ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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第56話 キュンとしちゃう

 

 

 

 

 

 クリスタルがその輝きを弱め、18階層に夜の時間がやってきた。

 足の速さを見込まれたベート・ローガは単身で地上に上がり、ポイズンウェルミスの特効薬を買い占めて18階層に強行軍で戻ってきた。

 

「お帰り、ベート」

「ああ、女共が騒いでるが何の騒ぎだ、コレは?」

 

 一番大きな幕屋でベートを出迎えたフィン・ディムナに、野営地のど真ん中で正座させられていた男連中に対する疑問をぶつける。

 

「何時もの神のお騒がせというやつかな」

 

 フィンのはっきりとしない物言いにベートの眉が顰められる。

 

「あん? どういうことだ?」

「馬鹿な者共が神ヘルメスに踊らされて水浴びを覗こうとしたのだ。直前で気づかれて失敗したがな」

「で、今は怒った子達に叱られているところさ」

 

 リヴェリア・リヨス・アールヴが憮然とした表情なのをチラリと見て、苦笑を浮かべたフィンが肩を竦めて続けた。

 

「全部うちのヘルメス様の所為です! すみません! すみません! すみません!」

「へぼっ!? ごっ!? うばっ!?」

 

 まるでタイミングを合わせたように外から聞きなれない声と人体が地面にぶつけられる音がベートの耳に入ってきた。

 

「まあ、あの様子なら結局、覗きは出来なかったんだ。彼女たちの怒りも長続きはしないだろう」

「がははははは! 儂としては、アイツらにそこまでの気骨があったことを褒めてやりたいがのう!」

「口を慎んでくれよ、ガレス。君の言葉は彼女達に火に油を注ぐことになるぞ。ねえ、リヴェリア」

「そうだな。薬が届いたのなら明朝には出立するのだ。明日にまで響かせるわけにはいかない」

 

 愉快痛快とばかりに豪快に笑うガレス・ランドロックに、頭の痛そうなフィンと疲れたとばかりに嘆息するリヴェリアの二分している反応を前にして、意外なことにベートの思考は前者よりだった。

 

「………………覗きとは、俺でも出来ないことをやろうとはアイツらも中々やりやがる」

「ベート?」

 

 らしくもないことを口にしたベートはフィンの呼びかけに首を振る。

 

「なんでもねぇ。ほらよ、特効薬だ」

「助かったぞ、ベート。早速、治療に使わせてもらうぞ」

「随分と服が汚れているがなんじゃ、休憩も碌に取らんかったのか?」

「うるせぇ、ジジイ、ババア。俺は寝るからな」

「ああ、ゆっくり休んでくれ。ありがとう、ベート」

 

 ロキファミリアの首脳陣がそんな話をしている頃、ヘスティアファミリアの主神ヘスティアは覗き騒ぎから戻らぬ団長ベル・クラネルの心配をしていた。

 

「ベル君、まだ帰って来ないな」

「同じくレフィーヤ様も戻って来ません。お二人とも大丈夫でしょうか……」

 

 ヘスティアの隣に立つリリルカ・アーデもレフィーヤ・ウィリディス()も戻らないこともあって、持っている『せいれいの杖』の杖先が地面に渦巻を何重にも描いている。

 

「もう夜になった。森で迷子になっているのかも」

 

 大事な知り合い二人が戻らないことに、アイズ・ヴァレンシュタインもオロオロと落ち着きがない。

 そんな落ち着かない面子にティオネ・ヒリュテは過保護が過ぎると呆れていた。

 

「迷子になったとしてもレフィーヤなら自分で帰って来れるでしょ。モンスターに襲われたとしても、二人が一緒にいるならやられるとは思えないし、心配するだけムダムダ」

「むむ、夜の森にベル君が女の子と一緒だなんて…………ダフネ君! 二人が森で迷っているなら早く帰ってくる良い方法は無いのかい!」

「放っておいても帰って来そうな気がしますけど」

 

