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バベルにあるヘファイトスファミリアの店で装備を誂えた翌日、ソーマファミリア所属のリリルカ・アーデと共にダンジョンに入って目指すはエイナ・チュールに探索の許可を貰った5階層。
Lv.2にランクアップしたアルスと、一新した装備のお蔭で苦戦らしい苦戦することなく5階層へと到達していた。
「――――それで装備が変わったのですね、お二人の」
5階層に来るまでの道中に先日にあった出来事を聞いていたリリルカは、
「やっぱり『くさりかたびら』だと『皮のよろい』とは防御力が違うよね。流石にちょっと身軽さは落ちたかもしれないけど」
「大して変わらないのでは? 『くさりかたびら』は分類的には鎧に属していますが、『すばやさ』を阻害するようなものではないですし」
失礼します、とベルに断ってからリリルカは『くさりかたびら』に触れる。
「難のある売り方をされていた割には上質な作りですね。アルス様の戦いを見ても機能に不備があるようには見えませんから、寧ろ綺麗に飾られて然るべき物のように見えます」
「ああ、それには理由があってね。この首アーマー部分に製作者が自分の名前と一緒に作品名を刻んでいるんだけど……」
リリルカに見えやすいように屈み、頭を前に倒して首元部分に刻まれている作品名を見せる。
「…………『
角度的にリリルカの目では製作者の名前は見えなかったが珍妙な作品名が刻まれているのは見えた。
「質は良いのに、こんな名前だから購入される一歩手前で止める人が多いんだって」
「確かにこんな名前では止む無しでしょうね」
そのネーミングセンスが原因で不備品扱いされているのは明白で、仕方ないだろうなとリリルカは製作者に呆れてしまう。
「冒険者も生き残ってナンボですから、防御力が上がるのは良いことだと思います。作品名が戦いに関係するわけではありませんし」
「まあ、そうだよね。アルスなんか盾を持っちゃってるし」
この階層に着くまでに現れたモンスターを文字通りバッサバッサと斬り捨ててきたアルスの左手には、体の半分近くを覆うほどの大きさの緑系の大楯が持っている。
リリルカは今もプチアーノン相手に盾で体当たりをして弾き飛ばし、体勢を崩したところで追撃の斬撃でトドメを刺しているアルスを見た。
「防具じゃなくて殆ど鈍器として攻撃で使っていましたが」
「うん、正しい使い方じゃないだろうけど、有効活用してるからいいんじゃない?」
いいのだろうかと、『せいどうの盾』があるからと単身特攻を繰り返しているのは本末転倒な気がしないでもないリリルカだった。
「ダンジョンに来る前、試しで盾を持っている方の手も剣を持てないかって試したらしいけど駄目だったみたいなんだ」
「それは無理でしょう。というか、やる前に気づきましょうよ」
せめて盾が肘部分を覆う程度の大きさならともかく、『せいどうの盾』レベルの大楯では二刀流に無理があるのは子供でも簡単に想像がつく。
呆れを滲ませるリリルカに、朝の実演を間近で見学していたベルは苦笑いを零す。
「アルス曰く、『なんか行ける気がした』らしいよ。上手く攻撃出来ない上に、誤って自分を刺しそうになったんで僕が没収したんだ」
没収した『せいどうのつるぎ』は今はベルの腰に差してある。
「アルス様なら次は短剣で試してみようとか言い出しそうですね……」
「残念、もう言った上に試してるよ」
「…………結果は?」
「今、使ってない以上は分かるよね」
「ああ、はい。そうですね」
右手に『てつのつるぎ』、左手に『せいどうの盾』のスタイルでここまでの戦闘を行ってきたのだから、短剣を使った試しは上手くいかなかったことに行き着く。
「メラ」
――――――――――アルスは メラを となえた!
盾を持っている方の手から放たれた火炎魔法がビックハットを飲み込んだ。
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――アルスたちは 31ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!
――――――――――プチアーノンは ピンクパールを 落としていった!
