――――――――――アルスは、レベル32に あがった!
――――――――――アルスは、はやぶさの斬りを覚えた!
――――――――――アルスは、つるぎのまいを覚えた!
――――――――――アルスは、レベル33に あがった!
――――――――――アルスは、レベル34に あがった!
――――――――――アルスは、レベル35に あがった!
――――――――――アルスは ライデインの呪文を覚えた!
――――――――――ベルは、レベル32に あがった!
――――――――――ベルは、バンパイアエッジを覚えた!
――――――――――ベルは、二刀の心得を覚えた!
――――――――――ベルは リレミトの呪文を覚えた!
――――――――――ベルは、レベル33に あがった!
――――――――――ベルは、レベル34に あがった!
――――――――――ベルは、レベル35に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル32に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル33に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル34に あがった!
――――――――――リリルカは、レベル35に あがった!
――――――――――ヴェルフは、レベル26に あがった!
――――――――――ヴェルフは、レベル27に あがった!
――――――――――ヴェルフは、レベル28に あがった!
――――――――――ヴェルフは ベホイミの呪文を覚えた!
――――――――――ヴェルフは、まもりのたてを覚えた!
――――――――――ヴェルフは、レベル29に あがった!
――――――――――ヴェルフは、レベル30に あがった!
――――――――――ヴェルフは、レベル31に あがった!
【アルス・クラネル Lv.4(レベル31→35)
HP:255(+105)→292(+105) MP:117→133 ちから:99(+22)→115(+22) みのまもり:42→49 すばやさ:99→111 きようさ:57→65 こうげき魔力:93→108 かいふく魔力:93→109 みりょく:70→82
《魔法》
【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【イオ】【イオラ】【ホイミ 】【ベホイミ】【ベホイム】【ベホマ】【ラリホー】【ラリホーマ】【デイン】【ライデイン】【トヘロス】【ニフラム】【ルーラ】【アストロン】
《技能》
【かえん斬り】【はやぶさ斬り】【つるぎのまい】【ぶんまわし】【フリーズブレード】【ミラクルソード】【渾身斬り】【全身全霊斬り】【覇王斬】
《スキル》
【二刀の心得】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【
《次のレベルまで:7937》】
【そうび みぎて『ゾンビキラー+3』 ひだりて『プラチナソード』『プラチナトレイ』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『シルバーメイル』 アクセ1 『ようせいの首飾り』
アクセ2『バトルチョーカー』 】
【ベル・クラネル Lv.4(レベル31→35)
HP:271→305 MP:82→92 ちから:92→106 みのまもり:37→43 すばやさ:121→134 きようさ:105→121 こうげき魔力:102→115 かいふく魔力:0 みりょく:112→124 《魔法》
【ジバリア】【ジバリカ】【ジバリーナ】【ザメハ】【インパス】【リレミト】
《技能》
【スリープダガー】【ヴァイパーファング】【バンパイアエッジ】【かえん斬り】【ミラクルソード】【デュアルカッター】【ぬすむ】
《スキル》
【二刀の心得】【スライムブロウ】【メタルウィング】【パワフルスロー】【ヒュプノスハント】【タナトスハント】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【
《次のレベルまで:11122》 】
【そうび みぎて『はやぶさの剣+3』『ソードブレイカー』 ひだりて『はがねのブーメラン』 あたま『大盗賊のターバン』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『ぬすっとのグローブ』 アクセ2『すばやさのゆびわ+1』 】
【リリルカ・アーデ Lv.4(レベル30→35)
