ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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 本作でのダンジョン1、2階層はドラクエ11での『神の岩』と『デルダカール地方』に現れるモンスターが出現します。







第2話 アルスは メラを となえた!

 

 

 

 

 

「メラ」

 

――――――――――アルスは メラを となえた!

――――――――――スライムに ダメージ!

――――――――――スライムを たおした!

――――――――――スライムを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 2ポイントの経験値を かくとく!

 

 ダンジョン1階層で、アルスから放たれた火の玉が出現したばかりの水滴状の体にグミ状のモンスターに当たって燃やし尽くした。ベルが知る中では、恩恵を持っていない一般人でも武器があれば倒せる文句なしの最弱のモンスターが魔石を残して消滅する。

 

――――――――――スライムは 魔石を 落としていった!

 

「おお、スライムを一発で。流石は魔法」

 

 スライムが消滅した後に残った魔石を一応確保する。

 

「持って帰るのかって? 換金してもたったの20ヴァリスでもないよりはマシだしね」

 

 最弱でオラリオ以外にも普通にいるスライムの魔石はありふれていて、例え換金したとしても子供の小遣いにしかなりはしないが閑古鳥が鳴いている財布事情では贅沢は言ってられない。

 スライムに関わらず、この1階層に出現するモンスターの魔石の換金額自体が子供の小遣いレベルなのだが。

 早朝ということもあって、他の冒険者が全くないダンジョン1階層で集団の足音がこちらに近づいてくるのが聞こえる。

 

「次のモンスターが出てくるよ。いける? 僕も次は戦うよ。折角、貰った武器は使わないとね。アルスはどっちを使うの?」

 

 今回の冒険ではアルスの代わったステータスの確認と、魔法の試し打ちや貰ったばかりの武器に慣れるのを主目的としていた。

 四つの武器は全て持ってきており、片手剣と大剣はアルスが、短剣とブーメランはベルが持っている。

 

「――」

 

 アルスは背中に背負っていた大剣を外して手頃な高さの岩に立てかけ、腰に吊るした片手剣『せいどうのつるぎ』をスラッと鞘から抜き放った。

 同時に曲がり角からモンスターの集団が姿を現す。

 

――――――――――モコッキーたちが あらわれた!

 

 モンスターの集団はスライムには勝るが最弱に近いモンスターで、ヘルメットから綿のような髪とヒゲがはみ出している小人が三体向かってくる。

 二体が先行し、一体はベルから見て左側にやや遅れた位置にいる。

 

「モコッキーか。右は僕が、左の二体は任せるよ」

 

 コクリと頷いたアルスが『せいどうのつるぎ』を持って切り込む。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――モコッキーAに ダメージ!

――――――――――モコッキーAを たおした!

 

彼我の強さを感じ取った左側後方にいたもう一体は逃げようとする仕草を見せるも、その速度はアルスの目から見れば鈍重そのもの。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは かえん斬りを はなった!

――――――――――モコッキーBに ダメージ!

――――――――――モコッキーBを たおした!

 

 切り返した火炎を纏った『せいどうのつるぎ』による一刀によって、先に両断されたモコッキーと同じ末路を辿る。

 

「おっと、僕も」

 

 見事な戦いぶりに見とれている場合ではなかった。隙を晒していたベルだったがも最後のモコッキーの方へと顔を戻す。

 

――――――――――モコッキーCは 軽快に ステップを ふんでいる

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――モコッキーCに ダメージ!

――――――――――モコッキーCを たおした!

 

 ベルが担当するモコッキーは「軽快にステップを踏む」をしていて、あまりにも隙だらけだったので『ブロンズナイフ』を突き刺して簡単に倒せた。

 

――――――――――モコッキーたちを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 9ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――モコッキーたちは 魔石を 落としていった!

――――――――――モコッキーAは やわらかウールを 落としていった!

