ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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第10話 アルスは はぐメタ装備時典を 手に入れた!

 

 

 

 

 

 ギルドの談話室で怪物祭(モンスターフィリア)でのモンスター脱走事件の聴取を行った後、防具を一新する為にエイナ・チュールを伴って買い物に行くことになった。

 ベル・クラネルは武器屋か防具屋を回るものと思っていたが、エイナが指し示したのはオラリオ内ならばどこからでも見える巨大な摩天楼(バベル)

 

「え、あれってバベルですよね?」

「ふふん、目的地はあのバベルの中にあるんだよ」

 

 業務の内なので受付制服のままのエイナに促され、アルス・クラネルが勝手に他所に行かないように手を引かれてメインストリートに出る。

 

「バベルってダンジョンの入り口とか、公共施設があるだけじゃ」

「いやいや、他にも簡易食堂や治療施設もあるんだよ。そして、多くの商業系ファミリアが店を出していて、鍛冶系ファミリアのヘファイトスファミリアなんかはその代表だね」

「ヘファイトスファミリアって、あの大手の……」

 

 駆け出し冒険者であるベルでも良く噂を聞いていたファミリア名が出てきて気持ちがしり込みしてしまう。

 

「ベル君はヘファイトスファミリアについて、どれぐらい知ってる?」

「えっと、武具を扱う鍛冶系ファミリアで、凄く品の質が良くて高いけど冒険者なら誰でも欲しがるってことくらいですね」

「うん、間違ってないね。職人気質のゴブニュファミリアと比べると、戦力や規模を考えると実質的な鍛冶系ファミリアのトップ派閥と言ってもいいだろうね」

 

 ほへぇ、と感心しながら零細ファミリア団長である自分と比べてちょっと落ち込むベルだった。

 

「ヘファイトスファミリアが扱っているのは武器や防具に始まって、冒険者用の服やアクセサリーまで手広くやってるから目を養うためにもベル君達には一度訪れた方が良いと思ってたんだ」

 

 夕暮れに染まっていき、ダンジョンから出てきた冒険者達と彼らを目当てに商売する人達の流れに逆らってバベルへと進む。

 

「で、でも、僕達にはヘファイトスファミリアの物を買えるような大金は」

「ああ、やっぱり(・・・・)勘違いしちゃってるか」

「え?」

 

 理解していないベルの勘違いにエイナは苦笑する。

 

「普通の鍛冶系ファミリアは基本的に一人前の職人になってから作った品が店頭に並ぶんだけど、ヘファイトスファミリアは例外的に末端に当たる職人…………冒険者で言うなら駆け出しに当たる職人が作った品を店頭に並べているの」

「え、でもそれじゃあ質がバラバラになるんじゃ」

 

 大分間近になってきたバベルを見上げたベルの脳裏に浮かんだのは、もしも鍛冶系ファミリアに入った場合の自分が作ったダメダメな武具を前に落ち込んでいる姿だった。

 

「そうだろうね。流石に質が悪過ぎる物は店頭に並ばないだろうけど、逆に駆け出しとしては質が良い物も出てくることもあるから、買う側の冒険者の目利きが重要になってくるわけだよ」

「うう、僕は良い物を選べる自信がないです」

「まあまあ、その目を養うために来たわけだし。これから頑張ろ?」

「はい!」

「うん、良い返事。冒険者がそうやって良い物を買っていれば、悪い物は売れなくなる。工房だけの小さな世界で下される評価よりも、より公平な目で与えられる評価は良くも悪くも職人にも影響を与える」

 

 更に販売する店側の利点として、駆け出し冒険者等の客層の取り込み等もあると続ける。

 

「ここで一番重要なのが、冒険者と鍛冶師の駆け出し同士が、この時点で細い太いに関わらず繋がりを構築出来ているいうことなの」

 

 バベルの門の直ぐ前で開かれている露店で焼かれる肉の匂いにアルスが釣られていきそうなのを引き戻す。

 門を潜ると白と薄い青色を基調にした大広間が目に映る。

 

「店側、職人、冒険者の間で繋がりを上手く活かすことで、ヘファイトスファミリアは鍛冶系ファミリアのトップ派閥を維持してるんだろうね」

「凄いですね。勉強になります。ということは、これから行くのはヘファイトスファミリアの下級冒険者向けの店っていうことですか?」

「そうそう。ついでに上級冒険者用の店も覗いてみようよ」

「お高いのは買えません」

 

 大広間を通りながら、両手で×印を作って拒否姿勢を示す。

 