「あの状態なら魔法も使いやすいんだって」
「そうみたいですね……」
一度『てつのつるぎ』を軽く振ってから背中の鞘に直すアルスの横を通り、プチアーノンとビックハットの魔石とドロップアイテムであるピンクパールを回収する。
「アルス様の魔法の威力が上がったような気がするのはリリだけでしょうか?」
「うーん、どうだろう。体感ではあまり感じられなかったけど」
「ランクアップ、したのにですか」
「ステータスは上がっているけれど、劇的に変わった感じはしないんじゃない?」
「確かに……」
そんなことはない、とばかりにアルスが腕を振ってアピールしているが、ベルとリリルカは「うーん」とばかりに視線を合わせた。
「どうも僕らは
自分を含む言い方をしながら、ベルは考える素振りを見せながら軽い調子で口を開く。
「リリの目から見て、アルスの強さは普通のLv.2と比べてどうだろう。強い弱い?」
問われたリリは少し困ったような表情を浮かべる。
「リリはサポーターです。冒険者様の強さを聞かれても『皆様、凄いです』としか答えられません」
「僕らは他の冒険者を殆ど知らないから、今のアルスの強さがLv.2として相応しい強さなのかどうか分からない。冒険者歴が長く、僕らの戦いを間近で見たリリの忌憚の無い意見を聞きたいんだ」
アルスがいきなりレベル9に上がった時は劇的に強くなったことはベルにも分かったが、今のLv.2になったアルスがそのLv.に相応しい強さなのか分かっていなかった。
この件に関してはアドバイザーであっても冒険者ではないエイナ・チュールに聞いても答えが返ってくることはない。間近で見たことのある冒険者の戦闘はLv.5のアイズ・ヴァレンシュタインだけでLv.が違い過ぎて参考にならず、サポーターとして多くの冒険者と行動を共にしたであろうリリルカの意見を聞いておきたかった。
「…………リリの主観になりますよ?」
「リリを信用してるから大丈夫」
「また、恥ずかしいことを臆面もなく……」
赤面したリリは一度大きく深呼吸して気持ちを切り替えて記憶の中の冒険者たちと、今日一日の間に見たアルスの動きなどを比較していく。
「素人混じりの意見になりますが」
「リリはプロだよ」
「い! け!ん! になりますが! 強さに関してLv.2成り立てとしては妥当と言えるものだと思います。装備もLv.2相当ですしね」
但し、とベルに背伸びをして顔付近に指を突き付けたままのリリルカが続ける。
「複数種の魔法と剣技の組み合わせを考慮に入れれば、Lv.2中位から場合によっては上位に食い込むのではと推測します」
リリルカの指の先で、魔法とかのことを考えていなかったとベルの表情が何を考えていたのかを分かりやすく物語っていた。
「追加して言いますが、あくまでリリの主観です。正しいとは思わないで下さい」
「信じるよ。リリの言葉の全てを、僕は」
また人に全幅の信頼を寄せてくるベルに慣れない心持ちにさせられたリリルカが突きつけたままの指を引き戻し、そっぽを向くとそこにはニヤニヤした顔をしたアルスがしゃがみこんでいて顔が合う。
リリルカの顔がカーと真っ赤になっていく。
「なんなですかアナタ達は!?」
リリルカが腕を振り回して、うがーと叫べばクラネル兄弟は楽しそうに笑う。
その笑みが今までリリに向けられてきたサポーターや
「ゴメンゴメン。からかうつもりはなかったんだ。ただ、こういう感じって悪くないなって思って…………仲間って感じしない?」
「…………」
サポーターは冒険者のオマケでしかなく、場合によっては都合の良い盾や囮扱い、最悪は邪魔者扱いされることすら日常茶飯事だったリリルカにとって馴染みの遠い言葉。リリは何も答えられなかった。
――――――――――まもののむれが あらわれた!
「新手か」
「はっ!? もしかして私の大声に反応したのでは!?」
「偶然だと思うよ。なんたって、ここはダンジョンなんだから」
リリルカを庇って前に出たアルスとベルの前に現れたモンスターは全部で五体。
スライム系が一体、コボルト系が1体、カニ型が二体、黒いランタンが一体。
「スライムならこれだ!」
ベルはスライムタイプのモンスターがいるなら必ず取ると決めている戦術を行う為、背部に固定しているクロスブーメランを手に取る。
「やっ!」
――――――――――ベルの こうげき!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――バブルスライムを たおした!
全力での投擲にはスキル【スライムブロウ】によってスライム種に対して投擲武器効果強化が働き、バブルスライムは倒れたがスライム種ではない他のモンスターたちのダメージはそこまで大きいものではない。
そこにアルスが追撃の攻撃を仕掛ける。
「はっ!」
――――――――――アルスの こうげき!
――――――――――ぐんたいガニAに ダメージ!
