ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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 感想、評価ありがとうございます。
 頂けると創作意欲が沸々と湧いてきます。

 勝手ながら投稿時間を変更しました。



第14話 アルスたちは、呪文を ふうじられた!

 

 

 

 

 

 玉葱形をした軟泥状のモンスターが視線の先で跳ねる。半分液体のようなオレンジ色のスライムが笑った風な顔のまま跳ね回っていた。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――スライムベスに ダメージ!

――――――――――スライムベスを たおした!

――――――――――アルスたちは 20ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――スライムベスは 魔石を 落としていった!

 

 柔らかな体を震わせながら襲い掛かってきたスライムベスが、アルス・クラネルの一閃によって魔石を残して消滅する。

 戦闘終了を確認してリリルカ・アーデがスライムベスが落としていった魔石を回収する。

 ダンジョンから発生した直後に倒されてしまったので、スライム種に対する特攻スキルが目覚めてから喜び勇んで見敵必殺(サーチアンドデストロイ)なベル・クラネルはクロスブーメランを持って一人残念そうに肩を落としていたりするのは余談である。

 魔石を回収し終えて一行は進む。

 

「7階層のモンスターを一撃か。ここまでの階層での戦いでも思ったが椿の言った通り俺よりも強いな、アルスは」

 

 ヘファイトスファミリアの団長である椿・コルプランドの見立てを疑っていたわけではなかったが、ヴェルフ・クロッゾが心の中で抱いていた疑念は見事に晴れた。

 ダンジョンに突入して特に5階層以降に入ってからのアルスの戦いぶりはヴェルフから見ても驚くばかりだった。7階層に降りるまで、ほぼ一人で全てのモンスターを一撃で倒すことは今のヴェルフには出来ない。

 

「その強さの一因はヴェルフにあると思うよ」

「はは、そう言ってもらえると鍛冶師冥利に尽きるぜ。どうだ、『せいどうのつるぎ+3(得物)』の使い心地は?」

「前とは段違いだよ。武器が強化されてると攻撃力が全然違うね」

 

 アルスも同じことを考えていたので深く頷く。

 

「あれだけ質の良い物が出来るのなんざ、年に一回か二回くらいなもんだ。『ふしぎな鍛冶』様様だぜ。つまりはベル達のお蔭ってこった」

「でも、僕達ばかり良い思いをしすぎだよ。戦闘用アイテムまで貰って」

「気にすんなって。『ちからのゆびわ』はパーティーを組んでもらった礼だ」

「今更返せって言われてもアルスは返しそうもないけどいいの?」

「いいさ。埃を被ってた物を『ふしぎな鍛冶』で強化したんだ。有効に活用してくれ」

 

 元々、ヴェルフは保有していた『ちからのゆびわ』を『ふしぎな鍛冶』で打ち直し、強化された『ちからのゆびわ+3』は今、アルスが装備している。

 指に嵌める物だから最初は違和感を感じていたようだが、強化された『てつのつるぎ+3』と相まって激増した攻撃力のお蔭で、ベルがサポートしたとしてもここまでの階層での戦いはほぼアルスの無双状態と言えるものだった。

 

「あの後に『ふしぎな鍛冶』を使ったんですか?」

「いや、今日の朝だ。あの後も造ろうとしたんだが、集中力が続かなくて碌な物が出来なかった。来る前にヘファイトス様に聞いたら、曰く『レベルが足りない』ってことらしい」

 

 レベルが上がれば集中力も増えて、『ふしぎな鍛冶』で使える特技も覚えていくと併せて聞いたとヴェルフは続く。

 

「お二人とも喋っている間に新手が来ましたよ!」

 

 リリルカ・アーデの警鐘にベルとヴェルフが前を向くと、通路の角向こうから太鼓の音が聞こえてきた。

 

――――――――――まもののむれが あらわれた!