HP:162→194 MP:167→202 ちから:59→70 みのまもり:29→35 すばやさ:89→104 きようさ:88→102 こうげき魔力:161→184 かいふく魔力:0 みりょく:84→95
《魔法》
【シンダーエラ】【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【ヒャド】【ヒャダルコ】【イオ】【イオラ】【ルカニ】【ルカナン】【ボミエ】【ボミオス】【マヌーハ】【メタパニ】【マホトラ】【マジックバリア】【マホトーン】【マホカンタ】
《技能》
【魔封じの杖】【しゅくふくの杖】【暴走魔法陣】【魔結界】【ぶきみなひかり】
《スキル》
【
《次のレベルまで:13131》 】
【そうび みぎて『せいれいの杖』 あたま『マジカルハット』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『まじょのてぶくろ+3』 アクセ2『破封のネックレス』 】
【ヴェルフ・クロッゾ Lv.3→4(レベル24→31)
HP:272→328 MP:70→89 ちから:90→115 みのまもり:37→50 すばやさ:34→41 きようさ:43→50 こうげき魔力:0 かいふく魔力:69→99 みりょく:96→124
《魔法》
【ウィル・オ・ウィスプ】【ホイミ】【ベホイミ】【スカラ】
《技能》
【シールドアタック】【まもりのたて】【かぶと割り】【蒼天魔斬】【無心こうげき】
《発展アビリティ》
【鍛冶:H→G】
《スキル》
【魔剣血統】【
《次のレベルまで:622》 】
【そうび みぎて『たつじんのオノ』 ひだりて『ドラゴンシールド』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『シルバーメイル』 アクセ1『ようせいの首飾り』 アクセ2 『命のゆびわ』 】
【ダフネ・ラウロス Lv.3
【そうび みぎて『女王のムチ』 ひだりて『ソードブレイカー』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『おしゃれなベルト』 アクセ2 『ハンサムスカーフ』 】
【カサンドラ・イリオン Lv.3
【そうび みぎて『神聖のクリスタルロッド』 あたま『ぎんのかみかざり』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『あみタイつ』 アクセ2『しんごんのじゅず』 】
ロキファミリアの首脳陣との折衝を終え、ヘスティアが滞在していたテントでぐうたらな彼女らしく広げられていた荷物を片づけて返す前にステータスも更新しておこうということになり、先に女性陣を行い、今は最後のヴェルフ・クロッゾの更新が終わったところだった。
「――――――おめでとう、ヴェルフ君。
Lv.3になってから、たった10日でランクアップしてしまったヴェルフに菩薩の境地に達したヘスティアが祝辞と共に告げた。
「ありがとうございます、でいいんですかね。こんなトントン拍子で」
「リリ達に限っていえば今更ですよ」
「うん、僕ももう諦めてる。ヴェルフもランクアップしてなくて安心するようになるから」
先にLv.4にランクアップしていたリリルカ・アーデとベル・クラネルの仲間を歓迎する諦観に満ちた笑みに、装備を纏い直すヴェルフの口の端が引き攣る。え、俺もそんなこと思うようになるのかという方面で。
「嫌な諦観よね」
「ダフネ様達は今回は?」
自分は仲間には加わりたくないと顔で表現しているダフネ・ラウロスにリリルカが尋ねる。
聞かれたダフネは肩を竦めた。
「残念ながらステータス表記は変わってなかったよ。アンタらのお蔭で多少苦労したぐらいだからウチもカサンドラもステイタスはそんなに伸びてない」
視線を向けられたカサンドラ・イリオンは寝そべっているアルス・クラネルの隣でコクリと頷く。
「やっぱり僕達は異常なんだね」
「そりゃあ異常でしょうよ。ヴェルフはLv.3からLv.4になるのにたった10日でしょ。常識がバグるっての」
ダフネの確認に、ステータスを書いた羊皮紙をアルスの『
「Lv.2からLv.3に上がるのに5日だから、次のランクアップは20日ぐらいかかるかな。ふふ、常識が壊れるね」
「これが異常でなかったらオラリオの冒険者は高ランク冒険者で溢れていますよ」
普通は年単位でランクアップするもので、そのランクアップ自体が出来ない人も珍しくない中でポンポンとランクアップする自分達が異常だなどリリルカは良く知っていた。それよりも燃やされる前に見たステータスでは新たな魔法や技能に目覚めなかったことが気にかかっていた。
