ここからが第四章の本番です。
『黒が迫る。近づくことなかれ、戸惑うことなかれ、止まることなかれ、逃げることなかれ。心せよ、雷に導かれ、進み続ける他なし』
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13階層を攻略して1日休養期間を設けてから、またもや『
→うっみぃ――――!!
けっ、ただの塩水じゃねぇか……!?
「本当にこれが海なんだ。初めて見た」
隣で叫ぶアルス・クラネルを迷惑そうにしていたベル・クラネルも眼前に広がる海を見て呟く。
初めて嗅ぐ塩の香りが鼻についた。
14階層は海が広がる階層と聞いた時から、ベルは勝手に池の大きなバージョンを想像していたが、流石にそれは間違いだったようで、眼前にあるのは広大な水溜りなどではなかった。
「二人は海を見るのは初めてか?」
兄弟の反応を見てヴェルフ・クロッゾが尋ねる。
「うん、田舎の村の近くにも、オラリオに来る時も海は無かったから」
「リリもオラリオから出たことが無いので海を見るのは初めてです。ダンジョン内の風景を海と言ってよいのかは疑問ですが」
生まれも育ちもオラリオというリリルカ・アーデはそう言いつつも、目は海に釘付けとなっていた。
「神が海と太鼓判を押しているのだから、例えダンジョン内であろうと海で良いと思うよ」
「そういうものなのでしょうか……」
神の言うことを皆ほどには信用しきれないリリルカはダフネ・ラウロスの保証に首を傾けつつも、自身が否定の言葉を紡ぐほどの意欲も理由もないので呑み込んだ。
「14階層は22階層と同じく海が広がる特異な階層とは聞いてましたけど、まさか陸地の方が少ないなんて」
ギルドの
海面を覗き込んでも場所によっては底が見えないほど深く、どの程度の深さがあるのかすら分からない。正に今までの常識が覆される光景だった。
「一応、道はあるが場所によっては完全に途絶えている場所もあるじゃないか。どうやって進むんだ?」
「浅瀬になっているだけで途絶えているワケじゃない。論より証拠だ。行くよ」
「行くよって、早速足が濡れますよ?」
もっと下の階層に行ったことがあるダフネが真っ先に14階層に降り立ち、バシャバシャと水音を立てながら進もうとするのを慌てて止める。
「ここはそういう階層だからね。気にしてたら進めないよ」
そう言われたらベルも仕方なく足首まで水に浸かりながら歩き始めると、海面がどこからかやってくる波で揺れる。
「うわっ!? 水が向かってくる!?」
川などの水流とは違う波に乗ってやってきた水が足に横から圧力をかけてくることにベルが驚く。
「ただの波だから大丈夫だって」
「波に攫われたら、一瞬で流されちゃいません?」
苦笑するダフネに、パーティーで一番体が小さいリリルカは戻っていく波に不安を覚えて聞かずにはいられなかった。
「よほど時化なければ大したことないでしょ?それよりも陸路から足を踏み外さないように注意した方がいい」
「もしも足を踏み外して海に落ちたらマズいと?」
「そりゃあマズいよ。水の中は水棲モンスターの独壇場だからね。モンスターに嬲り殺しにされる前に陸に上がることを最優先にすべきだ」
例えるなら空を飛べないのに空中戦で空を飛ぶモンスターと戦えるのかと言われるのに等しい。
魔法が使えるアルスやリリルカ、ブーメランがあるベルはともかくとして遠距離攻撃手段に乏しいヴェルフには厳しい物がある。それの水中版となれば、水中を自在に動けるモンスターの餌食になる可能性が高いというダフネの言葉にも納得できる。
「周りは見ての通り海ばかり。どこからモンスターが襲ってくるかも分からず、海に落とされでもしたら一巻の終わりだ。13階層で驕った冒険者がこの階層を舐めたらどうなるか、簡単に想像がつくでしょ?」
「
先導するダフネの後をついて、浅瀬を進みながら実感したベルだった。
「ギルドの
波の行き来によってただ歩くだけでも難儀するにも関わらず、場所によって深さの代わる足場の悪さに苦戦しつつもベルは質問を投げかける。
「…………周りは海ばかりだからモンスターがどこから現れるか分からない。常に気を張って、さっさと通過するに限るね、この階層は」
「しかし、その通路がこうも狭いのでは……」
「陸地は数人が通るのがやっとなんだ。どうやっても列になって進むしかない。横から攻撃を受けないように気をつけるしかないさ」
頼りない足場と、通路は決して広くはなく、かつ両脇は海。しかもモンスターは海中に潜んで襲ってくるとなれば、リリルカの決断は早かった。
「では、先頭はこのまま経験者であるダフネ様にお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ」
「その次はどのような状況でも対処できるアルス様、最後尾は素早さが突出しているベル様でいきましょう」
「となると、アルスの後ろにカサンドラさん、ヴェルフ、リリの順番が適当かな」
「バランス的にそれがいいな」
「って、言ってる間にモンスターが来たよ!」
――――――――――まもののむれが あらわれた!