 ティオネと同じ意見のダフネ・ラウロスの呟きに、しかしヘスティアは涙目になって縋り付いた。

 

「ベル君の貞操の危機なんだよ! 頼むよ!」

「他種族に排他的なエルフ相手にいらぬ心配のような……」

「ダフネちゃん」

 

 『プリンスコート』に縋り付いてきたヘスティアに困った様子だったダフネにカサンドラが名前を呼びながら肩に手を置く。

 

「はいはい、案を出せばいいんでしょ」

 

 カサンドラからも縋るような眼差しを向けられたダフネは諦めたように思考を回す。

 

「案というほどじゃないけど、森で迷ったなら自分のいる場所と目的地さえ分かればいいわけで、例えばあの巨大樹か一本水晶の上で持続的な目印を発し続ければ、この階層のどこにいても気づくでしょうね」

 

 ダフネが指差したのは、階層中央部で目立つ巨大樹とその近くにある一本水晶。

 

「持続的な目印か……。夜だし、目立つ松明の火とかか?」

 

 巨大樹と一本水晶の方に目を移したティオネは目立つ目印として、暗闇に包まれた野営地を照らす照明代わりの火から連想する。

 

「もっと大きい方が良いと思う。それこそアルスやリリルカの火炎魔法とか」

「でも、魔法だと一瞬だけにならない?」

「大丈夫です。ほら」

 

 放たれた攻撃魔法の効果は持続しない。目立つ目印にはならないと考えたティオネの前でリリルカが上に向けた手のひらの上に拳大の火球を作り出して留める。

 

「へぇ、無詠唱の上に、魔法を放つんじゃなくて留めてるのね。随分と器用なことをするもんだわ。もっと大きく出来るの?」

「ええ、魔力さえ込めれば」

 

 言って、拳大の火球が人の頭大の大きさに膨れ上がった。煌々と燃え上がる火球は大きさに比例してその輝きを強める。

 

「これなら夜の時間で暗くなっているから、巨大樹か一本水晶の上なら階層のどこにいても確実に気づくわ」

 

 眩しそうなダフネを見て魔力を使い続けるのは無駄なので火球を消したリリルカは、もしも気づかない、気づけない緊急事態になっているなら大々的に捜索部隊を結成して探さないといけないとまで思考を巡らせる。

 

「うーん、良い案だとは思うけど、二人がこっちに向かって来ていたら無駄骨にならない?」

「先にベル様達が戻ってきたら、こちらで同じように合図を送ればいいと思います」

 

 探しに行った者も気づくだろうと、ティオネが納得したところでダフネは視線を巡らせる。

 

「となると、向かうのは火炎魔法が使えるアルスかリルカになるのか」

「ことは拙速を要するんだ。選ぶのに迷っている暇はない。ここはアルス君、君に任せる!」

 

 主神の特権でヘスティアがアルス・クラネルを捜索隊に任命したが返事は帰ってこなかった。

 

「聞いてるのかい、アルス君!」

「ティオネ! 凄いよ、この子! 遂に私がわざと体を傾けても寝たままバランスを取るようになったよ!」

 

 返事を求めたヘスティアの望みとは違って、アルスの上に乗っているティオナ・ヒリュテが快活に笑っていた。当のアルスは上下逆を向いて正座した足の上にティオナが乗せたまま鼻提灯を作っている。

 

「正座じゃあ寝るからって、逆正座をして上に乗ってもらっているのに寝れるようになるって、変なところで器用だね、アルスは」

「感心しているところじゃないよ、ダフネ君!」

 

 ベルを脅迫して覗きグループに参加させたとして、アルスにはヘスティアが別口で罰を与えていた。ヴェルフ・クロッゾとカシマ・桜花はロキファミリアと一緒に正座中でこの場にはいない。

 最初はただの正座だったがアルスは寝てしまうので、一人だけ逆正座で面白がったティオナが上に乗ってしまったので偶にわざと体を傾けて落とさせないようにバランスを崩させることで寝させないとした。

 

