【アルス・クラネル Lv.3(レベル21)
HP:151(+35)
MP;75
ちから:58(+8)
みのまもり:25
すばやさ:67
きようさ:40
こうげき魔力:63
かいふく魔力:63
みりょく:48
《魔法》
【メラ】 ・火炎系魔法(小)
【ホイミ】 ・治癒系魔法(小)
【ベホイミ】 ・治癒系魔法(中)
【ギラ】 ・閃光系魔法(小)
【ベギラマ】 ・閃光系魔法(中)
【イオ】 ・爆発系魔法(小)
【ラリホー】 ・催眠系魔法(個)
《技能》
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
【ぶんまわし】 ・武器を振り回すことで範囲攻撃が可能
【渾身斬り】 ・敵一体に大ダメージ
【全身全霊斬り】 ・敵一体に特大ダメージ
【フリーズブレード】 ・氷の力で敵1グループに攻撃
【ミラクルソード】 ・敵1体にダメージ後、自身を回復
【覇王斬】 ・敵全体に魔力で形成した巨大剣による無属性攻撃
《スキル》
【二刀の心得】 ・左手にも武器を装備できる
【メタル斬り】 ・メタル系に確実ダメージ
【ドラゴン斬り】 ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
【
《次のレベルまで:3644》】
【そうび
みぎて 『ウダイオスの黒剣』
ひだりて 『ゴールドトレイ+2』
あたま 『てっかめん』
からだ 『やすらぎのローブ』『聖騎士のよろい』
アクセ1 『きんのネックレス』
アクセ2 『ちからのゆびわ+3』 】
【ベル・クラネル Lv.3(レベル20)
HP:151
MP;55
ちから:54
みのまもり:21
すばやさ:80
きようさ:69
こうげき魔力:66
かいふく魔力:0
みりょく:73
《魔法》
【ジバリア】 ・地雷系魔法(小)
【ザメハ】 ・覚醒魔法
【インパス】 ・鑑定魔法
《技能》
【スリープダガー】 ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
【ヴァイパーファング】・敵1体に攻撃、たまに猛毒にする
【かえん斬り】 ・武器に炎を纏わせることが出来る
【ミラクルソード】 ・敵1体にダメージ後、自身を回復
【デュアルカッター】 ・敵全体に攻撃時1.2倍のダメージを二回与える
《スキル》
【スライムブロウ】 ・スライム種に対して投擲武器効果強化
【メタルウィング】 ・メタル種に対して投擲武器効果強化
【ヒュプノスハント】 ・眠りや混乱の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
【タナトスハント】 ・毒や麻痺の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
【パワフルスロー】 ・投擲武器を投擲時、全体に等しくダメージ
【メタル斬り】 ・メタル系に確実ダメージ
【ドラゴン斬り】 ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
【
《次のレベルまで:976》 】
【そうび
みぎて 『てつのつるぎ+2』
『せいなるナイフ』
ひだりて 『やいばのブーメラン』
あたま 『毛皮のフード+2』
からだ 『やすらぎのローブ』『てつのむねあて』『毛皮のポンチョ+1』
アクセ1 『ぬすっとのグローブ』
アクセ2 『すばやさのゆびわ+1』 】
【リリルカ・アーデ Lv.2(レベル18)
HP:86
MP;88
ちから:32
みのまもり:15
すばやさ:55
きようさ:53
こうげき魔力:94
かいふく魔力:0
みりょく:51
《魔法》
【シンダーエラ】 ・変身魔法
【メラ】 ・火炎系魔法(小)
【ギラ】 ・閃光系魔法(小)
【ヒャド】 ・冷気系魔法(小)
