『この先、清き泉。用なき者は、回れ右して、まっすぐ帰るべし』
通路の丁度ど真ん中に木の立札が打ち付けられており、達筆な
「誰が立てたんだろう、この立札?」
「例の清き泉ってのを汚してほしくない物好きが立てたんだろ」
用がある者なので立札を避けて進むと、ここがダンジョンであることを忘れてしまうほどの広大な空間に出た。
広い、広い、空間だった。
――――――――――とても、澄み切った水が 湧いている
清き泉と呼ばれるほど地面が透き通って見える水の透明度がダンジョンが発する光に照らされてキラキラと輝く。ダンジョンとは思えないほど神秘的な風景に四人は揃って息を呑む。
「うわぁ……」
ベルが感嘆の息を漏らしている横で、ヴェルフが顎を摩る。
「地上では人の手が入って、ここまで幻想的な風景は中々見られんだろうな」
「立札を立てたくなった人の気持ちが理解出来る気がします」
芸術など腹の足しにもならないと敬遠していたリリルカですら、立札を立ててでもこの風景を守ろうとする者の気持ちを理解できるほど幻想的な風景。
その風景の中に歪として存在するモンスターが
→シーゴーレムが二体いるぞ
真っ裸で泳ぎたくなるな
「いるね」
「いますね」
「一体じゃないのかよ」
事前に聞いた話よりも増えているのが中層にいてもおかしくないモンスターなだけに、ヴェルフは面倒事が増えたとばかりに嘆息する。
「冒険者が来ないから増えたのでしょうか?」
「そんな阿呆な話があるか」
現実として1体から2体に増えている。理由は何であれ、倒すことに変わりはしないのでリリルカは『まどうしの杖』を握り直す。
「数が多い方がドロップアイテムを得られる可能性が高くなるので良しとしましょう」
「そうだね。急がなくちゃだし行こうか。アルスもやる気を出すのはいいけど先走らないようにね」
「ようやく俺にも出番が来たんだ。俺にも出番を回せよ」
強敵との戦いを前に臆することなく、四人は戦闘態勢を万全に整えてシーゴーレムの前に踊り出る。
――――――――――シーゴーレムたちが あらわれた!
敵は珊瑚の身体を持つシーゴーレム二体のみ。
アルスが『ウダイオスの黒剣』を抜き放ち、ベルは攻撃力の高さを優先してブーメランや短剣ではなく『てつのつるぎ+2』を抜く。ヴェルフは『はがねのオノ』、リリルカは『まどうしの杖』を持ってシーゴーレム達に戦いを挑んだ。
「やっ!」
――――――――――ベルは スリープダガーを はなった!
――――――――――シーゴーレムBを ねむらせた!
敵が二体いる時は片方は眠らせるに限ると『スリーブダガー』を放ったベルだったが、あっさりと眠ってくれたので逆にビックリとした表情を浮かべてしまった。動きの止まったベルに向かってもう一体のシーゴーレムがその巨大な拳を振り上げる。
大型モンスターであるシーゴーレムの攻撃を防ぐには、リリルカの攻勢魔法では『ギラ』『イオ』ではベルを巻き込んでしまう恐れがあり使えない。『ヒャド』では微妙で、『メラ』では未知数過ぎる。
一秒にも満たない思考時間の間で、隣からアルスが飛び上がったのを視界の端で捉えていたリリルカは、即座に魔法の取捨選択を行った。
「ボミエ!」
――――――――――リリルカは ボミエを となえた!
――――――――――シーゴーレムAの すばやさを かなり さげた!
魔法を受けて目に見えて遅くなったシーゴーレムの攻撃から即座にベルが飛び退いた直後に、『ウダイオスの黒剣』に『渾身斬り』以上のオーラを纏わせたアルスがシーゴーレムに斬りかかった。
「はっ!」
――――――――――アルスは、全身全霊切りを はなった!
――――――――――シーゴーレムAに ダメージ!
――――――――――シーゴーレムAを たおした!
オーラによって巨大化した『ウダイオスの黒剣』がシーゴーレムを真っ二つにする。
真っ二つにされたシーゴーレムは左右に分かれたまま消滅した。
アルスがシーゴーレムを一体倒したのを確認し、眠ったままのもう一体のシーゴーレムを見張っていたヴェルフが接近しながら『はがねのオノ』を振り上げる。
「おらぁっ!」
――――――――――ヴェルフの こうげき!
――――――――――シーゴーレムBに ダメージ!