「違うよ。良い物を見るのは勉強になるから目を養う為に、ね」

「はっ!? そこまで考えていませんでした……」

 

 話の流れを考えれば十分に思い至れたはずなのに、店に行ったら何かを買わなければいけないという思い込みからの先走りに反省する。

 

「気にしなくてもいいよ。4階からがヘファイトスファミリアの店舗で、下に近いほど熟練冒険者向けの店になっているから順番に見て行く?」

「いえ、僕の心が持ちそうにないので寄るのは一か所だけでお願いします」

 

 そこまで高階層ではないので、魔石商品の一つである昇降設備を利用するのではなく、エイナが運動も兼ねて階段で登ろうということで4階まで歩いていく。

 

「低階層の方が熟練冒険者向けとなると、一番下の4階は第一級冒険者(Lv.5以上)が対象ですか?」

第一級冒険者(Lv.5以上)も含むってところかな」

 

 殆どの場合、第一級冒険者(Lv.5以上)ともなれば専属の鍛冶師が付いてるから、わざわざ店で買うことは殆どないとしても、高い基準を誰にでもはっきりとした形で見れるのは冒険者にとっても職人とっても良いことであると続ける。

 

「はい、到着と」

 

 階段を登りきり、ヘファイトスファミリアのロゴ『Hφαιστοs』がかけられたプレートの下を通って店内に入る。

 その際、入り口には屈強な体格で完全装備のヒューマンの男二人が立っていて、発する威圧感に気圧されながらベルは気にした風もなく陳列窓に向かうエイナとアルスの下へ急ぐ。

 尚、外で問題を起こされては適わないと、アルスはエイナに継続してガッツリと手を握られている。

 

「…………さっき、入り口にいたのって店員さんですか?」

「多分、ヘファイトスファミリアの構成員が護衛してるんだと思うよ」

「護衛って、何から?」

「冒険者からだろうね。ここにあるのは上級鍛冶師が作り上げた一点物。分不相応でも欲しがる人は多いだろうから、売れば一財産築けるから邪なことを考える人はいるから」

 

 ある意味で世知辛い理屈にベルは酸っぱい物を食べたような気分になりながら、手近の陳列窓を覗き込んだところでホームである教会近くにあるヘファイトスファミリア支部との違いに気づいてしまった。

 

(ここのは全部、鎖で繋がれてる上に窓で遮られて直接触れないようになっている)

 

 他に殆ど客がいないとはいえ、店員が向けてくる値踏みするような目を向けている眼光の鋭さや発する雰囲気だけで明らかにベルよりも遥かに格上の冒険者だと分かる。

 入り口だけでなく店内にも施されている盗難防止の数々の理由は飾られている武器・防具の値札を見れば明らかだった。

 

「ええと、ケイオスブレード。お値段は……………………4500万ヴァリスゥウウウウッッ?!」

 

 売り場の中で一番目立つ赤い両手剣の値札を見たベルは、今までの人生の中で一度も見たことがない金額の値段に口から大声が出た。

 

「ベル君、気持ちは分かるけど静かにね」

 

 目をひん剥いて値札を凝視しているベルに苦笑しながら、エイナは口に人差し指を立てて当てる。

 

「で、でも、よ、よんせんって――」

第一級冒険者(Lv.5以上)の武器ともなると下層や深層のドロップアイテムで作るからね。どうしても高くなるんだよ」

 

 エイナは未だ動揺が収まらない様子のベルに、仕方ないなと笑いながら受付の人に謝りながら少し動いて、防具などの鎧が展示されているコーナーへと向かう。

 値段を確認して、この辺りではまだ安めの鎧の一つに目を向ける。

 

「4千8百万ヴァリス……」

「防具の方がどうしても高くなるからね。例えばこの『はぐれメタルよろい』は、『メタルスライム』系のドロップアイテム『メタルのカケラ』が必要になるんだけど、異常な逃げ足と守備力と耐性を持っていて、倒すのがとても難しいんだ」

「『メタルスライム』って確か9、10階層で偶に出現するんですよね。そのぐらいの階層に現れるなら熟練冒険者なら簡単に倒せるんじゃ……」

「仮に倒せてもドロップする『メタルのカケラ』はそれほど多くないらしくて、この『はぐれメタルのよろい』に使われてる『メタルのカケラ』は主に下層に出現する『はぐれメタル』の『メタルのカケラ』を使ってるらしいよ」

 