 

 現れたのは、顔のついた太鼓を持った屈強な緑色のお化けのようなモンスターと白い二頭身の体に杖を持ったモンスターが2体。

 前者は相変わらず太鼓を叩いているが、後者の杖を持ったモンスターはアルス達を認識すると同時に敵意を向けてきた。

 

「ドルイドは魔法を使います! 気を付けてください!」

 

 ドルイドAが杖を構えたのを見て、リリルカのアドバイスに『てつのつるぎ+3』を抜いたアルスが飛び出す。次いでベルも動くがブーメランは必殺の威力は無いので『せいどうのつるぎ+3』を選択する。

 アルスには魔法があるが現状では7階層になるとブーメランと同じく必殺の威力はなく、パーティーで唯一の治癒魔法の使い手であるのでMPを温存する為に物理攻撃を選択したのだった。

 二人と違ってその場を動かなかったヴェルフはドルイドAに右手を向けながら詠唱していた。

 

「燃え尽きろ、外法の業――」

 

 ドルイドの魔法発動の方が速いがアルス達に焦りはない。

 

「――――ウィル・オ・ウィスプ」

 

――――――――――ヴェルフは ウィル・オ・ウィスプを となえた!

 

 ヴェルフの対魔力魔法(アンチ・マジック・ファイア)が発動し、ドルイドAが放とうとしていた魔法の魔力暴発(イグニス・ファトゥス)を誘発して爆発。

 

――――――――――ドルイドAの 魔法が失敗 爆発した!

――――――――――ドルイドAに ダメージ!

――――――――――ドルイドAを たおした!

 

 守備力が高くないドルイドAには大きなダメージで、魔石を残して消滅する。自爆の衝撃は間近にいたドルイドBとドラムゴートにも及び、体勢を大きく崩している。その隙に接近した二人が攻撃を仕掛ける。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは かえん斬りを はなった!

――――――――――ドラムゴートに ダメージ!

 

 アルスによる火を纏った斬撃はドラムゴートに確かなダメージを刻み込んだが、倒すには後少し攻撃力が足りなかった。ドルイドBを狙おうしていたベルが標的を変更する。

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――ドラムゴートに ダメージ!

――――――――――ドラムゴートを たおした!

 

 ベルの追撃によって大きなダメージを負っていたドラムゴートは魔石を残して消滅する。残ったドルイドBの魔法が発動した。

 

――――――――――ドルイドBは マホトーンを となえた!

――――――――――アルスたちは、呪文を ふうじられた!

 

「――っ!」

 

 アルス達がドラムゴートを倒している間に接近していたヴェルフが、魔法封印魔法(マホトーン)によって声を出せなくなったままドルイドBに向かって『てつのオノ』を振り下ろす。

 

――――――――――ドルイドBに ダメージ!

 

 ドルイドBは弾き飛ばされたが、元気一杯という風情で再度杖を構えて魔法を放とうとする。

 

「っ!」

 

 そこへドラムゴートを倒して直ぐに転進していたアルスが『てつのつるぎ+3』を振り上げていた。

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――ドルイドBに ダメージ!

――――――――――ドルイドBを たおした!

――――――――――まもののむれを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 87ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!

――――――――――ドルイドBは まどうしの杖を 落としていった!

 

 新手が現れる気配はなく、アルス達は武器を収める。倒したモンスターの魔石とドロップアイテムの回収をリリルカが行っている間、ベルはモンスター達の強さを思い返す。

 

「7階層になるとアルスでも一撃で倒せないか。ヴェルフがソロで7階層に進出できないのも分かるよ」

「Lv.1がソロで潜れる限界は6階層までと言われてるぐらいだ。ソロだと攻撃・防御・回復、地上に帰還する為の余裕を残した上で全てを一人でやらないといけない。役割を分担できるからパーティーは楽でいい」

「一人増えるだけで大分変わるからね。多分、僕とアルスだけで戦ってたらもっと苦戦してたと思う」

 

 ドルイドAの魔法を防ぐ為にはアルスが魔法を使うか、ベルのブーメランを使うしかなく、その後の行動の選択肢が狭まる。ヴェルフがいなければダメージを負っていたが、アルスのMPを今以上に消費していたことは間違いない。

 

「…………苦戦以前に、クロッゾ様が『魔剣』を使っていれば危険を冒す必要もなかったとリリは思います」

 