確かなダメージを与えたがシーゴーレムにまだ目覚める気配はない。このチャンスを逃すはずがななく、倒されたシーゴーレムの攻撃を避けた勢いのまま駆けてきたベルが追撃を仕掛ける。
「やっ!」
――――――――――ベルは かえん斬りを はなった!
――――――――――シーゴーレムBに ダメージ!
――――――――――シーゴーレムBは めをさました!
流石に二連撃もされてシーゴーレムが目を覚ましたが、既に次手としてリリルカの準備は整っていた。
「メラ!」
――――――――――リリルカは メラを となえた!
――――――――――シーゴーレムBに ダメージ!
横っ面にリリルカが放った
「はっ!」
――――――――――アルスの こうげき!
――――――――――シーゴーレムBに ダメージ!
――――――――――シーゴーレムBを たおした!
――――――――――シーゴーレムたちを やっつけた!
――――――――――アルスたちは704ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――シーゴーレムたちは 魔石を 落としていった!
――――――――――シーゴーレムAは ももいろサンゴを 落としていった!
――――――――――シーゴーレムBは サンゴのかみかざりを 落としていった!
「アルスが強いのか、ウダイオスの黒剣が凄すぎるのか、何か良く分からなくなってきたな……」
「昨日の強敵が今日は雑魚だもんね」
「油断は厳禁ですよ」
「そうは言ってもね……」
元々、アルスがパーティーの最高戦力であったことに疑いは無かったが、『ウダイオスの黒剣』を持つようになってからの攻撃力は上層モンスター相手では正しく鎧袖一触という有様。
「アルス様がどうであれ、私達三人共が出会った時と比べて強くなっているのは間違いないでしょう。リリもこれほど早く上層最深部近くまで来れるとは思っていませんでした」
中層のモンスターなのに、ベルが隙を晒してもダメージを全く受けずに全然一顧だにせずに倒せてしまっただけに、リリルカも二人の気持ちが分からないでもない。『ウダイオスの黒剣』だけでなく、先のリリルカの迷いのない魔法行使も合わせて冒険者としてベル達は確実に強くなっている証明であった。
「急ぐからって駆け足だったのに、意外に疲れなかったね」
「俺は割と疲れてるが」
「それでもまだ余裕はあるのでしょう、ヴェルフ様」
はがね装備の頑丈さを示すだけの重みがあってヴェルフは本気で疲れているが戦闘不能というほどではない。Lv.1であれば身動きできなかったであろうことは想像に難くなく、ヴェルフは確かな自分の成長を感じ取っていた。
「まあ、そうだな。やっぱりLv.2ともなるとLv.1と全然違う」
周辺の警戒はベルが行い、リリルカが魔石とドロップアイテムの回収を行っている間にアルスとヴェルフが湧き水汲みを担当していた。
落ちていた魔石とドロップアイテムを拾い上げ、リリルカは目的であった『ももいろサンゴ』を確認して深く頷く。
「無事にドロップアイテムを得ることが出来ました。湧き水の方は汲めましたか?」
「今、アルスがやってるよ」
水生モンスターがいないとも限らないのでヴェルフが武器を持ったまま警戒し、アルスが清き泉にポーションの空瓶を入れて湧き水を汲んでいた。しかし、その足元には既に満タンになった湧き水が入った瓶が幾つも並んでいる。
「おいおい、どんだけ汲む気だよ。え? ついでだからって多めに汲んどこうって?」
「…………ベル様、リリもアルス様を手伝ってきます」
ベルに言ってピューっとリリルカがアルスの下へと走って行った。
「もしかして、飲み水にでも使う気?」
「アルスも一口飲んだら美味いって言ってたからそのつもりだろうな。『どうぐぶくろ』があるから邪魔にならないだろうって、ポーションの空き瓶とかに入れまくってる」
「どれだけ物を入れても重みにならない『どうぐぶくろ』って便利だよね」
使わない武器やアイテム、素材に至るまで色んな物が入っているとはとても思えない『どうぐぶくろ』の利便性に改めて感心する。
「ああ、俺も欲しい」
「ヘファイトス様に頼んでみたら?」
「『どうぐぶくろ』は『ふしぎな鍛冶台』同様に天界時代に
そんな貴重な物を使わせてもらっていることに気づいて申し訳なさそうなベルの肩をヴェルフが軽く叩く。