 だから『【はぐれメタル】よろい』と名前が付けられているのかと納得する。

 ベルが納得している横で、エイナに手を握られたままのアルスは『はぐれメタルよろい』が陳列してある窓下に紙が挟まっていることに気付いた。

 

「下層に行ける冒険者も限られるからね。深層ともなればトップクラスの派閥にまで狭まって、需要に対して供給が追いつかないから相場が比例して高くなる。更に下層や深層のドロップアイテムを鍛冶出来る鍛冶師も高Lv.で希少となると金額はうなぎ上りというわけ」

 

 冒険者の半数がLv.1、その半数の半分がLv.2なので、得やすい上層のドロップアイテムは充実しているから価格が下がり、逆に下層や深層に行けないからドロップアイテムは殆ど得られないので価格が吊り上がるという仕組み。

 オラリオだけでなく世界中に名声を轟かせているヘファイトスファミリアといえど、深層でも通用する武器を作れる鍛冶師は多くないだろう。

 

「理屈としては分かりますけど、この金額は……」

 

 『ケイオスブレード』や『はぐれメタルよろい』を買うお金だけで、ベルがいた田舎ならば贅沢をしなければ一生過ごせかねない。ファミリアの金勘定を担っているだけにベルは憧れとかよりも別の感情の方が大きかった。

 

「今は現実感がないかもしれないけど、アイズ・ヴァレンシュタイン氏などが使っている武器はこのレベルであることは心に留めておいてほしいな」

「っ!?」

 

 言われて、ハッとしたベルは改めて『はぐれメタルよろい』を見上げる。

 

「理由はなんであれ、最短ランクアップしたアルス君のこと考えれば決して夢物語じゃないかもしれない。無理だと思って諦めるよりも、目標は高く持ってほしいんだ」

「――――」

「逆に遠くを見過ぎて足元を見ていないのも駄目だし、そろそろ本来の目的を果たしに行こうか」

 

 やる気に満ち溢れだしたベルに、上層階への移動を勧めるエイナ。

 アルスは二人の目が自分から離れているのをいいことに、『はぐれメタルよろい』の陳列窓の下に挟まっていた紙をそっと引き抜いた。

 

――――――――――アルスは レシピブック 『はぐメタ装備辞典』を 手に入れた!

――――――――――はぐれメタルの剣の レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルの大剣の レシピを 覚えた!

――――――――――はぐメタブーメランの レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルのやりの レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルの盾の レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルヘルムの レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルベストの レシピを 覚えた!

――――――――――はぐれメタルよろいの レシピを 覚えた!

 

 飾られている『はぐれメタルよろい』を見上げ、良い物を得たとレシピを懐に入れている間にベルとエイナの間で上層階に行く話が纏まったらしく移動を始めた。

 

「ヘファイトスファミリアはこの4階から8階までテナントを出していて、大体7~8階が駆け出しからLv.2に成り立てぐらいが使う武器・防具を扱ってるからそこに向かうよ」

 

 4階の店を出て階段を登って、まずは7階の店に向かう。

 上層階に行くほどチラリと見えた通路に客がどんどん増えていき、7階に上がると丁度昇降装置から数人の冒険者が出てくるところだった。

 

「なんかジロジロと見られてる気がするんですけど……」

 

 お前に見合うのはもう一つ上の階だと言われているような気がしてベルは身の置き所がない。

 

「この手の所為だと思うよ」

 

 そう言ってエイナがアルスと繋いだままの手を上げる。

 

「あ」

「流石に目立つだろうしね。離したら何かしそうだから離す気はないけど」

「いい加減、大丈夫では? アルスもそこまで子供じゃないだろうし」

「甘いよ、ベル君!」

 

 そういえばバベルに向かう道中でも矢鱈と注目を集めていたことを思い出していたベルに、繋いでいない方の手の指を突きつけるエイナ。

 

「さっきの店でも何度勝手に移動しそうになるのを戻したことか…………ギルドと違って、ヘファイトスファミリアの物を壊しても私は弁償出来ないよ!」

「その節は御迷惑をおかけしました」

 

 ベル達がヘスティアとファミリアを作って冒険者登録をする時にギルドでアルスが行った『ツボ』や『タル』の複数破壊や、勝手に開けまくったタンス。後者はともかくとして、前者はギルド始まって以来の珍事として今も語り継がれているほど。

 最初は特に悪びれた様子の無かったアルスの分まで謝りまくったことを想起して、ベルはエイナに深々と頭を下げる。

 

