ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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第29話 お前はうちの神様の胸の良さが分かっていない!

 

 

 

 

 

 夜を迎えたオラリオの街、南にある繁華街のメインストリートから少し離れた路地裏の一角にある真っ赤な蜂の看板を飾る『火鉢亭』にベル達の姿はあった。

 

「「「「「乾杯!」」」」」

 

 主神も含めたヘスティアファミリアと、ヘファイトスファミリア所属のヴェルフ・クロッゾの五人が木のジョッキをぶつけ合う。

 乾杯の音頭を立っていたヘスティアがエールを一口に呷り、口髭をつけた状態で満面の笑みを浮かべる。

 

「Lv.2へのランクアップ、おめでとうみんな! 遅れてしまったが祝させてくれ!」

「ありがとうございます、神様」

 

 笑顔で応えたベル・クラネルに続き、他の者達もそれぞれの言葉で感謝の言葉を口にする。

 本日はベル達のランクアップ祝いであり、ベル達が座っている丸テーブルには様々な料理が並べられていた。

 

「ここは僕の奢りだ。好きに飲み食いしてくれよ!」

「といっても、美味なるサボテンステーキ(クエスト)クリアのお蔭で無料なのでヘスティア様の懐は痛みませんが」

「それは言いっこなしだぜ、リリルカ君……」

「奢ると言い出すと思って、火鉢亭(ここ)を選んだリリの英断を褒めてほしいぐらいです」

 

 ヘスティアのぼやきにリリルカ・アーデがしれっと答える。

 主神の金銭感覚の奔放さを理解して、大事にならないように先回りしているリリルカの行動力にヴェルフが感心して軽く笑う。

 

「はは、うちとは真逆のファミリアだな、ヘスティアファミリアは」

「ヘファイトス様のところとは違うの?」

 

 他所のファミリアの内情を知る機会が殆どないので、興味を引かれたベルが訊ねる。

 

「団長の椿があんな(・・・)だからな。金関係のことはヘファイトス様がやってる」

「ああ、そういう意味での真逆か」

「人のことを言えないが、鍛冶師っていう奴らは鍛冶のこととなると金遣いが荒くなっちまう。金関係を纏めてくれる人がいるのは有難いことさ」

 

 てつ装備からはがね装備に切り替える際、不足分の素材を自腹で賄って数年分の貯蓄を散財したヴェルフは自分のジョッキを一気に傾けて中身を飲み干す。

 

「だけど、別ファミリアなのに俺まで祝ってもらってよかったのか?」

 

 空になったジョッキを近くの給仕の女性に渡しながら新たな注文を入れて、ファミリアの祝いの場に外様の自分がいていいのかと思わずにはいられない。

 ヴェルフの疑問を、物凄い勢いで食べ進めているアルスにもっと味わって食べるように注意していたヘスティアが聞き取った。

 

「なにを言ってるんだ、鍛冶師君。君は僕のファミリアとパーティーを組んでいるんだ。ヘファイトスの眷属()なら僕が祝わない理由はない。仲間外れは良くないぜ!」

「ヘスティア様、ありがとうございます」

 

 愉快神が多い中でも間違いなく善神に位置するヘスティアの心遣いを感じとり、ヴェルフも深く感謝を伝える。

 

「しかし、リリ助もランクアップしてたとは驚いたな」

 

 気づかなかった、と続けたヴェルフにリリルカが頭を下げる。

 

「伝えるのが遅れてすみませんでした」

「リリルカ君は悪くない。全ては僕の不手際にある」

 

 申し訳なさそうにするリリルカを庇うようにヘスティアが手を差し出す。

 実際にはベル達に数日遅れてのランクアップが判明した際に、どうせならリリルカも同様にランクアップしたことにしてしまえと考え、面倒事は一纏めにしてしまえと暴挙に出たヘスティアなので、悪いのが誰かと言えばヘスティアで間違いない。

 