【ルカニ】 ・敵守備力低下魔法(個)
【ルカナン】 ・敵守備力低下魔法(集団)
【ボミエ】 ・敵速度低下魔法(個)
【ボミオス】 ・敵速度低下魔法(集団)
【マジックバリア】 ・呪文防御魔法
【イオ】 ・爆発系魔法(小)
【マホトーン】 ・敵魔法封印魔法(集団)
【マヌーハ】 ・幻惑解除魔法(個)
《技能》
【魔封じの杖】 ・敵1体の呪文を高い確率で封じる杖の秘術
【しゅくふくの杖】 ・仲間1人のHPを小回復する
【暴走魔法陣】 ・仲間の呪文が暴走しやすくなる
【魔結界】 ・魔法の結界を張り敵の攻撃呪文を防御する
《スキル》
【
【悪魔ばらい】 ・悪魔系に対しての打撃力強化
【
《次のレベルまで:1467》 】
【そうび
みぎて 『ピオラの杖』
ひだりて 『』
あたま 『サンゴのかみかざり』
からだ 『ウィッチローブ』
アクセ1 『まじょのてぶくろ+3』
アクセ2 『いのりのゆびわ+2』 】
ヘスティアファミリアとアポロンファミリア双方の主神の
急遽、開催される運びとなった臨時
守りが皆無の
「戻ったよ」
「神様!」
ヘファイストスの執務室のドアを開けて中に入ってきたヘスティアに駆け寄るベル。
後少しのところで足を止めたのは、ヘスティアの背後に三柱の神がいたから。
部屋の主であるヘファイストス、ヘスティアファミリアと懇意なミアハは分かるとして、アポロンファミリアが開催した神の宴でベルは初めて会ったヘルメスが何故か居心地悪そうに立っていた。
「…………どうなりましたか?」
ヘルメスから視線を外したベルが不安そうにヘスティアを身長差の関係で見下ろす。
「決まったよ、戦争遊戯の開催が」
そう言ってヘスティアはギロリと目つきを鋭くしてヘルメスを睨みつける。
睨まれたヘルメスは気まずそうに顔を逸らす。
「日程は一週間後になった。最初は仮病でも使って
「俺の頑張りは認めてくれないわけ……?」
「あん?」
ベルに対応する柔らかな声とは全く違う、ドスが込められたヘスティアにヘルメスは再度顔を全力で逸らす。
当初はヘスティアも仮病で
そんな二柱に巻き込まれた形のヘファイストスはため息を漏らして間に入る。
「元はヘスティアがアポロンを怒らせたからでしょ。
ヘファイストスがヘスティアを庇ったのは親しい知己だからだけではなく、アポロン主催の神の宴で勝手に中座したヴェルフ・クロッゾと椿・コルプランドを叱る為に神の宴を出て行ってしまった二人を追ったことで現場に居合わせることが出来なかったことに責任を感じていたからでもあった。
「だから、謝ってるじゃないか」
「言葉だけ謝られてもねぇ」
「やりすぎたことは少し反省している。でも、後悔は微塵もしていない」
デカい胸を張って答えるヘスティアにヘファイストスは今日何度目かも分からない溜息を吐く。
「はぁ、アンタって子は……」
「だって、アポロンの奴、
「リリもですか?」
まさか自分の名前が出てくるとは思わなかったリリルカが目をパチクリとさせる。
「ヒュアキントスの強い要望らしいよ。あの戦いでリリルカ君の有用性を認識したんだって」
「敵の団長に認められたことを喜んだ方がいいのでしょうか……?」
「評価されたことは喜んでいいと思うよ。万が一、僕達が負けてもリリルカ君は改宗したばかりで再改宗には一年掛かるから、籍だけを移して一年後に改宗だって。その間は僕もステイタス更新の為にオラリオに留まることを許すだってさ! けっ、何様のつもりなんだか!」
「新たな眷属を獲得することは禁止とは、完全に飼い殺しではないか」
唾でも吐きそうなヘスティアに、オラリオにいる神々の中でもトップクラスの善神であるミアハもアポロンの出した条件が不条理すぎると憤っていた。
「ヘスティアが勝った場合、アポロンは要求をなんでも聞くと言ったが割に合うとはとても思えない」
→勝負形式は?
え、なんでもって言った?