現れたのは前の階層でも現れた『まほうじじい』が三体、12階層にもいた『しびれくらげ』が五体、更には『かまいたち』が三体と初っ端からモンスターの数が多い。救いは左右からではなく、先頭を進むダフネの更に前方から向かってくることだろうか。
「初っ端から多いな、オイ!? こういう時はお前ら頼みだ、アルス! リリ助!」
敵の出現にヴェルフが斧と盾を構えながら、集団戦には広範囲魔法だとアルスとリリルカに向かって叫ぶ。
「任せて下さい、イオラ!」
「デイン」
――――――――――リリルカは イオラを となえた!
――――――――――アルスは デインを となえた!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――アルスたちは 807ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!
――――――――――かまいたちは みがきずなを 落としていった!
「うーん、圧殺!」
『
「二人の攻撃魔法が強すぎる」
「で、でも、13階層ではモンスターは生き残ってませんでしたか?」
同じくやることが無かったヴェルフが感嘆を漏らしている横で、先日のことを思い出したカサンドラ・イリオンが疑問を抱く。
カサンドラの疑問を聞き取ったダフネが振り返る。
「アルスの魔法がその時とは違ったじゃない。海とはいえ、水棲モンスターだから雷には弱いとか」
「雷に強いモンスターって、あまり聞きませんね」
→俺、最強?
雷、最強?
「はいはい、最強最強――――って、言っている間に」
――――――――――まもののむれが あらわれた!
今度は前後に『ガスト』が一体ずつに、左横から『だいおうキッズ』が二体、最後に右横から『おばけパラソル』と、先程まではいかないまでも上の階層と比べれば数が多い。
「あ、ガストだ」
「上層にもいましたね、似たようなのが」
「あっちは『スモーク』ね。色が違うだけじゃなくて、物理に強い特性はそのままに強いから気をつけて!」
言われている間にベルが『はやぶさの剣』を持って背後の『ガスト』に向かって斬りかかっていた。
「やっ!」
――――――――――ベルは かえん斬りを はなった!
――――――――――ガストAに ダメージ!
――――――――――ガストAを たおした!
軽くて強い特殊な金属で作られている『はやぶさの剣』を振るうベルは隼のごときスピードで二連撃を叩き込み、『ガスト』がガラスの引き裂くような声を漏らして消滅する。
――――――――――だいおうキッズAは さそうおどりを おどった!
――――――――――カサンドラは つられて おどっている!
「おらぁっ!」
「やぁーっ!」
――――――――――ヴェルフとダフネの こうげき!
――――――――――だいおうキッズたちに ダメージ!
――――――――――だいおうキッズたちを たおした!
――――――――――おばけパラソルは にげだした!
『おばけパラソル』を警戒をしていたリリルカにとっては敵の逃亡は拍子抜けで、誰かが攻撃を受けて怪我をしたら直ぐに治癒魔法を発動させる心持ちでいたカサンドラがいきなり踊り出したことに目を剥く。
「お、踊りたいわけじゃないんです……っ!」
自身の名誉の為に釈明するカサンドラ。
まるでお子様のお遊戯会のような振り付けなのは、恐らく踊りがあまり得意でないからだろう。
「はっ!」
――――――――――アルスは かえん斬りを はなった!
――――――――――ガストB ダメージ!
――――――――――ガストB たおした!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――アルスたちは 454ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!
――――――――――だいおうキッズは ホワイトパールを 落としていった!
モンスターを倒したことで『さそうおどり』の効果がキレてへたり込みそうになるカサンドラ。流石に座り込んでしまうと水に浸かってしまうのでぐっしょりと濡れてしまうのを嫌ったのだが、気分的にはそれぐらいしたほどだった。
やはりカサンドラとしては恥ずかしい事この上ないらしい。
「うう、恥ずかしい……」
→ナイス、ダンス!
ナイス、乳揺れ!
「そこまでにしておこうね、アルス?」
――――――――――まもののむれが あらわれた!