「だから、私はどれだけ注目を浴びても手を離さない。分かった?」

「はい。それはもう…………でも、いいんですか? 変な噂とか立ったりしません?」

「アルス君って弟みたいなもんだから平気平気」

 

 なんか不服とばかりに頬を膨らませているアルスの頬っぺたにブスッと指を突き刺すエイナに影はないので、まあいいかと注目を集めるのは仕方ないかと諦めることにした。

 4階と同様に両脇の護衛にも見られながら入り口を潜ると、既に複数人の客が店内にいて商品を見ている。

 

「まずは鎧とかを見てみる?」

「はい。でも、下の階とは陳列の仕方が全然違うんですね」

 

 当初の目的だった防具系コーナーに移動しながら見た中には、綺麗に陳列してある商品とは別に木箱に乱雑に積み込まれていてガラクタのような扱いを受けているものも多かった。

 

「この階ぐらいだとまだ上級鍛冶師以下が作った作品になるし、量が多いから全てを陳列は出来ないみたい」

 

 綺麗に陳列されている物と木箱に積まれている物は傍目から見ても質に違いがあるのが分かる。質が良い物ほど売り場の良い場所に置かれて一つ一つ丁寧に展示されているのとは対照的に、悪い物の扱いは粗雑になっているのだろう。

 あまりにも残酷な違いにベルはなんとも言えない気持ちになる。

 

「例え扱いが悪くても、経営側が見抜けなかった鍛冶師の資質を見抜く冒険者が発掘することもあるそうだよ」

「そうなんですか……」

「ベル君、手持ちのお金はいくら?」

「えーと、怪物祭(モンスターフィリア)で使うつもりで何時もより多めに入れていたので、大体20000ヴァリス強ぐらいです」

「結構あるね。まずは手分けして選んでみる?」

「…………そうですね。自分の目で見てみたいです」

「決まりだね。こっちはアルス君の盾から探してみるよ」

「よろしくお願いします」

 

 ということで、ベルは一人でエイナ・アルス組と別れて店内を見てみることにした。

 この機会なのでベルは以前にロキファミリアから貰った武器の値段を確かめようと、防具コーナーから武器コーナーへと移動する。

 

「『せいどうの剣』3800ヴァリス、『てつのつるぎ』5000ヴァリス、『どうの大剣』3000ヴァリス、『てつの大剣』7800ヴァリス、『ブロンズナイフ』1500ヴァリス、『せいなるナイフ』9500ヴァリス、『クロスブーメラン』7500ヴァリス、『やいばのブーメラン』はないや。『きんのネックレス』15000ヴァリス―――――――――』

 

 『やいばのブーメラン』は金額不明ながらも、それなしでも最低68100ヴァリスなり。

 

「…………今度、ロキ・ファミリアに五体投地で謝罪しに行った方がいいのかな」

 

 ベル達がダンジョンに潜って稼げる何日分か、考えるだけでも冷や汗が止まらなくなりそう。

 

「僕も防具を見よう」

 

 これ以上、このことを考えると心が破壊されそうなので当初の目的に沿う為に防具コーナーに戻る。

 

「『てつのよろい』18000ヴァリス、か」

 

 純白のトルソーが纏っているアーマーは、それ一着で資金の大半を食い潰すことになるが白銀の輝きは目を引き付けて止まない。

 

「鉄製品は全体的に高いんだよな。『てつのむねあて』でも15000ヴァリスもするし。『てつのつるぎ』とか『てつの大剣』の方が安いのは作りやすいのかな?」

 

 素人考えになるが、鎧とか胸当ての方が構造が複雑な分だけ作り難いのかと考えながら別の品を見ていく。

 『ぼうし』や『かぶと』などにも目を通してみるも、ピンと来るものがない。

 

「あっちも見てみるか」

 

 木箱が積まれている方に行ってみると、注意書きが壁に貼ってあった。

 

「へぇ、ファミリアに価値が低いと評価されたものや機能に支障はなくても少しの不備があったものか」

 

 注意書きを読んだ上でそれぞれの木箱を見ると、赤い数字はまちまちではあるが値札が貼ってあった。

 端から順番に木箱の中を見ながら横に移動していると、不意にベルの足が止まった。

 

「これは……」

 

 一つの木箱に手を伸ばし、肩と胸部分にアーマーのついた鎖の編み込まれた鎧を引き上げる。

 

「重すぎないし、丈夫そうだ」

 

 不思議と強く引かれたそれ(・・)はベルにぴったりで、サイズ違いがもう一つあってこっちはアルスに合いそうだ。

 双子なのにアルスの方が少し背が高いので、これで二人分を確保できる。

 