「僕は代表者による一騎打ちを提案したんだけど素気無く却下されたよ。せこい奴め」
「わざわざ自分の有利を捨ててまで、全部ベットした勝負は出来ないわよ」
仮にヘファイストスがアポロンと同じ立場でもヘスティアの提案を退けるだろう。
中堅派閥ともなれば、築き上げた物は零細を脱して弱小になったばかりのヘスティアと比べ物にならない。少しでも自分に有利な条件で勝負するのは当たり前のことだと考える。
「公平を期する為に、その場にいた神が羊皮紙に望む勝負方式を書いてくじ引きになったのだが、誰が引くかでも揉めてな」
「不正が行われないように、どちらにも属さないヘルメスに頼んだんだ。それがまさかこんなことになるなんて……!」
ミアハの説明を引き継いだヘスティアが話に出たヘルメスに指を突き付ける。
「よりにもって『大平原で総力戦』なんて引きやがったんだよ、こいつは!」
「悪かったって!? まさか引いたらそんなのが出るなんて思わなかったんだ!」
全能ならずの身でくじ引きを引いたら考えられる限りで最悪の選択肢を引いてしまったヘルメス。
必死で弁明するその姿に嘘はなさそうで、流石にそんな勝負方法を引いてしまっては居心地の悪そうな態度をしていることにベルも納得がいった。
「これならロキの方がまだマシ…………でもないか」
ロキファミリアは遠征を控えていて、アイズ・ヴァレンシュタインのLv.6へのランクアップが公表されたのに
「大平原って、どこ?」
「オラリオから真東に30メドル進んだところにある平原地帯のことです」
まだオラリオに来て一ヶ月と少ししかベルは街内部のことも怪しいので、大平原とも言われても分からずリリルカの説明を受けていた。
「よりにもよって身を隠せるような遮蔽物もなく、戦いに利用できる地形でもない大平原で総力戦って」
「せめてセオロの密林とかならば、少しは違ったのにな」
数の多さが物を言う平原にナァーザが天井を見上げ、右手で顔を抑えたヴェルフが重い息を吐く。
「少数対多数の最も数の論理が大きくなる戦いで大平原とか、君は馬鹿なのか!」
「本当に悪かったって。だから、ヘスティアに不利過ぎるからってアポロンに助っ人を認めさせただろ」
尚も怒りが収まらない様子のヘスティアがヘルメスに詰め寄る。
自分のしたことが思い切りマイナスになってしまったヘルメスはせめてもと、百数十人はいるアポロンファミリア側に対してたった三人しかいないヘスティアファミリア側が不利過ぎると、助っ人制度の導入を認めさせたことで気持ちを落ち着かせようとした。
「どうだか。出来
「それはアポロンに助っ人を認めさせる方便だって」
「じゃあ、助っ人が認められても都市外ファミリアの眷属一人に限るなんて意味無いに等しいじゃないか。もう少し粘ってくれよ!」
「都市内を認めたら仲の良いヘファイトスが眷属を貸すと思ったんだろ。流石に
「うちの子達はロキファミリアの遠征に参加するから、その可能性は無いって言ったんだけどね」
名前が挙がった椿などその筆頭で、深層のドロップアイテムに興味を引かれまくっているので主神の命令があったとしても
「結局、都市外ファミリア限定、しかも一人だけなんてアポロンはせこすぎる」
「ほ、ほら、ギルドとの兼ね合いもあったとはいえ、助っ人探しを名目に一週間の時間を獲得したんだ。俺は俺の出来ることをしたんだよ」
都市外のファミリアは、ダンジョンがあるオラリオと比べて質が低い。
戦争遊戯に参加するのはファミリア入団者のみ。他派閥の子の存在は神の代理戦争の名に傷をつけると答えたアポロンの理屈は正しい。
「ヘスティアは伝手は無いの?」
「手助けしてくれそうな知り合いはいるけど、どこにいるかも分からないし、戦力になってくれるかも分からないんだ。ヘファイストスは?」
ヘスティアの脳裏には天界にいた頃からの神友のアルテミスやアテナの顔が浮かんだが、連絡手段が無いのでここにいる神友を頼った。
「私の伝手となると、どんな見返りを求められるか分からないから無理よ」
「う~、ミアハは?」
「昔はあったのだがな」
「じゃあ、無理か……」
「何故、俺には聞かない!?」
諦めたヘスティアに、助っ人制度提唱者のヘルメスが自己主張強めにアピールする。
ヘスティアは聞くのも嫌そうな顔だったので、代わりにミアハがヘルメスに顔を向ける。
「自信があるようだが、助っ人の当てはあるのかヘルメス」
「実は一人だけ心当たりがあるんだ。凄腕の冒険者を期待していてくれ」