「え、アルスの攻撃で倒せてない?」
「ぐんたいガニは物理防御力の高いモンスターです! ですが反対に魔法防御力はそこまで高くありません!」
「そうか、アルス!」
――――――――――メソコボルトの こうげき!
――――――――――アルスの カウンター!
――――――――――メソコボルトに ダメージ!
――――――――――メソコボルトを たおした!
斬りかかってきたメソコボルトの『どうのつるぎ』を『せいどうの盾』で弾き返し、カウンターで仕留めたところでアルスがバックステップをしてモンスター達から距離を取る。
「メラ」
――――――――――アルスは メラを となえた!
――――――――――ぐんたいガニAに ダメージ!
――――――――――ぐんたいガニAを たおした!
「よしっ!」
――――――――――おにびドングリは 火の粉を まきちらした!
――――――――――アルスたちに ダメージ!
「っ!?」
「あちっ!?」
「あっつぅ!?」
撒き散らされた火の粉事態の攻撃力は左程ではないが、ぐんたいガニ撃破に意識が向いていたアルス達を熱が襲う。
アルスが『せいどうの盾』を大きく振るい、まだ舞っている火の粉を振り払う。
「やっ!」
再度の攻撃動作を見せたおにびドングリにベルが踏み込み、抜き放ったブロンズナイフで斬撃を仕掛ける。
――――――――――ベルは スリープダガーを はなった!
――――――――――おにびどんぐりに ダメージ!
睡眠付与の攻撃を行うもおにびドングリは眠ってくれない。
「はっ!」
――――――――――アルスの こうげき!
――――――――――おにびドングリに ダメージ!
――――――――――おにびドングリを たおした!
「ベル様、残ったぐんたいガニが仲間を呼んでいます!」
モンスターを倒したことによる安堵をしている暇などなかった。
――――――――――ぐんたいガニBは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニCが あらわれた!
「やっ!」
――――――――――ベルは かえん斬りを はなった!
――――――――――ぐんたいガニBに ダメージ!
単純物理攻撃ではなく魔法剣による攻撃を加えるが、ベルの攻撃力ではぐんたいガニBを倒し切れない。
アルスもおにびドングリを攻撃した直後で一呼吸間が空いていて、その間に呼ばれて現れたぐんたいガニCが次の行動に移っていた。
――――――――――ぐんたいガニCは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニDが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニDは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニEが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニEは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニFが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニFは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニGが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニGは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニHが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニHは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニIが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニIは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニJが あらわれた!
――――――――――ぐんたいガニJは なかまを よんだ!
――――――――――ぐんたいガニKが あらわれた!
「ちょっ、仲間を呼びすぎです!」
呼ばれたぐんたいガニが更にぐんたいガニを呼び、ぞろりぞろりと現れて合計10体のぐんたいガニに辺りを囲まれてしまった。
「ギラ」
――――――――――アルスは ギラを となえた!
――――――――――ぐんたいガニB、C、Dに ダメージ!
リリルカが虎の子の『魔剣』を取り出すよりも早く、完全に囲まれる前にアルスが放った
「アルス、あの爆発魔法で一気に倒すんだ。リリは僕が守るから」
アルスですら一撃で倒せない物理防御が高いぐんたいガニとの数的不利を解消するには魔法しかないとベルは覚悟を決める。
頷いたアルスが盾を持っている手を掲げる。
「イオ」
何時もなら前に差し出した手から放つ
そして『せいどうの盾』を構えてその裏に隠れて構える。
――――――――――アルスは イオを となえた!
――――――――――ぐんたいガニたちに ダメージ!
――――――――――アルスに ダメージ!
――――――――――ぐんたいガニB、C、Dを たおした!
近づいてきていたぐんたいガニの中心で爆発した魔法によって、先程ギラを受けたぐんたいガニ三体が消滅して魔石化。他のぐんたいガニたちも大きなダメージを負っていた。
盾を構えたアルスの後ろにいたことで殆どダメージを受けなかったベルがクロスブーメランを抜き放つ。
「やっ!」
――――――――――ベルの こうげき!
――――――――――ぐんたいガニたちに ダメージ!
――――――――――ぐんたいガニE、F、Gを たおした!
より爆心地にいて弱っていた個体がクロスブーメランに引き裂かれて倒れた。
残りの四体は比較的、ダメージの少ない方でダメージを負ったことに怒りを抱いたように鋏を鳴らしたところでアルスが動く。
「はっ!」
――――――――――アルスは、剣を ぶんまわした!
――――――――――ぐんたいガニたちに ダメージ!