「一つ5000ヴァリス。値段も手頃だ」

 

 首元のアーマー部分を覗いてみると、製作者の名前が刻まれていた。

 

「ヴェルフ・クロッゾ、か」

 

 ヘファイトスファミリアのブランド名はまだ許されていないようだが、不思議な縁を感じて鍛冶師の名前を一発で覚えた。

 

「おや、ベル君。こっち(・・・)の防具にしたんだね」

「エイナさん」

 

 振り返ると大きな盾を持ってホクホク顔のアルスを連れたエイナが屈んでいるベルを見下ろしていた。

 

「『くさりかたびら』か。二つってことはアルス君の分も?」

「はい。これが良いって感じたんです」

「君がこれって決めたんなら、それで良いと思うよ。こっちもアルス君の盾が決まったしね」

 

 ジャーン、とばかりにアルスによって突き出されたのは全体的に緑系統の色をした大きめの盾だった。

 

「『せいどうの盾』。お値段3700ヴァリスの割に大きくて守備力の高い私のお勧めだよ」

「ありがとうございます。わざわざ」

「後、『皮のぼうし』の代わりに『はねぼうし』と、私のプレゼントで『スライムピアス』も付けてあげる」

「え、そんな悪いですよ!」

「身を守るためならケチケチしない! ギルドからの支援金もあるんだからこの機会に装備はきちんとしないとね」

 

 カウンターへ押されて支払いを済まされてしまってはベルもそれ以上は何も言えない。

 

「本当に冒険者なんて何時死んじゃうか分からないんだ。どんなに強いと思っていた人も、神の気まぐれみたいに簡単に亡くなっちゃう。私は、戻ってこなかった冒険者をたくさん見てきた」

「…………」

 

 ベルが何も言えない間、エイナの意識が自分から離れているのを見計らったアルスは、木箱の下敷きになっている紙を見つけて足を伸ばす。

 

「いなくならないでほしいなぁ、二人には。あはは、これじゃあ二人の為じゃなくて自分の為かな?」

 

 微かに足先が紙を捉え、破かないように慎重に引き抜いていく。

 

「それにさ、ベル君。私のこと大好きって言ってくれたじゃない?」

「えあっ!? あれはそのっ、エイナさんが僕を励ましてくれて嬉しかったから……」

「私もさ、嬉しかったんだよ。ベル君に好きって言われて。そういう意味じゃないっていうのは分かってるよ?」

「そ、そうですよね」

「だからってわけじゃないけど、ちょっと力になってあげたいなって思ったんだ。頑張ってる君達にね」

 

 ようやく引き抜けた紙をエイナに気づかれないように引き上げる。

 

「ありがとう、ございます」

「どういたしまして」

 

 なんか良い雰囲気の二人を尻目に、ついにアルスは紙を手にした。

 

――――――――――アルスは レシピブック 『鋼鉄武装目録』を 手に入れた!

――――――――――はがねのつるぎの レシピを 覚えた!

――――――――――はがねのブーメランの レシピを 覚えた!

――――――――――はがねの盾の レシピを 覚えた!

――――――――――はがねのかぶとの レシピを 覚えた!

――――――――――はがねのよろいの レシピを 覚えた!

 

「こういう装飾品(アクセサリー)は二つ以上、身に着けると効果が無くなってしまうから気をつけてね」

 

 頷いているベルを尻目に、アルスはレシピを懐に隠すのだった。

 

 

 

 

 

 本日の支払い

 

 くさりかたびら  5000ヴァリス×2

 はねぼうし    2800ヴァリス×2

 せいどうの盾   3700ヴァリス

 スライムピアス  4000ヴァリス×2

-----------------------------

 合計       29300ヴァリス

 

 皮のよろい    1800ヴァリス×2(3600ヴァリス)分をギルドより支給。

 スライムピアスの代金8000ヴァリスはエイナ持ち。

 

 ベル達は17700ヴァリスの支払い。

 

 

 

 

 







 作中に出てきた『ケイオスブレード』はDQ11 イシの村で村復興イベント後のデクの店で買うことが出来ます。

 ほぼ、最終盤で買うことの出来る武器なので深層に到達するパーティー(第一級冒険者(Lv.5以降))が使う武器としています。

 本作設定で、深層の魔石・武具は1000倍でカウントしています。45000Gが1000倍で4500万ヴァリスとなります。

 ちなみに上層の武具である『てつのつるぎ』は500Gが10倍で5000ヴァリスとなっています。


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