そこまで言ってみせたヘルメスに、顔を背けていたヘスティアも縋る者が他にもいなかったので本当に仕方なさげに顔を元に戻す。
「本気で期待するからな、ヘルメス。これはフリじゃないぞ!」
「ああ、期待していてくれ。目が飛び出るほどの冒険者を連れて来よう」
余程の自信があるのか、胸を張って立てた親指で自身の胸を突くヘルメス。
「直接人は出せないが、私達も出来るだけの手助けはするつもりだ」
「ポーションとかの回復系は任せて」
ミアハファミリアは回復などのアイテム系でヘスティアファミリアの援助をすると答える。
「タケミカヅチも何か手助けしたいと言っていたが、あそこもヘスティアと同じ探索系ファミリアだから手助けは厳しいだろう」
「応援してくれるだけでも心強いさ」
その頃、タケミカヅチが自派閥の者達を説得しようと試みていたが、ヘスティア側が負ければ仮にタケミカヅチ側の誰かが改宗したとしても一人残されることになる。そこまでの仁義を通すほどの関係性は無かったので難航していた。
「
「助かるよ、ヘファイストス」
レシピがあっても、中層で得られる素材が必要だったので作れていない装備が幾つかあった。幾つかを融通してもらえて装備の質が上がれば、極小の勝率が少しでも上がるかもしれない。
「…………ヘファイストス様にお願いがあります」
ヴェルフが一歩前に出た。
顔を向けたヘファイトスが僅かに眉間に皺を寄せる。
「俺がヘスティアファミリアに改宗することを許してください」
「ヴェルフ……」
負ける可能性が高いヘスティアファミリアに肩入れ以上に足を踏み込んできたヴェルフに、ベルが泣きそうな顔を向ける。
「そんなリスクの高過ぎることを、私が許すと思っているの?」
「自分が敬愛する女神は、ここで行かなければきっと叱りつけてくるでしょう」
眉間の皺意外に石膏のような表情で問うヘファイストスに、伏し目がちなヴェルフが答える。
「血筋に纏わる全てを見返して、『魔剣』を超える武器を作りたいのではなかったの?」
「その思いは今も変わっていません。でも、槌と鉄、そして燃え滾る
「貴方をそうまで駆り立てるものは、一体何?」
覚悟は答えた。残る動機を問うヘファイストスに、ヴェルフは一度ベル達をチラリと見る。
「友の為」
言葉少なく答えたヴェルフに、ヘファイストスは何の感銘も受けていないように表情を変えない。
「新しい装備を持ってきたのでしょう。見せてみなさい」
「分かりました」
近くに置いていた大きな袋を手に取り、机の上に並べていく。
置かれたのは『やすらぎのローブ+3』が2個、12階層のシーゴーレムが落とした『サンゴのかみかざり』、『ウィッチローブ+2』の合計5点。
それぞれを手に取ったヘファイトスの鍛冶神の目が余すところなく装備の質を見抜く。
「【とてもいい できのよさ】だわ。少し見ない間に腕を上げたわね」
「いいえ、俺はまだ魂を預ける半身を作ってくると信じてくれたアルス達の期待に応えれていません」
今に満足せず、唯只管に上を目指す鍛冶師の目に何を見たのか、ヘファイストスは一度目を閉じた。
「…………いいわ、改宗を許しましょう」
再び目を開いたヘファイストスは幾つもの
「餞別よ、受け取りなさい」
「ありがとうございます」
師と弟子にしか分からない何かに誰も口を挟まず、決別は終わった。
「ふぅ、これで四人と助っ人の一人を合わせて五人になったわね。それでもアポロンファミリアは百数十人はいる。勝ち目はあるの?」
「ある」
可愛い
「この場にいるみんなは僕らを助けてくれる味方だからこそ伝えよう。アルス君とベル君は既にLv.3になっている」
「ま、待って下さい、ヘスティア様。二人がLv.2になってからまだ10日ほどしか経っていないじゃないですか」
二人がLv.2に昇格したのはソーマファミリアと共に襲われたデスコピオン撃破によるものと聞かされていたナァーザは日数を数えて、Lv.2にランクアップするのに6年を要した自らの経験から否定する。
「それは正確じゃないんだ」
ある種の解放感を感じながら続ける。
「アルス君がLv.2になったのは怪物祭の時、ベル君はその四日後だ」
「え」
「出来るだけランクアップを遅らせたかったのと、偉業に相当するのが無かったから後にずらしたんだ」
「それでも18日と14日でLv.3になるなんてありえません」
ナァーザは簡単に受け入れられない、受け入れるわけにはいかなかった。でなければ常識が壊れる。
「普通はそうだろう。ただ、ベル君達はそうじゃない」