――――――――――ぐんたいガニH、I、Jを たおした!
両手で『てつのつるぎ』を握ったアルスが大きく踏み込んで剣を大きくぶん回し、三体のぐんたいガニを吹っ飛ばす。
反対の壁に叩きつけられたぐんたいガニ三体はピクピクと小さく痙攣し、魔石とドロップアイテムである『赤いサンゴ』を残して消滅する。残るぐんたいガニは後一体。
「やっ!」
――――――――――ベルは かえん斬り はなった!
――――――――――ぐんたいガニKに ダメージ!
――――――――――ぐんたいガニKを たおした!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――アルスたちは 258ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!
――――――――――メソコボルトは どうのつるぎを 落としていった!
――――――――――ぐんたいガニは 赤いサンゴを 落としていった!
「ふぅ、なんとか倒せたね」
迷宮の壁に突き刺さっているクロスブーメランを回収して、ブロンズナイフも鞘に収める。
アルスも前後の通路の奥を何度も睨みつけたりして臨戦態勢を解いていない。
「一瞬、もうここまでかと思いました」
「僕もだよ。ぐんたいガニがあれほど連続して仲間を呼ぶなんて。どんなに多くても一体か二体しか仲間を呼ばないって聞いていたのに」
「リリもこんなことは初めてです。かなりのレアケースだと思います」
魔石を回収し終えても新たなモンスター来襲の気配はなく、とりあえずの間は出来たようだと汗で張り付いた前髪を掻き上げる。
「防具が新しくなったからって油断はいけないね。アルスも突破してくれるのは助かるけど、方向は考えないと」
それは反省、と背中の鞘に『てつのつるぎ』を収めながら頷くアルス。
「教訓と割の良いドロップアイテムを得た良い冒険になりましたね」
魔石とドロップアイテムを体よりも大きいバックパックに直し終えたリリルカが言った言葉に引っ掛かりを覚えた。
「割の良いドロップアイテムって?」
「メソコボルトの『どうのつるぎ』です」
「『どうのつるぎ』って僕らも使っていたけど、もっと大きかったよ?」
メソコボルトは人間でいえば子供ぐらいの身長、
それこそ
「これは迷宮が生み出した
「ギルド支給の武器が大体、銅を使ってるのって」
「低階層ですし、天然武器《ネイチャー・ウェポン》にしては色々と再利用が可能なので売れば良い値がつくのですよ。冒険者も買う側も両得です」
迷宮で得られた資源は上手く還元されているのだと納得がいった。
「ちなみにお幾ら?」
言い値がつくというので、ベルは頭の中で皮算用を立てる。
ベル達の食事代が一人一食50ヴァリス程度。4階層のモンスターの魔石が100ヴァリス前後なので、そのことを知悉しているリリルカが
「確か、今の相場だと1350ヴァリスだったかと」
「1350っ!? …………あれでねぇ」
想像の5倍以上の金額に目をひん剥き、予想以上の高効率具合にリリルカのバックパックに直された不出来な『どうのつるぎ』に思いを馳せる。
「冒険者に成りたいって人は何時でも一定数いるので、一時期乱獲されて供給過多になりすぎて問題になったぐらいです。それで今は一パーティにつき、売却は一日一本までと制限されています。なので一晩気前が良くなる程度の値段にされているという噂すらあります」
「深いんだね。まあ、一本でも効率は良いか」
噂が真実かどうかはともかく、モンスターが持つ
「あ、『どうのつるぎ』で思い出した。明日のことなんだけど」
昨日、ギルド・バベルから帰った後、ヘスティアから言われたことを思い出してリリルカを見る。
「神様の紹介でヘファイトスファミリアのホームに行くことになったんだけど、リリも一緒にどうかな?」
「えっ!?」
ヘファイトスファミリアはオラリオでもトップに近い大派閥。そのホームに行くなど普通ならばありえない。
まさかそんな誘いを受けるとは思いもしなかったリリルカは必死に頭を働かせる。どう言ったらベル達の心象を損ねずに上手くこの事案を回避させるか、言い方も考えて口を開く。
「リリはベル様達と違うファミリアに所属しています。ヘファイトスファミリアほどの派閥の紹介ならば、同ファミリアだけで行かれた方がよろしいかと」
「じゃあ、この機会にリリも
「…………本気だったのですか?」
「僕は、本気だよ」
まっすぐに見つめられてリリルカは自分でも顔の紅潮を制御できない。思考が空回りして、纏まりを欠いていく。
今まで、ここまで自分を肯定してくれた人はいただろうかと考える。ここまで自分のことを考えてくれた人がいただろうかと思ってしまう。ここまで、ここまで、ここまで、ここまで―――――。