「魔法が目覚めたことに目を奪われて、ランクアップしたことを伝え忘れたんだ」

 

 ベル達と考えに考え末での言い訳ではあるが、ある種の説得力があったのでヴェルフも素直に受け入れる。

 

「複数の魔法が出現したのだから仕方ないですよ。良かったな、リリ助」

「…………はい。ありがとうございます、ヴェルフ様」

 

 純粋に喜んでくれている仲間(ヴェルフ)に嘘をつく罪悪感を抱くリリルカと同じ気持ちのベルは、こういう時の頼み綱とアルスを見る。

 

「ほら、アルスも何か言ってあげて」

 

→このサボテンステーキ、美味ぇ

 みんなランクアップして良かった良かった

 

 一人でガツガツと食べているアルスの話題転換にリリルカとベルも乗ることにした。

 

「確かに改良したって言うだけあって美味しいですね」

「僕は以前のを知らないから、単純な比較は出来ないけど確かに美味しい」

 

 改良提供第一号選ばれて早速食べてみれば、アルスが称賛するだけあって美味だった。

 

「うん、サボテンを使ったステーキなんてどうなんだって思ったけど、下界の子の考えることは本当に凄い」

 

 そもそもモンスターを素材に料理をという時点でヘスティアは敬遠していたが、神の想像を超えた料理を作る店主に唸らざるをえない。

 

「だろ。前も美味かったが確実に味を上げてやがる。大したもんだよ」

 

 火鉢亭は一部の冒険者や鍛冶師に人気のある店で、面子の中で唯一以前のサボテンステーキを知るヴェルフも感心していた。

 折角の料理を楽しまなければ損と、一通り食を進める。

 

「今日は随分と装備が汚れていたようだけど、そんなに苦戦したのかい?」

 

 当初の予定とは違い、出かける前にベル達が帰ってきたことで行き違いにならなかったが、一度ダンジョンからホームに帰ってきて南のメインストリートで合流する必要があるほど装備が泥で汚れていた。

 

「苦戦、というほどのことは無かったと思いますよ。ねえ、リリ」

「ええ、装備が汚れていたのは11階層が湿原エリアだったからです。湿った草原の上で戦闘をするので、どうしても泥が跳ねてしまうのです」

「鍛冶師泣かせの階層だぜ、まったく。整備が必要なら言えよ、お前ら」

「今のところは大丈夫だと思う。アルスは?」

 

→てっかめん!

俺も大丈夫

 

 頭部に被る装備の『てっかめん』をアルスがいきなり被った。

 

「食事中に整備前のドロップアイテムを被るのは止めなよ」

「ヴェルフ様、預かっておいてくれますか?」

「ああ、分かった」

 

 ベルの注意に渋々『てっかめん』を外し、リリルカが再度被らないようにアルスの手から預かり、そのままヴェルフに手渡す。

 11階層に出現するモンスター『あおばち騎兵』を倒した時に得られたドロップアイテム『てっかめん』は、モンスターが使っていた物をそのままでは使えないので整備する必要がある。初めて整備する『てっかめん』にどのような手順で行うかとヴェルフは思案しながら、忘れて帰られないようにテーブルの上端に置きながら戦闘のことを思い出す。

 

「しかし、リリ助もそうだがベルもアルスも急に動きが良くなったよな」

「え、そう?」

「ベルは周りの動きや状態を見てから動く癖があったのに思い切りが良くなったし、逆にアルスは周りを確認するようになった」

 

 他にも動きの一つ一つを取っても以前とは変わってきていると、大型の盾を持っているから魔導師となったリリルカの防衛の為に後衛にいることが多いヴェルフだからこそ見えてくるものがある。

 

「なによりもリリ助が魔導師らしくなったのが大きいな。ここ数日ダンジョンに潜らなかったが、何か特別な訓練でも積んだのか?」

 

