ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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――――――――――アルスは、レベル22に あがった!
――――――――――アルスは、レベル23に あがった!
――――――――――アルスは メラミの呪文を覚えた!
――――――――――アルスは、レベル24に あがった!
――――――――――アルスは デインの呪文を覚えた!
――――――――――アルスは ニフラムの呪文を覚えた!
――――――――――アルスは トヘロスの呪文を覚えた!

――――――――――ベルは、レベル21に あがった!
――――――――――ベルは、レベル22に あがった!
――――――――――ベルは ジバリカの呪文を覚えた!
――――――――――ベルは、レベル23に あがった!
――――――――――ベルは ジバリーナの呪文を覚えた!

――――――――――リリルカは、レベル19に あがった!
――――――――――リリルカは メダパニの呪文を覚えた!
――――――――――リリルカは、レベル20に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル21に あがった!
――――――――――リリルカは ベギラマの呪文を覚えた!
――――――――――リリルカは、レベル22に あがった!



【アルス・クラネル Lv.3(レベル21→24)
 HP:151(+35)→184(+55)
 MP:75→88
 ちから:58(+8)→72(+14)
 みのまもり:25→31
 すばやさ:67→77
 きようさ:40→45
 こうげき魔力:63→72
 かいふく魔力:63→72
 みりょく:48→54
《魔法》
 【メラ】     ・火炎系魔法(小)
 【メラミ】    ・火炎系魔法(中)
 【ホイミ】    ・治癒系魔法(小)
 【ベホイミ】  ・治癒系魔法(中)
 【ギラ】     ・閃光系魔法(小)
 【ベギラマ】  ・閃光系魔法(中)
 【イオ】    ・爆発系魔法(小)
 【ラリホー】 ・催眠系魔法(個)
 【デイン】   ・電撃系魔法(小)
 【トヘロス】 ・遭遇除外系魔法
 【ニフラム】 ・敵退去系魔法
《技能》
 【かえん斬り】     ・武器に炎を纏わせることが出来る
 【ぶんまわし】     ・武器を振り回すことで範囲攻撃が可能
 【渾身斬り】       ・敵一体に大ダメージ
 【全身全霊斬り】    ・敵一体に特大ダメージ
 【フリーズブレード】  ・氷の力で敵1グループに攻撃
 【ミラクルソード】    ・敵1体にダメージ後、自身を回復
 【覇王斬】        ・敵全体に魔力で形成した巨大剣による無属性攻撃
《スキル》
 【二刀の心得】     ・左手にも武器を装備できる
 【メタル斬り】      ・メタル系に確実ダメージ
 【ドラゴン斬り】     ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
 【聖竜の祝福(ドラゴンクエスト)】   ・■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:5002》】

【そうび
 みぎて  『ウダイオスの黒剣』
ひだりて  『ゴールドトレイ+2』
 あたま   『てっかめん』
 からだ   『やすらぎのローブ』『聖騎士のよろい』
アクセ1   『きんのネックレス』
アクセ2  『ちからのゆびわ+3』         】



【ベル・クラネル Lv.3(レベル20→23)
 HP:151→182
 MP:55→63
 ちから:54→64
 みのまもり:21→26
 すばやさ:80→91
 きようさ:69→79
 こうげき魔力:66→76
 かいふく魔力:0
 みりょく:73→84
《魔法》
 【ジバリア】     ・地雷系魔法(小)
 【ジバリカ】     ・地雷系魔法(中)
 【ジバリーナ】    ・地雷系魔法(集団)
 【ザメハ】      ・覚醒魔法
 【インパス】     ・鑑定魔法
《技能》
 【スリープダガー】  ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
 【ヴァイパーファング】・敵1体に攻撃、たまに猛毒にする
 【かえん斬り】     ・武器に炎を纏わせることが出来る
 【ミラクルソード】    ・敵1体にダメージ後、自身を回復
 【デュアルカッター】 ・敵全体に攻撃時1.2倍のダメージを二回与える
《スキル》