「今回、リリはレベルが上がっただけで魔法も技能も発現しなかったです。これで打ち止めなんでしょうか……」
「いや、普通は魔法スロットの上限は3つなんだから、そうポカポカと発現するものじゃないから」
「異常に慣れてしまったら、異常がないと逆におかしく感じるものです」
「嫌な慣れだね」
「こ、このことに関しては深く考えない方が良さそうじゃないかな? ね、精神衛生上よろしくなさそうだよ」
さっきも似たようなことを言ったなとダフネが考えていると、ベルはこの話題を続けると誰にとっても良い精神状態にならないと悟った。
自分のランクアップに端を発した話題で雰囲気が悪くなったら困るヴェルフが話題転換に丁度良い話題を持っていた。
「そうだな。じゃあ、この機会に装備の更新をしておくか」
「え? また? この遠征じゃないけど遠征でも何回も更新してるじゃないか」
ほぼ遠征みたいなものだが、ギルドに申請していないので遠征ではない。
ややこしい状況だが、この冒険で何度も装備を更新しているので、アポロンファミリア時代とは装備の更新速度が違い過ぎたダフネが不思議そうにしていた。ヴェルフとしても、まさかここまで短期間に装備を更新するつもりなどなかったのだが止むにやまれない事情があった。
「俺もそんなつもりはなかったんだが椿にやれと脅されてな。目の色を変えた椿が怖すぎる」
ロキファミリアの遠征に同行していたヘファイストスファミリア団長、椿・コルプランドがこの野営地でヴェルフの姿を見て、ヘスティアファミリアパーティーの装備に目を移して、直ぐに『ふしぎな鍛冶台』を多用していると悟ったようだった。
今できる最高の鍛冶がみたいと言って聞かなかったのだ。
「ヴェルフ様も苦労されてるんですね」
「深層の素材と『プラチナの盾目録』が代価で、足りない素材は出すとまで言われちゃあ断れねぇよ。っていうか、今回に関しては俺も楽しんでるんだからいいんだが」
割と椿と同様に鍛冶バカだったヴェルフに、リリルカは心配するだけ損だった顔が物語っていた。
気にしないヴェルフがアルスに『どうぐぶくろ』を貸してくれと頼む。
「アルスは、『ライトシールド』から『プラチナトレイ』に。ベルは『バタフライダガー』から『ソードブレイカー』、『やすらぎのローブ』と『ぎんのむねあて』から『プリンスコート』に。リリ助は貰い物の『せいれいの杖』と『マジカルハット』と、『ウィッチローブ』から『プリンセスローブ』に。俺は『たつじんのオノ』と、アルスと同じ『シルバーメイル』に。ダフネが『アサシンダガー』から『ソードブレイカー』、ベルと同じように『やすらぎのローブ』『ぎんのむねあて』から『プリンスコート』に。カサンドラもようやく『やすらぎのローブ』から『プリンセスローブ』に…………と、こんな感じだな」
「無茶早口」
「と、途中から何が変わったのか分からなくなっちゃいました……」
借りたアルスの『どうぐぶくろ』から次々と武具を取り出しながら語るヴェルフが早口過ぎて、途中から聞き取りを放棄したダフネと頑張ったが自分の装備の何が変わるのか聞きそびれてしまったカサンドラ。
「取り敢えず全員何かしら装備が変わったというのだけは理解しました」
「リリのヴェルフに対する理解が凄い件」
付き合いは長くないが、どういう人間であるかは理解しているリリルカは自分の装備の何が変わるかだけは集中して聞いて、全員の名前が出たから全員の装備が変わるのだろうと他は適当に聞き逃していた。
一応、全部聞き取って理解していたベルが苦笑する。
「まあ、なんでもいいけどさ、リリルカもカサンドラも『プリンセスローブ』なのになんでウチだけ『プリンスコート』なわけ?」
「あ、そういえばそうだな…………なんでだろう?」
「いや、こっちが聞きたいんだけど」
女性陣は『プリンセスローブ』なのに、自分だけ男であるベルと同じ『プリンスコート』に文句を言ったダフネに対して、特に理由は無かったヴェルフが首を傾げる。
「嫌なら『プリンセスローブ』をもう一個作るか?」
「別にいいわよ。『せいれいせき』も残り少ないんだから必要ないわ」
財務担当として、何の素材があるかを知悉しているダフネは手を振ってヴェルフの提案を蹴る。
「ダフネがそう言うんなら作らないが、本当にいいのか?」
「くどい。いいって言ってるんだからいいのよ」
「ああ……」
素材的にギリギリ『プリンセスローブ』をもう一個作れるが、そうなると『せいれいせき』が無くなってしまう。
ダフネがいらないと言うなら、いいかとヴェルフが納得しようとしたところで決意を込めた表情のカサンドラが一歩前に出る。