「すまないね、ティオナ君。頼んでおいてあれだが、一度降りてくれ」

「いいよ~、私も楽しかったし」

 

 ティオナがアルスから降りる。

 

「コホン、アルス君…………ご飯だ!」

 

→はっ!? …………なんだ、妖怪おっぱいお化けか

  はっ!? …………なんだ、紐ツインテールロりか

 

「誰が妖怪おっぱいお化けか!?」

 

 蹴りを放つも、腕だけで飛び上がったアルスは器用に避けた。

 

「まあまあ、ヘスティア様。急ぐのですから」

 

 追撃を仕掛けんとしたヘスティアをリリルカが抑える。

 

「ぐっ、このことは後で絶対追及するからな!」

 

 リリルカの抑えに、今はベルの身の安全が急務と自らを抑えたヘスティアはカモンしているアルスの前に立つ。

 

「アルス君、君にはあの巨大樹か一本水晶の上に上がってもらって、火炎魔法を使ってベル君達が帰ってくる目印になってくれ」

 

 言い切るとアルスの表情が変化する。

 

「物凄く面倒くさいと顔で表現するじゃないか…………受けてくれるなら、この後の罰を免除しようじゃないか!」

 

 譲歩したヘスティアに、アルスはもう一声と待った。

 

「ぬぅ、分かった。楽をする為に『瞬間移動魔法(ルーラ)』も使って――」

「駄目に決まっているじゃないですか」

「あ痛っ!?」

 

 秘中の秘をあっさりとバラしそうになったヘスティアの頭を、リリルカが後ろから『せいれいの杖』で加減して叩いた。

 前衛職ではないとはいえ、Lv.4の腕力に視界に星が走ったヘスティアは頭を抱えて蹲る。その横にリリルカが身を屈める。

 

「ヘスティア様、焦っているのは分かりますがロキファミリアに『瞬間移動魔法(ルーラ)』の有用性を見せるわけにはいきません。ベル様可愛さに情報漏洩は許されることじゃありませんよ」

「ご、ごめんよ、リリルカ君」

 

 眷属の言うことが真っ当であったからこそ説教にシュンとするヘスティア。

 ヘスティアファミリア内部の話し合いに口を出さなかったアイズは、一度巨大樹と一本水晶のある方向を見た。

 

「…………移動は私がしようか?」

「え?」

 

 取り敢えずアルスは移動を問題にしているのだと誤解したアイズが解決策を口にしたのを、なんだかんだで押し切られるのだろうと予想していたダフネが反応した。

 

「『(エアリエル)』を使えば、そんなに時間と手間はかからないと思う」

 

 まさかアイズが協力してくれるとは思えず、正直に言えばベルと接触して欲しくはないが言葉を素直に受け入れたヘスティアは迷わなかった。

 

「いいのかい?」

「私も二人が心配だから」

「まあ、全部そっちに任せっきりっていうのも良くないし、役割分担ってことでいいんじゃない」

「え~、じゃあ私も行きたい」

「アンタ、何もやることないじゃない。文字通りのお荷物よ」

「ぶー!」

 

 必要なのは移動手段(アイズ)持続的な目印を発し続けられる者(アルスかリリルカ)なので、どちらも出来ないティオナは邪魔だと告げるティオネははっきりと告げる。唇を尖らせるティオナも文句は言いつつもティオネの言う通りお荷物でしかないので邪魔はしない。

 

「じゃあ、お願いしようか」

 

 ロキファミリア組とヘスティアファミリア組の了解を得て、アイズは最も移動しやすい姿勢(お姫様抱っこ)でアルスを抱え上げた。

 

「…………姿勢は本当にそれでいいのかい?」

 

 まさかのアルスをお姫様抱っこの体勢に、思わずヘスティアはアイズに確認を取った。

 

「何か問題?」

「君がいいならいいんだけど、アルス君は……」

 

→これはこれで得難い体験

  キュンとしちゃう

 

「マジか」

 