リリルカがここまで他人から求められたことは初めてだ。だから、普通に考えるなら答えは一つしかない。しかし、それを今ここで口にすることは、 今までの自分の生き方と反する。
「そんなに早く
「内定?っていうんだっけ。話だけでも進めてもいいと思うんだ」
「外堀を埋める気ですか……」
「機会は有効に活用しないとね」
胸を張って得意気なベルに苦笑してしまう。本当に自分なんかがこんなに良くしてくれていいのかという疑問と、こんなにも自分を求めてくれる人がいる嬉しさが同居していて、どうしようもない気持ちになってしまう。
リリルカは俯いて、両手を強く握る。
(どうせ、また捨てられる。きっと裏切られる)
もう二度誰かを信じないようにしてきたはずなのに、どうして自分はこんなに弱いのだろうと唇を噛む。
ベルの押しの強さに、精神的に追い詰められたリリルカは頭の中のメモ用紙の端っこに書かれていた情報に飛びつく。
「なんにしても、明日はソーマファミリアの月一回の集会に参加しなければならないので同行は出来ません。申し訳ありません」
「そうか、残念だけどまた機会を見るとするよ。僕らは何時でもリリを歓迎しているから」
用事があるなら仕方ないと、ベルは残念そうにしながらも引き下がることにした。
「本当にベル様は……」
なんの衒いの無い瞳に自分の汚さを思い知らされるようで、リリルカは居た堪れなくなってベルから体ごと逸らした。そんなリリルカを辺りの警戒を続けながら見ていたアルスは後どれぐらいで押しに負けて折れるだろうかと指折り数えていた。
その後、5階層から6階層まで探索を終えて帰還するまでリリは必要以上に口を開くことはなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――――――――アルスは、レベル11に あがった!
――――――――――ベルは、レベル7に あがった!
――――――――――ベルは、ヴァイパーファングを覚えた!
――――――――――ベルは、メタルウィングを覚えた!
――――――――――ベルは、レベル8に あがった!
【アルス・クラネル Lv.2(レベル10→11)
HP:56→64
MP;29→34
ちから:27→29
みのまもり:13→14
すばやさ:32→35
きようさ:20→22
こうげき魔力:28→31
かいふく魔力:30→33
みりょく:24→26
《魔法》
【メラ】 ・火炎系魔法(小)
【ホイム】 ・治癒系魔法(小)
【ギラ】 ・閃光系魔法(小)
【イオ】 ・爆発系魔法(小)
《技能》
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
【ぶんまわし】 ・武器を振り回すことで範囲攻撃が可能
【渾身斬り】 ・敵一体に大ダメージ
《スキル》
【ドラゴン斬り】 ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
【
《次のレベルまで:1150》】
【そうび
みぎて 『てつのつるぎ』
ひだりて 『せいどうの盾』
あたま 『とんがりぼうし』
からだ 『布の服』『くさりかたびら』
アクセ1 『金のネックレス』
アクセ2 『スライムピアス』 】
【ベル・クラネル Lv.1(レベル6→8)
HP:48→61
MP;21→26
ちから:20→24
みのまもり:11→12
すばやさ:28→35
きようさ:23→30
こうげき魔力:20→27
かいふく魔力:0
みりょく:22→29
《魔法》
《技能》
【スリープダガー】 ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
【ヴァイパーファング】・敵1体に攻撃、たまに猛毒にする
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
《スキル》
【スライムブロウ】 ・スライム種に対して投擲武器効果強化
【メタルウィング】 ・メタル種に対して投擲武器効果強化
【
《次のレベルまで:619 】
【そうび
みぎて 『ブロンズナイフ』
『せいどうのつるぎ』
ひだりて 『クロスブーメラン』
あたま 『とんがりぼうし』
からだ 『布の服』『くさりかたびら』
アクセ1 『金のネックレス』
アクセ2 『スライムピアス』 】
その夜、二人のステータスを更新したヘスティアが初の同時レベルアップに卒倒して、翌日のヘファイトスファミリアのホームに行くのが遅れたのは余談である。
本作では装備の重ね着が出来るので、『からだ』に『布の服』に『くさりかたびら』を合わせることが出来ます。
但し『よろい』の重ね着などは出来ません。