 リリルカは魔導師になってもサポーター歴が長すぎて、らしさが無かったが今日のダンジョンでは前衛の動きを見ながら正しく魔導師としての動きをしていた。ヘスティアに苦戦らしい苦戦をしなかったと伝えられるのも、ベル達の動き以上にリリルカの立ち回りが劇的に向上したことが大きかった。

 

「上級冒険者の方から薫陶を受ける機会を頂きまして。ヴェルフ様の目から見ても成果に繋がっているのならば効果があったというわけですね」

 

 リリルカは褒められてテーブルの下で密かに拳を握りしめつつも、顔は平静を装って立ち回りが良くなった理由を明かす。

 

「ほう、上級冒険者の」

「相手の方に迷惑がかかるので詳しくはお教え出来ませんよ」

「なんならヴェルフも参加する?」

「…………いや、止めておく」

 

 ベルの提案に数秒だけ思案したヴェルフは首を横に振る。

 

「その上級冒険者は別のファミリアの奴なんだろ? ヘスティアファミリアじゃない俺が参加するのは望まれてないだろうしな」

「そんなことないと思うけど」

「普通なら別ファミリアの奴が指導してくれるなんてことはないんだ。ベル達の糧になることを俺が邪魔するわけにいかない。気持ちだけ受け取っておくよ」

 

 アイズ・ヴァレンシュタインはともかくとしてレフィーヤ・ウィリディスはヴェルフの参加を歓迎しないことは、一時的な師弟となっているリリルカでも簡単に想像できた。

 まだ引き入れたそうなベルを見たリリルカは、食事に夢中になっているヘスティアにアイコンタクトで話題転換を求める。

 

「なんにしろ、順調に到達階層が伸びているようで、僕も安心だよ。ほら、食事の手が止まってるよ! もっと食べて食べて」

 

 リリルカの意図に気づいたヘスティアは、この話はここまでだと食事を勧める。

 

「だから、ヘスティア様の奢りではないというのに」

「まあ、いいじゃねぇか。それ、リリ助。もっと食って大きくなれよ」

 

 他派閥のことにあまり首を突っ込みすぎるな、とヘファイトスから忠告を受けているヴェルフもこれ幸いと話に乗る。

 

「リリは小人族(パルゥム)なのでこれ以上は大して大きくなれません」

「何言ってんだ、胸の話だぞ」

「セクハラです、ヴェルフ様」

 

 ヴェルフの下世話な冗談に、リリルカは小さく溜息をついてギンと睨みつける。

 

「おっと、これは一本取られたぞ」

 

→そうだぞ、リリ。大は小を兼ねるんだ

  え、ヴェルフの股の棒が取られたって?

 

「セクハラだと言いましたよ、アルス様」

 

 ヴェルフとアルスは二人でごめんなさいと頭を下げる。

 

「そうだよ、二人とも。ちゃんとベル君の紳士ぶりを見習いたまえ」

「ベルが紳士ねぇ……」

 

→ベルはむっつりなだけ。田舎の自分の部屋のベッド下にムフフ本を隠していた

  ベルの好みが金髪年上エルフで、二人が趣味範囲外なだけだって

 

「なななななななな何を言っているのかなアルスは!? そんな出鱈目を――」

「そこのところ詳しく」

「神様ぁっ!?」

 

 慌てるベルを近づけんと目を漆黒に輝かせたヘスティアが阻む。

 力尽くで無理をしたら見た目通りの体でしかないヘスティアを怪我させてしまうのでベルは拘束を抜け出せない。

 

「ベルも男だよなぁ。で、本当なのか?」

 

 ヴェルフの問いに、リリルカも耳をダンボにして聞いているのでアルスはどう答えるべきかと考える。

 

→嘘ぴょーん!