 全く動じていないどころか深く頷いているアルスに、眷属になってから何度目かの驚きをヘスティアは感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 臨時捜索隊が結成される大分前、怒りで魔力ではなく敏捷値が限界突破したレフィーヤによってLv.で勝りながらも全力疾走でも逃げ切れなかったベル。

 周りの状況を把握できないほど走り回り、結果として二人は完全に夜の森で迷子になっていた。

 

「迷いました」

「迷いましたね」

 

 逃げている途中も説得を続けたベルの努力が実り、いい加減に頭が冷えたレフィーヤが追いかけるのを止めた時には既にクリスタルが光を失い、暗闇に染まった森の中で現在地を見失っていた。

 

「これもあれも、あなたが紛らわしいことをして逃げるから!」

「誤解だって分かってくれたんじゃないですか!?」

「無体を働いたわけではないとは認めましたけど、私の同胞を泣かしたのは事実でしょう!」

「うう、それを言われると辛い……」

 

 理不尽だとは思いつつも、ベルには理由が分からずともリュー・リオンが涙を流したのは事実なので反論できず項垂れるしかなかった。

 数秒間、項垂れたベルを睨みつけていたレフィーヤも疲れたように小さく溜息を吐く。

 直後、響いたのはモンスターの雄叫び。

 

「まだ遠いようですけど……」

「暗い森に留まるのは危険です。私達は何とかしてキャンプに戻るか、安全な場所を見つけなければいけません」

 

 言ったレフィーヤは最善の方法が魔法を上空に向かって放ち、仲間に見つけてもらうことだと理解しているが勝手に迷子になって探しに来てもらうのは体裁が悪く、最後の手段として別の方策を考える。

 レフィーヤが方策を考えている間、ベルは鬱蒼とした木々の向こうに意識を移す。

 

「まずはそこら辺の木よりも大きい大樹を探しましょう。見晴らしの良い場所から辺りを見渡せば、帰る方向や現在地が分かるかもしれません」

「正しい判断です。良く分かりましたね」

 

 冒険者歴が短いはずのベルから正しい選択が出たことに若干の悔しさと少しの驚きがレフィーヤの口から零れ落ちた。

 

「小さい頃、アルスと野山で遊んで迷子になって困ったとき、今言った方法で何度か家に帰ったことがあるんですよ」

「経験則ですか。一度で学習せず何度も繰り返していては誇らしいと言える内容ではありませんが」

「ははははは、小さな子供なんてそんなものですよ」

 

 笑うベルはレフィーヤからの呆れの目から顔を逸らす。

 

「大樹を探すとなると、さてどっちに行ったものか」

「任せて下さい。今の僕なら」

 

 ベルは近くの木を簡単に駆け上がりジャンプして、見上げたレフィーヤの目からは葉に隠れて姿が見えなくなる。

 

「…………流石はLv.4といったところでしょうか。前衛と後衛の差があるのに良く追いつけましたね、私」

 

 身軽なベルの動きを目にして、リリルカと同じくベルもLv.4になっていることを実感する。

 木から飛び降りてきたベルに、レフィーヤは胸の奥に妬みを押し込む。

 

「レフィーヤさん、今いる場所が大体分かりました。ここは階層の真東、東端の近くです」

 

 脳裏で18階層の地図を思い描き、現在地から野営地への道程を考えているとベルがあらぬ方向を見ていることに気が付いた。

 

「どうかしましたか?」

「僕達以外にも人がいたんです、二人も。迷っているような感じはありませんでした」

「こんな時間に森の中に? リヴィラの街の住人や冒険者でしょうか」

 

 リヴィラの街の住人なら夜の森の危険性は嫌というほど知っているはず。或いは18階層に辿り着いたばかりか下の階層から上がって来た冒険者か。レフィーヤの推測にベルは困ったように頭の後ろを掻く。

 

「さあ、白いローブにフードを被っていて、人相が分からないので何とも言えません」

 

 二人組の格好を聞いたレフィーヤは背中に冷たいものが走るのを感じた。

 ベルが嘘を言っているとは思えない。そもそも、レフィーヤはベルの性格を多少なりとも把握している。なら、わざわざ嘘を吐く理由も無い。

 