「本当にいいのダフネちゃん?」
「装備の性能はどちらでも変わらないなら、どっちを装備しても一緒よ。寧ろ前衛も兼ねるウチには『プリンスコート』の方が動きやすい」
『プリンセスローブ』は足元まで丈があるので、前に出ることも多いのではあまり合わない装備だと語るダフネの顔から目を逸らさない。
「でも、『プリンセスローブ』の方がいいんだよね」
「…………」
顔を逸らしたのはダフネの方だった。
「妙に『プリンセスローブ』を押しますね、カサンドラ様」
「だ、だって、ダフネちゃんって――――可愛い物が好きだから」
「は」
「へ」
「ほぅ」
カサンドラの告発に、リリルカ・ベル・ヴェルフの目がダフネを注視する。
「…………なにさ」
何言ってくれてやがる、とばかりにカサンドラを睨みつけるダフネに、リリルカがコテンと首を傾ける。
「そこまでご所望でしたらリリの『プリンセスローブ』を着ますか?」
「気持ちは有り難いんだけど、サイズが合わないのはどうしてもね」
「じゃあ、私のを着る?」
「カサンドラのは一部のサイズが合わないから断固として拒否する」
「私だけ扱いが雑!?」
「ウチにだって女としてのプライドがある」
「少し、分かる気がします。カサンドラに対抗できるのは、別の意味でヘスティア様だけでしょう」
羊皮紙の燃えカスをどうやって処分しようかと悩んでいるヘスティアの揺れる胸に目を向けたリリルカは、体格から見れば十分にある自身の胸を見下ろし、『やすらぎローブ』を着ていても自己主張の激しいカサンドラの胸に視線を移して大きく頷く。
「え? え?」
「ベル、お前が知るのはまだ早い。早いんだ……」
話の展開についていけなくなって混乱しているベルの肩を、ヴェルフは兄貴分として優しく叩く。
「戦闘スタイル的に『プリンセスローブ』はいいから、本当に。それよりもウチらのステータスが変わらないままだと後に響かないの?」
アルスを例外にしても、ベルやヴェルフと比べて前衛職なのに攻撃力が低いダフネは、飛躍と呼べる速さでランクアップする彼らにこのままではついていけなくなると焦燥を覚え始めていた。
羊皮紙の燃えカスは『どうぐぶくろ』に入れて処分することになって一安心したヘスティアは主神としてダフネの内心の焦燥を見逃さなかった。なにせ、リリルカやヴェルフも嘗ては感じていたことだから。
「僕としては平穏無事な君達に心の底から安堵を覚えているんだ。そんなことは言わないでくれ」
「ヘスティア様の気持ちもわかりますが、こればかりは心の有り様の変化がスキル発現に繋がると思われるのでなんとも」
リリルカの言うことは気休めでもなんでもなく、成長促進スキル発現の手段とみられる心の有り様の変化が曖昧過ぎて展望を描くことは出来ない。
「心の有り様か…………言っちゃあ悪いけどリリルカやヴェルフみたいな心当たりがないんだけど、カサンドラはともかく」
「カサンドラにはあるのか?」
「偶に『
夢と聞いてベルは興味を引いたようだった。
「夢ですか。どんな夢なんですか?」
「全く当てにならない夢ばっかりよ。当たった試しもない」
うんざりとした様子のダフネに、一度カサンドラを見たリリルカは視線を斜め下にズラして寝ているアルスを見る。
「…………もしかして、アルス様の後を付いて回っているのもその夢が原因ですか?」
「は、はい……」
ちょっと恥ずかしそうなカサンドラにヴェルフの目に好奇心が宿る。
「どんな夢だったんだ?」
「…………言いたくありません」
「言えないではなく、言いたくないか。なあ、ヘスティア様。カサンドラのスキルとかにそういう
「
「ああ、あの黒塗りになってた」
アルスとベルの二人しかいない頃から全員のステータスは共有することを続けていた慣例で、カサンドラの黒塗りにされていたスキル部分にリリルカも思い至った。
「まあ、なんにせよ、代わるも良し。変わらなければそれはそれでということでいいと思います。気にし過ぎてもどうにかなるものでもありませんし」
焦ったところで良いことは何もないと、ベルが団長らしく纏めたところでテントの入り口外に人の気配を感じた。
「皆さん、少しお時間よろしいでしょうか」
「命さん? はい、どうぞ」
特に断る理由もないのでヤマト・命を筆頭に、タケミカヅチファミリアの二人をテントに招き入れた。
テントに入った命は銘々楽にしている面々を見渡した後、持ってきた装備を丁寧に床に置いて正座をして手のひらをつけて頭を下げた。
「――――――改めて感謝と謝罪を。無事に仲間と再会させて頂きありがとうございます。そしてこの度は誠に申し訳ありませんでした」
→これが本場のジャパニーズドゲザ!?