 【スライムブロウ】   ・スライム種に対して投擲武器効果強化
 【メタルウィング】   ・メタル種に対して投擲武器効果強化
 【ヒュプノスハント】  ・眠りや混乱の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
 【タナトスハント】   ・毒や麻痺の敵に通常攻撃の6倍のダメージ
 【パワフルスロー】  ・投擲武器を投擲時、全体に等しくダメージ
 【メタル斬り】      ・メタル系に確実ダメージ
 【ドラゴン斬り】     ・ドラゴン種に対しての斬撃強化
 【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)】  ・■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:254》 】

【そうび
 みぎて  『てつのつるぎ+2』
        『せいなるナイフ』
ひだりて  『やいばのブーメラン』
 あたま   『毛皮のフード+2』
 からだ   『やすらぎのローブ』『てつのむねあて』『毛皮のポンチョ+1』
アクセ1   『ぬすっとのグローブ』
アクセ2   『すばやさのゆびわ+1』         】



【リリルカ・アーデ Lv.2→3(レベル18→22)
 HP:86→110
 MP;88→112
 ちから:32→40
 みのまもり:15→19
 すばやさ:55→64
 きようさ:53→65
 こうげき魔力:94→115
 かいふく魔力:0
 みりょく:51→63
《魔法》
 【シンダーエラ】     ・変身魔法
 【メラ】          ・火炎系魔法(小)
 【ギラ】           ・閃光系魔法(小)
 【ベギラマ】        ・閃光系魔法(中)
 【ヒャド】         ・冷気系魔法(小)
 【ルカニ】         ・敵守備力低下魔法(個)
 【ルカナン】        ・敵守備力低下魔法(集団)
 【ボミエ】          ・敵速度低下魔法(個)
 【ボミオス】         ・敵速度低下魔法(集団)
 【マジックバリア】     ・呪文防御魔法
 【イオ】          ・爆発系魔法(小)
 【マホトーン】       ・敵魔法封印魔法(集団)
 【マヌーハ】       ・幻惑解除魔法(個)
 【メタパニ】        ・敵混乱魔法(集団)
《技能》
 【魔封じの杖】   ・敵1体の呪文を高い確率で封じる杖の秘術
 【しゅくふくの杖】  ・仲間1人のHPを小回復する
 【暴走魔法陣】   ・仲間の呪文が暴走しやすくなる
 【魔結界】      ・魔法の結界を張り敵の攻撃呪文を防御する
《スキル》
 【縁下力持(アーテル・アシスト)】   ・一定以上の装備過重時における補正
 【悪魔ばらい】   ・悪魔系に対しての打撃力強化
 【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)】  ・■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:3561》 】

【そうび
 みぎて  『ピオラの杖』
ひだりて  『』
 あたま   『サンゴのかみかざり』
 からだ   『ウィッチローブ』
アクセ1   『まじょのてぶくろ+3』
アクセ2   『いのりのゆびわ+2』         】





戦争遊戯(ウォーゲーム)が決まってからの一週間はメタルスライムがいる9,10階層の周回になっています。

 9,10階層で出会えるメタルスライムが各一体ずつの討伐経験値を得られるということで経験値が激増しているカラクリです。




第37話 アルスは、レベル22に あがった!

 

 

 

 

 八本のメインストリートが集結するオラリオの中心にある中央広場に都市最大派閥ロキファミリアが集結していた。

 

「これよりダンジョン深層に向かう『遠征』を開始する」

 

 奥底にダンジョンの入り口があるバベルを背後に、リヴェリア・リヨス・アールヴ、ガレス・ランドロックの二名を左右に伴ったフィン・ディムナの声に皆が顔を向ける。

 

「今回も上層の混雑を避ける為、部隊を二つに分ける。最初に出る一班は僕とリヴェリアが、二班はガレスが指揮を取る」

 

 フィンの言葉に顔を向けるのはロキファミリアの冒険者だけではない。今回の遠征には鍛冶最大派閥ヘファイトスファミリアから厳選された上級鍛冶師(ハイ・スミス)も同行することになっており、団長である椿・コルプランドを始めとしたLv.3以上の冒険者が20人ほど。

 

「18階層で合流した後、そこから一気に50階層へ移動。僕らの目標は他でもない未到達領域59階層だ」

 