「…………その二人はどっちに?」

 

 出来るだけ平静を装って尋ねる。

 

「あっちを少し行ったところを階層の壁に向かって進んでいました。追うんですか?」

 

 ベルは不審に思った様子もなく、二人組がいる方向を指差す。

 

「本当の迷子だったらいけないので、一応確認しておきます。気配は可能な限り消しておいて下さい」

「分かりました」

 

 神妙に頷いたベルが深く一呼吸行うと、レフィーヤの目の前にいるはずなのにどんどん気配が消えていく。やがてそこにいると意識しなければ夜の森の闇に紛れてしまいそうなほどになった。

 

「む、見事な隠形です」

「これでもパーティー内では斥候なので」

 

 ちょっと自慢気なベルに先導されて歩を進める二人組の姿が見える場所へと移動する。

 

(あの服装、色は違うけど闇派閥(イヴィルス)……! まさかこんな偶然なんて……)

 

 レフィーヤは知らないことだが数日前、地上で開かれた神会(デナトゥス)で議題として上がったガネーシャファミリアの団員殺人事件とロキによる他派閥による注意勧告の影響だった。

 それらによって18階層の冒険者達は夜間探索を控え、その結果として動きやすくなった闇派閥(イヴィルス)側の気が緩み、行動に制限の無かったレフィーヤ達が発見してしまったのだ。

 闇派閥(イヴィルス)の発見自体はロキの思惑通りだが、唯一の誤算がレフィーヤ達が集団から遠く離れた場所で見つけてしまった事だった。

 

「お知り合いですか?」

「断じて違います」

 

 二人組のことを知っている風な反応を見せたので当然なベルの疑問を切って捨てるレフィーヤ。

 流石に知り合い扱いされては叶わないと、どう表現したものかと考える。

 

「簡単に言ってしまうと、あの衣装は私達と敵対している組織の物と酷似しています」

「ロキファミリアと敵対ですか……」

 

 都市最大派閥と敵対するなど勇気のある人達もいるものだと、この時点でのベルは呑気に考えていた。

 

「これ以上は教えることは出来ません。すみませんが詮索はしないで下さい」

 

 他派閥のことに口を突っ込むことの難しさは重々承知しているベルも詮索する気はなかった。

 

「分かりました。でも、そんな相手なら僕達だけで追跡するのは危険なのでは?」

「ここで放置するのは悪手です。かといって応援を呼ぶ手段がありません。下手な方法では向こうに気づかれますし、どちらかが野営地に向かうよりもこのまま二人で向かった方が不測の事態に対処しやすい」

 

 奇しくも前衛と後衛で明確な役割分担は出来る。

 Lv.も4と3と、寧ろレフィーヤの方が実力に不安があるかもしれない。

 

「否、というなら無理強いはしません。本来ならあなたには関係のない話ですから。その上でお願いします。あなたを頼らせて下さい」

「…………殺し文句ですね。僕が言えるのは一つだけです――――――任せて下さい」

 

 ベルの返答にレフィーヤは柔らかく微笑む。

 闇派閥(イヴィルス)と目される二人組の移動に合わせて、その後をベルとレフィーヤは静かに追いかけ始めた。

 

(東の端まで来た。多分ここが彼らの目的地)

 

 森を抜け、道は開けていた。今まで身を隠す遮蔽物として利用していた木や茂みは存在せず、二人組は青水晶の柱が乱立する隙間を通り抜けている。

 この先には階層の壁しかないはずで、二人組が何を目的としてこのような壁地までやってきたのかを確認する為、ベルと目配せをして林立する青水晶の柱の方へと足を進めたその時だった。

 何の前触れもなく、進むべき地面が無くなった。

 

「「なっ!?」」

 

 足場を失うという全く想定外の状況、如何な冒険者といえど空中では如何ともし難く開いた穴に落ちた。

 

 

 

 

 

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