 金髪年上エルフのページに折り目がついていた

 

「はは、だってさ。良かったな、リリ助」

「ベル様のあの慌てよう、本当に嘘なのでしょうか……」

 

 ここはベルの名誉を守ってあげたアルスに、ヴェルフは直感的に真実を悟りつつ、ようやくやってきた追加で頼んだこの店のもう一つの名物である紅玉を煮詰めたかのような真っ赤な蜂蜜酒を口に運ぶ。

 

「主神と仲が良いってのは良いファミリアの証拠だ。お互いの相性が良いんだろうが、ベル達の躍進ぶりは毎回ダンジョンに入る度に驚くが、まさかもうLv.3にランクアップしたなんてことはないよな?」

「ええ、大丈夫です。まだ(・・)Lv.3になってはいません」

 

 そう、まだ成ってはいない。今日のダンジョンでの分もまだステータス更新をしていないが、アルスの現在のレベルを考えれば近い内にLv.3へのランクアップに至る可能性が高い。

 まだランクアップ申請したところなのに、もう次のランクアップが間近となっている現状を純粋喜んでいるベル達と違ってヘスティアだけがリリルカの胃痛を分かってくれる存在だった。

 

「――――何がLv.3だよ。駆け出し冒険差(ルーキー)は嘘もインチキもやりたい放題で良い御身分だなぁ! インチキもほどほどにしておけよ!」

 

 間近に聞こえた大声に目を向ければ、通路を隔てた向かいのテーブルに座っている冒険者集団の一人の小人族(パルゥム)がジョッキを片手にニヤニヤと笑っている。

 アルス達が目を向ければ、前髪は斜め気味に切り揃えてやや外はねしたおかっぱ風の髪型、黒を基調としたファミリアの制服に身を包み、左胸には金の弓矢に輝く太陽を刻んだ徽章が張り付けられている。

 

「あの『剣姫』を大幅に上回る世界最速兎(レコードホルダー)を詐称するなんざ、オイラには怖すぎて真似できねぇな!」

 

 子供のものと変わらないキンキンと甲高い声が店内に響き渡り、店中の注目が集まる中で小人族(パルゥム)のルアン・エスペルは調子に乗ったように続ける。

 

「嘘つき『兎』を野放しにする主神も、きっとデカい胸だけが取り柄の威厳も尊厳もない落ちこぼれなんだろうな!」

 

 ガン、と店中に響き渡るほどの大きな音を立ててアルスが机を叩きながら立ち上がった。

 これはマズいとヘスティアがアルスの服の袖を掴む。

 

「あ、アルス君。落ち着きなよ、僕は気になんてしてないから……」

「アルス」

 

 ジョッキを傾けてジュースを飲み込んだベルがアルスに声をかけてくれたので助勢してくれるかとヘスティアは思った。

 

「やっちゃえ」

 

 目が据わったベルのGOサインに、一瞬の内でヘスティアの手から逃れたアルスがルアンの前に無言のまま移動する。

 目の前に立つアルスの無表情にルアンは口を引き攣らせ、及び腰になりながらも指を突きつける。

 

「な、なんだよ。図星をつかれたからってムキになるなんて、実はお前もそう思ってるんだろ!」

 

→ふっ、ちっちぇ男だ

 お前はうちの神様の胸の良さが分かっていない!

 

「何言ってやがる! オイラが小さいのは小人族(パルゥム)だから――」

 

 体の小ささを嘲笑されたと感じたルアンが言い返している途中でアルスの右手が神速で動いて掴んだ――――ルアンの股間を!

 

「はわっ!?」

 

 膝を曲げながら股間を文字通りギュッと物理的に掴まれたルアンの口から素っ頓狂な声が漏れる。

 

→器のちっちぇ男は、ナニもちっちぇな

 あら、可愛いボクちゃんですねぇ!