 遠征を前にしているロキ・ヘファイトスファミリア連合を、遠巻きに他のファミリアの冒険者が眺める中、フィンの言葉は続く。

 

「君達は『古代』の英雄にも劣らない勇敢な戦士であり冒険者だ。大いなる『未知』に挑戦し、富と名声を得る。犠牲の上に成り立つ偽りの栄誉はいらない。全員この地上の光に誓ってもらう、必ず生きて帰ると」

 

 フィンは息を吸い込み、号令を放った。

 

「遠征隊、出発だ!」

 

 オラリオの中央広場に鬨の声が響き渡り、一班を率いるフィンとリヴェリアの歩みに合わせてダンジョンへの遠征が始まった。

 

 

 

 

 

 深層への遠征の為、サポーターであってもLv.2以上に参加者は限定されていた。先鋒隊である第一班には進路上で発生する異常事態に対処出来るように第一級冒険者を揃えている。とはいえ、彼らに上層に出現するモンスターの露払いをさせるのは能力の無駄遣いでしかなく、主にLv.2やLv.3の者達が行うことになる。言い方を代えれば、主戦力として力を温存する必要がある第一級冒険者達はただ歩くだけで暇ということ。

 

「あ~あ、久しぶりの戦争遊戯(ウォーゲーム)なのに見れないなんてさ」

 

 出現するモンスターを先んじて露払い役が排除してくれるので、あっという間に7階層に到達してもティオナ・ヒリュテに緊張感は欠片もない。

 隣を歩く妹の愚痴を聞かされたティオネ・ヒリュテは溜息をもらす。

 

「まだ言ってるの、アンタは。いい加減に諦めなさいよ」

「でもさ、遠征を何日か延期すれば見れたんだよ。勿体ないじゃん」

「じゃん、じゃないっての。今回の遠征にはヘファイトスファミリアの上級鍛冶師(ハイ・スミス)達も参加してくれるんだから予定変更なんて無理に決まってるじゃない」

 

 ティオネが背後をチラリと振り返れば、戦闘はロキファミリアが肩代わりするということで椿以外の鍛冶師達は何がしかの荷物を背負っている。

 散発的に現れるモンスター達との戦闘音で恐らくティオナの声は聞こえないだろうが、他派閥に不評を買いそうなことを言いそうな妹に呆れる。

 

「ヘファイトスファミリアから移籍した子が戦争遊戯(ウォーゲーム)に参加するんだから、上級鍛冶師(ハイ・スミス)達も気になって鍛冶出来ないかもしれないよ」

「そこら辺はアタシ達が気にすることじゃないわよ」

 

 移籍してしまえば他所の人間なので気にしなければいいが、感情的にそうはいかないことも分かっている。他派閥のことなので一々口を出す気もないので、最低限の仕事をしてくれればティオネは文句を言う気は無かった。

 気にしているティオナを歩かしているヒリュテ姉妹の前で、話に出ていた戦争遊戯(ウォーゲーム)に弟子のような子が関わっているレフィーヤ・ウィリディスにとっては気が気ではない。

 

「アイズさん、リリ達は大丈夫でしょうか?」

「…………分からない」

 

 レフィーヤの隣を歩くアイズ・ヴァレンシュタインは静かに首を横に振る。

 絶大な信頼を寄せるアイズから安全の保障が得られなかったレフィーヤの目がヤバい感じに据わる。

 

「遠征さえ無ければ私が変装して参加したものを……っ!」

 

 アイズの脳裏に、口元を隠しただけの雑な変装をしたレフィーヤの姿が思い浮かぶ。

 

「直ぐにバレるから、止めとこ……?」

 

 変装はともかくとして、魔法を使えば一発で身元がバレる。

 『エルフ・リング』でエルフの魔法を使えば、そのエルフに迷惑がかかるので、どうやってもレフィーヤが戦争遊戯(ウォーゲーム)に参加することは出来ない。自分ならバレないだろうと変装手段を模索していたのに、遠征日程と諸被りしていたので断念したことはアイズの秘密である。

 レフィーヤが悶々としていると、アイズが何かに気づいて顔を進路方向に向けた。

 