 魔石とドロップアイテムを回収し終えたリリルカがチクリと零す。

 

「今の戦いで魔剣は必要なかっただろ」

「結果論です。もっとモンスターが多かったり、途中で新手が現れていたらダメージを負っていた可能性があります。『ちからのゆびわ』よりもどうせなら『クロッゾの魔剣』を渡すべきでした」

 

 リリルカの懸念も可能性に過ぎないが、ダンジョンでは備え過ぎるに越したことはない。

 そんなことはダンジョンに潜るヴェルフにも分かり切っていることだが、そうは出来ない事情が彼にはある。

 

「俺は、魔剣を造りたくない」

「だから、剣ではなく斧を使っているとでも? 恵まれたモノがあるのに使わないとは、随分と余裕がおありのようで」

 

 初顔合わせの時以来、どうにもヴェルフを嫌っている様子のリリルカが噛みつく。

 喧嘩上等のヴェルフも臨戦態勢で胸を張り、間に挟まれたベルがオロオロと二人の顔を見る。

 

「ソロだと防御を重視しなくちゃいけないから盾を持つのは必須。片手で使えて攻撃力の高い武器が斧だったってだけだ。俺の信条とは関係ねぇよ」

「じゃあ、その背中の剣はなんですか?」

「昔に打った魔剣だ。ソロだった時に危ない時用に持ってるだけだ。意地を張るのも自分の命があってのものだからな」

「命と天秤に賭けたら負ける程度の安い意地ですか」

「安かろうが意地は意地だ。ないよりはマシだろ」

 

 馬鹿にするようなニュアンスの言葉に、ハンと鼻を鳴らして応えるヴェルフ。

 バチバチと目で火花を散らす二人に、ベルはどうしたものかとオロオロとして、アルスは座り込んで地面に落書きしていた。

 

(やはり気に入りません、この人(ヴェルフ・クロッゾ)は)

 

 没落したとはいえ、鍛冶貴族と呼ばれた過去があり、ヴェルフは一族で唯一魔剣を打てる鍛冶師。しかも世界に名を轟かせるヘファイトスファミリアに所属していて、異常な成長速度のベル達に紹介されるということは将来を嘱望されているのは間違いない。にも拘わらず、本人は魔剣を打つことを断固として拒否している有様。

 クロッゾの末裔が魔剣を打てるのにどれだけ金を積まれても売らないと数年前に噂になっていた。噂レベルでも情報収集を欠かしてこなかったリリルカは特異な者もいるのだと記憶していた。

 恵まれた資質を持ちながら活かさないのに、都合の良い時に利用する。生まれからして真逆の立場にいるリリルカからすればヴェルフの存在自体が癪に障る。

 

――――――――――ガルーダは こちらが みがまえるまえにおそいかかってきた!

 

「リリ助!?」

 

 飛んできた鳥型モンスターが上空からリリルカを目掛けて急降下してきたことに真っ先にヴェルフが気づいて動く。

 

――――――――――ガルーダの こうげき!

――――――――――ヴェルフに ダメージ!

 

「ぐっ!?」

「クロッゾ様!?」

 

 リリルカを庇ったヴェルフが盾でガルーダの攻撃を受けるも苦痛に呻く。

 ガルーダは攻撃を放った後、上空に上がって旋回する。

 二人に駆け寄るも先にモンスターを倒すことを優先したベルは、上空を飛び回るガルーダに向かって背中で固定しているクロスブーメランを取って投げる。

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――ガルーダに ダメージ!

 

 右翼にクロスブーメランが直撃し、ダメージを負ったガルーダが落ちてくる。落下地点に先回りしたアルスが『てつのつるぎ+3』を振りかぶる。

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――ガルーダに ダメージ!

――――――――――ガルーダを たおした!

――――――――――アルスたちは 35ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――ガルーダは 魔石を 落としていった!

 

 

 

 

 








 7階層は、DQ11 ホムスビ山地のモンスターが出てきます。

 活動報告にて、「ダンまち×ドラクエ 除外代替魔法について」というのを挙げているので意見を頂けたら助かります。




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