気にするな。旅は道連れ世は情けだ
「話の邪魔になるから黙ってて、アルス」
「はいはい、アルスはこっちに来てようね」
噂には聞いていて自分もやったことがあるベルは内心で戦慄したが、そこは他派閥を前にしているので体裁を保つ為に真面目な顔をして注意する。こいつはこのままにしておくとヤバいと察したダフネがアルスの頭をカサンドラの膝の上にポイッとして安置。
カサンドラがひゃぁっと可愛い声を上げている間に、命の隣に前髪で瞳が半ば隠れているヒタチ・千草も揃って土下座を敢行する。
「あの、その、本当に……ごめん、なさい。命ちゃんを、守って……もらって、本当に、ありがとう、ございます!」
涙混じりの謝罪と感謝に、年上の女性にそんなことをされた経験のないベルは内心でテンパりながらも表面上は落ち着いて対応する。
「そんな、大丈夫ですよ。僕達も気にしてませんし」
「でも、22階層まで、落とされるなんて……私達が、同じ立場、だったら……無事に、すまないはずで」
「そうですね。リリ達だから命様を守りながら問題なく18階層まで上がれたと言えるでしょう」
穏便にすませようとしていたベルとは違って、土下座の姿勢で頭だけを上げた二人の後ろで頭を下げようとしない巨漢の男を見据えるリリルカの目は厳しい。
「タケミカヅチファミリアは、この落とし前はどうされるのですか?」
「…………」
「お前に聞いてるんだよ、大男。お前が団長なんだろ」
黙ったままのカシマ・桜花に、ヴェルフが口調を尖らせて答えを求める。
仲間達の一歩前に出た桜花は、やはり頭を下げないまま口を開く。
「命を俺達の下へ無事に連れ帰って来てくれたことには感謝している。しかし、
「桜花殿!?」
信じられないとばかりに目を剥く命に目を向けず、桜花は自身の信念を告げる。
「アポロンファミリアに勝利したお前達の方が生き残る勝算は高かった。たった一度しか会ったことのない奴らよりも、大事な仲間の命を取った。どのような誹りも俺個人に向けてくれるなら甘んじて受けよう。だが、謝罪だけは絶対にしない」
見方を変えれば喧嘩を売っているに等しい桜花に、ヴェルフが目を吊り上げる。
「それを良く俺らの前で口に出来るな」
「落ち着いて、ヴェルフ」
「だが、ベル!」
「ここは任せて。ね」
「…………ああ、分かった」
拳を握ったヴェルフを下がらせたベルは、自身よりも高い位置にある桜花の目を見上げる。
「カシマ・桜花さん、同じ団長として仲間を優先した気持ちは良く理解できます。ですが、もう少し言い方というものがあると思いますよ」
「俺は器用ではない。この様な言い方しか出来ん」
器用ではなく、更には口が回るタイプの人間ではないことは今までの対応からも良く分かった。
「
「理解している。だから、言った。どのような誹りも俺個人に向けてくれるなら甘んじて受けると」
「謝罪は口にはしないけど、自分になら何をしてもいいというわけですか。最初からそう言えばいいのに」
「上手く口に出来ん。俺は口も上手くない」
意図を理解して解説するリリルカに桜花は苦々しく答える。
「神様から聞きました。命さんの為が大部分だとしても、ここまで助けに来てくれたのはあなた達の意志だと。神様達の命令でも無ければ負い目でもない。その気持ちは大事だと思います」
仲間が大事なだけで好感の持てる男だと感じ取ったベルは、だからこそと内心で続ける。
「その上で言います。あなたはこの
「だから、誹りは甘んじて受けると」
「そういうのはいいんで。僕は道理の話をしています」
ソーマファミリアに始まり、アポロンファミリアの件とは違い、互いに話し合いで決着が出来る相手だと看做したベルはタケミカヅチファミリアを全面的に許せる理由を求めた。
「行為に対する代価、賠償、或いは保証。なんでもいいですが、僕達が貴方達の行為を割り切る為に必要なことです」
「…………俺に出来ることならなんでもする」
「その内容について思いつかないから、ちょっと困ってるんです」