「四人、かな」

「やけに慌ててるね。どうしたんだろ?」

 

 レフィーヤがなんのこっちゃと思っているとアイズの横に来たティオネが先を見通すように目を細める。やがて慌てた様子の冒険者パーティーが通路の向こうから現れてこちらに向かってくる。

 

「ねぇ、どうしたの?」

「止めなさいって。ダンジョン内では他所のパーティーに基本不干渉よ」

 

 ティオナが向かってくる冒険者パーティーに声をかけるのをティオネが止めるが、向こうも遠征隊に気づいた。

 

「なっ何だおま……げぇっ!? 大切断(アマゾン)!?」

「ていうかロキファミリア!?」

 

 二つ名を呼ばれる時に恐怖が混じっていたことに気づいたティオナが何故自分だけと落ち込んでいる間に、冒険者パーティーは助かったとばかりに先鋒隊の下へやってきた。

 

「そ、そうか遠征か……! 丁度良かった助けてくれ! あ、アイツ等が出たんだ!!」

「あん?」

「ミノタウロスだよ!」

 

 アイツ等と言われてもピンと来ていないベート・ローガに向かって、冒険者パーティーの一人が叫んだ。

 

「あの化け物()が上層に上がってきやがったんだ!」

 

 叫びに、気になる点があったフィンが冒険者パーティー達の前に出た。

 

「達? 一体じゃないのかい?」

「五体はいた! 助けてくれた白髪のガキ達のパーティーが戦っている間に、俺達はとにかく逃げるのに必死で……!」

「そのパーティーに女の子の小人族(パルゥム)はいましたか?」

 

 特徴的な人間がいるパーティーに助けられたと答えた冒険者に、レフィーヤが勢いも強く問いかける。

 

「あ、ああ、魔導師の小人族(パルゥム)が使った魔法の爆発のどさくさで俺達は逃げれたんだ」

「アイズさん」

「うん、間違いないと思う……」

 

 二人がそのパーティーの人間に思い立っている様子を見たフィンの目が鋭くなる。

 

「アイズ、レフィーヤ、二人はそのパーティーに心当たりがあるようだね」

「…………ヘスティアファミリア」

 

 アイズの返答にフィンも得心がいった。

 

「そうか、彼らか」

 

 一カ月前の出会いからトントン拍子で強くなり、ランクアップの情報を得ていたフィンは一考する。

 

「最速でLv.2になったとはいえ、まだミノタウロスの大群の相手をするのは厳しいだろう」

「救援を出すのか、フィン?」

「満更知らない中でもないんだ。将来有望な冒険者達を救うのは先達の役目だよ」

 

 ヘスティアファミリアのパーティーは軒並みLv.2とはいえ、ミノタウロスは17階層に出現するモンスター。Lv.2成り立てで大群で襲い掛かられれば対処の手が無くなる。

 リヴェリアに答えたフィンは、ロキファミリアがいる絶対安全領域にいることでようやく安心している冒険者パーティーに視線を戻す。

 

「件のパーティーが戦っている場所は?」

「じゅっ、10階層だ……」

 

 現在フィン達先鋒隊がいるのは7階層。10階層ならば足の速いアイズやベートならば然程時間もかからない。

 

「私が行く」

「わ、私も――」

 

 救援に立候補したアイズに続いてレフィーヤが言いかけたところで轟音が轟いた。

 

「っっ!?」

「なんだっ!?」

 

 一般人ならば立っていられないほどの振動の中、姿勢をグラつかせている冒険者パーティーと違ってフィンはただ足元の地面を見ていた。

 

「この音に振動、近くの階層で天井が崩落でもしたか?」

「分からないが、ミノタウロスが集団で上層に上がって来たことといい、見過ごせないな。隊はこのまま前進。当初の予定通り、最短で18階層まで進め。指揮はラウル、君が取るんだ」

 

 リヴェリアの疑問に答えるには材料が足りない。フィンはラウルに指示を出して得物の槍を握る手を強くする。

 

「は、はい! 団長は?」

「今必要なのは速度だ。僕とリヴェリア達で8階層から順に原因を捜索していく。足の速いアイズとベートでヘスティアファミリアの救援に……」

「アイズなら馬鹿エルフと一緒にさっさと行っちまったぜ」

 

 ベートの言葉にフィンが振り返れば、轟音がするまではそこにいたはずのアイズとレフィーヤの姿が無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間をロキファミリアがまだ5階層程度を進んでいる時に戻す。

 場所は10階層で、ヘスティアファミリアはここ数日、9階層と合わせた2階層を行ったり来たり繰り返しており、出現したメタルスラム達と戦闘を行っていた。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――メタルスライムBに ダメージ!