既にその常識を一度はぶっ壊され、何度も何度も否定され続けてきたヘスティアは首を横に振る。
「ちなみにリリルカ君もLv.3間近だ。リリルカ君は二人とは逆に後になって、Lv.2になったのを二人の公表タイミングに辻褄を合わせたんだ。リリルカ君はLv.2になって今日で七日目。今までのペースならば今まで同等の冒険を行えば一日でランクアップが可能と見ている」
淡々と語るヘスティアに、嘗ては中堅派閥として多くの冒険者を抱えていたミアハも簡単に承服できなかった。
「待て、ヘスティア。我々が刻む恩恵はそのような簡単なことで昇華はしない。偉業を果たさずにランクアップするなどありえない」
「ありえないことが可能なんでしょう、ミアハ。【成長ではなく飛躍。異常にして異端。明らかに普通の領域を超えた現象】…………あなたが言っていたことはそういう意味よね、ヘスティア?」
前に聞いていたヘファイストスは他の者達よりかはダメージが少ない。そんな彼女を右手で口元を覆って目をギラつかせたヘルメスが注視する。
「ああ、実際に三人共ランクアップ時に必ずしも偉業を果たしてはいない。にも関わらずランクアップしているんだ」
「急成長どころではない。それは正しく進化とも呼ぶべきだぞ」
「自覚しているよ」
どれだけヘスティアがベル達によって胃を痛めてきたか、今も狼狽するミアハはきっと理解出来ないだろうと腹の底で優越感を浮かんでは消えていく。
「今から大体一カ月前にアルス君に成長促進スキルが発現したんだ。そのスキルの影響か、最初にベル君、遅れてリリルカ君にも似たスキルが目覚めて急成長に繋がっている」
言ってヘスティアはリリルカを見る。
「アポロンファミリアは中堅派閥。最高ランクは団長ヒュアキントスのLv.3一人のみ。Lv.2は多数。それは間違いないんだね」
「はい」
「仮に先に眷属になった三人がLv.4になって、ヴェルフ君も近い領域に至り、助っ人がLv.3以上ならば数の論理を打ち砕ける、かもしれない」
「実現さえすれば可能性は高いわね」
戦闘、とりわけ人同士の戦争において、数を持って圧倒する時代は終わりを迎えた。
現代、俗に言われる神時代は量より質の時代と言われている。
神によって与えられた恩恵を昇華させたたった一人の豪傑が、いとも容易く戦況を覆す可能性を秘めているのだ。現にランクアップした十名の小隊ならば、百の敵軍、或いは千の軍勢すら真っ向からならば抑え込むとまで言われている程だった。
「ヘスティアの言うことの真偽はともかくとして、実際に戦う眷属であるベル達はどう思っているのだ?」
「恐らくですが」
と、ベルが何かを言うよりも先にリリルカが口を挟んだ。
「一週間でLv.4に至ることは不可能ではないと思います」
前置き以上の衝撃にザワリとするヘファイストス、ミアハ、ナァーザ、そしてヘルメス。
「強くなる速度は9、10階層に到達すると激増して、11、12階層で微増に留まっています。9、10階層に特に私達が強くなる要素を持ったモンスターがいるとリリは予測していました」
衝撃がゆっくりと浸透するのを待ち、ヘスティアの推測を補強する形で自らの予測を伝える。
「検証をしている時間はありませんが、リリの予測が当たっていればヘスティア様の言う通りにLv.4かそれに近い領域に到達する可能性はあります。ベル様がそれで良いとして頂けたらですが」
「やろう」
即答したベルに迷いは一辺たりとも無かった。
「今は少しでも可能性に賭けたい。出来ることを全てやろう」
目の奥に静かな炎を滾らせるベルにアルス達が頷いて答えた。
「4人共、一週間だ」
ヘスティアファミリアである4人の前に立ったヘスティアが告げる。
「
今まで散々痛めてきた胃のある場所を撫でた手を強く握る。
「今までゆっくりと強くなってくれと願っていた思いをここで捨てる。今日僕達を襲ってきたアポロンの
無茶無謀としか言えない指示。だが、その言葉には確かにベル達の実力を信じた思いがあった。
「後のことなんて考えなくていい。僕のダメージを受ける胃だって気にしなくていい。全ては終わってから悩めばいいんだから!」
アルスがスキルに目覚めてから獲得したヘスティアの奥義『明日の自分に全部任せる』を発動する。
「強くなれ! 君達なら出来る!」
「「「はい!」」」
ベル、リリルカ、ヴェルフが力強く返事をした後でアルスが口を開く。
→明日の為に、今日はもう寝よう
今からダンジョンに行くぞ!