 

「て、テメェ離しやがれ! ぐっ、動かねぇ……なんて力をしてやがるっ!」

 

 種族が違おうとも男として大事な部分は変わらない。象徴を貶されたルアンは顔を真っ赤にしてアルスの手を振りほどこうとするが、Lv.3間近のアルスの『ちから』とLv.1のルアンの『力』では後者が敵うはずもない。

 

「ルアン、なにをやっているのだ」

「助けてくれ、リッソス!」

 

 金髪エルフが予想外の展開に流石に看過出来ぬと口を挟めば、当然ながら力尽くではどうにも出来ないルアンが助けを求めた。

 アルスがリッソスと呼ばれたリッソスを見て、ふっと失笑する。

 

→男に興味はない。金髪巨乳エルフになってから出直して来い

 ナニのちっせえ奴の仲間もナニがちっせえんだろうな

 

 エルフは基本的に誇り高い。嘲笑ったアルスに内容が内容なだけにリッソスが激昂するのも早かった。

 

「私を愚弄するか!」

 

 飛び掛かって来られるのを予測していたアルスは玉を掴んだルアンごとリッソスの拳を避ける。

 

「のわぁっ!?」

「ぐわっ!?」

 

 玉を引っ張られて無理やり動かされたルアンの素っ頓狂な声を聞きながら、進行方向にルアンの足を置いておいてリッソスを引っかけて倒す。

 リッソスが倒れ込んだのはヴェルフの近くだった。

 

「おっと、手が滑った」

 

 近くに倒れたリッソスの顔に向かって、ヴェルフは持っていたジョッキを傾けて中身をぶちまける。

 一口二口しか口をつけていなかった蜂蜜酒を顔面にかけられたリッソスがぶち切れていると分かる表情でゆっくりと立ち上がる。

 

「き、きさま……」

「他所の主神を貶すなんざ、テメェの主神の品度が知れるぜ?」

 

 ヴェルフの嘲りが、ルアンやリッソスの醜態を笑っていた他の仲間たちの堪忍袋の緒が切れさした。

 六人で座っていたテーブルでルアンとリッソスを除いた四人の内、三人が敵意を宿した目で立ち上がってヴェルフを睨みつける。

 

「我らが神を侮辱するか!」

「先にしてきたのはあなた達でしょう!」

「構わねぇ、やっちまえ!」

 

 ベルが言い返したことで、ライオン系の獣人の言葉が合図だったように二つの集団はぶつかった。

 響き渡る皿が割れる音と給仕の悲鳴が響き、狭い酒場の中で大乱闘が始まった。

 

「ぬわっ!? へにょぉっ!? へなぁっ!?」

 

 尚、ルアンはアルスに股間を掴まれたまま振り回されていた。

 

「ああもうっ、これだから冒険者は」

「あわわわわ、とんだ一大事に……!?」

 

 リリルカが頭が痛いとばかりに手で押さえ、喧嘩に発展してしまった状況にヘスティアはオロオロとする。

 

「やっ!」 

「おらぁっ!」

 

 ルアンの玉を掴んだままのアルスは避けるだけだったが、戦況はベル達の圧倒的有利だった。

 特に抜き出た動きを見せたベルが二人を瞬く間に叩きのめし、ヴェルフが獣人を蹴飛ばしたところで席から動かずに残っていた最後の一人が立ち上がる。

 敵の仲間なのでベルは意識の端で注意を向けていたはずなのに、一瞬でヴェルフの下へ移動した。

 

「うおっ!?」

「ヴェルフ!?」

 

 拳の一撃で壁へと叩きつけられるヴェルフに、ベルが一瞬気を取られている間に男はベルの懐へと飛び込んでいた。

 

「ぐっ!?」

 

 左頬に衝撃と痛みが走って床に転がって初めて、ベルは男に殴られたのだと気が付いた。

 

「どうした? まだ、撫でただけだぞ」

 

 床に転がったベルを男はつまらなそうに見下ろす。

 

「あいつ、ヒュアキントスだ」

「『太陽の光寵童(ポエブス・アポロ)』……」

「Lv.3の第二級冒険者様かよ」

 

 男――――ヒュアキントス・クリオを見て、ようやくアルスは掴んだままのルアンの玉を手放した。ルアンはあまりにも玉を引っ張られ過ぎて既に気絶しており、そのまま床に崩れ落ちる。

 ルアンを見ることなく、アルスは右手を軽く上げる。

 

→嫌な物を掴んでしまった。手を洗いたい

  やるな、お前。一丁、やってみるか?