「そんな顔をするなって、ベル。俺は『ふしぎな鍛冶台』を使わせてもらっているだけ十分に恵まれてるんだ。文句は言いっこなしだ」
「ありがとう、ヴェルフ」
「いいってことさ。おい、二人とも! 急ぎの
時間制限の
「あんなに汲んで、あの湧き水を売ったりしないだろうな」
「まさか……」
販売出来そうな数の瓶に入れているのを見て微妙に否定できないベルだったが、近づいてくる気配を感じ取って広間の入口へと顔を向ける。
ベルの動きにヴェルフも視線を向けると、入り口から二人の女性冒険者が広間に入ってきた。
「同じ
気の強そうな短髪の少女と、反対にどこかオドオドとした長髪の少女が明らかにベル達の方へと向かって来ている。
「アンタ達がヘスティアファミリア?」
短髪の少女がベル達パーティーの中で一番装備のランクが高いヴェルフに問いかける。
「俺は違う」
「僕達がヘスティアファミリアですが、なにか用ですか?」
ヘスティアファミリアが目的ならば団長のベルが答えなければならないと使命感に駆られて一歩前に出る。
「あの、これを……」
今度は長髪の少女が物凄く躊躇いがちに手紙と目される物をベルに差し出す。
受け取ったベルが確認すると、上質な紙には封蝋が施されており、差出人が分かるように徽章が刻印されている。そして刻まれているのは、弓矢と太陽のエンブレム。
まだ記憶に新しい、昨夜に一悶着起こったアポロンファミリアの徽章を確認したベルの表情が強張る。
「ウチはダフネ、この娘はカサンドラ。察しの通り【アポロン・ファミリア】よ」
「【
直接戦闘力が高くないリリルカはアルスに背に隠れながら、昨日の一件からアポロンファミリアのLv.2以上の冒険者を調べていたので二人の名前と所属から二つ名を伝える。
警戒を高めた四人にビクついた長髪の少女――――カサンドラ・イリオンはリリルカを背後に庇いながらきっかけさえあったら『ウダイオスの黒剣』を抜きそうなアルスに特にビビりながら口を開く。
「あの、それ、案内状です。アポロン様が【宴】を開くので、も、もし、良かったら…………べ、別に、来なくても、結構なんですけど……」
「招待している側が何言ってるの、アンタは」
「あうっ!? で、でも、ダフネちゃん……」
「黙らっしゃい!」
「きゃうっ!?」
後頭部の次に額をチョップされて涙目になったカサンドラに嘆息した短髪の少女――――ダフネ・ラウロスはベルを見る。
「必ず貴方の主神に伝えて。いい、渡したからね?」
「…………分かりました」
「じゃあ、用件はそれだけだから…………ご愁傷様」
振り返って去る直前に、呟きのようなその言葉だけを残して去って行ったダフネの後を追ったカサンドラの二人を見送った
完全に姿が見えなくなったのを確認して、ヴェルフはベルが受け取った招待状を見る。
「態々ダンジョンの中まで案内状を持って来るってことは、絶対に何か企んでるなアレは」
「かもしれない。明らかに含みのある言い方をしていたからね」
「このタイミングでのアポロンファミリアからの接触となると、一騒動あるかもしれないので覚悟が必要かもしれません」
三人がそれぞれの感想を漏らす中、アルスは一人だけさっきまでこの場にいた二人のことを考えていた。
→カサンドラか――――神様並みの巨乳だな、あの子は!
ダフネか――――あの子からは女王様の気配を感じる!
「おっ、アルスは巨乳派か」
「アホみたいなこと言ってないで、さっさと帰りますよ」
野郎は男同士で好みの女の話をするのが好きなのはリリルカも十分承知しており、くだらない話と一蹴して足を出口に向ける。
「何も無ければいいけど……」
時間制限の
――――――――――アルスは、レベル20に あがった!
――――――――――アルスは、レベル21に あがった!
――――――――――ベルは、レベル19に あがった!
――――――――――ベルは、レベル20に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル16に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル17に あがった!
――――――――――リリルカは ボミオスの呪文を覚えた!
――――――――――リリルカは、レベル18に あがった!
――――――――――リリルカは ルカナンの呪文を覚えた!