――――――――――まもののむれを たおした!

――――――――――アルスたちは4020ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――メタルスライムたちは 魔石を 落としていった!

――――――――――メタルスライムAは 命のきのみを 落としていった!

 

 アルス・クラネルが振るった『ウダイオスの黒剣』がメタルスライムを叩き潰し、戦闘は終了した。魔石はリリルカ・アーデが回収し、ベル・クラネルとヴェルフ・クロッゾが新手が無いことを確認している間に、アルスはメタルスライムが落とした『命のきのみ』を拾って口に運ぶ。

 

――――――――――アルスは 命のきのみを つかった!

――――――――――アルスの HPが 5ポイント あがった!

 

「また食べてるよ」

 

 特定モンスターを倒すと得られるドロップアイテムをまたもや食しているアルスに向けるベルの目には以前とは違って羨望の色が混じっていた。

 

「ステータスが上がっているのですから、いいではないですか」

「そうだけどさ……」

「ベル様も食べたいのですね」

「…………ちょっとね。レベルアップ以外にステータスが上がらないからアルスが羨ましくて」

 

 何度目かのやり取りに呆れたリリルカの問いに、ちょっと恥ずかしそうにベルが答える。

 

「実際、どうなんだ? 俺の目から見るともうアルスの方が太陽の光寵童(ポエブス・アポロ)よりも強いように感じるが」

 

 完全にモンスターの気配が途絶えたことで、雑談する余裕が出来たヴェルフも話に首を突っ込んできた。

 

「僕も『ウダイオスの黒剣』込みの攻撃力はアルスの方が圧倒的に上にだと思う」

 

 実際に太陽の光寵童(ポエブス・アポロ)――――ヒュアキントス・クリオと戦ったベルの感覚を伝える。

 

「ただ、両手剣の特徴から考えても、『すばやさ』とか色んな面では及んでいないんじゃないかな」

「アルス様は攻撃魔法や治癒魔法を使えますから、1対1で相対すれば勝機はありそうですが」

戦争遊戯(ウォーゲーム)の勝負が『大平原で総決戦』だから戦う機会はあるかもだけど、人数差的に1対1になることはないだろうから意味のない想定だよ」

 

 代表者によるタイマンならともかくとして、今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)はファミリア同士の集団戦。リリルカの言うような二人だけが戦う場面を考えても仕方ないとベルは考える。

 

「二つ名持ち相手に、尋常な勝負なら勝ち目がある時点で十分に凄ぇよ」

「まだ気にしておられるのですか、ヴェルフ様」

 

 ランクアップしてからまだ神会(デナトゥス)が開催されていないので、この場の面々はLv.2以上になっても二つ名を得ていない。普通ならば二つ名を持たない者が持つ者に勝てるということ自体がおかしなことだが、ネガティブが過ぎるヴェルフにリリルカが踏み込んだ。

 

「気にもするさ。お前達はどんどん強くなっているのに、俺は留まったままだ」

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)が決まって三日目の今日、三人の成長は目覚ましいにも関わらず、ヴェルフの成長は比べると鈍足の亀のようにすら感じる。

 全く同じように負の思考スパイラルに陥った経験のあるリリルカにとっては嘗て通った道だった。

 

「気にする必要はないですよ。スキルが目覚めるまでの辛抱です」

戦争遊戯(ウォーゲーム)まで一週間もないってのに、もう二日も過ぎちまったんだ。戦力になれないんじゃないかって焦りもするさ」

 

 少数で圧倒的多数を相手にするのだから個々人の戦力の向上が大きな意味を持つ。

 順調にステータスを向上させている実例を間近に見ているだけに、なまじ鍛冶貴族として恵まれた資質を持って生まれたヴェルフが初めて経験する劣等感にも似た焦燥。

 