 

「今、言うことですかそれ!?」

 

 思わずツッコミを入れたリリルカだったが、ヒュアキントスがベルから視線を外してこちらへ向かってきたのでアルスの背中にサッと隠れる。

 ヒュアキントスはアルスではなく、その横に立っていたヘスティアの前へ移動して片膝をついて頭を下げる。

 

「――――うちの冒険者が暴言を吐き、誠に申し訳ありません。お許し頂きたい」

 

 紳士的な対応を取ったヒュアキントスに、ヘスティアはベルとヴェルフに目を移して大した怪我を負っていないことを確認する。相手方もルアンの除いて直ぐに起き上がっているのを見て頷く。

 

「あ、ああ、喧嘩両成敗だ。僕も気にしない。遺恨はお互いに水に流そう」

「寛大なご配慮、感謝します…………それではまた近い内に。起きろ、行くぞ」

 

 立ち上がったヒュアキントスは給仕に店の修理代を支払い、気絶しているルアンは獣人が荷物のように抱えていて六人で出て行った。

 その姿が店外に出て見えなくなるまで目で追ったヘスティアは、ヒュアキントスの言い様に引っ掛かりを覚えた。

 

「近い内にって、どういうことだい?」

 

 胸がざわめく不快な予感にヘスティアは体をブルりと震わせた、

 その後ろで壊れたテーブルの影に隠れていた紙を見つけたアルスはサッと懐に隠した。

 

――――――――――アルスは レシピブック 『大盗賊衣装のレシピ』を 手に入れた!

――――――――――大盗賊のターバンの レシピを 覚えた!

――――――――――大盗賊のマントの レシピを 覚えた!

 

 

 

 

 

 





 原作三巻と原作六巻が同時並行して進行中……。
 ちなみに11階層はダーハラ湿原です。



――――――――――アルスは、レベル19に あがった!
――――――――――アルスは ベギラマの呪文を覚えた!

――――――――――ベルは、レベル18に あがった!

――――――――――リリルカは、レベル14に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル15に あがった!
――――――――――リリルカは、マヌーハを覚えた!



【アルス・クラネル Lv.2(レベル18→19)
 HP:125(+15)→133(+25)
 MP;63→67
 ちから:49(+4)→51(+6)
 みのまもり:21→22
 すばやさ:57→60
 きようさ:34→36
 こうげき魔力:53→56
 かいふく魔力:54→57
 みりょく:41→43
《魔法》
 【メラ】     ・火炎系魔法(小)
 【ホイミ】      ・治癒系魔法(小)
 【ベホイミ】    ・治癒系魔法(中)
 【ギラ】      ・閃光系魔法(小)
 【ベギラマ】   ・閃光系魔法(中)
 【イオ】      ・爆発系魔法(小)
 【ラリホー】   ・催眠系魔法(個)
《技能》
 【かえん斬り】  ・武器に炎を纏わせることが出来る
 【ぶんまわし】  ・武器を振り回すことで範囲攻撃が可能
 【渾身斬り】   ・敵一体に大ダメージ
 【全身全霊斬り】 ・敵一体に特大ダメージ
 【フリーズブレード】・氷の力で敵1グループに攻撃
 【ミラクルソード】 ・敵1体にダメージ後、自身を回復
 【覇王斬】     ・敵全体に魔力で形成した巨大剣による無属性攻撃
《スキル》
 【二刀の心得】   ・左手にも武器を装備できる
 【メタル斬り】   ・メタル系に確実ダメージ
 【ドラゴン斬り】  ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
 【聖竜の祝福(ドラゴンクエスト)】   ・■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:2644》】