困ったように微笑むベルは命を見る。
「今までの相手には遠慮なく吹っ掛けて来たんですけど、命さんの話だとタケミカヅチファミリアは裕福というわけではないんですよね?」
「ああ、かくなる上は借金をしてでも……!」
「止めて下さい。そこまでされたら僕達が悪いことをした気分になっちゃいます」
「自然に賠償を要求しておいて自覚ないの?」
「ベル様も成長されてるんですよ」
「これって成長なのかねぇ。リリ助とアルスの悪い影響を受けまくってる気がするが」
とんだ風評被害を被っているベルは悩んだ末に、困った時の頼みと双子の弟に任せてみることにした。
「何か良い案はない、アルス?」
→桜花の背中の大剣を所望する
リヴィラの街で桜花が大声で自分の性癖を暴露する
「これか……」
桜花は背中に背負っている柄部分が異様に長い刀を鞘ごと外す。
「待って下さい! 『退魔の太刀』は桜花殿がランクアップした時にタケミカヅチ様から餞別として頂いた物です。あれだけは」
「それだけ大事な物だからこそ対価となるとも言えるね」
「ダフネ様、ですが!?」
「いいんだ、命」
止めようとする命に、首を横に振って桜花は穏やかな表情で手の中の『退魔の太刀』を握る手に力を込める。
「タケミカヅチ様には俺から謝る。許してくれるかは分からんが……」
一度名残惜しそうに『退魔の太刀』を見てから膝をついて床に置き、ベルを真っ向から見据える。
「これで落とし前はつくか?」
「ええ、僕達ヘスティアファミリアは今回の一件を水に流すと約束しましょう。いいですか、神様?」
「ん、ああ、勿論だとも!」
みんな無事だったんだから別にいいじゃん、と何度も言いかけたヘスティアは空気を読んで堪えていた中で急に話を向けられて慌てながらも鷹揚に頷く。
交渉成立とアルスが早速置かれていた『退魔の太刀』を手に取り、鞘から抜いて刃を確認している。
「アルス様も新しい武器にはしゃいでないで落ち着いて下さい」
リリルカに注意を受けたアルスは桜花が他に武器を持っていないことに気づき、『どうぐぶくろ』に手を入れる。
→代わりの武器だ。受け取れ、『
代わりの武器だ。受け取れ、『ビッグブレードⅡ』を。
「っ!? う、受け取れない。『
大剣使いとして、差し出される『プラチナブレード』の武器としてのランクが『退魔の太刀』よりも上だと一目で気づいた桜花は受け取れないと拒否する。
桜花に武器の審美眼があると察したヴェルフが感心した様子を隠しつつ、アルスの意図を直ぐに察した。
「ああ、だから代価だ。『プラチナブレード』を買い取れる代金を持ってきたら『退魔の太刀』は返してやるってことだ」
「それは……っ!?」
「貸しとしてやる。意地を張り続けるバカ野郎には良い薬になっただろ」
「…………恩に着る」
ぐっ、と奥歯を噛み締めてアルスから『プラチナブレード』を受け取った桜花に男くさい笑みを浮かべるヴェルフ。
「やだね、男だけで分かり合うなんて」
「男の人ってそういうところありますよね」
別にタケミカヅチファミリアのことはどうでもいいダフネとしては話がどう決着しても良かったが、勝手に話を纏めてしまった二人にリリルカと共感していた。
途中はどうなるかと思ったが上手く話が良い方向に決着したところで、命はふと気になったことがあった。
「ところで、『プラチナブレード』の買い取り代金はお幾らでしょうか?」
命の問いに、一度桜花を見たヴェルフはニヤリと悪いことを思いついたかのような笑みを浮かべる。
「175万ヴァリスだ」
「えっ?!」
「ま、中層で頑張れば返せねぇ金額じゃあねぇだろ。頑張れよ」
想定外の大金にタケミカヅチファミリア組の背後に電撃が落ちたかのような衝撃が走り、ヴェルフが軽く言っているとテントが外からバッと開けられた。
「ねぇねぇ、暗くなる前にみんなで水浴びに行こうよ!」
明るく提案するティオナ・ヒュリテの提案を拒絶する理由はヘスティア達には無かった。