 

「…………ギルドの短剣と全然違うや。流石、ロキ・ファミリアの武器」

 

 武器を買うお金がない新人冒険者の為にギルド支給品の短剣では、以前に遭遇したモコッキーを同じように突き刺しても一撃では倒しきれなかった。武器の性能の大事さを実感した瞬間だった。

 それ以上に実感したのがアルスの強さ。

 

「武器もそうだけど凄く強くなったよね、アルス。昨日までは僕の方が早かったのに」

 

 モコッキーに接近した速度、一刀両断した力と技、全てが昨日とは雲泥の違いだった。流石にミノタウロスと比べると劣るだろうが、単純な速度では確実にベルよりも何倍も早い。

 当の本人は嬉々として倒したモコッキーの魔石を確保し、運よくドロップした『やわらかウール』を手にして飛び跳ねているが。

 

「言われなくても取るよ」

 

 ベルが倒したモコッキーの魔石を何時までも取らないのに気付いて聞いてくるのに苦笑する。

 ステイタスは確実に上がっているのに、中身は何も変わっていないことに安心を覚える自分の内心に少し呆れつつも、次なるモンスターの足音に気持ちを切り替える。

 

――――――――――まもののむれが あらわれた!

 

「次が来たみたいだ」

 

 自分も負けじとモンスターを倒してステイタスを上げるのだと意気込む。

 ドダッドダッドダッドダッ、と先程の比ではない足音の主達が直角の曲がり角から現れた。

 

「おおがらすにドラキー、ズッキーニャ、いっかくウサギ、フロッガーにおおきづち、マンドラ、ももんじゃ…………なんで?」

 

 モンスターは本来ならば同種でない限り徒党を組むことがないはずで、先ほど倒したスライムとモコッキーを除いた1階層のオールスターモンスター達が一塊となってこちらに向かってくる。

 

「アルス、逃げ――」

 

 一体一体はよほど油断しなければ新人冒険者であっても倒される危険は薄いが、何体も纏めて襲って来ているこの状況をベルは危険と判断して、逃げると言おうと口を開いている途中だった。

 

「イオ」

 

――――――――――アルスは イオを となえた!

――――――――――まもののむれに ダメージ!

――――――――――まもののむれを たおした!

――――――――――まもののむれを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 46ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――まもののむれたちは 魔石を 落としていった!

――――――――――いっかくうさぎは うさぎのしっぽを 落としていった!

――――――――――おおきづちは けものの皮を 落としていった!

 

 迫ってきていたモンスター達は自分たちの中心に投げつけられ、破裂した爆発に成す術もなく、魔石とドロップアイテムを残して消えていく。

 

――――――――――スライムたちが あらわれた!

 

 絶望が呆気なくどこかへ消え去ったと思っていたら、モンスター達を消滅させた魔法の爆発に釣られのか、三体のスライムが更に現れた。

 

「またスライムだ。気を――」

 

 先ほどのモンスターの群れが魔法一発で致命傷を負って灰となる前に、アルスは岩に立てかけていた大剣『どうの大剣』を手にしており、向かってくるスライムの一群に向かって両手に持った大剣を振りかぶっていた。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは 剣を ぶんまわした!

――――――――――スライムたちに ダメージ!

――――――――――スライムたちを たおした!

 

 スライムの先頭集団の前に飛び込んでの一撃は、集団を纏めて斬り飛ばした。

 

――――――――――アルスたちは 6ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――スライムたちは 魔石を 落としていった!

――――――――――スライムたちは スライムゼリーを 落としていった!