【アルス・クラネル Lv.2→3(レベル19→21)
HP:133(+25)→151(+35)
MP;67→75
ちから:51(+6)→58(+8)
みのまもり:22→25
すばやさ:60→67
きようさ:36→40
こうげき魔力:56→63
かいふく魔力:57→63
みりょく:43→48
《魔法》
【メラ】 ・火炎系魔法(小)
【ホイミ】 ・治癒系魔法(小)
【ベホイミ】 ・治癒系魔法(中)
【ギラ】 ・閃光系魔法(小)
【ベギラマ】 ・閃光系魔法(中)
【イオ】 ・爆発系魔法(小)
【ラリホー】 ・催眠系魔法(個)
《技能》
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
【ぶんまわし】 ・武器を振り回すことで範囲攻撃が可能
【渾身斬り】 ・敵一体に大ダメージ
【全身全霊斬り】 ・敵一体に特大ダメージ
【フリーズブレード】 ・氷の力で敵1グループに攻撃
【ミラクルソード】 ・敵1体にダメージ後、自身を回復
【覇王斬】 ・敵全体に魔力で形成した巨大剣による無属性攻撃
《スキル》
【二刀の心得】 ・左手にも武器を装備できる
【メタル斬り】 ・メタル系に確実ダメージ
【ドラゴン斬り】 ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
【
《次のレベルまで:6224》】
【そうび
みぎて 『ウダイオスの黒剣』
ひだりて 『ゴールドトレイ+2』
あたま 『てっかめん』
からだ 『くさりかたびら』『聖騎士のよろい』
アクセ1 『きんのネックレス』
アクセ2 『ちからのゆびわ+3』 】
【ベル・クラネル Lv.2→3(レベル18→20)
HP:133→151
MP;50→55
ちから:47→54
みのまもり:19→21
すばやさ:72→80
きようさ:62→69
こうげき魔力:59→66
かいふく魔力:0
みりょく:66→73
《魔法》
【ジバリア】 ・地雷系魔法(小)
【ザメハ】 ・覚醒魔法
【インパス】 ・鑑定魔法
《技能》
【スリープダガー】 ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
【ヴァイパーファング】・敵1体に攻撃、たまに猛毒にする
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
【ミラクルソード】 ・敵1体にダメージ後、自身を回復
【デュアルカッター】 ・敵全体に攻撃時1.2倍のダメージを二回与える
《スキル》
【スライムブロウ】 ・スライム種に対して投擲武器効果強化
【メタルウィング】 ・メタル種に対して投擲武器効果強化
【ヒュプノスハント】 ・眠りや混乱の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
【タナトスハント】 ・毒や麻痺の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
【パワフルスロー】 ・投擲武器を投擲時、全体に等しくダメージ
【メタル斬り】 ・メタル系に確実ダメージ
【ドラゴン斬り】 ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
【
《次のレベルまで:3556》 】
【そうび
みぎて 『てつのつるぎ+2』
『せいなるナイフ』
ひだりて 『やいばのブーメラン』
あたま 『毛皮のフード+2』
からだ 『くさりかたびら』『てつのむねあて』『毛皮のポンチョ+1』
アクセ1 『金のネックレス』
アクセ2 『ぬすっとのグローブ』 】
【リリルカ・アーデ Lv.2(レベル15→18)
HP:69→86
MP;72→88
ちから:26→32
みのまもり:12→15
すばやさ:46→55
きようさ:44→53
こうげき魔力:78→94
かいふく魔力:0
みりょく:43→51
《魔法》
【シンダーエラ】 ・変身魔法
【メラ】 ・火炎系魔法(小)
【ギラ】 ・閃光系魔法(小)
【ヒャド】 ・冷気系魔法(小)
【ルカニ】 ・敵守備力低下魔法(個)
【ルカナン】 ・敵守備力低下魔法(集団)
【ボミエ】 ・敵速度低下魔法(個)
【ボミオス】 ・敵速度低下魔法(集団)
【マジックバリア】 ・呪文防御魔法
【イオ】 ・爆発系魔法(小)
【マホトーン】 ・敵魔法封印魔法(集団)
【マヌーハ】 ・幻惑解除魔法(個)
《技能》
【魔封じの杖】 ・敵1体の呪文を高い確率で封じる杖の秘術
【しゅくふくの杖】 ・仲間1人のHPを小回復する
【暴走魔法陣】 ・仲間の呪文が暴走しやすくなる
【魔結界】 ・魔法の結界を張り敵の攻撃呪文を防御する
《スキル》
【
【悪魔ばらい】 ・悪魔系に対しての打撃力強化
【
《次のレベルまで:4047》 】
【そうび
みぎて 『まどうしの杖』
ひだりて 『』
あたま 『プリティキャップ』
からだ 『まじょの服』
アクセ1 『まじょのてぶくろ+3』
アクセ2 『いのりのゆびわ+2』 】