【そうび
 みぎて  『ウダイオスの黒剣』
ひだりて  『ゴールドトレイ+2』
 あたま  『てっかめん』
 からだ  『くさりかたびら』『聖騎士のよろい』
アクセ1  『きんのブレスレット+1』
アクセ2   『ちからのゆびわ+3』         】



【ベル・クラネル Lv.2(レベル17→18)
 HP:125→133
 MP;48→50
 ちから:44→47
 みのまもり:18→19
 すばやさ:69→72
 きようさ:59→62
 こうげき魔力:56→59
 かいふく魔力:0
 みりょく:62→66
《魔法》
 【ジバリア】     ・地雷系魔法(小)
 【ザメハ】      ・覚醒魔法
 【インパス】     ・鑑定魔法
《技能》
 【スリープダガー】  ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
 【ヴァイパーファング】・敵1体に攻撃、たまに猛毒にする
 【かえん斬り】    ・武器に炎を纏わせることが出来る
 【ミラクルソード】  ・敵1体にダメージ後、自身を回復
 【デュアルカッター】 ・敵全体に攻撃時1.2倍のダメージを二回与える
《スキル》

 【スライムブロウ】  ・スライム種に対して投擲武器効果強化
 【メタルウィング】  ・メタル種に対して投擲武器効果強化
 【ヒュプノスハント】 ・眠りや混乱の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
 【タナトスハント】  ・毒や麻痺の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
 【パワフルスロー】  ・投擲武器を投擲時、全体に等しくダメージ
 【メタル斬り】    ・メタル系に確実ダメージ
 【ドラゴン斬り】   ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
 【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)】  ・■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:1066》 】

【そうび
 みぎて  『てつのつるぎ+2』
      『せいなるナイフ』
ひだりて  『やいばのブーメラン』
 あたま  『毛皮のフード+2』
 からだ  『くさりかたびら』『てつのむねあて』『毛皮のポンチョ+1』
アクセ1  『ぬすっとのグローブ』
アクセ2   『すばやさのゆびわ+1』         】



【リリルカ・アーデ Lv.2(レベル13→15)
 HP:59→69
 MP;62→72
 ちから:22→26
 みのまもり:10→12
 すばやさ:41→46
 きようさ:39→44
 こうげき魔力:68→78
 かいふく魔力:0
 みりょく:38→43
《魔法》
 【シンダーエラ】 ・変身魔法
 【メラ】     ・火炎系魔法(小)
 【ギラ】     ・閃光系魔法(小)
 【ヒャド】   ・冷気系魔法(小)
 【ルカニ】    ・敵守備力低下魔法(個)
 【ボミエ】    ・敵速度低下魔法(個)
 【マジックバリア】・呪文防御魔法
 【イオ】     ・爆発系魔法(小)
 【マホトーン】  ・敵魔法封印魔法(集団)
 【マヌーハ】   ・幻惑解除魔法(個)
《技能》
 【魔封じの杖】  ・敵1体の呪文を高い確率で封じる杖の秘術
 【しゅくふくの杖】・仲間1人のHPを小回復する
 【暴走魔法陣】  ・仲間の呪文が暴走しやすくなる
 【魔結界】    ・魔法の結界を張り敵の攻撃呪文を防御する
《スキル》
 【縁下力持(アーテル・アシスト)】   ・一定以上の装備過重時における補正
 【悪魔ばらい】   ・悪魔系に対しての打撃力強化
 【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)】  ・■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:195》 】

【そうび
 みぎて  『まどうしの杖』
ひだりて  『』
 あたま   『プリティキャップ』
 からだ   『まじょの服』
アクセ1   『まじょのてぶくろ+3』
アクセ2   『いのりのゆびわ+2』         】



 原作ではベート・ローガが店にいますが、本作ではまだ遠征前の為、どこかで自主練をしているので店にはいません。


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