「アルス君、君の言うことは正しいだ。正しいんだけどさぁ……今言うのは違うだろう!」
ヘスティアの叫びに、ドッと沸き起こった笑いにベル達は思わず苦笑してしまう。
肩に入っていた無駄な力は抜けていた。
ベル達が解散している頃、バベルの最上階で美の女神が不快そうにオラリオを見下ろしていた。
「アポロンたら、余計なことをしてくれたわね」
銀の瞳が見るのはアポロンファミリアのホームか、今はヘファイストスファミリアのホームで休んでいるベル達か。
「様子を見て、最悪の場合は戦争遊戯を仕掛けて奪おうかしら。ああ、でも、再改宗は一年間は無理なのよね。となると、アポロンが改宗してしまう前に戦争遊戯を仕掛けるしかないか」
代理戦争の行方を見守らないのは神ではない。その論理を崩すのは如何なフレイヤでも出来ないとなると、最悪の場合は奪われるぐらいならば奪うぐらいの心持ちで頬に手を当てる。
「『大平原で総決戦』…………ネタで入れてみたけど、流石に無茶だったわね。まさかヘルメスが引き当てるなんて」
鍛冶よろしく、叩けば磨かれるかと思って最も状況の悪いケースをフレイヤなりに考えて羊皮紙に書いた物を、よりにもよって引き当てたヘルメスの姿を見つけた。
「後でお仕置きしとかないと」
帰宅途中のヘルメスが大きなくしゃみをして肩を震わせたのは偶然ではないだろう。
「ヴォオオオオオオオオオオオオオッッ!」
Lv.2以上の冒険者達では辿り着けないダンジョン中層で、牛頭人体の大型モンスターが持つ大剣による一撃。
「
本来ならばLv.2の冒険者すら撲殺するに足る一撃を受け止めるは、猪人の冒険者――――オッタルの素の
武器を使う必要すらなく受け止められた一撃にミノタウロスは恐れ戦くように後退する。
「あの二人は既にLv.2に至っている。フレイヤ様からの命を授かった以上、加減は出来ないが鍛えただけのミノタウロスでは撃退されるやもしれん。それでは洗礼にならん。となると、強化するしかない」
50人以上の犠牲者を出した『血塗れのトロール』という強化種の討伐がオッタルの脳裏を過り、既にミノタウロスの強化方法を見出していた。
「食え、魔石だ」
大小様々な魔石がミノタウロスの前にぶちまけられる。
「Lv.2に留まるか、飛躍するかは貴様次第だ」
同胞であるモンスターの魔石を喰らい、能力や知恵が特別に強化されたモンスターは強化種と呼ばれている。
弱肉強食の理をもって潜在能力が強化されたモンスターは『異常事態』として観測され、あまりに図抜けた個体は『血塗れのトロール』のように賞金首として討伐命令が下されるほどだった。そしてその度に少ない被害が出ると言われている。
「あの御方の寵愛を受けているのなら、この程度のことは超えてみせろ」
ガリッと魔石を噛み砕いて向かってくるミノタウロスに、仕上がるまでオッタルは鍛え続けた、何時間も何十時間も。
全てはフレイヤの為に、オッタルは課せられた使命をただ果たすのみ。
勝負形跡が『攻城戦』から『平原決戦』に変更。
ヘスティアの違う意味での吹っ切れ。