幼馴染からツノ生えたんだけど 作:口フェチ
4時間目の授業が終わり、昼休み。
お馴染みの昼飯スポットである校舎外のベンチにルリ、俺、ユカの3人で座る。
「あ〜……つかれた〜……」
「大丈夫?」
「大丈夫」
「勝手に代弁すんなし」
先のプチ騒動に疲れ果て、ぐでっとしたルリ、それを心配するユカ、その心配に応える俺。違和感を感じさせない見事な異物混入。さすが俺。
俺とルリの昼めしは朝に買った焼きそばパン。ユカは手作りのお弁当だ。
「今日だけで話したことないクラスメイト全員と話したんじゃね」
「そうかも……」
「まぁ……いいことじゃない?それは」
「うん。ルリはもっと他の人と話した方がいい。人と話すのが苦手なのは分かるけども、別にコミュ障って訳でもないんだしよー」
何故ここまで人と関係を持つのを嫌がるのか、幼馴染みの俺でもよくわからない。まぁ、今のままでこの先何か問題が生じるかと言われれば、別にそういうわけでもないので、ルリが何を思って人を嫌がるのかを無理に分かろうとすることでもないだろう。
嫌だ〜と文句を垂れながらユカにイチゴをあーんしてもらっているルリを横目に、そう思った。
「へぐっ」
「大丈夫?」
「う〜、汗で冷えたかも」
「ルリのクシャミ、略してルリクシャ」
「なんだよそれ」
◆
昼休み終了、魔の5時間目到来。教科は国語。恐ろしい。ガチねみい。ルリの方を見てみると、案の定。ノートにキスをしながら授業を受けていた。おいノートそこ代われ。
「青木眠いかぁ!?」
「!!?」
起こされてて草。前の席の吉田もニヤニヤしている。
「えあっ!?はいっ!すみませ……?」
「てかお前なんでツノ生えてんだ」
「あえ……それは───「遺伝です」」
寝起きの頭ポヤポヤルリには答えられなさそうだったので、俺が代弁する。
「おお?そうか……遺伝でツノって生えるのか?」
「生えます」
「そうか……。……よし青木、続き読むか」
「え゛。いやだ……」
寝起きのルリ、朗読の命令を下されてしまった。アーメン。
「28ページね」
「ありがと……」
「立って読むんだぞ」
「ひぃぃ〜……」
ガラガラと椅子を引き、猫背のまま立ち上がるルリ。すると、ずっと動かなかったせいで身体を冷やしてしまったのか、ルリの鼻がムズムズしだした。はいこれ、クシャミ来ます。
「吉岡、伏せとけ」
「え?なんだ急に」
「いいから」
「えー……」
ルリのクシャミがかからないよう、吉岡に頭を下げておくよう指示をしておく。誰しもクシャミを後頭部にぶちまけられるのは嫌だろうからな。
「う…」
お、キタキタ。
「ふぁ……っ」
へぶっ。ボオッ
うん、いいクシャ……ボオッ?いや、ボオッってなんだよ。
そう思い、ルリの方を見てみると、ルリは炎を吹いていた。
炎を、吹いていた。
「!?!?」
えー!!!!ルリが炎を吐いた!!!!えー!!!!
「えっ何今の」
「火?」
「え……ちょっとあつ……」
「おい何だ今のは」
「青木が火吹いた」
途端、喧騒包まれる教室内。ルリの両手に掴まれているのは、つい数秒前まで教科書であったはずのもの。
「吉岡大丈夫?」
「あ、おう。伏せてたからちょい熱いくらいだったわ。サンキュー赤石」
「そか、よかった」
炎の射程圏内に入っていた吉岡だが、俺の指示を素直に聞き入れてくれていたお陰で、奇跡的に炎から逃れることが出来たみたいだ。
ほっと一息をついたのも束の間、ガタンッ!と大きな音がしたと思えば、ルリが床に尻餅をついていた。
「ルリ!」
思わず席を立ち上がり、ルリに飛びついて肩を支える。ユカも同じく、ルリを心配してこちらに駆け寄って来ていた。
「何今の大丈夫!?」
「あっ……っ」
苦しそうに口を抑えるルリ。喉やったぽいな。火吹いてたし当然か?
「わっ!?」
「血ィヤバ」
吐血、鼻血ダバー。これはヤバい。 ユカの両手が血だらけになっている。ルリの顔はそれ以上に血塗れだ。ヤバいどうしよヤバいヤバい。
「っ!とりま保健室!ルリごめんねちょっと我慢!」
その場に伏せるルリをぐっと抱き上げ、教室のドアを強引に開ける。
レスキュー赤石出動!迅速丁寧を心掛けます!あーくそー!ルリ死ぬなよ!
「保健室どっちだ!」
「右の階段!一階!降りて右!数えて1個目!」
「サンキュー床!」
◆
ルリ放火事件から数時間、ルリは保健室で処置を施された後、急いで迎えに来た海さんに回収されていった。
喉が焼けてしまっている事以外に特に怪我はなく、命に別状はないみたいだ。よかった安心したマジで。顔面血塗れ状態のルリを見た時は本当に焦った。死んでしまうかと思った。怖かった。
まぁ、とにかく無事で良かった、本当に。
「ただいまー」
「あ、おかえり……」
放課後、青木家に帰ると、一足先に車で帰宅していたルリが出迎えてくれた。口周りの火傷をした箇所にはガーゼが2つ。痛そう。
自然と、ルリの身体に腕が伸びる。ぎゅっと、抱き寄せる。
「わ……なに」
「いたそう」
「痛かった」
「今も痛い?」
「ううん、もう平気」
「心配した」
「うん」
「死んじゃうかと思った」
「……ごめん」
「ルリが謝ることじゃない。無事で良かった」
「……うん」
「……う゛ぅ〜、よがっだよ゛〜」
涙が止まらない。俺は今柄にもなく、泣き喚いてしまっている。
ルリの小さな身体を思い切り抱き締めると、ルリもそっと抱き返してくれる。安心する。
「おお、よしよし」
みっともない姿を晒している自覚はあるが、相手はルリだし、別にいいかって感じだ。とにかく、今はこの安堵感に浸っていたい。ちな、下心も結構あります。
「……今日の晩ごはんなに」
「急だな……私はカレーを所望した」
「喉焼けてんのに刺激物かよ」
「それお母さんにも言われた」