ベルがカサンドラに追撃を与えているアルスを諫めようとしたら更なる敵モンスターの増援が現れた。
「今日は多いですね、モンスター」
海から海底を駆けあがってきたのかのように水面をバシャバシャとさせながら向かってくる『シーゴーレム』が二体に、金糸雀色の丸い体に角や尻尾、羽といった竜の如き特徴を備え、体には丸い目と笑ったような口をした魔物である『ドラゴスライム』五体が飛んでくる。
短い羽根をバタつかせて飛び回り、口から火の息を吐き出す『ドラゴスライム』への対処が必要だとリリルカは『いかずちの杖』を向けた。
14階層、アルス達よりも先の場所でタケミカヅチファミリアのパーティーも妙に多いモンスター達の遭遇に苦戦していた。
――――――――――かまいたちは かまいたちを はなった!
――――――――――千草に ダメージ!
「あぐっ!?」
中衛で弓や短刀で仲間を援護していたヒタチ・千草が『かまいたち』のかまいたちを肩付近に受けて血を噴き出しながら倒れる。
「ち、千草殿!?」
前衛で魔法を使う『まほうじじい』を集中的に狙っていたヤマト・命が瞬間的に反転して海面に倒れそうになった千草を抱き抱える。
「落ち着け、命! 治療急げ!」
団長であるカシマ・桜花の指示に、六人パーティーの中から一人が命から千草を受け取る。
「中衛の一人上がれ! 千草の穴を埋めろ! 俺も前に出る! 行くぞ、命!」
両手剣『退魔の太刀』を振るう桜花の一撃が『だいおうキッズ』を叩き潰す。
『てつのやり』を持った命が桜花の後に続き、見事な体捌きで、その表情といい軟泥状の柔らかな体といい、スライムを連想させる『ドラゴスライム』を薙ぎ払う。
「よりにもよって14階層で
タケミカヅチファミリアでたった二人のLv.2であるからこそなんとか前線の維持が出来ているが、尚もモンスターは限度を知らないように現れ続ける。中衛から援護の矢が放たれているが、千草が抜けた穴を完全に埋めているとは言えない。
自分達がいる間に起こった
「駄目だ、桜花。傷が深すぎて手持ちのポーションだと回復するまで時間がかかりすぎる。せめて上層に上がらないと――」
「分かった。千草は俺が背負う!撤退を急ぐぞ。命は殿を頼む!」
「了解!」
幸いと言っていいか分からないが、モンスターの襲来は前方方向に集中している。
桜花以外に千草を背負って戦闘を続けながら逃げれる『力』のステータスを持つ者がいない以上は、殿は命しかない。そのことを重々承知していた命はモンスターの攻撃を捌きつつ、足場を気にしながら詠唱を始める。
「掛けまくも畏きいかなるものも打ち破る我が武神よ、尊き天よりの導きよ。卑小のこの身に巍然たる御身の神力を。救え浄化の光、破邪の刃。払え平定の太刀、征伐の霊剣。今ここに我が命において招来する。天より降り、地を統べよ、神武闘征!」
――――――――――ドラゴスライムは もえさかる 火炎を はきだした!
――――――――――おばけパラソルAと おばけパラソルCの モンスターれんけい!
――――――――――大かまいたち!
「――――フツノミタマ!」
命が有する唯一の重圧魔法が発動した。
発動と同時に上空に巨大な光剣が出現し、海面に複数の同心円が発生して光剣が同心円の中心に突き立つと、最大で半径50mの巨大なドーム状の重力結界を展開し、モンスター達事、『ドラゴスライム』が放った燃え盛る火炎や『おばけパラソル』のモンスター連携である大かまいたちも諸共に押し潰した。
「よし、今の内に13階層まで逃げ続けるんだ!」
半径50mのモンスターの最低限の足止めが出来て離脱した命が合流したのを確認して、桜花達も離脱の速度を上げる。
「不味いぞ! よりにもよって『マーマン』の群れだ!?」
後方を警戒していた団員のその言葉に誰もが息を呑んだ。
足場が頼りないタケミカヅチファミリアの足よりも、半魚人のモンスターである『マーマン』が海中を進む速度の方が圧倒的に速い。瞬く間に海面を掻き分けてタケミカヅチファミリアに追いついたマーマンの一体が群れから離れて攻撃を仕掛けてきた。
――――――――――マーマンは するどいツメを ふりおろした!