「ヴェルフが作ってくれた『やすらぎのローブ』のお蔭で全然疲れないし、まだまだ装備を作ってくれるんでしょ? 戦力にならないなんてことないよ」

「スキルが目覚める理由は分かっていないのです。今は皆が自分の出来ることをすれば十分だと思います」

 

 ヴェルフが作ってくれた装備のお蔭で色々な面が助かっているので十分に戦力になっているとベルが真摯に伝え、焦ったところで何も変わらないことを知っているリリルカの助言にヴェルフも『はがねのかぶと』の下で片眉を上げる。

 

「そう言って貰えるのは有り難いが…………三人がスキルに目覚めた時はどういう状況だったんだ?」

「状況かぁ、アルスは本当に突然だったよ。変わったことといえば、ミノタウロスに襲われたぐらいだし…………僕は身の程を思い知らされて、強くなりたいと思った後かな」

「リリはソーマファミリア(過去)と決着を付けた後ですね」

「アルスは別にして、二人の話を聞いてる限りだと心の有り様の変化がスキル発現に影響しているのか?」

 

 特にリリルカのスキルの目覚めの前後を間近に見ているから、ヴェルフは二人にスキルが発現した理由を推測する。

 

「その可能性はありますね。ヴェルフ様のきっかけになりそうな心の有り様に関わる事柄といえば……」

「魔剣、か」

 

 今もヴェルフの背中に布で括り付けられている『魔剣』。

 命の危機に陥った時には使うと嘯きながらも、先のデスコピオン戦でも使われなかった武器さえ使うことが出来れば自身にもスキルが目覚めるのかと、ヴェルフの心で悪魔が囁く。

 

「ヴェルフ様の信条に関わるのでリリも多くは言いませんが、スキルの発現の為に曲げた程度では恐らく何も変わりはしないと思います」

「そうなのか?」

 

 心の中の悪魔に言う通りになりそうだったヴェルフは見通したようなリリルカの言葉に顔を向ける。

 

「あくまで感覚としてです。無視して頂いて構いません」

「いや、そういう感覚は大切にすべきだ」

 

 身体能力と同じく第六感と呼べるもの、冒険者の直感や感覚は無視できないものがある。なによりも意地を曲げた程度でスキルが発展アビリティに目覚めるなら冒険者は苦労しない。

 

「意地と仲間を秤にかけるのは止めなさい、か」

 

 ヘファイトスに言われたことを不意に思い出した。 

 

「リリもヘスティアファミリアに入って二日、三日後にスキルが発現しましたから焦らなくても大丈夫――」

「ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

 です、と考え込んでしまったヴェルフに焦る必要はないと言っていたリリルカの言葉に覆いかぶさるように放たれた咆哮。

 10階層に響く強烈な『咆哮(ハウル)』。原始的恐怖を引き起こし、Lv.1ならば強制停止(リストレイト)に追い込む威嚇の声にアルス達が首を巡らせる中、ベルだけはビクンと肩を跳ねさせた。

 

「今のは――」

 

 ヴェルフ達が咆哮の主に思考を巡らせるよりも早く、放たれた矢のようにアルスが走り出した。

 

「アルス様!?」

「ちっ、俺達も行くぞ!」

「ベル様、私達も――」

 

 装備をガチャガチャとさせながらアルスの後を追ったヴェルフを見て、リリルカはベルの後ろを振り向いた。

 

「ベル様?」

「あ、うん、行こう」

 

 リリルカに怪訝な声をかけられて棒立ちになって顔色を真っ青にしたベルも遅れて走り出す。

 ベルは咆哮(ハウル)を聞いた瞬間には主の正体に思い至った。違っていればいいと思いながらも、指先が震えていることに本人は気づいていなかった。

 

(まさか、ね)

 

 その頃、ダンジョンで単独行動は危険とエイナ・チュールから叩きこまれていたアルスは後を追ってくるヴェルフの為に足を緩め、先行していると視界に牛頭人体のモンスター五体が冒険者のパーティーに襲い掛かっているのが見えた。

 狙いをつけるために足を止めたアルスの横をガシャガシャと装備を鳴らしてヴェルフが通り過ぎる。

 

「メラミ」

 

――――――――――アルスは メラミを となえた!

