ、一応の確認のためにね?

 

 いつのまにか朝食を食べ始めていたルリは、トーストを頬張りながら海さんに聴く。

 

「というか人間じゃないって、私のお父さん一体何物なの……?」

「龍」

「は?」

「龍」

 

 その瞬間、時が止まった。

 

 海さんの龍によってルリの脳が停止し、アホ面で呆けてしまった。

 

 直後、思考回路が復活したルリが口を開く。

 

「龍って何」

「ドラゴン」

「別称じゃなくて」

「あんた、人と龍のハーフなのよ」

 

 どうやら、俺が言ったことに間違いはなかったようだ。

 ほれみろ、といった感じでルリの方を見やると脇腹を思いっきり抓られた。痛い。

 

「いやー、言おう言おうとは思ってたんだけど、無理に教えることでもないかなって」

「ってことは、このツノは……」

「龍のツノ、ってことになるわね」

「マジかよ。龍のツノってなんかかっこいい。俺も欲しい。ねぇルリ、一本引っこ抜いて俺のにして良い?」

「グロいこと言うな」

 

 流石に冗談だ。ルリに暴力なんて出来るわけない。……あぁでも、ツノって神経通ってんのかな、痛くなかったら暴力にはならないような気がするなぁ……

 

「ところで、あんた学校どうすんの?私今日早いからもう出るんだけど」

「んー……」

「念の為休んどいてもいいけど」

「いやでも……別にツノ生えただけだしな。それにサンゴもいるし」

「そ」

 

 サンゴ、というのは俺のことだ。

 赤石 サンゴ。それが俺の名前だ。珍しくはあるがキラキラネームというほどではない、絶妙な塩梅の名前で、結構気に入っている。

 

「ま、普段通りでいいんじゃね」

「そうね、死にゃしないし、サンゴもいるし。じゃ、私行くから」

「いってらー」

「え。待ってマジなの?」

 

 ルリは焦ったように食べかけのパンを皿において、玄関へと向かう海さんを追う。

 

「うんマジ。じゃ、なんかあったら連絡頂戴」

「ちょちょ、ちょっと!おっ、おと、お父さんがドラゴン……?」

 

 ここまで大慌てのルリは初めて見た。おもろこいつ。

 

「そうだよ。……ごめんね。また帰ったら続き話そ」

「えっ、いや」

「あ、俺も一緒に話聞いて良い?」

「好きにしな」

 

 そう言い残して、海さんは家を出ていった。

 

 残されたルリは、ポカンとした様子で何がなんだかといった感じだった。

 

「……あれ、海さんいつもの靴はいてなくね」

「ホントだ」

 

 海さんは仕事に出るとき、いつもはパンプスを履いているのだが、今日はそれが玄関に取り残されている。いったいなぜ……?

 

「……」

「……」

「学校行くかぁ」

「もう急がないとヤバい時間だけど」

「うわ、マジじゃん」

「食器は俺が片付けとくから、着替えだけしてきちゃって」

「ありがと。……あれ、さっきまで食べてたパンは?」

「腹減ってたから俺が食った」

「は?ばか、へんたい」

「ごめんて、後で好きなの買ってあげるから」

「……許す」

「ありがたすぎ」

「着替えてくる」

「あいよ」

 

 足早で自分の部屋に戻っていくルリ。

 

 さてと、俺は食器を洗うとするかね。

 

 朝起きたら、目力が強い幼馴染みにツノが生えていた。

 

 しかしそんな事態のインパクトとは裏腹に、幼馴染みにツノが生えていたこと以外は本当にいつも通りで、俺の日常は日常のまま、つつがなく続いていきそうだ。

 

 まぁ人間って、案外そういうもんなんだなって、思いました。

 

 はい。

 





赤石 サンゴ:15歳。生まれてこの方ずーっとルリちゃんにべったりくっついてるルリセコム。面白いことが好き。

青木 ルリ:15歳。目力が強い。ツノが生えてきた。オリ主に振り回される不憫ちゃん。かわいい。

───────────

読み切り路線で行くか本誌路線で行くかは未定。

次の更新はなるはやで頑張ります。

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