「ぐあっ!?」
よりにもよって負傷している千草を肩に抱えている方からの攻撃だったから『退魔の太刀』で防御できず、さりとて回避できるほど身軽でもなかった桜花はその身を盾にして攻撃を受けるしかなかった。
背中に三本の爪痕を刻まれた桜花を助ける為に命が飛んだ。
「桜花殿! よくもっ!」
命が『てつのやり』を振るうも、『マーマン』は耽溺することなく離脱して海面に潜ったので追撃出来ない。
「ぐぅっ、俺は大丈夫だ! 多少の傷は構うな! 進み続けろ!」
ズキズキと痛む背中から血を滴り落としながらの激に仲間も答える。
徐々に弱らす為の嬲るような『マーマン』達の攻撃に、負傷を重ねながら逃走を続けていたタケミカヅチファミリアの耳に自分達とは違う激しい戦闘音が聞こえてきた。
「あれは…………ヘスティアファミリア」
アポロンファミリアの神の宴で挨拶を交わした顔があり、
桜花の頭の中で瞬間的に計算が働く。
「…………あの上を通り抜けるぞ」
桜花が呟いた言葉に、最も負傷を重ねている命が反応する。
「待って下さい、桜花殿!? そんなことをしたらあの方々が……!」
「アイツらはあのアポロンファミリアに勝ったんだ。俺達よりも生存確率は高い。それに俺にとってはお前達の命の方が大事だ!」
その行為が何を意味するのかを理解しながらも、桜花の言うことも最もだと追い詰められた彼らは思ってしまった。
「胸糞悪いって言うなら後で腐るほど罵ってくれ」
どの道、他の陸路が無い以上は進路でかち合ってしまう。他にどうにも出来ない彼らには他に選択肢は無かった。
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――アルスたちは 839ポイントの経験値を かくとく!
――――――――――モコッキーは 魔石を 落としていった!
――――――――――ドラゴスライムは 小さなうろこを 落としていった!
アルスの一刀が残っていた『シーゴーレム』を倒したところで彼らは現れた。
「御免!」
「え?」
階層の奥から現れた彼らは次々と飛び上がってベル達の上空を飛び越えていく。接近には気づいていたが冒険者ならば害はないと放置していたところに、横合いの海から突如として『マーマン』が現れた。
「うわぁっ!?」
――――――――――ベルの こうげき!
――――――――――マーマンAに ダメージ!
――――――――――マーマンAを たおした!
咄嗟の反応で持っていた『バタフライダガー』を振るい、『マーマン』が魔石となる。
「ビックリした。急に何が……」
→今のタケミカヅチファミリアの奴らじゃないか?
今のって、フレイヤにデレデレしてた極東の神の眷属じゃないか?
「あっ、そういえば」
黒髪を結わえた、今にも涙を零しそうな青紫の瞳の持ち主と以前に会っていることを思い出したベルは、更なるモンスターの接近に気づいて戻しかけた『バタフライダガー』を握り直す。
――――――――――マーマンたちが あらわれた!
「あれは『マーマン』の群れ……!? さっきの奴ら、まさか――」
「いけません、
前方から迫ってくる『マーマン』の群れに、ヴェルフがもしかしたらと思う前に盗賊時代に似たようなことをしたことがあるリリルカがタケミカヅチファミリアが同じことをしたのだと直ぐに気づいた。
文句を言おうにも既にタケミカヅチファミリアの姿は遥か遠くなっている。
――――――――――アルスは 覇王斬を はなった!
――――――――――マーマンたちに ダメージ!
――――――――――マーマンたちを やっつけた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
アルスの『覇王斬』が迫って来ていた『マーマン』の群れを一掃するも、すぐさま新手が向かってくる。
「これは数が多すぎます。皆様、リリは逃げるを上策とします。これだけの数がいると、それこそ海に落とされたら嬲り殺しにされかねません。一度撤退して体勢を立て直さなければ!」
「俺は反対はしないぜ。
「今度は何を毟り取る気だい?」
「いや、神様の知り合いの神様の眷属にそんな無体は――」
「ベル様、大義は我らに有りです」
「みんな、アルスに染まり過ぎぃ!!」
→呼んだ?
照れる
「呼んでない!」
――――――――――ベルは デュアルカッターを はなった!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
怒鳴りながらベルが放った『はがねのブーメラン』が何体かのモンスターを倒すも、今度は反対側からもモンスター達が現れた。
「は、挟み撃ち……」
「私達も13階層に戻ります! ベギラマ!」
――――――――――リリルカは ベギラマを となえた!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
「おらぁっ!」
――――――――――ヴェルフは 身構えつつ こうげきした!
リリルカが『ベギラマ』で進路を開き、ヴェルフが『シールドアタック』で自分達が通れるスペースを広げる。
――――――――――まもののむれが あらわれた!
「ちっ、数が減らねぇ。寧ろ増えてねぇか?」
「グズグズ言わない!」
「分ぁってるよ!」
――――――――――まもののむれが あらわれた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
――――――――――まもののむれが あらわれた!