 

「うわぉ……」

 

 大剣を振った風圧でモンスター達の消滅の痕すら吹き飛ばし、ボトボトと次々に魔石が地面に落ちる。

 いっかくうさぎから『うさぎのしっぽ』、おおきづちから『けものの皮』、スライムからは『スライムゼリー』のドロップアイテムを獲得できて、小躍りするアルスは軽そうに大剣を振り回しているが、ベルがあの大剣を振るうと重さを制御できなくて体重が流れる。

 自在に操ってモンスター達を瞬殺した双子の弟の昨日との変わり具合に、ベルは内心で引いている自分に気づいてハッとする。

 

「神様の言った通り、朝早くに来てよかった。他の人に今のところを見られたら誤魔化しが利かないや」

 

 一番早く寝たはずなのに、明らかに寝てない風体の目元の隈をこさえたヘスティアの念押しに感謝する。

 

「ステイタスの詳細の口外禁止か。当たり前のことだけど」

 

 次々と現れるモンスター達を鎧袖一触とばかりに屠っていくアルスを見ながら、双子の弟の特異性に頭を痛める。

 

「僕はともかく、アルスはもうこの階層じゃあ冒険にならないなあ。アルス、交代!」

 

 今日は妙に多いモンスターとの遭遇(エンカウント)に首を捻りながら前衛を交代する。

 アルスと違って武器が短剣で攻撃力が低いこともあって一撃で倒せる率はかなり下がったが、自分が何があってもリカバリーの利く上位者となったアルスがいるので思い切った動きができる。

 

「アルスは魔石を拾っといて!」

 

 ぶー垂れているアルスに指示を出して戦闘に集中する。

 本来なら魔石やドロップアイテムは『サポーター』と呼ばれる非戦闘員が回収してくれるのだが、たった二人しかない零細ファミリアにはそんな余裕はなく、相方の安全に気を配りながら行わなければならなかった。

 背負っている特殊な製法で見た目よりもずっと多くを収納できる黒いバックパックに入れていくアルスを横目に戦闘を進めながら、頭の端でフリーのサポーターでも雇うべきだがお金がないなと考えた瞬間だった。

 

――――――――――ももんじゃは するどいツメで ひっかいた!

――――――――――ベルに ダメージ!

 

「うっ!?」

 

 ももんじゃの攻撃が、皮の帽子と皮の胸当てしか防備を身に着けておらず無防備だった肘の部分を僅かに掠めた。薄皮よりは深いが大した怪我ではく腕は問題なく動く。

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――ももんじゃに ダメージ!

――――――――――ももんじゃを たおした!

――――――――――ももんじゃは 魔石を 落としていった!

 

 現れた新手は全て倒し、魔石とドロップアイテムを回収し終えたアルスが近づいてきてベルの裂傷部分に手を伸ばす。

 

「ホイミ」

 

――――――――――アルスは ホイミを となえた!

 

 魔法名の直後、アルスの手の先から光が放たれてベルの肘の部分を覆い、傷が瞬く間に癒えていく。

 光が消え、癒えた肘周りを動かしても痛みは全くない。

 

「凄いね。攻撃魔法に回復魔法もなんて。僕とは全然違う――あだっ!?」

 

 ネガティブになっていくベルの頭が『どうの大剣』で叩かれた。

 視界に星が散るほどの衝撃に、頭を抱えて蹲る。

 

「な、なにを……」 

 

 グワングワンと歪んでいた視界もようやく落ち着きだしたところで恨み節を漏らすと、アルスは肩で大剣をポンポンとしながら邪気なく笑う。

 

「はぁ、分かったよ。もう言わない」

 

 毒気を抜かれたベルはさっきのは活を入れられたと好意的に解釈する。

 頭頂部にタンコブが出来ていそうだが、またホイミをかけてくれたので治った。ベルの痛み損なだけなのは忘れることにする。

 

「シャァーッ!」

 

 突如として響き渡るモンスターの叫び。

 聞こえてきた叫びの元を辿ってベルが顔を上げると、どこからか出現した霧が集まって集合体を形成する。

 

――――――――――スモークたちが あらわれた!

 

「スモーク!? 初心者殺しの!」

 

 頭上に出現したのが1階層で現れては、ダンジョンに慣れてきた頃の新人冒険者を殺してきた霧のモンスター。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは 剣を ぶんまわした!