――――――――――ミノタウロスEに ダメージ!

 

 『メラ』の上位呪文である『メラミ』は、『メラ』と比べれば数倍の大きさに比例してその威力も格段に上昇していた。今まさに冒険者の一人に襲い掛かろうとしていたミノタウロス一体に着弾して大きく吹き飛ばし、その余波は周りのミノタウロスにも及んだ。

 舞った火の粉の衝撃に怯んだミノタウロスの内の一体にヴェルフが『はがねのオノ』を振るう。

 

「おらぁっ!」

 

――――――――――ヴェルフの こうげき!

――――――――――ミノタウロスCに ダメージ!

 

 ヴェルフのステータスではミノタウロスの相手は厳しいが、『メラミ』とこの攻撃によってミノタウロスの集団と冒険者パーティーとの間に空間が生まれた。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは、剣を ぶんまわした!

――――――――――ミノタウロスたちに ダメージ!

――――――――――ミノタウロスE、Cを たおした!

 

 僅かな空間に飛び込んで放たれた『ぶんまわし』によって、『メラミ』によって大きなダメージを負っていた個体とヴェルフの攻撃を食らったミノタウロス2体が魔石に代わる。

 

「アンタら、無事か!」

 

 残り三体と向き合う中、盾役として冒険者パーティーの前に立ったヴェルフが彼らに確認する。

 

「あ、ああ、俺達は…………けど、コイツは」

「ポーションは!」

「もう使い切っちまったよ!」

 

 ミノタウロスから一瞬だけ目を離して抱えられている冒険者を見れば、血を流しながら意識がない様子。もう一人の返答で回復薬を使い切ったと聞いてヴェルフは舌打ちする。

 

「アルス! 治癒魔法をかけてくれ! 代わりに俺が前に出る!」

「ギラ」

 

――――――――――アルスは ギラを となえた!

――――――――――ミノタウロスたちに ダメージ!

――――――――――ミノタウロスA、ミノタウロスBを たおした!

 

 角による突進を仕掛けようとしたミノタウロス達に向かって閃光系魔法(ギラ)を放てば、前にいた二体が魔石に代わった。残った一体も先程の『ぶんまわし』と合わせて大きなダメージを負っていて動きが鈍っているのを確認してアルスが下がる。

 入れ替わりにヴェルフが前に出る。

 

「ベホイミ」

 

――――――――――アルスは ベホイミを となえた!

――――――――――冒険者の キズが かいふくした!

 

 強敵であるアルスが下がったのを見て残ったミノタウロスが突進してくるのを見て、ヴェルフは『はがねの盾』を前に持って構える。

 

「ぬぅっ!?」

 

――――――――――ミノタウロスDの こうげき!

――――――――――ヴェルフに ダメージ!

 

 突進を『はがねの盾』で受け切ったが勢いが強く、『はがねの盾』を持つ手を通して衝撃が染み込む。

 

「俺だってLv.2なんだ! ミノタウロスに怯んでいられるかよ!」

 

 足を止めたミノタウロスを弾き飛ばして、体勢を崩したところに『はがねのオノ』を振り下ろす。

 

――――――――――ヴェルフの こうげき!

――――――――――ミノタウロスDに ダメージ!

――――――――――ミノタウロスDを たおした!

――――――――――ミノタウロスたちが あらわれた!

 

「また!?」

 

 魔石を拾う暇もないまま、通路の向こうから地響きを立てて新たなミノタウロス五体が姿を現した。

 

「やっ!」

 

 アルスが待ち構えるか、魔法で撃退するか、一瞬の躊躇をした横を『やいばのブーメラン』が通り過ぎていく。

 

――――――――――ベルは デュアルカッターを はなった!

――――――――――ミノタウロスたちに ダメージ!