「中層はモンスターが寄ってくるのが早いってレベルじゃないよ、これは!?」
「
前後左右から間断なく襲い掛かってくるモンスター達に然しものベルも目を剥き、カサンドラが絶句し、ダフネも叫ぶ。そんな中、殿を務めていたアルスが左手に持っていた『はじゃのつるぎ』を鞘に戻した。
「イオ」
――――――――――アルスは イオを となえた!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
『はじゃのつるぎ』を鞘に戻したことで開いた手でまずは左側にイオを放ち、次は右側。
「イオ、イオ、イオ、イオ、イオ」
――――――――――アルスは 連続でイオを となえた!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
右側から後ろ、更には前に放ち、また左、後ろには行かずに右と次々に
「アルス、そんなに魔法を使ったら
「いや、これでいい。広範囲魔法を連発することでモンスターを遠ざけているんだ」
残り
「ならば、リリも…………イオ! イオ! イオ! イオ! イオ!」
――――――――――リリルカは 連続でイオを となえた!
――――――――――まもののむれに ダメージ!
――――――――――まもののむれを やっつけた!
リリルカはアルスよりも『こうげき魔力』が倍以上あるので、同じ魔法でも威力が全然違う。爆発の弾幕によってモンスター達が次々に消えていく。それでも新手のモンスターは現れるが、このペースならば二人の
「流石は本職。これなら突破できるか?」
→くっちゃべってないで警戒!
それってフラグ……
「了ぉ解!」
モンスター撃退の肝はアルスとリリルカである。アルスならば自分で自分を守れるが、念の為にダフネが傍についている。ならば、自分はリリルカに付くべきだと判断して動いたところで、爆発の煙を縫って『おばけパラソル』二体が飛来する
――――――――――おばけパラソルAと おばけパラソルCの モンスターれんけい!
――――――――――大かまいたち!
ヴェルフが『はがねの盾』を前に出してリリルカへの文字通りの盾にならんとしたところで、同じように煙から誰かが飛び出してきた。
「神武闘征――――フツノミタマ!」
詠唱を続けながらやってきたヤマト・命の重圧魔法が発動し、大かまいたちが海面に叩き落とされる。直後、『フツノミタマ』は直ぐに解除された。
「ベギラマ」
――――――――――アルスは ベギラマを となえた!
――――――――――おばけパラソルたちに ダメージ!
――――――――――おばけパラソルたちを やっつけた!
発動したアルスの
「あなたはタケミカヅチファミリアの」
「敵の足止めは私に任せて撤退を! なにを言っても言い訳にしかなりませぬ。せめてこの身を盾として使い尽くして下され!」
悲壮とも言える命の決意を他所に、ベル達は渋い表情を浮かべた。
「下されって言っても……」
「出来るわけがないというか」
「確か『絶†影』だっけ? 加害者の癖にLv.2が足止めとか笑わせるなっての」
「だ、ダフネちゃん、本当のことでも言っちゃ駄目だよ……」
「一番カサンドラ様が酷いことを言っているような」
正しく身命を懸けた決意をフルボッコされた命の目に別の意味で涙が浮かぶ。
「な、仲間の制止を振り切って来たのに」
→足手纏いを連れて、さっさと行くぞ!
邪魔者を囮にして、さっさと行くぞ!
「ひ、酷い……」
追い打ちをかけられた命が泣き言を漏らしたところで、進行方向の通路が横合いから生えてきた巨大な何かによって潰された。
――――――――――クラーゴンが あらわれた!
『プギシャ――!!』
外套膜が紫色をしたオオイカのモンスターが鼻の位置にあるが口なのか良く分からない円筒状の穴を、ヒューマンの大人の大きさにまで開く。
「おい、ウソだろ!?」
全速力で走っていた皆は急に止まれず、周りのモンスターが一斉に攻撃を仕掛けてきた絶妙なタイミングだった。しかも大きく開かれた穴から息を吸っているような強い吸引力が発せられていては末路は決まってしまった。
「うわぁあああああああああああああああっっ!?」
位置的に真っ先に穴に飛び込むことになってしまったヴェルフの悲鳴が響き渡る中で。
「アストロン」
――――――――――アルスは アストロンを となえた!
――――――――――アルスたちの からだが てつのかたまりに なった!
やがて14階層は静寂を取り戻し、千草の治療を終えたタケミカヅチファミリアが戻ってきた時には何事もなく凪いでいる海だけが静かにさざめいていた。
14階層はドラクエ11 内海エリアとなってます。
クラーゴンが内海に出る前、ダーハルネの町にイベントで出現していたのでこの階層にも現れたということで。