――――――――――スモークAに ダメージ!

――――――――――スモークAを たおした!

――――――――――スモークBは かわした!

 

 飛び退いたベルと入れ替わるように、アルスが『どうの大剣』を振るってスモーク二体を切り払おうとするも、倒せたのは一体だけで、もう一体には霧の端を掠めるに留まった。スモークBにダメージを負った様子はない。

 

――――――――――スモークBの こうげき!

――――――――――アルスに ダメージ!

 

「駄目だ! スモークは霧だから実体の攻撃を躱しやすいんだ! エイナさんの言う通りなら魔法が有効だ。前衛は僕が出る。アルスは魔法で攻撃を!」

 

 スモークの反撃に傷を負いながら、アルスがバックステップで距離を取るのとスイッチするようにベルが前に出る。

 

(スモークは通常攻撃を高い確率で回避する。だから初心者殺しとも言われている。そのため通常攻撃ではなく魔法攻撃による攻めが有効だ。僕がするのは注意を引く囮、倒す必要はない!)

 

 ギルド職員でベル達のアドバイザーとなってくれたエイナ・チュールの薫陶を思い出しながら、火の息にさえ気を付ければ遠距離攻撃を持たないスモークに近づきすぎないように注意する。

 彼我の距離ではベルも攻撃できないことはないが、試したが狙っても碌に当たらないブーメランでは使わない方がいいだろう。

 

「ギラ」

 

――――――――――アルスは ギラを となえた!

 

「あ」

 

 ベルが戦術を練っている間に背後のアルスが魔法を放ち、閃光がスモークを貫いた。

 

――――――――――スモークBに ダメージ!

――――――――――スモークBを たおした!

 

「シャァーッ!?」

 

 スモークは断末魔を残して灰となって消え去り、魔石だけが存在した証明のように残された。

 

――――――――――スモークたちを たおした!

――――――――――アルスたちは 40ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――スモークたちは 魔石を 落としていった!

 

「ホイミ」

 

――――――――――アルスは ホイミを となえた!

 

「…………強くなるってのも、考え物だなあ。え、もう魔法が使えない気がするって? なんで?」

 

 大剣を床に突き刺して自分を癒したアルスがベルに向かって手を振る。

 

「MPが尽きた? マインドが尽きたら気絶するらしいけど、そこも普通(・・)と違うのかな」

 

 気絶するどころかアルスはピンシャンとしているが自分にしか分からないことは往々にしてある。本人がそう言うのなら暫くは魔法が使えないと判断するしかない。

 

「どうする? 大体は試せたし、一度ホームに戻って休…………はいはい、もっと先に進むのね。エイナさんと神様と約束してるから降りても2階層までだよ」

 

 大剣を振り回してやる気を見せているアルスに付き合うではないが、こんな短時間ではベル自身も消化不良なので前に進む。

 

「取り合えずバックパックが一杯になるまで頑張ろう。シルさんのお店に行く予定だから稼がないと」

 

 アイズ・ヴァレンシュタインの隣に立つにはもっともっと強くなられなければならない。その前に今日、ダンジョンに入る前に出会ったシル・フローヴァに誘われた店に行く為の資金を稼がないといけないという即物的な理由があった。

 

「一人で突き進むな、アルス!」

 

 まずは先行しがちな双子の弟を止めるベルだった。

 

 

 

 

 







 ドラクエではモンスターを倒すと何故かお金を得ることが出来ますが、本作ではモンスターを倒すと魔石とドロップアイテムを落とす。

 魔石を換金することでお金を得ることが出来ます。例えばスライムは獲得ゴールドは2ですが、流石に少なすぎるので10倍の20ヴァリスとしています。

 上層で得られるモンスターの魔石、ドロップアイテム、上層レベル武具はドラクエ11の10倍、中層で100倍、下層で500倍、深層で1000倍と本作では設定しています。


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