 

「アルス、ヴェルフ!」

「お二方!」

 

 遅れていたベルが 『デュアルカッター』を放ち、新手のミノタウロス達の足止めをしたところでリリルカと共に合流する。

 前衛は三人に任せ、リリルカが冒険者パーティーの下へ向かう。

 

「そこの冒険者方、動けますか?」

「あ、ああ、助かった。凄いな、アンタ達。ミノタウロスの集団に負けてねぇ」

「寧ろ倒しそうな勢いだ。上級冒険者か?」

「いいえ、リリ達は――メラ!」

 

 答えていたリリルカは、ヴェルフを突き飛ばして防衛線を抜けようとしたミノタウロスに向かって火炎系呪文(メラ)を放つ。

 

――――――――――リリルカは メラを となえた!

――――――――――ミノタウロスFに ダメージ!

 

 ダメージで足を止めたミノタウロスに、アルスが振るう『ウダイオスの黒剣』が唸りを上げて襲い掛かる。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――ミノタウロスFに ダメージ!

――――――――――ミノタウロスFを たおした!

 

 一刀の下に切り伏せられたミノタウロスが魔石と化して地面に落ちて転がってきた。足元にあると間違って踏み損ねかねないのでリリルカが通路の端に蹴飛ばしておく。

 

「見ての通り弱小ファミリアのパーティーです。10階層に何故、ミノタウロスの集団が……」

 

 主に中層17階層に出現するミノタウロスが上層10階層まで上がって来た理由を考えているリリルカに、助けられた冒険者パーティーは思いっきり引いていた。

 

「どこが弱小……? いや、それはいい。俺達にも分からない。急に下の階層が上がってきやがったんだ」

「下から上がって来たということは、何かに追い立てられた? 原因を調べるのは後ですね。他にもまだ上がってきている個体がいるかもしれません。あなた達は地上に上がって途中の冒険者やギルドにこのことを伝えて下さい!」

 

 リリルカは一度自分達がやってきた通路を確認してのモンスターがいないことを確認して、ミノタウロスに向かって『ピオラの杖』を振るう。

 

「行って下さい! ボミオス!」

 

――――――――――リリルカは ボミオスを となえた!

――――――――――ミノタウロスたちの すばやさを かなり さげた!

 

「「「「す、すまねぇ!」」」」

 

 動きが鈍ったミノタウロスを見てリリルカに急かされた冒険者パーティーが背中を向けて走っていく。その姿を時折確認して全く見えなくなると、ミノタウロス達と対峙しているアルス達の傍へと近寄った。

 

冒険者パーティー(邪魔者)はいなくなりました。一気に片づけます」

「言うねぇ、リリ助」

「事実です。ベル様、時間稼ぎを!」

「分かった。ジバリーナ!」

 

――――――――――ベルは ジバリーナを となえた!

――――――――――ミノタウロスたちの足元に ジバリーナを しかけた!

 

 ミノタウロス達はベルが手を向けると足元に広がった魔法陣に危機感を覚えたのか、急いでその場を離れようとした。

 

「ブゥムゥンッ!?」

 

――――――――――ベルの ジバリーナが 発動!

――――――――――ミノタウロスたちに ダメージ!

――――――――――ミノタウロスFを たおした!

 

 真っ先に動いた最初の一体は諸に『ジバリーナ』が発動して魔法陣から突き出した巨大な岩に貫かれた。

 残りの個体は僅かに急所を外したか、腕で防御するなどしてダメージを最低限に抑えたが、回避や防御といったワンクッションが必要となる行動を取っている間にリリルカの魔法発動体勢は整っていた。

 

「ヒャド!」

 

――――――――――リリルカは ヒャドを となえた!

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは フリーズブレードを はなった!

――――――――――氷のチカラを やどした大剣が あたりを いてつかせる!

――――――――――アルスとリリルカのれんけい ブリザードソードがはなたれた!

――――――――――ミノタウロスたちを たおした!

――――――――――ミノタウロスたちを やっつけた!

――――――――――アルスたちは1640ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――ミノタウロスたちは 魔石を 落としていった!

 

 『ブリザードソード』と名付けられた連携技でミノタウロスを一掃する。

 生き残った個体の追撃を狙っていたヴェルフが肩透かしを食らってしまうほどあっさりと終わってしまった。

 

 

 

 

 

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